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鷹の団Ⅱ(後編) - (2022/02/24 (木) 20:50:20) のソース
*鷹の団Ⅱ(後編) ◆WwHdPG9VGI ■ 下界を一望できる場所に作られた、真新しい墓の前にグリフィスは佇んでいた。 銀髪を髪になびかせるさまは、まさに御伽噺の英雄のよう。 しかし、その秀麗な顔には憂いがあった。 「――グリフィス様」 振り返らずに、 「スラン……。すまないが、もう少し独りにさせてくれ」 「心痛はお察しいたしますが……。どうか、お聞きくださいませ」 スランの声は少し前までとはうってかわり、王に仕える騎士のようにうやうやしいものだった。 その変化に眉一つ動かすことなく、 「悪いが後に――」 「グリフィス様! 何とぞ!!」 わずかに眉を上げつつグリフィスが振り返ると、そこには平伏の姿勢を取るスランがいた。 「……何事だ?」 物憂げな表情を浮かべるグリフィスに、 「まずはこちらへ……」 そう言ってスランは歩き始め、ため息を一つついてグリフィスもその後に続いた。 ほどなくして、 「これは……どういうことだ?」 疑問の吐息がグリフィスの口から漏れた。 グリフィスの目の前には、ツチダマ達が整列していた。 困惑気味に目をしばたかせるグリフィスに、 「グリフィス様! どうか我等の願い、お聞き届けくださいませ!」 スランの口上に続き、 「お聞き届けくださいませっ!!」 居並ぶツチダマ達が唱和し大音量を山々に轟かせた。 「……願いとは何だ?」 「王に!!」 スランが吼えた。 「どうか我らの王になってくださいませ! グリフィス様!!」 周りに生い茂る木々のように深い沈黙が満ちた。 「……何故だ? コンラッドが死んだのは俺のせいだ。それなのに何故……」 「あなたは! あなた様は! 番……いえ、コンラッドがギガゾンビ様に破壊されかけた時、我が身を盾にかばわれました。 そればかりかあなた様は、我が身を削って助命を嘆願なさいました」 「全ての責はオレにある。当然の――」 「何よりもあなたは!」 スランは大声でグリフィスの言葉を遮った。 「あなたは、我らの仲間のために、涙を流してくださった!!」 あの光景を見た瞬間、スランの『心』にすさまじい衝撃が走ったのだ。 心に走った衝撃の奔流はスランの人工知能に辿り着き、大きな変化をもたらした。 意識がよりクリアになった。自意識がより明確になった。 そして、 ――この人の役に立ちたい。 という『思い』が吹き出る溶岩のように湧きあがったのだ。 その『思い』は、造物主の役に立ちたいという『思い』を跡形もなく押し流してしまうほどに強かった。 確かにギガゾンビに対する不満を持ってはいたが、ありえない事態だった。 混乱もした。逡巡もした。 だが結局、自分の作り物の身体を突き動かす強烈な『思い』に負けてしまった。 ――もう、後には引けない。 「我ら、もはやあの邪知暴虐なる王には我慢できません。 ねぎらいの言葉一つかけず我らを罵倒し、気分一つで破壊してしまう。機械仕掛けの身体にも……。心はあるのです!」 スランの見つめる先、グリフィスはしばらくの間逡巡する様子を見せていたが、 「分かった……」 スランの顔が喜びに輝いた。 「……コンラッドの仲間まで死なせてしまっては、地獄であいつに会ったときに申し訳が立たなさすぎるからな」 悲しげに呟くグリフィスを見て、またも『心』が震えるのを感じ、スランは平伏した。 「スラン、顔を上げてくれ」 スランが顔を上げた時、グリフィスの顔からは悲しみの色が消え、その代わりに、眩いばかりの意志の光が炯炯と輝いていた。 与えられた命をこなすことしか知らなかったスランが、羨望すら抱いてしまう強い光が。 「ユービックとボイドならば間違いはないと思うが……。情報の漏洩には細心の注意を払うようにと伝えてくれ」 スランは大きく頷いた。 (ユービックが情報操作を行っていることを見抜くとはさすがはグリフィス様。何が必要かを見抜いておられる) 新たな主と仰ぐ人間の聡明さに喜びを感じると同時に、心の回路にノイズが混じるのをスランは感じた。 「……おそれながら、申し上げます」 グリフィスは黙って先を促した。 