これまでのあらすじ
レイル・レーラビとは、「記憶を失った古代の英雄セイル・ライラビット」と、「代替の使者Vermicelliの破片」が混ざり合い競合することにより生じた第三の人格だった。
肉体を失い、精神を切り離され、その果てに…


ストーリー:リターン・デイズ
第55話「別離」


『ぜぜぜ…聴こえるのぜ?』
エクスマギア内の中継映像が一時的に停止し、ノイズ混じりのレーラビの声が聞こえ始めた……
「レーラビくん!無事だったんだね…?」
『……アルカ、大事な話があるのだぜ』


「…どうしたの?レーラビくん」
『…今、君のレゾナンスギアにゲートの座標を送った。……生き残っている皆を連れて、そこから脱出するのだぜ』
ギアの座標データが自動的に更新され、液晶に表示される。


「…ねえ、レーラビくんはどうするの?」
『……………俺は、もう…ここまでだぜ』
レーラビは苦しげに、確かにそう言った。
「…え?」
アルカはその意味を、すぐには飲み込めなかった。


『俺も、こんな所でなんて嫌だぜ、ずっと君と一緒に居たかったのだぜ…』
「………ねえ、僕が何か間違えたの?それとも僕の努力が足りなかったから…?」
『…アルカ、断じて君のせいではないのだぜ』


「レーラビくん……」
『…シリーズRRRRR達の凍結も今頃解けている筈だぜ、さあ…消えてしまう前に行くのだぜ』
座標の点滅が次第に弱くなっている…レギュレーターが倒されヘブンとの関連性が薄れ始めた為だ。


「…また、会えるよね?」
『………』
レーラビからの返事は無かった、モニターは何事も無かったかのように予備宇宙の映像を写していた。
「っ………リグ、ハリッコさん…ヘブンに戻ろう」


「アルカ君、本当に…いいの?」
「…はい、早く行きましょう」
……そして、アルカ、リグ、ハリッコは解凍されたシリーズRRRRR達を連れファクトリーを後にした。
プリムラ達取材班もその後をつけて脱出した。

……絶対に、後悔するのはわかっている。


ーーーーー


…一方その頃、エクスマギア内部。
宿主から切り離された"回路"から赤いもやもやしたものが噴き出し…やがてレイル・レーラビと同じ姿を取り始めた。
『…お前は、今のお前はレイル・レーラビぜ?』


「俺は…俺は人間の味方セイル・ライラビットだ」
青い眼のレーラビはレゾナンスギアをソロ起動する!
『ぜぜ…俺は代替の使者Vermicelliだぜ』
赤い影のレーラビは鏡のように全く同じ動きを取る!


「顕現!!」『顕現ぜ…』
口笛と共に虚空に発生した結晶が砕け散り、帽子を被った白いアームヘッドが…
不気味なコーラスと共に赤い糸状エネルギーが電子回路のように編み上がり、片腕武器のアームヘッドが顕現する!


『…お前は宇宙が終わるまでここに釘付けにする!俺とお前は永遠にここで戦い続けるのだ!!』
『いや、俺がここで"最初の人"となり現実世界を塗り潰す!その為にギアを作らせたのだぜ!!』
激突し、終わることのない戦闘を開始する二機!!


…こうして、レイル・レーラビとアルカ・クライアの旅は最悪の形で終わりを迎えたのだった。


ーーーーー


………次回 第56話「取り戻しの旅」に続く。



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最終更新:2018年10月03日 00:46