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仕事 - (2021/08/11 (水) 00:49:35) のソース
*仕事 ◆S8pgx99zVs この惨劇の舞台。 そのほぼ中央に位置するレジャービル。 その屋上に悄然とした男――トグサが一人風に吹かれていた。 ―― 十九人。 想像を絶する数字だった。 八十人いた人間(?)のうち、もうすでに四分の一が死んでいるということになる。 たった六時間で…… しかもこの広い空間の中で…… ……殺しあっている。 そうとしか考えられない。みんなこの馬鹿げたゲームに乗っているのである。 出会ってはそこで殺しあっているのだ。 舞台の中心に高く聳えるビルの屋上からは、惨状がよく見渡せた。 目の前に見下ろせる広い遊園地。 その中央で横倒しになった観覧車。破壊された遊具。 尋常な手段で行なえる行為ではない。 右を見やれば立ち上る黒煙。 山の斜面に遮られてどの建物かは解らないが、おそらく地図にある図書館の辺りだろう。 この舞台のそこかしこで破壊と殺戮が行なわれているのだ。 こんな状況でセラスを一人残してきてよかったのか? その不安に手にしたゴーグルをホテルの方へと向ける。 取り立てて変わった様子はない。日が昇ってその全容がよく見え――!? 何かが屋上から飛んだ。 そして半瞬遅れて小さなドォンという空気の振動する音が届いた。 ――人が? ――撃たれて? ――落ちた? 落ちた所は死角になっていて何が落ちてどうなったかは解らない……だが、 今のはセラスじゃなかったか? 不安に心臓が傷む。最悪の想像に。 何かが飛び出した、その入口から出てきたのは一組のメイドだった。 そしてその入口とは対になる方から出てきたのは―― 「バトーッ!」 思わず声に出してしまった。そして今自分がここにいることを激しく後悔する。 少し、せめて放送がかかるまでホテルにいればバトーと合流できたのかもしれないのだ。 それを……、今はバトーの無事を祈るしかない。ここからでは何もできなのだから。 ……が、その祈りは叶わなかった。 バトーはメイドの一人と絡まるようにホテルの屋上から落ちた。 残ったもう一人のメイドが彼らに向かってライフルを撃ちつけたからだ。 こちらからは確認できない向こう側に落ちたが、どうなったかは推理するまでもない。 バトーは死んだ。 そしておそらく最初に落ちたのはセラス。 誰かはわからないがメイド姿の人間も一人死んだ。 十九人……、それが瞬く間に二十二人。 殺し合いは収まることなく、より加速していく…… ――見誤った。 こんなことになっているとは思わなかった。 九課の仲間がいる。そして始まってすぐにセラスにも会えた。 だから……、常識で考えてもみんながすぐに殺し合いを始めるなんて思いもしなかった。 技術手袋を脱出の鍵だと思い込み。 やたらめったらに電話をかけ。 まともな武器一つ持たずにセラスを置いて飛び出した。 それがこの様だ。 バトーには会えず。 セラスを見殺しにし。 まともな武器一つなく孤立している。 この戦場のど真ん中に! 自分を物語の主人公だと勘違いしていたのかも知れない。 自分は浮かれすぎていた。 自分は大きな過ちを犯した。 取り返しのつかない最悪の過ちを…… 屋上の端で項垂れ悲嘆にくれるトグサの耳に微かな駆動音が聞こえてきた。 柵から地上を見下ろすと、なにやら軍用トラックがやって来てこのビルの前を横切るようだ。 軍用トラック……?この場にそぐわないその様な物がどこから出てきたのか謎だが、 それよりも問題はそれに対しどう行動を起こすかだ。だが…… ……見送ってしまった。 先刻までの、放送を聞き仲間の死を目にする前のトグサならすぐに追いかけただろう。 トラックは非常にゆっくりとした速度で走っていた。気付いた後、すぐに降りれば追いつけたはずだ。 だがしかし、そうはできなかった。 ここはトグサが考えていたような場所ではなかった。もっと遥かに熾烈な場所だった。 心中に恐怖が進入することを許したトグサはそこを動くことができなかった。 十数分後、道路をマウンテンバイクで疾走するトグサの姿があった。 確かに誤った。 その誤りから取り返しのつかない事態を起こした。 自らを主人公だと。それは完全な過ちだった。 だからその過ちを正す。 分不相応な役目を自分には課さない。 各人が相応のベストを尽くす――それが九課の連携。 今の自分に出来ることだけに集中する。 バトーは死んでしまった。悔やんでも悔やみきれないが。 だが、まだ少佐……、そしてタチコマがいる。 バッグの中の、あの手袋が脱出の鍵ならば。 それを持って少佐に合流するのが、今の俺の仕事だ。 追っているトラック。誰が乗っているかはわからない。 