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 *ギーガ鉄道の夜 ◆v3IQLoJSTY
 
  いや、ほらさ。一口に話って言っても色々あるわけよ。一言二言で終わっちまう話とか 
 話せば長くなる話とか。電車を待つ間に駅長室で紅茶を飲みつつ、可愛い女の子と良い雰囲気でさ。 
 これが殺し合いの真っ只中でなけりゃ、神様に感謝の一つもしたんだけどね。あれから話したんだよ。 
 俺の世界のこと、カズマのこと、アルター、HOLY、ロストグラウンドのこと。風ちゃんの世界のこと、 
 エメロードのこと、二人の親友のこと、エスクードのこと。そして風ちゃん自身のこと。あー、現実は 
 厳しいよなぁ。俺、挫けそう……。カズマぁ、今お前どこにいんだよ。助けてくれよぉ。 
 
 「君島さん、どうか致しましたか? あ、ごめんなさい。私ったら自分の事ばかり話してしまって」 
 
  風ちゃんが心配そうな顔で俯いていた俺の顔を覗き込んだ。優しい子だよなぁ。 
 
 「いやぁ、何でもないって。エメロードの話でさぁ、ちょびーっと難しい所があったんでさ、 
 頭ン中で整理してたんだ」 
 「まあ、仰ってくだされば詳しくお答えしましたのに……」 
 「ごめんね。ちゃんと風ちゃんの話も聞いてたからさ」 
 
  ホント、優しくて強い子だよなぁ。俺が何考えてたかなんて、ゼッテェわかんねぇだろうな。 
 
 「今度は、君島さんの番ですよ。お話、聞かせてください」 
 「あ、ああ。その前にさ、あれ、何だか分かるかい?」 
 
  そう言って俺は部屋の隅の方の小さな台に置いてある、妙な円盤の付いた黒い物体を指差した。 
 何かに似てるんだが思い出せねぇ。年かな? 
 
 「えぇ、懐かしの黒電話さんですけど?」 
 「はぁ?」 
 
  あれでも電話かよ。そう言われれば確かに受話器が付いてやがる。俺は受話器に飛びついた。 
 これがあれば電車に乗らずとも遠くと連絡が取れるってもんよ。
 
 「風ちゃん! 何でもっと早く教えてくれないんだよ!」 
 「ごめんなさい。てっきり分かってらっしゃるとばかり……」 
 「あ、あぁ俺の方こそ怒鳴ったりして悪かったゴメン」 
 
  そりゃ目の前の電話に気が付いてなかったなんて、思わねぇよな普通。 
 
 「でもこれで他の奴らと連絡が取れる! 大ラッキーだぜ」 
 「でも、お家の番号なら分かるのですが……たぶん光さんも海さんもまだ帰宅なされてないかと」 
 「……」 
 
  言われてみればその通りだ。誰に掛けるんだよ電話。都合良くカズマが通信機とか持ってるとは 
 思えねぇし、万が一いや億が一の確率でカズマが持ってても絶対使い方理解できてないし。 
 そもそも電話番号、知らねぇし。 
 
 「だよなぁ……使える物なら、とっくに風ちゃんが使ってるよなぁ」 
 「いえ、そういう訳でもありませんよ。今、気が付いたのですけど」 
 
  そう言って風ちゃんが指差したのは壁、時刻表の下に貼ってある古ぼけた地図だ。良く見れば、 
 他の駅の連絡先が書いてあるじゃねぇか。さすが風ちゃん、俺とは眼の付け所が違うぜ。 
 ここが『江府市(エフイチ)駅』だから、手持ちの地図にあるもう一つの駅は…… 
 
 「これだ『飯鹿(イイロク)駅』XXXX-XX-1169、この番号に間違いない!」 
 「おそらく向こうの駅長室に繋がる思うのですけど……」 
 「良し早速……」 
 
  向こうに誰かいれば万々歳。いなけりゃ待ち伏せもないって事で電車に乗れば良いって寸法よ。 
 情報を制すものは世界を制す。早速、電話を掛けてみっか。えーと……
 
 
 「ごめん、風ちゃん頼むわ」 
 「……これはダイヤル式の電話でして、こうやって……」 
 
  役に立ってねぇな、俺。 
 
  ジーコ、ジーコ、ジーコ、トゥルルルルル…… 
 
 「どなたも出られないみたいですわね」 
 「みたいだなぁ」 
   
  俺達は頭をくっつける様に近づけて受話器に耳を傾けるが、延々と呼び出し音が鳴るばかり。 
 電話自体は生きているみたいだから、上手く電話番号を見つければ活用できるかも知れねぇ。 
 俺達は今の『イイロク駅』の番号とここ『エフイチ駅』の番号をメモして頭に叩き込んだ。 
 
