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「Infection of tears」(2021/10/08 (金) 13:54:33) の最新版変更点
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*Infection of tears ◆7jHdbD/oU2
夕闇に支配されつつある市街に、二本の足で地を蹴る小さな豚の姿があった。
その豚、ぶりぶりざえもんの影は、長く伸びている。
彼の進行方向は、南だ。
豚は、石田ヤマトと合流すべく、つい先ほどまで病院を目指していた。
だが、地を揺るがしそうなほどの轟音が響いてきたことをきっかけに、ぶりぶりざえもんの駆ける方角は変わっていた。
少し前までのぶりぶりざえもんならば、鼓膜が破れそうな激音があれば、そこから背を向けていただろう。
だがヤマトの友情を受け、真の意味で「救いのヒーロー」の心を宿した彼に、音から逃げ出すという選択肢は存在しなかった。
あの轟音の渦中に、救いを求める者がいる。
そう直感したぶりぶりざえもんは、腹の鳴き声を無視して走っていた。
豚の蹄がアスファルトを叩く。
その度に、救いのヒーローの小さな体は前へと跳ぶ。
真っ赤な夕焼けが、何故かぶりぶりざえもんを焦らせていた。
だから、ぶりぶりざえもんはひた走る。真っ直ぐに音のした方へ。
そして、見つける。
全身を水で濡らし、傷だらけで、おぼつかない足取りの、たった一人の男を。
ボロボロになり、満身創痍といった形容が余りにも似合ってしまう男を。
そんな状態になりながら、それでも確かに歩いている、カズマという名の男を。
「おい、大丈夫か!」
ぶりぶりざえもんは、思わず声を掛けた。返答を待つことなく、急ぎ駆け寄る。
すると、カズマがだるそうに顔を動かした。その左目が、ぶりぶりざえもんの姿を捉える。
「……タヌキの次はブタかよ」
ぽつりと呟いた男の足元まで辿り着き、ぶりぶりざえもんはようやく走る速度を緩めた。
だがカズマは、ぶりぶりざえもんからすぐに視線を外す。彼はまるで重い荷物を背負っているかのような足取りで、ただ歩いていた。
いくらカズマの歩みが遅いとはいえ、ぶりぶりざえもんとは歩幅が違いすぎる。
置いていかれないよう、ぶりぶりざえもんは早足でカズマに並ぶ。
「何があった? 救いのヒーローであるこの私に話してみろ」
カズマを、見上げる。彼の顔は前だけを向いていた。
横顔は夕日に照らされていて、その表情を窺い知ることはできない。
足音が、二つ分。
溶けては現れ、生まれては無くなる。
そうやって音の間断が、繰り返される。
少し前に、余りに大きな音を聞いたせいか、やけに静かだとぶりぶりざえもんは思う。
「喧嘩だ。とびっきり派手な、喧嘩だった」
消えた足音をなぞるように、カズマが呟いた。
精一杯の呟きのようなその声も、簡単に消えていってしまう。
まるで、夕闇に吸い込まれてしまったかのように。
◆◆
「太一くん! 早く、早く治療しなきゃ!」
「本当に大丈夫だって。俺より、カズマさんとヴィータの様子を……」
慌てふためくドラえもんに、八神太一が必死で笑顔を向ける。
しかしその笑みは、どう見ても大丈夫なものではない。
その証拠に、太一の顔からは赤みが薄れていた。
その痛々しい太一の姿は、ますますドラえもんから冷静さを奪っていく。
「大丈夫なわけないよ! そんなに血が出てるんだからっ!」
ドラえもんは四次元デイバックに手を突っ込み、中身を次々と取り出しては放り投げていく。
地図、コンパス、ペットボトル、筆記用具、名簿、ランタン、食料。
その全てがあたりに散らばったとき、デイバックの中の手応えがなくなったことに気付く。
だからドラえもんは、もう一つのデイバックに手を入れようとする。
その手が、そっと止められた。太一の小さな左手が、ドラえもんの腕を掴んでいた。
思わず太一の顔を見る。
太一は、ゆっくりと首を横に振っていた。
表情は変わらず微笑んでいるのに、血色はますます悪くなったような、そんな気がして。
ドラえもんは、自分の視界が急激に滲んでいくのを感じた。
泣いちゃダメだと、言い聞かせる。太一が笑っているのに、泣くわけにはいかないと言い聞かせる。
「太一くん……」
涙を堪えて呼びかけたとき、力が抜けたのか、太一が寄りかかってきた。
その体を、ドラえもんはそっと抱きしめる。そうして、ドラえもんは感じた。
太一の体温を、拍動を、呼吸を。
生きようとする太一を、ドラえもんは感じ取る。
死なせるわけにはいかない。こうやって、前へと進もうとしている少年を、死なせるわけにはいかない。
だから、ドラえもんは太一を背負う。その軽さが、どうしようもなく不安だった。
「ドラえもん……?」
太一の呼び声に答えるように、ドラえもんは少し振り返って、笑う。
太一に負けないよう、一生懸命笑う。
「もう少しの辛抱だよ、太一くん。ぼくが絶対、助けてあげるからね……!」
