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運命に反逆する―――――――!! - (2022/02/12 (土) 21:15:35) のソース
*運命に反逆する―――――――!! ◆fsB2AEW3Cw 映画館を出たカズマはこれから自分が追う影のことを考えていた。 (あいつの逃走ルートで山は無い。 トラックがねえのに山まで行くのは労力の無駄だ。ああゆう狡い野郎が無駄を好むはずもねえ) 眼の前で死んだ二人の仇を討つためにも、便利屋として動いてた経験を働かせている。 こんなのは前ならいつも隣にいた相方の仕事だったな、と自嘲気味に考える彼。 病院で逃げられ、道路でも逃げられた原因。 それは運という言葉だけでは片付けられない。 自分のトロさを突く奴の狡猾さ。さっきはそれを見せ付けられた。 (橋も無い。 待ち伏せされてたら逃げ場もねえし、あいつにとっちゃリスクが高すぎる場所だ。これで北と南西もない。 だとするとあいつが行ったのは限定された南方面。 ぶっ壊された遊園地には変人ぐらいしか出ねぇだろうから、ある意味危ねえ、これも無し) 誘拐犯の行動を考えると、見た中では殆どが自分の命を優先していた。 病院でヤマトや女を盾にしていたときも、道路で躊躇無くトラックやヤマトを切り捨てカズマを撒いたときも。 となると消去法で考えていけば少々苦しいが、納得できる理由はカズマにも思いつく。 「考えられるのは南東…!」 カズマは珍しく頭を使い相手の進路を絞り、市街地を通り森へ入り南方へと移動し始めた。 その足取りは一歩一歩重い。疲れが手伝って体が思うように動かないからだ。 まるで服を着て泥沼を泳がされているような感覚、それは彼が嫌う束縛という2文字。 だというのにたぎる闘志が、束縛が誘う眠りを許さない地獄。 それでも地獄を歩き続けD-4の小川まで移動したとき、頭上の闇は薄まっていた。 が、意思とは反しここにきて、体が前のめりに倒れこんでしまう。 映画館での僅かな休憩で隠れていた疲れが溢れ出したのか、今更レヴィによる攻撃の影響か。それとも小川を見た瞬間気が緩んだのか。 いずれにせよどれだけ命令を下しても足は震え、自由が利くのは両腕だけだ。 (…情けねえ) 動かない体に右の拳で鞭を入れようとした矢先、放送が始まった。 赤子のようにわめき散らし、狂った仮面は消えた。 カズマは忌々しい放送を聴き、理解した。 豚で、恩着せがましかったが、憎めないぶりぶりざえもん。 顔も声も違うのに、どこか自分の家族に似た少女。アルルゥ。 短い付き合いだったが知った一人と一匹が 鶴屋のように、君島のように、兄貴のように、なのはのように、 ――――――かなみのように 俺の知らない所で死んじまった。 結局、放送前に考えてたギガゾンビをぶちのめすって話も、誘拐犯のお陰で出鼻を挫かれちまってたけどよ……… 「だけどよ…今はそんなことでなよってる暇はねぇーんだよっ!!」 それでもカズマは折れず、瞳は一層輝きを増し、魂を燃やし続ける。 ギガゾンビが最も嫌悪するその瞳で、夢物語を掴み取るまでは。 「刻んでやるよ!ぶりぶりざえもん、アルルゥ!!」 激情に身を任せ吼えた。 天を仰げば薄い黒は消え、青のみが広がっていた。 次に彼が考えたのは病院で何かが起きていること。 思い出すのは鶴屋の死。 もしかしたらあの変装ヤローは俺を撒いたことを確認して、再び病院に戻ったのではないか? いや病院とは行かないまでも、怪我した奴を狩ってるか、どっかの断罪馬鹿にありもしねぇ嘘を吹き込んでいるんじゃねぇのか…! (劉鳳…!) 脳裏に浮かぶのは絶影でドラえもんを、のび太を、そしてアルルゥを痛めつける劉鳳の姿。 湧き上がってくるものはあくまで仮定の、躍らされている劉鳳に対する怒り。しかしカズマにとっては充分説得力のあるイメージだ。 夢でも見たネイティブアルター狩りの時のように、こちらの事情を理解しようともせずに狩る宿敵の姿を想像するのは容易だった。 「はっ…だったら尚更こんな所で呑気に寝てる場合じゃねえな…」 気がつけば足の震えは治まっていた。 この放送が彼に与えたものは定かではない。確かなのは先刻取り戻した本来の反骨心を揺ぎ無い形にしたこと。 そしてカズマは立ち上がる。何かが起きた病院へ戻るために。 病院でドラえもん達と自分の帰りを待っていたアルルゥ。 死んだ。 太一の怪我を治すために動いていたぶりぶりざえもん。 死んだ。 死の運命とは強く生きた彼らにそうであったように、皆が共有するもの。 それは俺にもあてはまるのか? カズマは急ぐ中で最後に自分に問いかけ、すぐに否定する。 俺は認めない。 逃れられない死の運命。だが逃げるなんて柄にも無い。逃げられないなら真っ向からぶつかって破壊するまでと考えているからこそ、足掻き抗い続ける。 「証明したいんじゃねぇ…するんだよ!」 もう減速はしない。余計なタイムロスは拳を弱め軽くする。 アクセル全快ブレーキ全壊。 クーガーでさえも舌を巻くような速さで、ありったけの力を込めたこの拳を ギガゾンビに 邪魔する奴に 死を掲示する運命に叩きつけてやる ロストグラウンドでは、邪魔をする奴はだれかれ構わずぶちのめした。 それはこの舞台でも変わらず、運命だろうと例外ではない。 斯くして彼は運命に喧嘩を売り、病院へ向かう。 刻んだ名前、想いによって創られた一本道。 青年は現実を踏みしめ、果てしない未来へと手を伸ばす その果てに待っているのは運命か、それとも――― 【D-4/2日目/午前】 【カズマ@スクライド】 [状態]:中程度の疲労、全身に重度の負傷(一部処置済)、西瓜臭い [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ! 1:病院の近くで変装ヤローを見つけ次第ぶっ飛ばす! 2:ドラえもんやのび太とは一旦合流。 3:気にいらねぇ奴はぶっ飛ばす! 4:レヴィにはいずれ借りを返す! [備考] いろいろあったのでグリフィスのことは覚えていません。 何も考える必要は無い 俺がやるか、死ぬかだ。 *時系列順で読む Back:[[tribute]] Next:[[Fate/hell sing]] *投下順で読む Back:[[tribute]] Next:[[「ゲインとゲイナー」(前編)]] |248:[[「選んだら進め。進み続けろ」]]|カズマ|270:[[FATE]]|