 「この状況下で居留守使って待ち伏せたぁ考え難いし、向こうにゃ誰も居ないかな?」 
 「そうに違いませんわ。電話が鳴っていたら、思わず受けてしまいますもの」 
   
  情報を欲しがってる奴ならまず受けるだろうし、自信タップリの戦闘凶も嬉々として受話器を 
 上げるだろうさ。でもよ、俺みたいなビビリ屋とかカズマみたいな単細胞が電話の音に戸惑って 
 出ないとか考えないのか? まあ生活環境の違いなんだろうけどさ。 
 
 「とりあえず、電車が来たら発車前にもう一回掛けて安全確認しようぜ」 
 「ええ、それなのですけれど。あそこに見えるのは電車……ですよね?」 
 「なにぃ?!」 
 
  俺はまた大声を上げちまった。だって俺達、ずっと電車を待っていたんだぜ、一体いつの間に? 
 窓の外、風ちゃんが指差す先にそいつはいた。二つ向こうのホームにちょこんと停まってやがる。 
 すぐさま俺は風ちゃんの手を引いて電車の停まっているホームへと向かった。
 
  駅長室から線路を二本ほど跨いで向こう側。無駄に長いプラットホームに停まっていたのは 
 見るからにボロッちい深緑と橙色の角張った車両。しかも三両編成だ。あまりの大迫力に思わず 
 目眩がしちまったぜ。俺が想像していた電車は、もっと、こうスマートで、銀ピカで、力強くて。 
 別にどうでもいいけどさ。ちゃんと走るのかよ、これ。 
 
 「ん、電車から声が聞こえる。誰かいるのか!」 
 「あれは多分、車内放送ですわ」 
 
 『ギガ~、本列車は当駅発『イイロク』行きギガ~。発車までしばらく待つギガ~』 
 
  その声は確かに無機質な放送だった。俺達は辺りを警戒しながら無人の電車へと乗り込んだ。 
 何だか妙にムカつく合成音声だぜ。 
 
 「何かギガギガと癇に障る喋り方だな」 
 「きっと古いからスピーカーが壊れているのでは?」 
 
  そっか。故障じゃ仕方ないな、オンボロめ。俺達は念のため車内を捜索してみる事にした。 
 密室で襲撃なんて今時笑い話のネタにもならないからな。しっかし見れば見るほどボロっちい。 
 電車に乗る事自体が初めてだからどこがとは言えないけどよ。なんつーの、時代遅れって感じ。 
 だけど奇妙な事にボックス席のシートに綻びは無く、床にも塵一つ落ちていない。まるでわざと 
 ボロい外見の電車を作ったばかりに見える。その辺を意識して調べ直せば窓ガラスは防弾仕様だわ、 
 外面は何かの合金製装甲板だわ、ただのボロ電車じゃねぇな。金と手間が掛かってやがる。 
 
 「君島さん、何かございましたか?」 
 「いや、この電車が意外と頑丈だって事が分かったくらい。風ちゃんの方は?」 
 「こちらも特には。変な土偶が運転席に置いてあっただけですわ」 
 「そうか。とりあえず一安心だな」 
 
  先客の気配は無し。このまま電車に乗れば安全にE-6の駅まで行けるな。それに走行中に 
 周囲を色々と観察できる。もしかしたら誰か、かなみちゃんやカズマを見つけられるかも。 
 んな事を考えてると、また壊れたスピーカーが癇に障る声で放送を始めた。
 
 『ギガ~本列車は2時30分発『イイロク』行きギガ~。『イイロク』へは2時36分に到着ギガ~』 
 
 「えーと3km程度の距離に6分か。待ち時間を考えると歩いた方が速かったかもな」 
 「でも電車から他の方を見つけられるかも知れませんし。シッ、まだ続きがあります」 
 
  やっぱ俺が思いつく程度の事は分かってんよなぁ。俺、マジで役に立ってねぇ。 
 
 『本列車は侵入禁止区域を通過する事があるギガガ~本車両内に限り皆様の安全を約束するギガ~。 
 なお走行中の途中下車は大変危険なので止めるギガ~車内での殺し合いは一切責任負わないギガ~』 
 