そう告げて、ドラえもんは駆け出す。
命の聖火を、消さないように。真っ直ぐ、病院を目指して。
◆◆
俺、誰かに迷惑かけてばっかりだ。
ドラえもんの背中に身を預けた太一の胸に浮かんできたのは、そんな自己嫌悪だった。
この世界が、ただのデータだと思って人を殺した。そのせいで、悲しむ人を作ってしまった。
安易な思い込みで、とりかえしのつかないことをしてしまった。
太一はその罪を認め、それを必死で償おうとしている。その意志に曇りも翳りもない。
それなのに、と太一は思う。思ってしまう。
もっと何か出来ることがあったんじゃないか、と。
力があれば、素子さんや真紅は死なずに済んだんじゃないか、と。
戦うことができたなら、カズマさんやヴィータに任せっきりにならなかったんじゃないか、と。
俺が強かったなら、こうやってドラえもんに迷惑をかけなかったんじゃないか、と。
考えれば考えるほど、泣き出したくなる。右手の痛みと心の痛みが、太一を強く責め苛む。
だから、太一は歯を食いしばる。心を折らないように、強くあろうとする。
泣いちゃ駄目だ。
辛くても、絶対に泣いちゃ駄目だ。
多くの人が、自分のために戦ってくれたし、助けてくれた。
泣くことはその人たちに失礼だ。
きっと、泣いてもらうために、助けてくれたわけじゃないのだから。
だから。
泣くもんか。絶対に泣くもんか。
湧き上がってくる自己嫌悪と涙を、そうやって塗りつぶそうとしていたときだ。
「……太一くん。ごめんね」
ドラえもんの声が、太一へと届いてきた。
「なんで、ドラえもんが謝るんだ?」
純粋に分からなかった。
太一自身がドラえもんに謝ることはあっても、謝られるような心当たりが太一にはなかったのだから。
「ぼくがもっとしっかりしてれば、太一くんが怪我することもなかったんだ……」
泣きそうなドラえもんの声が、返ってくる。
ドラえもんは振り向かない。しかし、その表情を想像することは難しくなかった。
「泣くなよ、ドラえもん。俺はホントに大丈夫だから」
ドラえもんに泣いて欲しくなくて、太一はそう告げる。
友達が泣いているところなんて見たくない。そんなの、絶対に見たくなかった。
「でも……」
言いかけて、ドラえもんが口を噤む。それと同時に、足も止まった。
疑問の声を放とうとして、太一は気付く。ドラえもんが、ただ一点を見つめていることに。
つられるように、太一もそちらを見る。
そこには、全身を引きずるようにして歩く男の姿があった。
ボロボロでも、彼は生きている。その事実が、太一を少し元気付けた。
だから気付けば、太一は彼の名前を呼んでいた。
「カズマさん!」
「カズマくん!」
太一の呼び声と、ドラえもんの呼び声が重なる。
すると、カズマはゆっくりと太一たちの方を向き、少しだけ笑みを見せて、答えた。
「……あいよ」
◆◆
歩くことさえも辛く、何度も倒れそうになったカズマに、ドラえもんが駆け寄ってくる。
二人の無事を確認したとき、カズマは体から力が抜けていくのを感じた。
倒れる。
そう分かっていても、止めることは出来ない。
重力に引かれ、仰向けに倒れたカズマは空を見る。
目が痛くなるほどに紅い、夕焼け空を。
「おい、どうした!?」
ずっと付いてきていた豚が、カズマを揺さぶる。
それを振り払ってやろうとしたとき、カズマの視界に影が差した。
ドラえもんが夕日を遮り、今にも泣き出しそうな顔で、倒れるカズマを覗き込んでいた。
「カズマくん! 大丈夫!?」
大丈夫、とは言いがたい。だが、自身にのしかかる痛みに逆らうように、彼は頷いた。
「ああ、大丈夫だ。それより――」
カズマは、ドラえもんの背中に目を向ける。
すると、右手首から先を失い、血液を流す太一と目が合った。
「俺も、大丈夫だから」
微笑を作り、顔に貼り付けて、太一はそう口にした。
カズマは思う。
どう見ても大丈夫じゃねぇだろうが、と。
そのことを口にしかけたとき、彼より先にドラえもんが口を開いた。
「血が、止まらないんだ。止血してあげたいんだけど、何か布とか持ってないかなぁ……?」
心配そうなドラえもんの声。それを聞きながら、カズマは思い出す。
刻んだ名前を。彼女の意志を。
だからカズマは、仰向けのまま、デイバックに手を入れた。
柔らかな手応えを握り締めながら、カズマは胸中で告げる。ここにはいない、それの持ち主へと。
――ごめんな、わりぃ、すまねぇ、許せ。
そして、赤色の布を取り出す。
由詫かなみの形見であるリボンを取り出し、ドラえもんに差し出した。
「ありがとう、カズマくん!」
「……別に。お前らのためじゃねぇよ」
その呟きを聞いていないのか、ドラえもんは太一を降ろす。
「太一くん、じっとしててね」
太一の止血点に、かなみのリボンがくくりつけられる。
その作業を手早く終えると、ドラえもんは再び太一を背負い上げた。
「これで血は止まると思うけど、病院へ行くからね。」
「でも……」
「いいから行くの!」
太一の言葉を遮り、ドラえもんが走り出そうとする。
「おい、待て」
