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「悪人」の正義 - (2021/09/17 (金) 13:24:33) のソース
**「悪人」の正義 ◆CantuWVYnk 静かだった。 聞こえる音は木々の間を抜ける風の音だけ。虫の鳴く音さえ聞こえはしない。 先程の凄惨な光景など夢だった――そんな気にさえなれそうな程、この森は静かだ。 もっとも、そんなことはありえないということは重々承知している。 これが現実だということは、さっきから首輪の冷たさが嫌というほど証明してくれている。 思考を現実に向け、これからのことを考えるとしよう。 ギガゾンビとかいう変態仮面に従って、罪のない人々を殺して回る気はさらさらない。 自分は悪に位置する人間だが、突然殺し合いをしろといわれて「はいそうですか」と従うような殺人狂ではないつもりだ。 となれば、自分がすべきことはただ一つ。 奴を殺し、この馬鹿げた殺し合いを終わらせることだ。 その為には奴のことを出来るだけ詳細に知らねばならない。 殺された少女の友達であろう子供達と青い狸のような生き物は、奴のことを知っているように見えた。 彼らに会い奴を倒す術を考え、出来るだけ早くこの殺し合いを終わらせよう。 名簿を確認したところ、自分の知り合いは四人。 ルパンに五ェ衛門、銭型のとっつぁんに不二子。 ルパンも五ェ衛門もとっつぁんも、こんなことで死ぬようなタマじゃない。 不二子は生き残ることに関しちゃ俺達の誰より上だ。 あいつらに会いたい気持ちはあるが、あいつらなら俺が居なくてもきっと大丈夫だろう。 多くの人を生かす為に出来ることをする。 それが、今一人の人間として次元大介がしなければならないことだ。 行動の骨子は決まった。となると次にすべきことは戦力の確認だ。 「さぁて、何が入っていることやらね……」 誰に言うでもなく呟き、デイバッグの中身を漁る。 出てきたものは銃と、それ用だと思われる弾丸だった。 正確に言えば《拳銃のようなもの》と《その弾丸と思われるもの》だ。 自分の記憶にはこんな銃は存在しない。 やたら長いし、拳銃にしては重過ぎる。 銃弾は銀色に光っていて、これまたこんなものは見たことがない。 ……分からないことをいくら考えても仕方ない。大人しく説明書を読むことにしよう。 説明書を一通り読んでわかったことは、この《拳銃のようなもの》 ――正式名称.454カスール カスタムオートの製作者はとんでもない馬鹿野郎だということだ。 拳銃としては異様な4kgもの重量(ショットガンやアサルトライフルがこの位の重さだ)。 自動拳銃としては大きすぎる35.5cmという全長。 とどめに、弾丸はウィンチェスター大聖堂の銀十字錫を溶かして作った13mm爆裂鉄鋼弾らしい。 一体、何を考えてこんな物を作ったのか。 「サイボーグに吸血鬼退治でもさせる気か?」 きっとそうだ。アメリカ辺りが作ったんだろう。あの国ならやりかねない。 とても無理のある結論だと自分でも思うが、これ以上考えても結論は出そうにない。 それなら無理にでも納得して、次のことを考えたほうがいい。実際、あの国ならやりかねないし。 地図によると、今俺がいるのはエリアA-1の森林らしい。 近くに高校があるようだから、とりあえずはそこを目指そう。 高校に探し人がいるなどと期待はしていないが、闇雲に探すよりは目標を定めたほうがいい。 カスタムオートをズボンとシャツとの間に挟み、獣道を歩き始める。 「よろしく頼むぜ。相棒」 この銃を扱い切れれば大きな戦力になるのは間違いない。 それに―― 女は手のかかる方が可愛いってもんだ。 【A-1 ・1日目 深夜】 【次元大介@ルパン三世】 [状態]:健康 [装備]:.454カスール カスタムオート(弾:7/7)@HELLSING ズボンとシャツの間に挟んであります [道具]:支給品一式、13mm爆裂鉄鋼弾(35発)@HELLSING [思考・状況] 1:とりあえず、高校まで行く 2:殺された少女(静香)の友達と青い狸を探す 3:ギガゾンビを殺し、ゲームから脱出する 基本:こちらから戦闘する気はないが、向かってくる相手には容赦しない *時系列順で読む Back:[[しっぽの生えた薬師の少女]] Next:[[たのしい遊園地]] *投下順で読む Back:[[しっぽの生えた薬師の少女]] Next:[[たのしい遊園地]] |次元大介|63:[[ソロモンの指輪]]|