 「侵入禁止区域に入っても電車の中に居れば大丈夫なわけか。って途中下車って何だよ」 
 「窓が大きく開きますわ。でも窓から飛び降りるお調子者なんて居られませんよね」 
 「あぁ、窓を突き破って飛び込んで来そうな奴には心当たりがあるけどね」  
 
  俺には見える。近い未来、防弾ガラスをぶち破って途中乗車してくるカズマの姿が。 
 
 『ギガ~本列車は当駅発『イイロク』行きギガ~。発車まで後三分待つギガ~』 
 
  電車を調べるのに夢中でウッカリしてたぜ。もうそんな時間なのかよ。このまま電車に…… 
 やべっ、もう一回電話すんの忘れてた。あと風ちゃんの紅茶セットも置きっぱなしだったし。 
 
 「君島さん、何処行くんですか?」 
 「もう一回電話してくる! あと君の紅茶セットも! 大丈夫、急げば間に合う!」 
 「先程取りに行って参りました。電話も掛けてみましたが、やはりどなたも出らませんでしたよ」 
 
  あ、そうですか。 
 
 「でもよ、一人で動き回るのは危ないからさ……」 
 「君島さんも、ですわよ。私は大丈夫、いざとなったら君島さんに守っていただきますから」 
 
  俺ァ昔、カズマに言った事がある。『馬鹿の考えるてる事は分かんねぇ』ってさ。だから分かるんだ。 
 風ちゃんは『俺の考えてる事なんて分かんねぇ』ってさ。
 
  ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン、カタン、コトン、カタン、コトン…… 
 
  ついに電車が動き出した。思っていたより力強く、思ったより遅い。そして意外と音は小さい。 
 駅長室に居た俺達が気が付かなかったのも無理はない。なんて言うか、あんまり迫力のない音だ。 
 
 『ギガ~! 本日はギーガ鉄道を御利用頂きまして、まことにありがとうギガ~! 
 本列車は『エフイチ』発『イイロク』行きギガ~。『イイロク』へは2時36分に到着ギガ~』 
 
  俺は南側の席に座って窓の外を見ていた。風ちゃんは北側の席で外を見ている。誰か見つかると 
 良いけど。考えてみれば電車は4時間に1本、往復なら2時間に1本。不便だけど、電車が襲撃される 
 可能性を考えると疎らで丁度良い。一時間以上の停車時間を上手く使えば、かなりの広範囲を 
 カバーできるし。急ぎの時は走ればいいさ。そうそう向こうに着いたら銃以外に車も探さないと。 
 
 「あぁ、大変ですっ!」 
 「ど、どうしたのさ一体?」 
 「私ったら、『切符』を購入していませんでした。どうしましょう……?」 
 
  風ちゃんの消え入るような声に、俺は溜息しか出なかった。魔法騎士様は余裕がお有りで 
 いらっしゃる。そんな事を思った時だった。 
 
  ドンッッ!!! 
 
  鉄橋を超えた辺りで、いきなり凄い音がしやがった。そう遠くない所で何かが爆発した音だ。 
 
 「なななな、なんだ?! なんだってんだよっ?!」 
 「君島さん、こっちを!」 
 
  俺の情けない声とは裏腹に、風ちゃんの凛とした声が車内に響いた。風ちゃんの指差す先、 
 (今夜だけで何度目だ?)北の窓、遥か向こうには、何か大きな建物が炎に包まれていた。 
 
 「炎……もしかして光さん?! 君島さん、私、行きます!」 
 
  風ちゃんは言うが速いか半開きの窓を全開にすると闇の中へと飛び出した。何考えてんだ。 
 さっき自分で途中下車する馬鹿はいねぇって言ったばっかだろ。あの炎が話に聞いた光って子の 
 魔法なら、戦闘が始まってる可能性もあるけどよ。闇の中に一人だぜ、無茶すんじゃねぇよ。
 
 「ちっきしょーっ!!」 
 
  俺は散々躊躇した末、窓から闇夜へとダイブした。地面までのコンマ数秒、一体俺が何を 
 思っていたか分かるかい? 風ちゃんのこと。その親友のこと。カズマのこと。全部ハズレだ。 
 最優先で守ってやらなきゃいけねぇ、かなみちゃんのことでもねぇ。俺は……一人になるのが 
 怖かっただけなんだ。 
 