その動きを止めたのは、カズマではなく、ぶりぶりざえもんの呼び声だった。
スタートダッシュをくじかれたドラえもんは、非難するようにぶりぶりざえもんを見やる。
「何だよ! ぼくは急いでるんだぞ!」
その叫びを完全に無視するかのように、ぶりぶりざえもんは答えない。
大きさの違う彼の目は、ドラえもんではなく、背負われている少年に向けられていた。
「お前、八神太一か?」
「ああ、そうだけど……?」
語尾上がりの太一の声を聞くと、ぶりぶりざえもんは腕を組む。
そして何かを思い出したように、二、三度頷いた。
「太一。お前の怪我、もしかしたらなんとかできるかもしれん」
「ホント!?」
太一より早く、ドラえもんが反応する。
「ああ。あれは、私が吐き気に苦しんでいたときだ。
共に行動していた奴らの怪我を癒し、去っていった者がいた。そいつにまた会えれば――」
ふと、ぶりぶりざえもんは押し黙る。太一の右腕を見て、そして彼は俯いた。
「ただ、失った手が戻ってくるかどうかは分からんがな」
場に、重い沈黙が広がる。沈んでいく太陽が、重みを与えているように。
その重さは心や体に乗り移り、動きを阻害しようとする。
それが堪らなく辛くて、嫌で、カズマは口を開いた。
「……グダグダ考えていたって何も始まらねぇんだ。行こうぜ。そいつを捜しによ」
起き上がる。
体が悲鳴を上げるが、意識でそれを弾き飛ばす。
痛みと疲れが意識を蝕もうとするが、意地でそれを吹き飛ばす。
「いや、お前たちは病院で待っていろ。私が必ず、そいつを連れてきてやる」
「そんなの危険だ! お前、バックも何も持ってないじゃないか!」
声を荒げる太一に、ぶりぶりざえもんは不敵な笑みを見せて、言う。
「大丈夫だ。なにせ私は、救いのヒーローなのだからな」
断定の口調だった。口元に浮かぶ笑みと相まって、言いようのない自信が見て取れる。
小さなその体とは対照的な自信を放つぶりぶりざえもんは、頼もしささえ醸し出していた。
だから誰も、ぶりぶりざえもんを止める言葉を紡げなかった。
「おい、豚。高町なのはってガキを見つけたら、そいつも連れて来い。必ずだ」
制止する代わりのように、カズマが言葉を投げかける。
すると、ぶりぶりざえもんは鼻を鳴らすと彼らに背を向けた。
「ふん、全く物を頼む態度がなっていないな。そんな奴には救い料を貰っても助けてはやらんのだが……まあいい。
今の私は寛大だ。見つけたら連れてきてやろう。感謝しろ」
「あんだと? てめぇ、焼き豚にして食われてぇのか?」
凄むカズマから逃げるように、ぶりぶりざえもんは走り出す。そうやってカズマから少しだけ距離を取ると、ふと立ち止まった。
「もしも病院が禁止エリアになったら、北へ向かえ。ヤマトたちが、そっちへ向かっているはずだ」
「ヤマトが!?」
思わず叫ぶ太一に、ぶりぶりざえもんは背中を向けたまま大きく首を縦に振る。
それに合わせ、東へと伸びる影も動いた。
「お前、何者なんだ? ヤマトのこと、知ってるのか?」
痛みを忘れたような太一の声に、ぶりぶりざえもんは首だけで振り返る。
「私は救いのヒーロー、ぶりぶりざえもん。そして」
ぶりぶりざえもんは言う。西からの斜光を浴びながら、高らかに、堂々と。
「――ヤマトの、仲間だ」
◆◆
ぶりぶりざえもんを見送り、カズマたちは病院へと移動を開始していた。
止血できたことで少し安堵したのか、カズマに気を遣ってか、ドラえもんは先のような爆走を行ってはいなかった。
「よかったね、太一くん。友達の手がかりが見つかってさ」
「ああ。だけど……」
ヤマトの手がかりを見つけたのに、太一の返答は重かった。
カズマは横目で太一を見る。すると、同じように太一もカズマを見ていた。
「何だよ?」
少し鬱陶しそうにカズマが尋ねると、太一は申し訳なさそうに呟きを漏らす。
「カズマさん、ごめん。なのはって子、捜しに行かなきゃなんないのに……」
「あぁ、構わねーよ。兄貴も一緒にいるだろうし、大丈夫だろ。それにな」
カズマは、つい先ほど刻んだ少女を思い出す。
彼女の名前を、意志を、忘れまいとするかのように。
「あいつに、頼まれちまったからな。お前らから離れるわけにはいかねぇんだよ」
「あいつって、ヴィータちゃんだよね? あの子は……?」
尋ねてきたドラえもんに答えるよう、カズマはウサギの人形を取り出す。
ヴィータの帽子に付いていたそのウサギを見せると、二人は目を見開いた。
「逝ったよ。逝っちまった」
出来るだけ何でもないことのように、カズマは伝える。
それが功を奏したのか、太一もドラえもんも、泣き声を上げることはなかった。
カズマはぼんやりと、太一の様子を見る。視線の先、太一は強く唇を噛み結んで固く目を閉ざしていた。
その顔をドラえもんの頭に押し付け、わなないていた。
それでも、太一は涙を流していなかった。
その姿が、カズマをイラつかせた。
腕を斬られて、血を流して、仲間を失って。
痛いに決まっている。辛いに決まっている。悲しいに決まっている。