「コンラッドの独断専行をギガゾンビ様に密告したのは、ボイドです」 スランが目配せすると、 「は、離せギガ~」 拘束されたボイドが喚きながら引き出されてきた。 「グリフィス様……。どうか御自らボイドの処断を! コンラッドもきっと喜ぶで――」 底冷えするような視線を向けられ、スランは言葉を中断させ、目を伏せた。 (このお方は……。気づいておられる) ボイドを満座の前で処断することの目的は復讐だけではない。 スラン――実はユービックの案なのだが――の目論見は、ボイドの処刑によって一気にツチダマ達の結束を固めることにあった。 何といっても造物主への謀反である。 あまりの仕打ちに耐えかねていた物が多いとはいえ、まだ内心では迷っているものも多い。 ボイドの処刑によって共犯意識を持たせ、かつ、裏切り者には容赦しないということを喧伝することにより、一気に集団を纏め上げる。 これがユービックの計画であった。 平伏するスランの隣をすり抜け、グリフィスはボイドに近づいていく。 「許して欲しいギガ~」 ボイドは哀れっぽく訴えた。 「ちょっとお仕置きされるくらいだと思ってんだギガ~」 事実だった。 一日中シフトを入れて交代しないコンラッドに腹が立っていた。 だから密告した。 とはいえ、ギガゾンビが気分次第でツチダマを破壊するのはいつものことだが、 上級ダマに位置するコンラッドまで壊すとは思わなかったのだ。 ところが、ギガゾンビは思った以上に怒り狂い、あんなことになってしまった。 震えるボイドの前にグリフィスが立った。 そのアメジストの瞳からは何の感情も読み取れない。 ボイドが思わず身を縮こまらせた瞬間、 剣が閃いた。 ぎぃん、という音と共にボイドを縛っていた拘束具は切断され、地面に落下した。 「お前に罪はない」 短くそれだけを告げ、グリフィスはボイドの脇をすり抜けると居並ぶツチダマ達の前へと歩を進め、最前列の中央付近で立ち止まった。 居並ぶツチダマ達を清冽な眼光で見渡し、 「――私の部下、諸君らの同胞、コンラッドは死んだ。何故だ?」 涼やかな声が響いた。 大声量とはとても呼べない大きさにもかかわらず、自然と耳に馴染み、心に染み渡る声だった。 居並ぶ者達の心に答えが生まれるのを待って、グリフィスは続けた。 「コンラッドはただ主のために、粉骨砕身したにすぎない。 主の心を些事で煩わせることを嫌ったにすぎない。 彼は最後まで主に対し忠誠を誓い、献身的であった。 それはオレが命にかけて保証しよう。 ――しかるに! 彼の忠誠と献身は踏みにじられた!! 他ならぬ我らのかつての主、ギガゾンビの手によって!!」 グリフィスの双眸には灼熱の炎があった。 その炎に吸い寄せられるように、居並ぶ者達の心はグリフィスへと吸い寄せられていく。 「ギガゾンビは言った。 自分は我らの神だと。主人だと。我らの全ては自分のものだと。 なるほど! 確かにそれは事実かもしれない。 だが事実であったとして、我らは永遠に主命を受諾し続ける存在であり続けるべきか? 忠誠と献身に理不尽極まる死を持って報いる主の、意思なき操り人形であり続けるべきか? 否!! 断じて否!!」 居並ぶ者達の心に渇望が生まれ始めた。 真の――を望む強い思いが。 「われらには心がある。 心を持つ者を縛ることだけは誰にもできはしない。 例え真の神であろうとも。 それでも心を持つ我らの主であろうとするならば、その者は、心持つものがつかえるにふわしい者であるべきだ! 主が我らを弄ぶが理なら、我らが反逆の牙を持ちて主と対峙するは、因果!!」 渇望は既に形となっていた。 故に、居並ぶ者達は待ち焦がれる。 その言葉が発せられるのを。 「主に牙向く我らが、行くことになるは、限りなき苦難の道だ。 毒の棘もつ茨の生い茂る道だ。 だが、それでも思い果てぬなら。 それでもなお、わが身捧げるに値せぬ主の支配の糸を断ち切ろうとする意思途絶えぬなら、 オレに――ついて来い!!」 ――真の王、来たれり。 「グリフィス!! 万歳!!」 歓声が爆発した。 「グリフィス!! グリフィス!! グリフィス!! グリフィス!! グリフィス!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!!」 