  風ちゃんの話を聞いて思ったんだ。この子は魔法剣士として他の二人と一緒に選ばれて此処へ 
 来たんだと。カズマや劉鳳の様に己の思いと大切なものを守る力をあの子は持っているんだって。 
  でも俺は、何も持ってねぇ。あの子と違って話の内容だってほとんど他人事だ。いつもカズマ 
 カズマカズマカズマ、俺一人じゃ何にもやってねぇじゃねぇか。俺は一体なんなんだよ。何で 
 そんな俺がここに居るんだよ。そう考えたらさ、急に最初ギガゾンビに女の子を殺されたガキを 
 思い出したんだ。あのガキの眼がカズマとダブりやがった。それで気付いたんだ。俺は、いや俺 
 だけじゃねぇ多分かなみちゃんも、カズマに対するあの少女の替わりなんだって。 
  アルターも銃も何にも無くて、支給されたのはちっぽけな機械一つ。今考えれば早く死ねって 
 言われてたようなもんだ。かなみちゃんだって何処かで頑張ってるはずなのに、守ってやらなきゃ 
 いけねぇのに、俺って奴は自分が死ぬのが怖くて、風ちゃんの余裕に嫉妬してたんだ。強者の持つ 
 余裕って奴にだ。情けねぇよな。大の大人があんな女の子を羨ましがってイジケてんだぜ。 
 
  ドサッ! 
 
  俺はしたたかに背中を地面に打ち付けたが、途中下車には成功した。しばらく呼吸が出来ない程に 
 痛い。だがそれでいい。俺は今、痛くて泣いてるんだ。結構遅れちまったけど、とにかく北だ。 
 風ちゃんを追いかけなきゃな。だけど、あの子を心配するより、早いとこ孤独から逃げ出してぇと 
 思ってる俺がいる。カズマぁ、助けてくれよぉ。こんな俺を、いつもみてぇにブン殴ってくれよぉ。
 
 
 【E-2/路上/1日目/黎明】 
 【鳳凰寺風@魔法騎士レイアース】 
 [状態]:健康 
 [装備]:スパナ 
 [道具]:紅茶セット(残り10パック)、猫のきぐるみ、 
 包帯(残り6mぐらい)、時刻表、電話番号のメモ(E-6駅、F-1駅) 
 [思考・状況] 
 1:火災現場(図書館)に獅堂光がいるか確認 
 2:自分の武器を取り戻したい 
 3:光、海と合流 
 [備考] 
 E-3西側よりE-2の路上を北上中。 
 
 【E-5/線路北側/1日目/黎明】 
 【君島邦彦@スクライド】 
 [状態]:健康、軽い打ち身(精神的に多少混乱) 
 [装備]:バールのようなもの 
 [道具]:ロープ、電話番号のメモ(E-6駅、F-1駅) 
 iPod(電池満タン、中身は不明、使い方が分からない) 
 [思考・状況] 
 1:鳳凰寺風との合流 
 2:カズマ、かなみと合流。この際、劉鳳でも構わない。 
 3:なんでもいいから銃及び車が欲しい。 
 [備考] 
 電車内ではウジウジ考え事をしていたので、ちゃんと外を観察していません 
 
 [共通備考] 
 元の世界や知人、魔法、アルターなどの知りうる情報を交換しました。 
 電車内で聞いた爆音は、うどん屋の粉塵爆発で、炎は図書館の火事です。 
 図書館の火事を獅堂光の魔法が原因かもと思っています。 
 電車の運行サイクルを理解しました。 
 黎明時の早い時間に、E-6の駅長室の電話が二度鳴りましたが、誰も出ていません。
 
 電車についての設定(案)
 ・ギーガ鉄道:無人です。人間の運転手は乗っていません。 
 旧式車両風装甲列車:外見はドラえもんに出てくる電車(山手線風)です 
 防弾ガラスと装甲板:拳銃くらいは余裕。それ以上は保障できません) 
 走行速度:時速30kmほど(一般人では追いつけないが、車だと軽く抜けるくらい)。 
 車内放送完備:スピーカーが壊れかけててギガギガ言います。ご了承ください。 
 複線の往復路線:他に稼動中の車両があるかどうかは不明です。 
 侵入禁止区域:乗車中は禁止区域の制限を受けません。途中下車は危険です。 
 時刻表:F-1駅からは2:30より4時間刻みで発車。隣の駅まで6分程。 
 運賃:駅の改札でどうぞ。
 
 *時系列順で読む
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