それなのに、その全てを呑み込み、耐えて、我慢して。
そうする方が、ずっと苦しいというのに。
「おい、お前。何を、我慢してる?」
だから、カズマは口を開いていた。太一とドラえもんの視線がカズマに集中するが、構わない。
答えを待たず、太一を睨むようにして、カズマは続ける。
荒々しく、しかし、力強く伝えるように。
「お前は今、泣いていいッ! 泣いて、いいんだ……ッ!!」
呆然として、太一はカズマの言葉を聞いていた。
カズマへと向けられていた太一の表情は、呆けたようなものだ。
しかし、それはすぐにくしゃりと歪んでいく。
カズマの言葉が、徐々に染み込んでいったかのように。
太一の瞳に、みるみる涙が溜まっていく。
あっという間に許容量を超えた涙は、瞬き一つの後に一気にあふれ出した。
それに連なり、彼の口から声が漏れる。悲しみで満ちた声が、津波のように流れ出ていく。
「太一、くん……」
呼びかけるドラえもんにも、涙は伝染していた。
もともとの太い声は悲しみで彩られ、大きな目からは液体が零れ落ちていた。
二人にそれ以上声をかけることもなく、カズマの目はぼんやりと太一たちに向けられていた。
だが、カズマの意識が向けられるのは太一やドラえもんではない。
カズマは、記憶を見ていた。
それは、かなみとの何気ない日常風景。
それは、君島と共にこなした仕事。
それは、霧消していくヴィータの姿。
そういった、もう話すことの出来ない人物たちとの記憶で、カズマの意識は埋め尽くされていく。
そして。
――カズマの左目から、一筋の雫が、伝い落ちた。
【D-2とE-2の境界 1日目・夕方(放送前)】
方針:病院を目指し、太一の治療をしつつぶりぶりざえもんを待つ。
そこが禁止エリアとなった場合、石田ヤマトを探し北へ。
【八神太一@デジモンアドベンチャー】
[状態]:右手首より先喪失(止血処置済み) 失血により貧血気味 ドラえもんに背負われている
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、かなみのリボン@スクライド(止血に使用中)
[思考・状況]
1:治療が必要だと思うが、一刻も早くヤマトと合流したい。
2:ぶりぶりざえもん、ルイズが気がかり。
基本:これ以上犠牲を増やさないために行動する。
[備考]
※アヴァロンによる自然治癒効果に気付いていません。
※第一回放送の禁止エリアはヴィータが忘れていたのでまだ知りません
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:中程度のダメージ、頭部に強い衝撃
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"ゲームCD@涼宮ハルヒの憂鬱
[思考・状況]
1:病院に着いたら、ぶりぶりざえもんを待ちながら太一の怪我の治療に役立ちそうなものを探す。
2:ヤマトとの合流
3:のび太、ジャイアン、なのはを捜す
基本:ひみつ道具と仲間を集めてしずかの仇を取る。ギガゾンビを何とかする。
【カズマ@スクライド】
[状態]:疲労大、全身大程度の負傷(打身・裂傷・火傷)
気絶一歩手前だが気力で抑え込んでいる。いつ倒れてもおかしくはない。
[装備]:なし
[道具]:高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
のろいウザギ@魔法少女リリカルなのはA's、支給品一式
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)ボディブレード
[思考・状況]
1:病院に着いたら、とりあえず休みたい
2:なのはが心配というわけではないが、ヴィータの名前を刻んだこともあるし子供とタヌキを守る。
3:かなみと鶴屋を殺した奴とか劉鳳とかギガゾンビとか甲冑女とかもう全員まとめてぶっ飛ばす。
【D-3南東 1日目・夕方(放送直前)】
【ぶりぶりざえもん@クレヨンしんちゃん】
[状態]:頭部にたんこぶ、ヤマトとの友情の芽生え、正義に対する目覚め
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:鳳凰寺風、高町なのはを捜して病院(太一たちのもと)へ連れて行く
2:ヤマトたちとの合流。
3:救いのヒーローとしてギガゾンビを打倒する。
基本:困っている人を探し、救いのヒーローとしておたすけする。
※E-3に、取り乱したドラえもんがばら撒いた支給品一式(一人分)が散らばっています。
*時系列順で読む
Back:[[孤独な笑みを夕陽にさらして]] Next:[[時は戻せなくても]]
*投下順で読む
Back:[[孤独な笑みを夕陽にさらして]] Next:[[時は戻せなくても]]
|191:[[これがあたし達の全力全開]]|八神太一|208:[[最悪の/最高の脚本]]|
|191:[[これがあたし達の全力全開]]|ドラえもん|208:[[最悪の/最高の脚本]]|