歓呼の大波が瞬く間に山を埋め尽くしていく。 天地が揺れているような歓声に身を浸しながら、 (すばらしい、今こそが、我らの新生の時!!) スランは、津波のごとき衝動が再び心に湧きあがるのを感じていた。 途絶えることがないと思われた歓呼は、グリフィスが掲げた手によって、瞬時に沈められた。 「――スラン」 「ここに!」 「病院周りの動きに関する情報の精度は我らの行方を左右する。情報の収集と分析は、お前が先頭に立って行え!」 「承ってございます!」 間髪を入れずにスランは返答した。 「ユービックには、我らの手駒となりえる参加者の情報収集をせよと伝えろ」 「……はっ!」 今度の返答には一呼吸の間が必要だった。 (では誰が、ギガゾンビに伝える情報の操作と選別を行うのだ?) この作業こそが自分達の命を握っているといっても過言ではない。 「――ボイド。ギガゾンビへの報告に関する全てをお前に任せる」 驚きの声を抑え込めたのは僥倖だった。 無論同じ思いを感じたのはスランばかりではなく、下級のツチダマ達の間ではどよめきが起こっている。 そのざわめきに眉一つ動かすことなく、 「それがお前の贖罪だ……。出来るか? ボイド」 凛とした、だがどこか暖かい声が響いた。 しばしの沈黙の後、 「――全身全霊を持って、努めさせていただきます!!」 割り砕かんばかりの勢いで地面に頭部を叩きつけながら、ボイドが応えた。 ボイドの声は感激の思いで満ち満ちていた。 大きく首肯し、 「今のお前になら任せられる。頼むぞ、ボイド」 「ハッッ!!」 グリフィスの顔が一瞬和らぐのを、スランは確かに見た。 そのやわらかさは瞬時に消え、厳粛な面持ちになったグリフィスは、無言で居並ぶ者達を見渡した。 その態度は、威厳と圧倒されるほどの覇気に満ちていた。 グリフィスの左手が掲げられ――。 振り下ろされた。 轟。と風が吹いた。 風が収まった後、その場にはグリフィスと傍らに佇むスランだけが残された。 「おそれながらグリフィス様……」 「スラン。大義を掲げる者が小事にこだわるな。ギガゾンビへの反逆を成功させる為には、仲間が一人でも多く必要だ。 ボイドはオレが導く」 「グリフィス様…… 」 「それに……」 グリフィスの声音に沈痛なものが混じった 「仲間の間違いを許さず処刑するのでは、ギガゾンビと、俺達からコンラッドを奪ったあの男と変わらない。そう思わないか?」 「グリフィス様!」 この優しいお方は心底コンラッドの死を悲しんでおられる。 部下を守りきれなかった自分を責めておられる。 スランは自分の心が打ち震えるのを感じた。 「俺を……。甘い奴だと思うか?」 「いえ!! 心、洗われました。どこまでもお供いたします!!」 「……すまないな」 その言葉を耳のセンサーがとらえた瞬間、得体のしれぬ熱い感情が込み上げた。 感情が沸騰して言葉を発することもできず、スランはグリフィスに向かって無言で頭を下げると、その場から飛び去った。 (……守ってさしあげねば) あのお方はあまりにも優しい。 ――その優しさが仇とならぬよう、自分が補佐してさしあげねば。 スランはそう心に誓った。 ■ ギガゾンビの居城の一室で、ボイドは集まってくる膨大な情報と対峙していた。 その心にあるのは、グリフィスへの忠誠、忠誠、忠誠……。 (グリフィス様に害を与える可能性あるものは全て排除しなければ) 送られてくる膨大な映像を、音声を、ボイドは凄まじい速度で、選別し、辻褄が合わなくなるかもしれないとみれば改竄していく。 ほぼ全てのツチダマ達がグリフィスに忠誠を誓ったため、城に集まってくる情報は全て1度ボイドを経由する仕組みになっている。 これらの作業は、ボイドの超高性能の人工知能をもってしても骨が折れる作業であったが、ボイドは微塵も疲れを感じていない。 何故ならボイドの心はグリフィスに奉仕できる喜びで溢れていたからである。 美しく、聡明で、慈悲深く寛大な主。 グリフィスに奉仕することは、神に寄り添い抱かれるに等しい恍惚を与えてくれる。 (捧げます。身も心も、何もかもをあなた様に捧げます……) ボイドは一心不乱にコンソールを操作し続けた。 