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After1 -Engel- - (2007/07/24 (火) 06:27:55) のソース
*After1 -Engel- ◆2kGkudiwr6 それは、真作を真似て作り出されたフェイク。 宝玉から得た魔力の残滓から読み取り作り出された、所詮は拙い模造品。 魔術やユニゾンデバイスの業などを始め様々な技術と知識を集めてなんとか編み上げ、 それでもやはりかの高名な人形師のモノには及ばぬ贋作。 ――けれど。 数ヶ月間前からまた不機嫌になった少女は、やることもなくなってよく不貞寝するようになった。 いつも何もない病室のベッドに寝ていなくてはならないのだから、当然と言えば当然だ。 ある夜のこと。物音に目を覚ました少女は、窓の外に何かいるのに気付いた。 だが眠気を払った目がしっかりと視界を確保した頃には、それはもういなくなっていた。 ただ残滓のように、赤い色だけがちらりと見えただけ。 いったいなんだったのか、少女は訝しがり……ふとベッドの脇にふと小さな女の子が寝ているのに気付いた。 小さい、といっても幼いという意味ではない。その子は本当に小さいのだ。まるで人形のように。 ……いや、人形のようにではない。その関節などを見れば、本当にソレが人形だと分かった。 だが、ソレは生きている。銀色の髪に、黒い服を着ているソレは。 「……分からない。 気がついたらここにいて、いったい何がなんだか……」 少女の問いに、ソレはそう答えた。その言葉に、少しだけ少女は落胆する。 ソレはかつて彼女が天使だと呼んでいたモノにとてもよく似ていたけれど、結局ソレは違ったのだ。 しかし、一方とふと思った。ソレは、きっとあの天使と同じモノなのだと。 「じゃあきっと、あなたは迷子の天使様なのね」 「てん……し?」 「そう、天使! ね、あなた……名前は?」 「……分からない」 「じゃ、名前をあげる。あなたね、この名前の子にそっくりなのよ。 そう、あなたは今日から……」 少女はかつての天使と同じ名を、口から紡いだ。 少女の天使が望んでいた、笑顔で。 ――そう。こんな贋作でも、その少女に救いを与えるには十分だったのだ。 ――だって、水銀燈が遺した想い出は……めぐの心に残っているのだから。 *投下順に読む Back:[[GAMEOVER(5)]]Next:[[攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX]] *時系列順に読む Back:[[GAMEOVER(5)]]Next:[[攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX]] ----