|191:[[これがあたし達の全力全開]]|カズマ|208:[[最悪の/最高の脚本]]|
|187:[[「救いのヒーロー」(後編)]]|ぶりぶりざえもん|212:[[正義×正義]]|
*Infection of tears ◆7jHdbD/oU2
夕闇に支配されつつある市街に、二本の足で地を蹴る小さな豚の姿があった。
その豚、ぶりぶりざえもんの影は、長く伸びている。
彼の進行方向は、南だ。
豚は、石田ヤマトと合流すべく、つい先ほどまで病院を目指していた。
だが、地を揺るがしそうなほどの轟音が響いてきたことをきっかけに、ぶりぶりざえもんの駆ける方角は変わっていた。
少し前までのぶりぶりざえもんならば、鼓膜が破れそうな激音があれば、そこから背を向けていただろう。
だがヤマトの友情を受け、真の意味で「救いのヒーロー」の心を宿した彼に、音から逃げ出すという選択肢は存在しなかった。
あの轟音の渦中に、救いを求める者がいる。
そう直感したぶりぶりざえもんは、腹の鳴き声を無視して走っていた。
豚の蹄がアスファルトを叩く。
その度に、救いのヒーローの小さな体は前へと跳ぶ。
真っ赤な夕焼けが、何故かぶりぶりざえもんを焦らせていた。
だから、ぶりぶりざえもんはひた走る。真っ直ぐに音のした方へ。
そして、見つける。
全身を水で濡らし、傷だらけで、おぼつかない足取りの、たった一人の男を。
ボロボロになり、満身創痍といった形容があまりにも似合ってしまう男を。
そんな状態になりながら、それでも確かに歩いている、カズマという名の男を。
「おい、大丈夫か!」
ぶりぶりざえもんは、思わず声を掛けた。返答を待つことなく、急ぎ駆け寄る。
すると、カズマがだるそうに顔を動かした。その左目が、ぶりぶりざえもんの姿を捉える。
「……タヌキの次はブタかよ」
ぽつりと呟いた男の足元まで辿り着き、ぶりぶりざえもんはようやく走る速度を緩めた。
だがカズマは、ぶりぶりざえもんからすぐに視線を外す。彼はまるで重い荷物を背負っているかのような足取りで、ただ歩いていた。
いくらカズマの歩みが遅いとはいえ、ぶりぶりざえもんとは歩幅が違いすぎる。
置いていかれないよう、ぶりぶりざえもんは早足でカズマに並ぶ。
「何があった? 救いのヒーローであるこの私に話してみろ」
カズマを、見上げる。彼の顔は前だけを向いていた。
横顔は夕日に照らされていて、その表情を窺い知ることはできない。
足音が、二つ分。
溶けては現れ、生まれては無くなる。
そうやって音の間断が、繰り返される。
少し前に、あまりに大きな音を聞いたせいか、やけに静かだとぶりぶりざえもんは思う。
「喧嘩だ。とびっきり派手な、喧嘩だった」
消えた足音をなぞるように、カズマが呟いた。
精一杯の呟きのようなその声も、簡単に消えていってしまう。
まるで、夕闇に吸い込まれてしまったかのように。
◆◆
「太一くん! 早く、早く治療しなきゃ!」
「本当に大丈夫だって。俺より、カズマさんとヴィータの様子を……」
慌てふためくドラえもんに、八神太一が必死で笑顔を向ける。
しかしその笑みは、どう見ても大丈夫なものではない。
その証拠に、太一の顔からは赤みが薄れていた。
その痛々しい太一の姿は、ますますドラえもんから冷静さを奪っていく。
「大丈夫なわけないよ! そんなに血が出てるんだからっ!」
ドラえもんは四次元デイバックに手を突っ込み、中身を次々と取り出しては放り投げていく。
地図、コンパス、ペットボトル、筆記用具、名簿、ランタン、食料。
その全てがあたりに散らばったとき、デイバックの中の手応えがなくなったことに気付く。
だからドラえもんは、もう一つのデイバックに手を入れようとする。
その手が、そっと止められた。太一の小さな左手が、ドラえもんの腕を掴んでいた。
思わず太一の顔を見る。
太一は、ゆっくりと首を横に振っていた。
表情は変わらず微笑んでいるのに、血色はますます悪くなったような、そんな気がして。
ドラえもんは、自分の視界が急激に滲んでいくのを感じた。
泣いちゃダメだと、言い聞かせる。太一が笑っているのに、泣くわけにはいかないと言い聞かせる。
「太一くん……」
涙を堪えて呼びかけたとき、力が抜けたのか、太一が寄りかかってきた。
その体を、ドラえもんはそっと抱きしめる。そうして、ドラえもんは感じた。
太一の体温を、拍動を、呼吸を。
生きようとする太一を、ドラえもんは感じ取る。
死なせるわけにはいかない。こうやって、前へと進もうとしている少年を、死なせるわけにはいかない。
だから、ドラえもんは太一を背負う。その軽さが、どうしようもなく不安だった。
「ドラえもん……?」
太一の呼び声に答えるように、ドラえもんは少し振り返って、笑う。
太一に負けないよう、一生懸命笑う。
「もう少しの辛抱だよ、太一くん。ぼくが絶対、助けてあげるからね……!」
そう告げて、ドラえもんは駆け出す。
命の聖火を、消さないように。真っ直ぐ、病院を目指して。
◆◆
俺、誰かに迷惑かけてばっかりだ。