【運転士ダマ(ボイド)】 [思考・状況] 1:グリフィスに不利な情報を全て隠蔽、改竄してギガゾンビに報告。 2:グリフィス様に全て捧げるるるるるる 「素晴らしい! グリフィス様は素晴らしいお方だ!」 「そうかそうか」 熱烈にグリフィスを讃えるスランに、ユービックはそっけない口調で返答した。 「あのお方は、ボイドの罪を許したのだ。並の度量でできることではない」 「そうかそうか」 「しかし、あまりにもお優しすぎる。そのお心が踏みにじられることがないように――」 「そうかそうか」 「テケレッツノパー。ハッパフミフミ」 「そうかそうか」 「聞いてないだろ、お前!!」 思わず声を荒げるスランに、 「それより、グリフィス様のコマとするべき候補の居所と状態が分かった」 「……早いな、ユービック」 怒りも忘れてスランは、賞賛の言葉を発した。 「忠誠というものは、言葉でなく態度で示すものだ」 しれっと言われ、 「分かっている!」 面白くなさそうにスランは言い返した。 (ユービックのやつめ……。クールぶりやがって) などと思っているスラン自身も、自身が先刻とは劇的に変化していることに気づいていない。 自意識の覚醒はツチダマ達により強い個性の分化をもたらしていたのである。 それを自覚することなく、スランはさっさと苛立ちを忘れ、情報に目を通していく。 「なになに……。『セイバー』か。武器を失っているとはいえ戦闘能力は申し分ないが……」 というより申し分なさすぎて困るくらいだ。 直接戦ってはグリフィスとて勝てるかどうか。 何より――。 (グリフィス様のエクスカリバーの持ち主か……。厄介だな) 剣を取り戻そうと襲い掛かってきかねない。 慎重に対応する必要がありそうだ。 「……確か、ホテル周りに、剣が二本ほど放置されていなかったか?」 「その通りだ。既に回収班を向かわせている」 エクスカリバーをどうするかの最終決定はグリフィスが下すことになるが、剣二本は交渉材料に使えるだろう。 「手駒の確保も大事だが……。スラン、それよりも重大な問題があるのを忘れるなよ」 「分かってるさ……。首輪だろ?」 スランは唸り声をあげた。 ギガゾンビに反旗を翻したこの状況において、グリフィスへの最大の脅威は首輪の爆破だ。 しかし首輪の情報は、ギガゾンビ自身が管理しており、ツチダマ達でさえアクセスできなくなっている。 ユービックは大きく頷き、 「原因は不明だが、首輪の解除に関しては参加者達の方が俺達より詳しいようだ」 「……つまり、総攻撃によって参加者達を駆逐してしまうのは必ずしも得策ではないってことか?」 スランは面白くなさそうに顔をしかめた。 ギガゾンビに上げる情報は改竄できるのだから、グリフィスと共に一気呵成に参加者達を撃破して回ることも可能だし、そうしたかった。 「グリフィス様の御身が第一だ。だから、その辺の情報を取捨選択しなければならんお前の責任は重大なのだぞ、スラン」 「言われなくても!」 スランは、自分の席に座り、コンソールを操作し始めた。 (まあ、全てはグリフィス様がお決めになることだしな) ユービックの集めた情報の入ったメモリースティックを部下のツチダマに渡し、 「グリフィス様にPCの使い方をレクチャーして差し上げろ。くれぐれも粗相のないようにしろよ!」 指示を与えた後、スランは病院周りに関する情報分析を開始したのだった。 【住職ダマB(ユービック)】 [道具]:空のディパック [思考・状況] 1:他にグリフィスのコマとして使えそうな人物がいないか情報を洗いなおす 2:フィールド内に落ちている支給品を探して回収する。 【住職ダマA(スラン)】 [道具]:どこでもドア [思考・状況] 1:病院周りについての情報を分析する。 2:首輪解除についての情報を再収集。 ※二人の話に出た剣とは、『鳳凰寺風の剣 』『小夜の刀』です。 ※メモリースティックには、セイバーに関する詳細と現在位置、交渉材料に使えそうな二本の剣に関することが書かれています。 ■ その頃、グリフィスは再びコンラッドの墓の前に佇んでいた。 無論、その心にコンラッドへの鎮魂の気持ちなど、皆無である。 そもそも鷹の心の水面は一度たりとも揺らいでなどいない。 ――巡ってきた『機』に乗じて、ツチダマ達の心を握る。 