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ひめられたもの(1) - (2022/01/08 (土) 21:14:26) のソース
*ひめられたもの(1) ◆WwHdPG9VGI 「……っとにもう、後一歩だってのにさっ!」 腹立たしそうに園崎魅音が悪態をつき、 「けど仕方ないぜ。射手座なんて単語、普通は知らん」 ため息をつきつつキョンは答えた。 「そりゃ確かにターゲット1900には乗ってないけどさ……」 魅音の言葉にキョンは目を丸くした。 「園崎……。もうあれ全部覚えてんのか?」 「そりゃ完璧にって言われたら自信ないけど。まあ、大体は覚えたかな」 「マジかよ……」 キョンは感嘆を滲ませた声を漏らした。 「けど、あれをやっても定期試験に出んからなあ……。やらなきゃならんと分かっちゃいるんだが」 「そりゃそうだけどね。でも、キョンだって目標は大学受験でしょ? それを考えたらどっちを優先しなきゃならないかってことだよ。 定期試験はほどほどでいいって、割り切っちゃえばいいじゃない?」 割り切った場合、定期試験がどんな惨状になるか見当がつくキョンは、苦笑するしかなかった。 やにわにキョンは、猛烈に頬をつねりたい衝動に駆られた。 『定期試験』、『受験』。昨日までは確かにそっちが現実だったはずなに。 今自分がやっているのは、集められた異世界人との殺し合い。 ――これはひょっとして夢なんじゃないか? その思いが怒涛の如く湧き上がってくる。 涼宮ハルヒと出会って以来、非現実な出来事に度々遭遇してきたキョンにとっても、今の事態はいささか限度を越えていた。 慌ててキョンは首を振った。 (逃げるなってんだ。このクソったれたな状況は夢じゃない。現実だ!) 俯きながらキョンは唇を噛む。 痛かった。やはり現実らしい。 (できれば夢の方が良かったんだがな……) キョンは、こっそりため息をついた。 「こーこうせいというのは、中々大変なのだな」 キョンと魅音の会話を聞いていたトウカが、感心したように腕組みをした。 流石というべきか、トウカは平常心を保っているようで、それがキョンには頼もしい。 「そんなことないよ。大変なのは、どこの世界だっておんなじだよ、きっと。 それに、学校行けば友達もいたしさ……。そんなに……」 魅音の声が急速に弱まっていき、キョンも胸が締め付けられるように痛むのを、感じた。 学校へ行っても、もう死んでいった者達に会うことはない。 会えるのが、話せるのが、当然だと思っていた。 いつでも会える、いつでも話せる、そう思っていた。 (もう会えない、って分かった途端に、何でこうもたくさん、あれをしておけばよかったとか、言っとけば良かったて思うんだろうな……) 振り払っても振り払っても、ふとした瞬間に、喪失感と悲しみの波は押し寄せ、何もかも押し流そうとする。 魅音とキョンにとって、失ったものはあまりにも大きすぎた。 そして、当たり前の日常を思い出してしまったことが、それに拍車をかけた。 今は前に進む時だとわかっていても、それが死んでいった者達に報いる行為だとわかっていても、それでも……。 二人の足取りが重くなり、自然と顔が俯き加減になる。 「もう少しだ! キョン殿! 魅音殿!」 トウカの張りのある声に引っ張られるように、キョンは顔を上げた。 (何か、ずっと力づけてもらっちゃってるよな。俺も、園崎も) 病院までの道行きの間、何度この覇気ある声に助けられたことか。 景気づけにどんな話題を口にしても、すぐに暗い気分になった。 肉体的な、精神的な疲れで、足が止まりそうになった。 その度に励ましてもらった。 (しかも、それだけじゃなかったしな……) 途中D-4エリアの川付近を通った時、トウカが殺気を感じたと言い出した時はヒヤリとした。 ただ、幸いなことに、結局その殺気の主からの攻撃はなかった。 警戒した3人が相手では分が悪いと考えたのか、多少人間離れした容貌であるトウカの未知の能力を警戒したのか、 他に理由があるのか分からないが……。 (まあ、トウカさんにビビッたんだろうけどな。俺達ですら、怖かったくらいだ) あれが超一流の剣客の剣気というものであろうか? 人食い虎でも、ダッシュで逃げ出したに違いない。 その上で後戻りし、南下して浅瀬を渡って渡川したのは少しやりすぎのような気もするけれど……。 とにかく、トウカのお陰もあって何事もなくここまで辿り着けた。 これで、めでたしめでたし、のはずなのだが。 キョンは、闇の中に立つ病院に視線を移した。 「ちゃんとみんな、揃ってるといいんだけど……」 「……ああ」 心配そうに魅音は呟き、キョンもまた、声に不安の響きを宿さずにはいられなかった。 (セラスさんたちからも連絡がなかったってのが気になるんだよな。もう、病院についていてもおかしくないはずなんだが) 病院には、ジャイアン少年の友人であるのび太という少年、ドラえもんというロボット、カズマという青年がいるはずだ。 そして本来はあともう一人、八神太一という少年も「いた」はずなのだ。 (大怪我をしてたらしいから、手当てが間に合わずにっていう可能性。 次元さんの言ってた峰不二子って人が何かしたっていう可能性。 まったく違う別の誰かが病院を襲撃したという可能性……。 どれもあって欲しくないもんだが、とりわけ三番目は勘弁して欲しいもんだ) そしてその原因となった者が、劉鳳やセラス達に襲い掛かっていたとしたら? キョンは自分の顔が険しくなるのを感じた。 来る途中にあった破壊の跡がキョンの脳裏に浮かぶ。 セラスと劉鳳、特に劉鳳の強さは際立っているが、二人とも疲れの極地にあり、怪我も負っている。 ゆえに万が一、ということも考えられるのだ。 隣の魅音もどうやら考えていることは同じようで、銃に手をやって厳しい表情をしている。 (まったく……。邪魔をしないでもらいたいもんだぜ!!) 自分達は必死で脱出の方法を模索しているというのに、何故邪魔をするのか? 苛立ちが募り、心の中で怒りが暴風となって荒れ狂うのをキョンは感じた。 その時、凛とした声が響いた。 「キョン殿、魅音殿、ご安心召されい! このトウカのいる限り、お二人には指一本ふれさせませぬ!」 キョンと魅音の表情は同時に和らぎ、 「……アテにしてますよ、トウカさん」 「私もだよっ!」 キョンと魅音は、異口同音に合いの手を入れた。 つくづくこの声には救われている、とキョンは思う。 「まかされよ! この剣を手に入れた某に、もはや斬れぬもの無し!」 2人の言葉に応えるように、トウカは白鞘から刀を抜き放ち、天に翳してみせた。 「……なんかスゴそうですね、その刀」 ――トウカさん、ちょっとハイになってやしないか? 剣を抜くのはいささかやりすぎだ、と思いつつもキョンは相槌を打った。 「うむ、素晴らしい剣なのだ!」 トウカは嬉しそうに頷き、 「むっ、そういえば――」 続いてどこか悪戯っぽい表情を浮かべた。 「キョン殿には昨日、少しみっともない所を見せてしまっていたな……」 そう言いながらトウカは、大きめの街路樹の一本へと歩み寄っていく。 「出刃包丁では無理だったが……」 キョンの頭の中で警戒音が鳴った。 (何をするつもりだ? ……ってまさか!?) 慌ててキョンが静止しようとするよりも早く、キョンの視界の中でトウカの像がぶれ、チィンという小気味よい音が響いた。 一瞬遅れて木がズレ始め――。 数秒後、轟音が夜空を渡った。 ■ 「……ふう」 Ipodの調査をひとまず休憩し、ロックこと岡島禄郎は、後ろ手にドアを閉めると小さく息を吐いた。 涼やかな夜風が心地よい。 コメカミと瞼に手をやり揉み解し、大きく息をする。 エルルゥには、「大丈夫だ」といったものの、やはりロックとて疲れていた。 徹夜仕事をしたことは数あれど、流石にここまでヘヴィな一日をこなした後、徹夜した経験は無い。 ふと、ロックは自分の手が胸元を探っていることに気づき、苦笑を漏らした。 外へ行って煙草を吸うのは商社時代についた癖だが、まだ抜けない。 欧米では煙草を吸うヤツ、イコール、自己管理の出来ないダメな人間、とみなされるため、 何度も上司から「上へ行きたければ止めろ」と忠告された。 怒鳴られたこともあった気がする。 (結局止められなかったよな……) それは心の奥底で眠る、サラリーマンとして平々凡々な生き方を送ることに対する些細な抵抗であったのか。 ふと、そんな思いが心をよぎった。 (んなわけないか……) 頭をかきかきロックは、自嘲の笑みを漏らす。 そんな大げさなものではない、強いていうなら、 ――趣味、だったから というのが近いかもしれない。 例えそれが他人にとっては紙屑同然にみえることでも、何故か心がそれを捨てることを拒否する。 そういうものが誰にでもあるのではないか。 漆黒の中に浮かぶ黄金の真円を見ながら、ロックがそんなことを取りとめも無く考えていた、その時。 ずうん…… 夜を響いて伝わってきたかすかな衝撃音に、ロックは思わず身を硬化させた。 耳をそばだたせながら、頭の中で地図を広げる。 ロック達の今いる場所はC-4・山間部から市街地へ入ったところだ。といっても限りなくD-4に近い。 この先にあるのは、大通りであり、病院である。 (何てこった……。