ドラえもんの背中に身を預けた太一の胸に浮かんできたのは、そんな自己嫌悪だった。
この世界が、ただのデータだと思って人を殺した。そのせいで、悲しむ人を作ってしまった。
安易な思い込みで、とりかえしのつかないことをしてしまった。
太一はその罪を認め、それを必死で償おうとしている。その意志に曇りも翳りもない。
それなのに、と太一は思う。思ってしまう。
もっと何か出来ることがあったんじゃないか、と。
力があれば、素子さんや真紅は死なずに済んだんじゃないか、と。
戦うことができたなら、カズマさんやヴィータに任せっきりにならなかったんじゃないか、と。
俺が強かったなら、こうやってドラえもんに迷惑をかけなかったんじゃないか、と。
考えれば考えるほど、泣き出したくなる。右手の痛みと心の痛みが、太一を強く責め苛む。
だから、太一は歯を食いしばる。心を折らないように、強くあろうとする。
泣いちゃ駄目だ。
辛くても、絶対に泣いちゃ駄目だ。
多くの人が、自分のために戦ってくれたし、助けてくれた。
泣くことはその人たちに失礼だ。
きっと、泣いてもらうために、助けてくれたわけじゃないのだから。
だから。
泣くもんか。絶対に泣くもんか。
湧き上がってくる自己嫌悪と涙を、そうやって塗りつぶそうとしていたときだ。
「……太一くん。ごめんね」
ドラえもんの声が、太一へと届いてきた。
「なんで、ドラえもんが謝るんだ?」
純粋に分からなかった。
太一自身がドラえもんに謝ることはあっても、謝られるような心当たりが太一にはなかったのだから。
「ぼくがもっとしっかりしてれば、太一くんが怪我することもなかったんだ……」
泣きそうなドラえもんの声が、返ってくる。
ドラえもんは振り向かない。しかし、その表情を想像することは難しくなかった。
「泣くなよ、ドラえもん。俺はホントに大丈夫だから」
ドラえもんに泣いて欲しくなくて、太一はそう告げる。
友達が泣いているところなんて見たくない。そんなの、絶対に見たくなかった。
「でも……」
言いかけて、ドラえもんが口を噤む。それと同時に、足も止まった。
疑問の声を放とうとして、太一は気付く。ドラえもんが、ただ一点を見つめていることに。
つられるように、太一もそちらを見る。
そこには、全身を引きずるようにして歩く男の姿があった。
ボロボロでも、彼は生きている。その事実が、太一を少し元気付けた。
だから気付けば、太一は彼の名前を呼んでいた。
「カズマさん!」
「カズマくん!」
太一の呼び声と、ドラえもんの呼び声が重なる。
すると、カズマはゆっくりと太一たちの方を向き、少しだけ笑みを見せて、答えた。
「……あいよ」
◆◆
歩くことさえも辛く、何度も倒れそうになったカズマに、ドラえもんが駆け寄ってくる。
二人の無事を確認したとき、カズマは体から力が抜けていくのを感じた。
倒れる。
そう分かっていても、止めることは出来ない。
重力に引かれ、仰向けに倒れたカズマは空を見る。
目が痛くなるほどに紅い、夕焼け空を。
「おい、どうした!?」
ずっと付いてきていた豚が、カズマを揺さぶる。
それを振り払ってやろうとしたとき、カズマの視界に影が差した。
ドラえもんが夕日を遮り、今にも泣き出しそうな顔で、倒れるカズマを覗き込んでいた。
「カズマくん! 大丈夫!?」
大丈夫、とは言いがたい。だが、自身にのしかかる痛みに逆らうように、彼は頷いた。
「ああ、大丈夫だ。それより――」
カズマは、ドラえもんの背中に目を向ける。
すると、右手首から先を失い、血液を流す太一と目が合った。
「俺も、大丈夫だから」
微笑を作り、顔に貼り付けて、太一はそう口にした。
カズマは思う。
どう見ても大丈夫じゃねぇだろうが、と。
そのことを口にしかけたとき、彼より先にドラえもんが口を開いた。
「血が、止まらないんだ。止血してあげたいんだけど、何か布とか持ってないかなぁ……?」
心配そうなドラえもんの声。それを聞きながら、カズマは思い出す。
刻んだ名前を。彼女の意志を。
だからカズマは、仰向けのまま、デイバックに手を入れた。
柔らかな手応えを握り締めながら、カズマは胸中で告げる。ここにはいない、それの持ち主へと。
――ごめんな、わりぃ、すまねぇ、許せ。
そして、赤色の布を取り出す。
由詫かなみの形見であるリボンを取り出し、ドラえもんに差し出した。
「ありがとう、カズマくん!」
「……別に。お前らのためじゃねぇよ」
その呟きを聞いていないのか、ドラえもんは太一を降ろす。
「太一くん、じっとしててね」
太一の止血点に、かなみのリボンがくくりつけられる。
その作業を手早く終えると、ドラえもんは再び太一を背負い上げた。
「これで血は止まると思うけど、病院へ行くからね。」
「でも……」
「いいから行くの!」
太一の言葉を遮り、ドラえもんが走り出そうとする。
「おい、待て」
その動きを止めたのは、カズマではなく、ぶりぶりざえもんの呼び声だった。
スタートダッシュをくじかれたドラえもんは、非難するようにぶりぶりざえもんを見やる。