少佐か、それとも殺人鬼か、または仲間となってくれる人間なのか。 確認しよう。まずは情報。アクションは最後。 俺は、公安九課――攻殻機動隊の一員だ。 だから公安九課として仕事をする。 それだけだ。 トグサはペダルに力を込め、西へと向かったトラックを追いかけた。 【D-5/道路上/一日目-朝】 【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】 [状態]:健康 [装備]:暗視ゴーグル(望遠機能付き)/刺身包丁/ナイフ×10本/フォーク×10本/マウンテンバイク [道具]:支給品一式/警察手帳(元々持参していた物)/技術手袋(残り19回)@ドラえもん [思考]:トラックを追う/情報および協力者の収集/九課の連中と合流 [備考] ※他メンバーの行動の妨げにならないよう、他メンバーについての情報は漏らさないつもりです。 ※セラスのことを、強化義体だと思っています。 ※トグサの考察は以下の通りです。 ・『首輪は技術手袋で簡単に解体できるが、そのままでは起爆する恐れがある』 ・『安全に解体するための方法は、脱出手段も含めネットワーク上に隠されている』 ・『ネットワークに繋ぐための情報端末は、他の参加者の支給品に紛れている』 ・『監視や盗聴はされていると思うが、その手段については情報不足のため保留』 ・『ギガゾンビが手動で首輪を爆破させるつもりはないと考えているが、これはかなり自信ない』 [備考追加] ※セラスが死んでしまったと勘違いしています。 ※なので、正午にホテルに戻るという行動はキャンセルしました。 ※マウンテンバイクはレジャービルの中で発見しました。 【D-4/道路上/一日目-朝】 【石田ヤマト@デジモンアドベンチャー】 [状態]:人を殺したことに罪悪感/精神的疲労/右腕上腕打撲/額に傷 [装備]:クロスボウ、73式小型トラック(運転席) [道具]:支給品一式/ハーモニカ/デジヴァイス@デジモンアドベンチャー/真紅のベヘリット@ベルセルク RPG-7スモーク弾装填(榴弾×2/スモーク弾×1/照明弾×1) [思考]:病院へ向かいぶりぶりざえもんを治療する/長門と情報交換/グレーテルの埋葬 自分や仲間の知人を探して合流/元の世界へと戻りたい [備考] ※ぶりぶりざえもんのことをデジモンだと思っています。 ※また、参加時期は『荒ぶる海の王 メタルシードラモン』の直前としています。 【ぶりぶりざえもん@クレヨンしんちゃん】 [状態]:黄色ブドウ球菌による食中毒/激しい嘔吐感 [装備]:RPG-7の照明弾/73式小型トラック(助手席) [道具]:支給品一式(パン-2個)/ブレイブシールド@デジモンアドベンチャー/クローンリキッドごくう(×4回)@ドラえもん [思考]:吐きそう/強い者につく/自己の命を最優先/"救い"のヒーローとしてギガゾンビを打倒。 [備考] ※黄色ブドウ球菌で死ぬことはありません。 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:健康/思考に微妙なノイズ [装備]:73式小型トラック(後部座席) [道具]:支給品一式/タヌ機@ドラえもん/S&W M19(6/6) [思考]:病院に向かいぶりぶりざえもんを治療する/自分や仲間の知人を探して合流。 【トラック内】 ミニミ軽機関銃/おにぎり弁当のゴミ/グレーテルの遺体 [アイテムの制限] 【ブレイブシールド@デジモンアドベンチャー】 ウォーグレイモンの盾。強度はある程度下げられている。 二つに分け、背中に装着できるがアニメと違い空は飛べない。 ※ぶりぶりざえもんはサイズが合わなくて装着できませんでした。 【クローンリキッドごくう@ドラえもん】 髪にふりかけ、髪を抜くことで抜いた髪が小さい分身となる。 ただし分身は本人そのものなので 強い味方になるとは限らない。 制限として一回につき十五人までしか出現しない。 五回分あるが 一回使うと二時間待たない限り、いくらかけても効果がない。 分身の戦闘能力は本体の戦闘能力に応じて下がることがあり、分身が存在できる時間は30分。 ※ぶりぶりざえもんは髪がなかったので使えませんでした。 *時系列順で読む Back:[[仕事]] Next:[[D-3ブリッヂの死闘]] *投下順で読む Back:[[仕事]] Next:[[嘘も矛盾も]] |99:[[「きゃっほう」/「禁則事項です」/「いってらっしゃい」]]|トグサ|132:[[トグサくんのミス]]| |105:[[I wish]]|石田ヤマト|125:[[D-3ブリッヂの死闘]]| |105:[[I wish]]|ぶりぶりざえもん|125:[[D-3ブリッヂの死闘]]| |105:[[I wish]]|長門有希|125:[[D-3ブリッヂの死闘]]|