考えてみりゃ病人は怪我人の集まる場所、つまり、優勝狙いのヤツにとって絶好の狩場じゃないか) ロックの眉間に深い皺が寄った。 全神経を耳に集中させて音を探る。 しかし、それ以降音はまったく聞こえてこなかった。 (どういうことだ?) これだけの人間が死んでいる中、今の今まで生き残っているような人間同士だ。 いきなり全滅ということがありえるだろうか? ドアを開けて家の中にとって返すと、ロックは眠っているエルルゥの肩をゆすった。 「……ん……どうし……たんですか? ロックさん」 寝ぼけ眼のエルルゥの瞳が、覚醒の色を取り戻すのを待って、ロックは口を開いた。 「……病院の方角で大きな音がした」 ピクリとエルルゥの耳が動いた。 「そ、そんな……」 せっかくここまで辿り着いたと言うのに、何ということだろうか。 エルルゥの顔が、みるみる困惑と恐怖に染まっていく。 「落ち着いてくれ、エルルゥ。まだ、物騒なことが起こってると決まったわけじゃない」 宥めるようにロックはいった。 「……そう、ですね」 気を落ち着けようと大きく深呼吸するエルルゥに、ロックの表情がすこし和らいだ。 だが、すぐに顔を引き締め、 「俺は今からいって、ちょっと様子を見てくる」 「えぇ!?」 小さく悲鳴を上げるエルルゥに、ロックは押し殺した声で続けた。 「行き先に何があるのか、それが確かめないまま、病院に向かうっていうのは、あまりにも危険すぎる」 「でも、ロックさん……」 エルルゥは思わず、ロックの腕を震える手で握り締めた。 この世界に飛ばされて以来、エルルゥは何人もの人間に出合った。 そして、その中の何人かの命は、永遠に失われてしまった。 喪失の恐怖と不安が、エルルゥの胸を締め付けていた。 揺れるエルルゥの黒い瞳を見て、ロックはエルルゥの手に自分の手を添えた。 「大丈夫。ちょっと見てくるだけだから……。無理はしない、約束するよ」 手に少し力を込め、エルルゥの瞳を見つめながら、ゆっくりとロックは言葉を紡いでいく。 「俺がいなくなった後何か物音が聞こえたら、その時は動かずにここに留まること。その方が多分安全だと思う。 で、仮にだけど、朝までに俺が戻らなかったら、しんのすけ達と一緒にもう一度山の中へ戻るんだ。いいね?」 「分かりました……。でもっ!」 エルルゥは顔を上げた。 「そんなことにならないって、私、信じてますから。きっと……。ロックさんはきっと戻ってくるって、信じてますから!」 ロックの脳裏に、ハクオロという人の名を呼びながら号泣していたエルルゥの姿がよぎった。 (エルルゥにはこれ以上、悲しい思いをさせたくないな) 誰かを失う悲しみを、これ以上この子に味あわせたくない。 エルルゥの鈍い悲しみの光を宿した瞳を見ていると、つくづくそう思う。 ――もう誰も、悲しませたりなんかしない。俺が、絶対に 自分は確かにそう誓ったのだ。 誓ったからには、やり通してみせる。 「心配ないよ、エルルゥ。俺は臆病だから、危ない橋は渡りたくても渡れやしない。危ないと思ったら、すぐ逃げ帰ってくるさ」 穏やかに笑うと、ロックは再び戸口へと向かった。 「ロックさん。どうか、気をつけて……」 後ろ手に手を振り、ロックは闇の中へと駆け出していく。 残されたエルルゥは手を胸元で強く握り締めるとロックの無事を祈った。 ■ 「それにしても、私の名前を使うなんて……。腹立つわね!」 遠坂凛は、乱暴にその豊かな黒髪をかきあげた。 「まぁまぁ……。でも、気持ちは分かるけどね~。自分の名前を語ってるヤツが非道なことして回ってるんじゃあ……」 言っているうちに、本当に冗談ごとではないという思いが強くなり、セラスの口調も自然と苦いものになった。 その凛に化けた偽者が暴れれば暴れるほど、凛は襲撃を受けた者達から恨まれ、ことによれば命を狙われることになるのだ。 「……ヤツはどういウわけだか、真紅という人形の上に浮いていた宝石のことを知っていた。ひょっとしたら俺達が襲われたのは――」 俺がその宝石を持っていたせいなのかもしれない、と自罰的に劉鳳は続けようとするが、 「ちょっと待って」 凛の底冷えするような声に遮られた。 驚いて劉鳳が顔を上げると、そこには眉間に深い皺を寄せた凛の顔があった。 顔立ちが整っているだけに、えもいわれぬ迫力があり、思わず劉鳳はたじろぐ。 「あなた今、『真紅という人形』って言ったわね? その人形って赤いドレスに金色の髪ってデザインじゃなかった?」 劉鳳が頷くと、凛の眉間の皺は更に深さを増し、目の端が吊り上った。 「……他には何か言ってなかった?」 いまや氷点下にまで下がった声音で凛は言った。 「そ、そうだな……。ロー……ミスティがどうとか、言っていた気がする」 「へえ……。