「何だよ! ぼくは急いでるんだぞ!」
その叫びを完全に無視するかのように、ぶりぶりざえもんは答えない。
大きさの違う彼の目は、ドラえもんではなく、背負われている少年に向けられていた。
「お前、八神太一か?」
「ああ、そうだけど……?」
語尾上がりの太一の声を聞くと、ぶりぶりざえもんは腕を組む。
そして何かを思い出したように、二、三度頷いた。
「太一。お前の怪我、もしかしたらなんとかできるかもしれん」
「ホント!?」
太一より早く、ドラえもんが反応する。
「ああ。あれは、私が吐き気に苦しんでいたときだ。
共に行動していた奴らの怪我を癒し、去っていった者がいた。そいつにまた会えれば――」
ふと、ぶりぶりざえもんは押し黙る。太一の右腕を見て、そして彼は俯いた。
「ただ、失った手が戻ってくるかどうかは分からんがな」
場に、重い沈黙が広がる。沈んでいく太陽が、重みを与えているように。
その重さは心や体に乗り移り、動きを阻害しようとする。
それが堪らなく辛くて、嫌で、カズマは口を開いた。
「……グダグダ考えていたって何も始まらねぇんだ。行こうぜ。そいつを捜しによ」
起き上がる。
体が悲鳴を上げるが、意識でそれを弾き飛ばす。
痛みと疲れが意識を蝕もうとするが、意地でそれを吹き飛ばす。
「いや、お前たちは病院で待っていろ。私が必ず、そいつを連れてきてやる」
「そんなの危険だ! お前、バックも何も持ってないじゃないか!」
声を荒げる太一に、ぶりぶりざえもんは不敵な笑みを見せて、言う。
「大丈夫だ。なにせ私は、救いのヒーローなのだからな」
断定の口調だった。口元に浮かぶ笑みと相まって、言いようのない自信が見て取れる。
小さなその体とは対照的な自信を放つぶりぶりざえもんは、頼もしささえ醸し出していた。
だから誰も、ぶりぶりざえもんを止める言葉を紡げなかった。
「おい、豚。高町なのはってガキを見つけたら、そいつも連れて来い。必ずだ」
制止する代わりのように、カズマが言葉を投げかける。
すると、ぶりぶりざえもんは鼻を鳴らすと彼らに背を向けた。
「ふん、全く物を頼む態度がなっていないな。そんな奴には救い料を貰っても助けてはやらんのだが……まあいい。
今の私は寛大だ。見つけたら連れてきてやろう。感謝しろ」
「あんだと? てめぇ、焼き豚にして食われてぇのか?」
凄むカズマから逃げるように、ぶりぶりざえもんは走り出す。そうやってカズマから少しだけ距離を取ると、ふと立ち止まった。
「もしも病院が禁止エリアになったら、北へ向かえ。ヤマトたちが、そっちへ向かっているはずだ」
「ヤマトが!?」
思わず叫ぶ太一に、ぶりぶりざえもんは背中を向けたまま大きく首を縦に振る。
それに合わせ、東へと伸びる影も動いた。
「お前、何者なんだ? ヤマトのこと、知ってるのか?」
痛みを忘れたような太一の声に、ぶりぶりざえもんは首だけで振り返る。
「私は救いのヒーロー、ぶりぶりざえもん。そして」
ぶりぶりざえもんは言う。西からの斜光を浴びながら、高らかに、堂々と。
「――ヤマトの、仲間だ」
◆◆
ぶりぶりざえもんを見送り、カズマたちは病院へと移動を開始していた。
止血できたことで少し安堵したのか、カズマに気を遣ってか、ドラえもんは先のような爆走を行ってはいなかった。
「よかったね、太一くん。友達の手がかりが見つかってさ」
「ああ。だけど……」
ヤマトの手がかりを見つけたのに、太一の返答は重かった。
カズマは横目で太一を見る。すると、同じように太一もカズマを見ていた。
「何だよ?」
少し鬱陶しそうにカズマが尋ねると、太一は申し訳なさそうに呟きを漏らす。
「カズマさん、ごめん。なのはって子、捜しに行かなきゃなんないのに……」
「あぁ、構わねーよ。兄貴も一緒にいるだろうし、大丈夫だろ。それにな」
カズマは、つい先ほど刻んだ少女を思い出す。
彼女の名前を、意志を、忘れまいとするかのように。
「あいつに、頼まれちまったからな。お前らから離れるわけにはいかねぇんだよ」
「あいつって、ヴィータちゃんだよね? あの子は……?」
尋ねてきたドラえもんに答えるよう、カズマはウサギの人形を取り出す。
ヴィータの帽子に付いていたそのウサギを見せると、二人は目を見開いた。
「逝ったよ。逝っちまった」
出来るだけ何でもないことのように、カズマは伝える。
それが功を奏したのか、太一もドラえもんも、泣き声を上げることはなかった。
カズマはぼんやりと、太一の様子を見る。視線の先、太一は強く唇を噛み結んで固く目を閉ざしていた。
その顔をドラえもんの頭に押し付け、わなないていた。
それでも、太一は涙を流していなかった。
その姿が、カズマをイラつかせた。
腕を斬られて、血を流して、仲間を失って。
痛いに決まっている。辛いに決まっている。悲しいに決まっている。
それなのに、その全てを呑み込み、耐えて、我慢して。
そうする方が、ずっと苦しいというのに。
「おい、お前。何を、我慢してる?」
