これまでのあらすじ
一通の手紙を切っ掛けに、これまでの旅路を引き返す旅を始めたアルカとリグ。
燃え尽きた死者の街でゾンビのハリッコを仲間に加え、次に向かった場所は……


アームヘッド・ストーリー:リターン・デイズ
第57話「取り戻しの旅②」


アルカ達は静まり返った海を渡り…セントラルニューメッサーシティへと到着していた。
「…待っていたぞ、アルカ君!」
国王"迅雷のビッグバーン"は玉座から立ち上がり、若干せわしない雰囲気で3人を出迎える。


「な、何かあったんですか?」
「ああ…その…先代様が…何と説明すれば良いだろうか、兎に角付いてきてくれ」
3人は国王に言われるがままエレベーターに乗り込み、ゆっくり降下を始めた…


…そして、王宮地下のアームヘッド保管庫で、自動扉が開く。
「この先の部屋だ」
エレベーターを降り、暗い通路を進むと…1体の"人間サイズのアームヘッド"がそこに居た。
『…よう、久し振りだな』


「えっ…ハリッコさんの知り合い?」
「わからないわ」
リグとハリッコは互いに顔を見合わせる中、アームコアの気配のようなもの感知したアルカだけがその正体に気付く…
「……もしかして、オーバン・ガッポさん?」


『その名で俺を呼ぶな…俺様は新メッサー元社長、"雷電のオーバーン"だ』
そのアームヘッドは、かつてデベロッパーとして共闘した仲間の名を告げた。
『…色々あったのだ、話せば長くなる』


ーーーーーーーー


一万年前の事…オーバン・ガッポは、戦闘により発生した事故で、"輝く銀色のプール"に落下した。
「ゴボボボボ…ゴボッ」
彼の意識が一瞬途絶え、再び覚醒状態へと戻る。


『…に、任務完了、あれは死んだだろ…』
それを確認した黒ローブの男達がその場を去った後、プールから変異した生命体が這い上がる。
「ハア…ハア…し、死ぬ…病院で治るかなこれ」


「…いや、人間の医学では駄目だ、このままでは”人間ではなくなって”死ぬのだ…ゲホッゲホッ」
人体の構造が急激な進化に耐え切れず、肉体の崩壊が始まる…!
「ん?待てよ、人間ではなくなる…?」


壊れかけのテレビのような視界で周囲を見回す…そこは自身の職場、アームヘッドを加工する為の工房だ。
「…そうか、その手があったか、やはり俺様は天才…」
オーバンは作業机の上の"医療器具"を手に取り、それを自分の身体に………


ーーーーーーーー


…後天性アームヘッド化人類…略してアームヘッ人となったオーバンは、長い時間を掛け最高傑作「勅命合体ドルザエル」を製造。
これ以上の機体を作る事はできないと判断した彼は、その機体を倒す者が現れるまで自身を休眠状態にしていたのだった。


『そして、俺様の最高傑作はまたしても宿敵レイル・レーラビに倒され…今に至るという訳だ』
オーバンは表情の読めない顔で、アルカたちをじっと見つめる。
「でも…レーラビくんは、もう…」


『…それでも、あいつの所へ行きたいんだろ?力を貸してやるよ』


次回、第58話「取り戻しの旅③」に続く。



  • オーバン・ガッポ:DrD-OBN
非常に希少な《アームヘッ人》のひとり。
最高傑作《勅命合体ドルザエル》以上の機体を作る事はできないと判断した彼は、その機体を倒す者が現れる時が来るまで休眠状態に入っていた。

  • アームヘッ人
正式名称は"後天性アームヘッド化人類"。
何らかの外的要因により、アームヘッド及び古代機械生命に近しい身体構造に変化した"元人間"の総称で、アームヘッド技術によるサイボーグとは異なる存在。



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最終更新:2018年10月03日 00:43