そのローザなんとかを手に入れて、そいつはどうしたの?」 「だ……断言はできないが……。力を増したように俺には、見えた」 不穏な空気を全身から立ち昇らせる凛に、劉鳳は顔面を引きつらせ、セラスは思わず腰を引いた。 だが、凛はそんな二人の様子も目に入らない様子であった。 ぎしり、と握り締められたレイジングハートの柄が音を立てた。 峰不二子と情報交換をした時のことが、凛の頭に蘇り始める。 ――その人形から浮かんだ結晶を、青い制服を着た男が持っていったわ。 遠目で見たからよく分からなかったけど 凛は劉鳳の制服に目を走らせた。 制服は青い。 ――ローザミスティカはとっても大切なものよぉ そして出会った時、水銀燈は言っていた。 ローゼンメイデンは『核となる物を奪って強くなる』、と。 (パスまで絶って、水銀燈が消えたほぼ同じ時間帯に、 劉鳳の所に、劉鳳が『真紅』という人形の『ローザミスティカ』を持っていることを知っている者が現れ、 しかもそいつは『ローザミスティカ』を手に入れてパワーアップしたと……。 これを全て『偶然』で片付けられるヤツがいたらお目にかかりたいくらいね) そして、『ドール』はただ一人を除いて全滅しているはず。 黒々とした炎が胸の中で燃え上がるのを凛は感じた。 (でも……。私が戦った相手は、どうみても水銀燈には見えなかった。あまりにも姿形が違いすぎる) 凛の胸の炎が一瞬火勢を弱めた。 ――いやまて。 (あいつが使った魔術は、間違いなくレイジングハート達の世界のものだったわ) 凛は身に纏ったジャケットに目を落とした。 「レイジングハート。いくつか質問に答えてくれる?」 『何でしょう。マスター』 「さっき戦った、敵の格好なんだけど――」 凛が口を開きかけたまさにその時、 「やっと会えたわぁ。捜したのよぉ?」 水銀燈がドアを開け、室内に入ってきた。 凛は、無言で水銀燈に視線を叩きつけた。 その視線は、ゲームが始まって以来、長く行動を共にしてきた相方に向けるにしては、あまりにも冷たかった。 部屋に入ろうとする水銀燈を外に押し出し、セラスと劉鳳がいる部屋からある程度はなれた廊下で、凛は口を開いた。 「……どこいってたの? それに、よくここが分かったわね」 「だって、私はあなたの使い魔だものぉ」 「そうだっけ? すっかり忘れてたわ」 凛の声音は酷薄であり、物言いは辛辣極まるものだった。 「やっぱり……。怒ってるわよねぇ」 水銀燈はガクリと肩を落とし、目を伏せた。 あまりの水銀燈のしおらしい態度と表情に、つりあがっていた凛の目の端と眉がわずかに緩む。 だが、すぐに顔を引き締めなおし、 「理由をいいなさい。パスまで絶って私から離れた理由を!」 厳しい調子で凛は問うた。 すると、水銀燈は力なく嘆息し、 「本当は、カレイドルビーのところには戻らないつもりだったわぁ……」 「えっ?」 「私、覚悟したつもりだったわぁ。アリスゲームが始まった時、絶対に勝ち残って、『アリス』になることを……。 どんなに仲の良かった妹だって、倒してみせるって誓ったのぉ それが私の宿命なんだからって、そうずっと自分に言い聞かせてきたわぁ」 顔を俯かせたまま、水銀燈は切々と言葉を綴る。 「でも、一番仲が良かった真紅が死んでるのを見て、何だか力が入らなくなっちゃった……。 こんなのが私の望んでたことなのかって思えてきてぇ。 こんな思いまでしてアリスになってどうするんだろう? そう思っちゃったのぉ」 そう言った水銀燈の顔は、凛が今まで見てきた水銀燈らしい不敵なものを全く感じさせない、弱弱しく疲れきったものだった。 「私は失敗作だったんだわぁ……。アリスを目指すことが私たちローゼンメイデンの全てなのに。 こんな私じゃ、きっとカレイドルビーの側にいたら足を引っ張っちゃうって――」 「そんなこと、ないわ」 気が付くと凛はそう口にしていた。 「どんな理由があろうが、血のつながった物同士が殺しあうなんてあっちゃいけないのよ」 キャスターに生贄にされかけ、暴走した桜を止める羽目になった時のことを凛は思い出す。 あの時、自分は桜を殺そうとした。 だが、殺せなかった。 甘いと分かっていても、自分の行動がキャスターのシナリオ通りのものかもしれないと分かっていても、できなかった。 「あんたは、正しいわ、水銀燈。失敗作なんかじゃない!」 静かだったが、その声音には優しさと確信の響きがあった。 「カレイドルビー……」 水銀燈の紫の瞳が大きく見開かれた。 「こんな私でも……。カレイドルビーの側に……」 「2つ条件があるわ」 おずおずと言いかける水銀燈を、凛はきっぱりした声で遮った。 「1つ。私の名前はカレイドルビーじゃなくて遠坂凛よ。