だから、カズマは口を開いていた。太一とドラえもんの視線がカズマに集中するが、構わない。
答えを待たず、太一を睨むようにして、カズマは続ける。
荒々しく、しかし、力強く伝えるように。
「お前は今、泣いていいッ! 泣いて、いいんだ……ッ!!」
呆然として、太一はカズマの言葉を聞いていた。
カズマへと向けられていた太一の表情は、呆けたようなものだ。
しかし、それはすぐにくしゃりと歪んでいく。
カズマの言葉が、徐々に染み込んでいったかのように。
太一の瞳に、みるみる涙が溜まっていく。
あっという間に許容量を超えた涙は、瞬き一つの後に一気にあふれ出した。
それに連なり、彼の口から声が漏れる。悲しみで満ちた声が、津波のように流れ出ていく。
「太一、くん……」
呼びかけるドラえもんにも、涙は伝染していた。
もともとの太い声は悲しみで彩られ、大きな目からは液体が零れ落ちていた。
二人にそれ以上声をかけることもなく、カズマの目はぼんやりと太一たちに向けられていた。
だが、カズマの意識が向けられるのは太一やドラえもんではない。
カズマは、記憶を見ていた。
それは、かなみとの何気ない日常風景。
それは、君島と共にこなした仕事。
それは、霧消していくヴィータの姿。
そういった、もう話すことの出来ない人物たちとの記憶で、カズマの意識は埋め尽くされていく。
そして。
――カズマの左目から、一筋の雫が、伝い落ちた。
【D-2とE-2の境界 1日目・夕方(放送前)】
方針:病院を目指し、太一の治療をしつつぶりぶりざえもんを待つ。
そこが禁止エリアとなった場合、石田ヤマトを探し北へ。
【八神太一@デジモンアドベンチャー】
[状態]:右手首より先喪失(止血処置済み) 失血により貧血気味 ドラえもんに背負われている
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、かなみのリボン@スクライド(止血に使用中)
[思考・状況]
1:治療が必要だと思うが、一刻も早くヤマトと合流したい。
2:ぶりぶりざえもん、ルイズが気がかり。
基本:これ以上犠牲を増やさないために行動する。
[備考]
※アヴァロンによる自然治癒効果に気付いていません。
※第一回放送の禁止エリアはヴィータが忘れていたのでまだ知りません
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:中程度のダメージ、頭部に強い衝撃
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"ゲームCD@涼宮ハルヒの憂鬱
[思考・状況]
1:病院に着いたら、ぶりぶりざえもんを待ちながら太一の怪我の治療に役立ちそうなものを探す。
2:ヤマトとの合流
3:のび太、ジャイアン、なのはを捜す
基本:ひみつ道具と仲間を集めてしずかの仇を取る。ギガゾンビを何とかする。
【カズマ@スクライド】
[状態]:疲労大、全身大程度の負傷(打身・裂傷・火傷)
気絶一歩手前だが気力で抑え込んでいる。いつ倒れてもおかしくはない。
[装備]:なし
[道具]:高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
のろいウサギ@魔法少女リリカルなのはA's、支給品一式
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、ボディブレード@クレヨンしんちゃん
[思考・状況]
1:病院に着いたら、とりあえず休みたい
2:なのはが心配というわけではないが、ヴィータの名前を刻んだこともあるし子供とタヌキを守る。
3:かなみと鶴屋を殺した奴とか劉鳳とかギガゾンビとか甲冑女とかもう全員まとめてぶっ飛ばす。
【D-3南東 1日目・夕方(放送直前)】
【ぶりぶりざえもん@クレヨンしんちゃん】
[状態]:頭部にたんこぶ、ヤマトとの友情の芽生え、正義に対する目覚め
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:鳳凰寺風、高町なのはを捜して病院(太一たちのもと)へ連れて行く
2:ヤマトたちとの合流。
3:救いのヒーローとしてギガゾンビを打倒する。
基本:困っている人を探し、救いのヒーローとしておたすけする。
※E-3に、取り乱したドラえもんがばら撒いた支給品一式(一人分)が散らばっています。
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|191:[[これがあたし達の全力全開]]|ドラえもん|208:[[最悪の/最高の脚本]]|
|191:[[これがあたし達の全力全開]]|カズマ|208:[[最悪の/最高の脚本]]|
|187:[[「救いのヒーロー」(後編)]]|ぶりぶりざえもん|212:[[正義×正義]]|
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