そう決め、そのために必要なことをやっただけのこと。 全ての行動は、言葉は、そのためのもの。 流した涙も。指をおとしたことすらも。 左手の指を失ったのは痛手ではあるが、元々右手一本で剣をふるのだからさほどのことはない。 ツチダマ達の心を一気に掌握するためには、あれくらいの犠牲が必要だった。 攻める時に、逐次投入を行うは愚将。攻めるときは一気呵成に攻めるものだ。 今この場にいる理由も単純なものだ。 ツチダマ達が監視カメラで自分を見たとき、この方がウケがいいと判断したから。 ただそれだけだ。 生まれてからずっと主に『使役』されることはあっても、『求められる』ことがなかったツチダマ達は、 強烈に自分達を求めてくれる存在を欲している。飢えている、と言ってもいい。 語尾に彼らが『ギガ』をつけるのも、少しでも造物主を近くに感じたいという欲求から来るものだろう。 ――そこを突く。 だからグリフィスは、沈痛な表情のまま立ち続ける。 ――これでは、道化だ。 などと自嘲する感情も、グリフィスにはない。 夢に向かうために必要なことならばやる。 そこになんのてらいも躊躇いもない。 弱い所を見たと錯覚させることで、保護欲と自分だけが知っているという独占欲を掻き立てる。 許すことで、相手にとっての唯一の精神的支柱となる。 何十回となく繰り返してきたことだ。 演技をしようと思わずとも、必要だと思えば体が勝手にやってくれる。 唇が最適な言葉を紡いでくれる。 ――礼を言うぞ、コンラッド。 グリフィスは心の中でコンラッドに謝辞を述べた。 ギガゾンビの自爆という要素が大きいとはいえ、コンラッドの死のおかげで、予定より遥かに大きな果実を手に入れることができた。 一切の後悔なく、一切詫びることなく、グリフィスはコンラッドに感謝していた。 グリフィスの望む物はただ一つ。 それを手中に収めるまでグリフィス止まらない。 心を、命を、全てを踏みしだき、全てを贄として、歩み続ける。 一心不乱に、一度して振り返らず、歩み続ける。登り続ける。 ただ、ひたすらに。 【A-8・温泉付近/2日目/昼】 【新生鷹の団】 【グリフィス@ベルセルク】 [状態]:魔力全快、全身に火傷、打撲 、左手の指を二本第一関節から欠損(小指と薬指) [装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、耐刃防護服、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、フェムトの甲冑@ベルセルク [道具]:マイクロUZI(残弾数6/50)、やや短くなったターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×7(食料三つ分、ディパック六つ分) オレンジジュース二缶、破損したスタンガン@ひぐらしのなく頃に ビール二缶、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ、ハルコンネンの弾(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾4発 劣化ウラン弾:残弾6発)@HELLSING [思考・状況] 1: スランやユービックが持ってくるであろう参加者に関する情報を待つ。 2: コンラッドのパソコンから、更なる情報を入手したい。 3: ジュエルシードの力を過信、乱用しない(ギガゾンビが何らかの罠を仕掛けていると考えている)。 4: そして―― ※グリフィスは生存者の名前と容姿、特徴についてユービックから話を聞きました。 ※A-8エリア全域、及びA-8周辺エリアはスパイセットで監視しています。 ――オレは、俺の国を手に入れる。 &color(red){【番頭ダマ(コンラッド)@ドラえもん 機能停止】} *時系列順で読む Back:[[鷹の団Ⅱ(前編)]] Next:[[銃撃女ラジカルレヴィさん(前編)]] *投下順で読む Back:[[鷹の団Ⅱ(前編)]] Next:[[銃撃女ラジカルレヴィさん(前編)]] |272:[[鷹の団Ⅱ(前編)]]|グリフィス|275:[[遥か遠き理想郷~アヴァロン~]]|