だからカレイドルビーって呼ぶのを即刻やめること。 2つ。そのしおらしい態度を改めること! あんたは……」 一度言葉を切り、凛は小さな微笑を唇の端に上らせた。 「生意気で、嫌味ったらしいくらいの方が、あってるわよ。水銀燈」 「……酷い……言い草ねぇ……」 搾り出すように言って、水銀燈は顔を手で覆い、俯いた。 「ありがとう……」 水銀燈の肩が震えているのをみて、凛は視線を逸らした。 凛は見るべきだった。 人形の目を。嘲りと黒い炎が浮かぶその禍々しい瞳を。 (ありがとぉう、凛。やっぱり、あなたは最高だわぁ……。搾り取れるだけ取らせてくれる、ありがたぁい、私の操り人形ですものぉ) 彼女に目をつけた自分の判断は間違っていなかった。 悪魔のような歪んだ笑みを掌の中に隠し、人形は嗤った。 レイジングハートは歯噛みしていた。 目の前の人形は、マスターである遠坂凛の泣き所を熟知している。 どのボタンを押せば、自分の望む答えを引き出せるか知っている。 今の凛に何を言っても、彼女は躍起になって水銀燈を弁護するだろう。 それでも言い募れば、彼女はレイジングハートに助言を求めなくなるかもしれない。 故に、沈黙するしかなく、それがたまらなく腹立たしい。 だが、レイジングハートは諦めたわけではない。 マスターである遠坂凛の思いが踏みにじられること。そのことだけは、絶対に許容できない。 そして、伝えるタイミングさえ間違わなければ、遠坂凛は正しい判断をするとレイジングハートは確信していた。 故に、ただ沈黙したまま待ち続ける。 最善の『機』を窺い、ただ、待ち続ける。 「部屋に戻るわよ。新しい仲間を紹介するわ」 涙を拭くような仕草をして、水銀燈はコクリと頷いてみせた。 (もう知ってるけどねぇ) という本音は、表情の下に隠して。 二人が廊下を歩き出したその時、 ずうん……。 という衝撃音が小さく聞こえてきたのだった。 ■ 「――じゃあ、確認するわよ? セラスさんと私と水銀燈が様子を見に行く。劉鳳はこの部屋でのび太とドラえもんと、 ハルヒって子を守る。これでいいわね?」 「オッケー。つーか、早く行こうようっ!」 気が気ではないというようにセラスが言う。 ここに向かって来ているはずのキョン達に、さっきのアイツが襲い掛かっているのかもしれないと思うと、心配でたまらないのだ。 魅音の銃の扱いはなかなかのものだったし、トウカの強さも知っている。 しかし、さっきの魔法使いはデンジャーすぎる。 「……任せてくれ。何があろうと俺が守り抜く。俺の、命にかえてもな」 部屋の隅にいるのび太とドラえもんを見ながら、劉鳳は言った。 だが、その声はどこか空ろで弱弱しかった。 セラスは自分の眉間に皺がよるのを感じた。 「劉鳳君、大丈夫?」 「……アルターなら発動可能だ……。君達が戻ってくる時間くらいは稼いでみせる」 「そう……。なら、いいんだけどさ」 セラスの眉間の皺は取れなかった。寧ろ、深まってすらいた。 (『時間くらいは』って……。出会った頃と違いすぎでしょ!?) あの自信に満ち、己のやることに絶対の確信を持っているように見えた彼は、一体何処へ消えたのか? (そりゃぁ、例のことがショックだったってのは分かるけどさぁ……) 劉鳳とセラスは、水銀燈と凛が二人で消えた後、ドラえもんを呼んで、峰不二子が起こした騒動についての話を聞いたのである。 その最悪の結末について、劉鳳は初め信じたくないという風だったが、美女と呼んでもいい女が中年男性に化けたと聞いてがっくりと肩を落とした。 そのまま、劉鳳がただうな垂れるばかりだったことが、セラスには凄まじくひっかかる。 (断罪する! って喚いて飛び出していくと思ったんだけどなぁ……) それが杞憂に終わったのは喜ばしいが、あまりにも元気がなさすぎる。 きっと、全ての行動が裏目裏目に出ているように感じ、自信を喪失しているのだろう。 力づけてやりたいが、今は時間が無い。 「慌てないで、セラスさん。物音はあれ一つだけで、その後が無い。罠の可能性だってあるわ」 「それは……。わかってるけどさぁ」 「そうよぉ。イライラしちゃいけないわぁ。ちゃんと乳酸菌とってるぅ?」 セラスはじろりと声の主を睨みつけた。 「な、なぁにぃ? 私の顔に何かついてるぅ?」 険しいセラスの視線に驚いたように、人形――水銀燈というそうだ――が言う。 「べつに……」 ぷいっとセラスは顔をそらした。 (なんっか気に入らないのよね……。この人形) どうも吸血鬼のカンが、騒ぐのだ。この人形は、碌なヤツではないと。 それに、このしゃべり方、仕草。 (似てんのよねぇ。さっき襲ってきた、あの女に) 大きさと顔からして、そんなはずはないのは分かっている。 ――だが、どうにもひっかかる セラスが短い金髪を乱暴にかき回したその時。 「なにもたもたしてんのよ!?」 怒声を上げながら黒髪の少女が蹴り砕かんばかりの勢いでドアを蹴り開け、部屋に飛び込んできた。 「あたしの団員と、あんた達の仲間が襲われてるかもしれないのよ!?」 「あのね……。ハルヒちゃん」 「っるさいわねっ! 気安くさわんないでよ!!」 セラスの手をハルヒは振り払った。 「今行こうとしてたところよ……」 ため息をついて凛は言った。 「……あなたと違って私たちは命を張るのよ。だから慎重に行動しなくちゃならない。あんた、それくらいのことが分からないの?」 その物言いと声音に険が含有していた事に関して、凛を責めることはできないだろう。 一貫して脱出を模索してきたにも関わらず、優勝狙いの殺人者扱いされ、いい加減凛も頭に来ていたのである。 (まったく……。カートリッジ一つ使って治療してあげたっていうのに! なに? この態度は) 赤の他人同然の関係にもかかわらず回復魔法を施してやったのに、感謝の言葉一つ発せずにこの態度。 恩知らずにも程がある、というのが凛の偽らざる感想であった。 もっとも、ハルヒは、自分達の命を狙ったことがある人間と同じ空間にいるだけでも最大限の譲歩だと思っていたのだが、それは凛の知る所ではない。 ハルヒを押しのけて歩き出す凛に、ハルヒはふんっと鼻を鳴らした。 「どうかしらねえ? 本当に命張る気があるのか怪しいもんだって言ってんのよ!」 「……何ですって?」 凛の剣呑な眼光に怯みもせず、 「一人でも参加者が減れば、優勝するのが楽になるものねえ。分かりやすい発想だわっ!!」 「あんたねぇ! いい加減に――」 「まっ、まあまあ。凛ちゃんもハルヒちゃんも落ち着いて……。ね!? ほらっ……早く行かないと」 殺気に似たものすら漂わせて睨み合う二人の間に、慌ててセラスは割って入った。 「……分かってるわ」 怒りのオーラを発しながら凛は大股で玄関に向かって歩き出し、セラスもそれに続いた。 その後ろ姿を睨むハルヒの目の前に、 「確かにあなたの気持ちも分かるけどねぇ。仕方がないわぁ」 人形が現れた。 一瞬驚いたように目をしばたたかせたハルヒだったが、見る間にその顔は険しくなっていく。 その反応に頓着せず、水銀燈は続けた。 「凛は基本的にメリットのあることしかやらないし、あんまり人を信用しないものぉ……。 だから貴方のお友達を助けに行くのは、あんまり気が進まないんじゃないかしらねぇ」 「そんなもん、見ればわかるわよっ!」 怒りと共にハルヒは吐き捨てた。 「……ていうかなによっ!? あんた。消毒液くさいわよ!?」 何もかも気に入らないといった調子で所かまわず怒りを爆発させるハルヒに、水銀燈は困ったような表情を浮かべてみせる。 「さっき間違えてかぶっちゃったのよぉ。なのに、ルビーがシャワー浴びる時間もくれないから……。 ホント、困ったものだわぁ……。人形使いが荒くて」 「そこまで言うんなら、さっさとあの女と縁を切ればいいじゃない!!」 「それができないのよぉ……」 水銀燈は大げさに肩をすくめて見せた。 「いったん契約しちゃうとねぇ……。使い魔は、ご主人の言うことを聞くしかないのよぉ。主人が契約を解くその日までね」 「人を見る目がなかったあんたが悪いんでしょ!」 「それを言われると返す言葉がないわぁ……」 一言のもとに斬って捨てるハルヒに、水銀燈は苦笑してみせた。 「何してるの!? 水銀燈。早く来なさい!」 「はぁい! ただいまぁ!!」 玄関の方から飛んだ鋭い声に向かって返事をしながら、水銀燈はハルヒに手を振って歩き出す。 その背中に ハルヒの声が飛んだ。 「ま、せいぜい頑張ることね……。辛い年季だっていつか明けるものよ」 「ありがとぉう」 ハルヒの声音がわずかに和らいでいたことに、水銀燈はほくそ笑む。 (ちょろいもんねぇ……。これでまた一人、凛の敵が作れたわぁ……) スピードを上げるために飛翔して水銀燈は半壊した正面玄関へと向かう。 「何を話してたの?」 追いついた水銀燈に、トゲトゲしく凛が尋ねてくる。 「あのねぇ……。あんな言い方をしたら、いつまで立っても誤解されたままでしょぉう?」 「いいわよ、別に。ハナから信じようとする気がない人間に何言っても、無駄だもの。 けどまあ、あんたの気遣いには感謝しとくわ……。ありがと」 「どういたしましてぇ……」 本当にチョロイものだと水銀燈は心の中で舌を出した。 しかし、水銀燈は勘違いをしていた。 涼宮ハルヒが信用しているのは、『人間の形をした水銀燈』であって、人形の姿をした水銀燈ではない。 ハルヒにとって水銀燈は、凛と同じく自分達を襲撃した明確な『敵』だったのである。 先ほどの会話も、ハルヒが水銀燈に警戒心をもたれないように自制しただけであって、ハルヒは水銀燈のことなどまったく信用していない。 それどころか、さらに怒りを強めてすらいた。 (最っ低ね。自分の親玉がいないところで、悪口言うなんて。下をみれば上が分かるっていうけどまさにその通りだわ) ――やはり二人とも全く信用ならない。 それがハルヒの出した結論だった。 「ハルヒちゃん……。そろそろ部屋に入った方が……」 ドラえもんが、部屋から顔を出して言ってくるが、 「うっさいわね! ほっといてよ!」 ハルヒの拒絶が聞こえたのか、劉鳳も部屋から姿を現した。 「そうはいかない。まとまっていてくれなければ、今の俺では守れない。俺は、君達を守らなくてはならない」 ハルヒは、劉鳳の全身をじろじろと眺めた後、 「結構よ! あんた、なんか頼りにならなさそうだし」 そう言い放った。 「なっ……」 思わず劉鳳は絶句する。 普段の劉鳳なら、何も言わずに襟首を引っつかんで部屋の中に放り込んでいただろう。 だが、今の劉鳳にはできなかった。 みすみす多くの人間を死なせ、殺人者を病院に送り込んで犠牲を増やし、守りたいと思った少年に逆に庇われ、命をつないでいる自分。 ――俺の心の友は、もっと、もっと優しいんだぞ リヤカーの上で誇らしげに言っていた武。 あんなに会いたがっていた友達と会わせてやることができなかった。 ――武。お前は俺が必ず守ってやる。 自分は確かに、武にそう言ったというのに。 守るどころか守られ、おめおめと生き延びている。 (そんな俺に……。何ができる? 何が守れる?) 劉鳳はただ、立ち尽くすことしかできなかった。 「ねえっ! あんた何か便利な道具持ってないの? 物によっては、私の着せ替えカメラと交換してあげるわよ?」 立ち尽くす劉鳳を無視し、ハルヒはドラえもんと交渉を始める。 着せ替えカメラによる攻撃が、荒事の熟練者には効果が薄いと分かった以上、 『クローンリキッドごくう』の他に何か決め手が欲しいと思ったのである。 だが、ハルヒの提案にドラえもんは一つため息をつくと、 「ボクの持ち物は、竹刀と変なディスクだけだよ……。他のはみんな取られちゃったんだ」 無念そうに言った。 「そうだったわね……。ったく、あの年増女!」 額に手をやり、ハルヒは腹立たしそうに悪態をついた。 あの女のせいで、ヤマトとアルルゥという二人の特別団員と別れ別れになってしまった。 (本当に、手が足りないわ……。アルちゃんを早く見つけてあげないといけないし) あの無邪気なアルルゥが、悪人と壮絶バトルを繰り広げて、もしくは機転を利かして逃げ延びる、といった光景は流石に想像できない。 となるとやはり、ヤマトの方は、ドラえもん達の味方に期待するしかない。 聞けば超能力者だというから、アテにしていいだろう。 それにヤマトはあれでなかなか度胸もあるし、機転も利く。 あの襲ってきた金髪の騎士から逃げ切れたのは、ヤマトの力によるところも大きいのだ。 易々とやられたりはしまい。 もっとも、そうはいっても心配なものは心配なのだが……。 (無事でいなさいよ! ヤマト) とにかく、まずはこちらへ向かってくるキョンとその仲間と合流すべきだ。 セラス達は信用ならないが、キョンの仲間達なら信用できる。 そのためにも、凛が妙なまねをしないか見張る必要があるとハルヒは考えていた。 「とにかく……。危ないから、部屋に入っていたほうがいいよ。ハルヒちゃん!」 「そうはいかないわ! あたしの目の届かない所であの女が――」 「そんなに僕達のことが信用できないなら、勝手にしなよっ!!」 突如、部屋の中から大声が響いた。 「の、のび太くん?」 「治療してくれた凛お姉さんに酷いこと言って、今度は劉鳳さんにまで……。酷すぎるよっ!!」 膝を抱えてうずくまりながら、のび太は絶叫した。 誰も彼も死んでいく。 友達が、信頼した人が、みんな死んでいく。 あの強かったジャイアンまで、無残な死体になっていた。 これ以上ないほど傷つき、ささくれ立ったのび太の心は悲鳴を上げ、安らぎを欲していた。 今ののび太にとって、仲間を罵る言葉を吐き散らすハルヒは、耐え難いほど目障りな存在だった。 気まずい沈黙が満ち、 「……勝手にするわよ」 言い残してハルヒは何処かに消え、劉鳳は空ろな目で力なくベッドに腰を下ろし、のび太は部屋の隅で膝小僧を抱えている。 (どうしてこうなっちゃたんだろう……) ドラえもんは悲しげにため息をつくばかりだった。 ■ 病院にある程度近づいたところで足を止め、キョン達は周囲を警戒していた。 ――もう何分こうしているだろう? 数時間にも感じられる。 キョンの背中を嫌な汗が流れ落ちた。心臓の音がやたらとうるさい。 トウカが刀に手をやって辺りを睨み、魅音が銃を構えている。 (あれだけ盛大に響いちまったからな……) 誰に気づかれてもおかしくない。 加えて、悪い予感がどうも的中しそうだということが、三人の心に不安の黒雲を沸き立たせていた。 (誰も病院から出てこないってことは……。やっぱり何かあったのか!?) その元凶がそこらに潜んでいるかもしれないと思うと、自然と目があちこちを行き来する。 キョンはごくりと唾を飲み込んだ。 「……すまぬ。キョン殿、魅音殿……。どうして某はこう浅薄で、やることが雑なのだ……。本当に、すまぬ」 トウカの声には深い後悔と苦渋の響きがあった。 キョンが何か言おうと口を開きかけたその時、 「謝るのは私たちのほうだよっ」 声量を抑えてはいたが、はっきりとした声音で魅音が言った。 「私たち、ホテルを出てからずっとトウカさんにオンブ抱っこしてた……。 トウカさんだって、大切な人をなくして、悲しくて、疲れてるのに。 自分ばっかり辛そうな顔してさ……。ごめんね、トウカさん」 まったくだ、とキョンは心の中で自嘲を漏らした。 トウカは一回目の放送を聞いた後、本気で腹を切ろうとしていた。 ――そこまで思いつめてた人が、すぐに立ち直れるとでも思ったのかよ? キョンはケンカ手袋で自分を殴りたい衝動に駆られた。 (トウカさんだって、死ぬほど傷ついてるに決まってるだろう!) それなのに沈みがちの自分達を励まし、労わってくれた。勇気付け続けてくれた。 魅音はともかく、どう考えても戦力になりそうもない自分を守ろうと、ずっと気を張りすぎるほど張って、ここまで連れてきてくれた。 張り詰めすぎていた物が、病院が見えたことでふと切れてしまったからといって、それを責める事などなぜできようか? 「……園崎の言う通りですよ。ずっと一人で頑張らせちゃってすいません、本当に」 「キョン殿……。魅音殿……」 トウカの瞳が大きくなった。 「そうそう! だからさっ、トウカさんだって辛かったら私やキョンに言ってよ。私たちは……仲間なんだからさっ!」 「だな!」 ややあって、 「本当に……。本当に某は、よい仲間を、もった……」 一言一言噛み締めるようにトウカが言い、こんな状況だというのに、キョンは胸が熱くなるのを感じた。 それは魅音も同じだったようで、グスっと鼻をすする音がした。 「……でもまぁ、確かにちょっとうっかりさんだなって、おじさん思ったかな」 「すいません、トウカさん。俺もです」 冗談めかした二人物言いに、トウカが微かに笑みを唇の上に上らせ、 「あいすまぬ……。某としたことが」 いつものフレーズを口にした丁度その時、病院の中から人影が走り出た。 「お~い!! トウカさ~ん! 魅音ちゃ~ん!! キョンく~ん!!」 聞こえてきた声に、三人は安堵の表情を浮かべたのだった。 *時系列順で読む Back:[[過去の罪は長く尾を引く]] Next:[[ひめられたもの(2)]] *投下順で読む Back:[[『転』]] Next:[[ひめられたもの(2)]] |251:[[過去の罪は長く尾を引く]]|遠坂凛|253:[[ひめられたもの(2)]]| |251:[[過去の罪は長く尾を引く]]|水銀燈|253:[[ひめられたもの(2)]]| |251:[[過去の罪は長く尾を引く]]|ドラえもん|253:[[ひめられたもの(2)]]| |251:[[過去の罪は長く尾を引く]]|野比のび太|253:[[ひめられたもの(2)]]| |251:[[過去の罪は長く尾を引く]]|劉鳳|253:[[ひめられたもの(2)]]| |251:[[過去の罪は長く尾を引く]]|セラス・ヴィクトリア|253:[[ひめられたもの(2)]]| |240:[[岡島緑郎の詰合]]|ロック|253:[[ひめられたもの(2)]]| |243:[[共有]]|キョン|253:[[ひめられたもの(2)]]| |243:[[共有]]|園崎魅音|253:[[ひめられたもの(2)]]| |251:[[過去の罪は長く尾を引く]]|涼宮ハルヒ|253:[[ひめられたもの(2)]]| |240:[[岡島緑郎の詰合]]|野原しんのすけ|253:[[ひめられたもの(2)]]| |240:[[岡島緑郎の詰合]]|北条沙都子|253:[[ひめられたもの(2)]]| |243:[[共有]]|トウカ|253:[[ひめられたもの(2)]]| |240:[[岡島緑郎の詰合]]|エルルゥ|253:[[ひめられたもの(2)]]|