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「強者の資格たる欠損」(2021/10/12 (火) 05:04:35) の最新版変更点
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*強者の資格たる欠損 ◆pIrIQ8gGz.
◆
宵の蒼を経て夜の黒に染まった学校の中から、幾つもの音が聞こえる。
割り砕かれる石材の悲鳴。
踏み込みが大地を打ち据える音。
幾度と無く響くそれは、着実に変化していく。
割り砕くのではなく斬り裂くように。
打ち据えるのではなく、ただ最小限の力で叩くように。
隻腕の剣士は、左腕の虚無に早くも順応しつつあった。
◆
放送に流れた名前。その中に剣の英霊が入っていない事に安堵した。
禁止区域とやらは地図に記しておく。
日が沈むまでのささやかな休息。それによって回復した体力は鍛錬に充てる。
たとえ強者と出会ったとしても、自身が弱者では意味が無い。
物干し竿、或いはそれに類する長刀なら片腕でも問題なく振るえるが、この大剣では無理がある。
自らの剣技に固執するなら短刀や鉈という選択もあったが、どちらにしろあまりに短い。
結論。得手とする長刀に近い戦力を発揮できるのは、この大剣である。
よって、再びこの鉄塊を選んだ。
だが、自らの腕力ではこれを操るのは難しい。
技巧によって自在に振るえていたのも左腕があればこそ。
新たな方法を模索する必要があった。
自らの剣技は元より邪剣。本来為し得ぬ事こそを為す異形の業。
ならば、この剣を片手で扱う技を得ることも出来よう。
左腕の損失による重心の狂い、そして剣の重量に試行錯誤を重ねる事一時間余り。
おおよその感覚は掴んだ。
簡単な話。
左腕が落ちたのならば、左腕以外の部分で剣を振るえば良い。それだけだ。
全身を連動させ遠心力を最大限に利用し、重量に引き摺られるように前後左右へと身を跳ばす。
剣速は極力殺さず旋回、但し斬線は逃さない。
代償として動作は大振りとなり初速は落ち、燕返しなど撃てよう筈も無いが、これはこれで利点がある。
即ち―――間合いと威力。
跳躍するが故に斬撃半径は大きく、速度と遠心力が乗る分だけ威力は跳ね上がる。
そして何より―――この剣の特長が活きるのだ。
物干し竿に匹敵する長さと桁外れな重量、そして圧倒的な強度は、防護ごと力尽くで叩き斬るためのもの。
軽く身を捻り、構える。
さながら、鞘の無い居合いのように。
膝を曲げ身を沈め前傾姿勢。
―――標的たる石壁まで、物干し竿ならば三歩を要する。だが、
まずは爪先、そして足首膝腿腰腹背肩肘手首と動作を連ね、一気に振り抜く。
大気のみを斬り裂く黒い切先。
空振りだ。
構わない。この空隙はあくまで布石。
右脚を軸に半回転、弧を描いた左の足で地面を噛み更に半回転。
再び、剣先が前方へ。
「――――――ッ!!」
鋭く呼気。
一気に右脚を伸ばす。
剣の慣性に負け前方に流れる動きを助長。
その結果として生まれるのは―――跳躍だ。
燕じみた速度は、一瞬にして三歩の距離を消し飛ばす。
石壁へ一撃。斬線は正確に捉えた。故に、響く音はただ軽い。
そして速度を落とさない剣身、更に大地を踏み抜かんとする一足。
右へと跳ぶ体。空中で姿勢制御し地に突く足は屈曲によって衝撃を吸収、回転運動へと転化。
旋回する刃が庭木を両断。沈み撓んだ全身から、抑え込んだ莫大な運動量を解き放つように跳躍。
今度は背面へ。殺した距離は実に三間。豪風よりも強く疾風よりも速い、荒野にて吹き荒ぶ烈風の如き一閃。
――大地を叩く足、跳躍、斬撃。砕けることすら赦されない板硝子。
―――大地を叩く足、跳躍、斬撃。鋼の遊具を一挙に切断。
――――大地を叩く足、跳躍、斬撃。抵抗など皆無。
―――――隻腕の剣士は刃を振るう。強者と、存分に死合う為だけに。
――――――花鳥風月。
―――――――咲き誇る花を散らし、虚空舞う鳥を落とし、形無き風を断ち、上弦の月を穿つ。
――――――――彼にとって、あらゆるモノは斬る為だけに存在する。
―――――――――或いはそれは、この世界の中で最も純粋な想いだった。
◆
【A-2・校舎内/一日目/夜】
【佐々木小次郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(一度は回復しましたが、修行によって蓄積中)
右臀部に刺し傷(ほぼ完治)、左腕喪失(肘から先)、右腕に怪我
[装備]:ドラゴンころし
[道具]:コンバットナイフ、鉈、支給品一式2人分(水食料二食分消費)
[思考・状況]
1:この剣技に練熟する。
2:セイバーが治癒し終わるのを待ち、再戦。
3:ドラゴンころしの所持者を見つけ、戦う。
4:物干し竿を見つける。
基本:兵(つわもの)と死合いたい。戦闘不能と判断した者は無視。
※ソロモン、圭一、レナの死体は草むらに隠されてます。
※蒼星石のローザミスティカは尚も光り輝いています。しかし誰かの元へは向かいません。
※佐々木小次郎の左腕(肘から先)はB-4エリア内に放置されています。
*時系列順で読む
Back:[[第三回放送]] Next:[[【背中で泣いてる 男の美学】]]
*投下順で読む
Back:[[第三回放送]] Next:[[【背中で泣いてる 男の美学】]]
|185:[[どうしようか]]|佐々木小次郎|216:[[此方の岸]]|
*強者の資格たる欠損 ◆pIrIQ8gGz.
◆
宵の蒼を経て夜の黒に染まった学校の中から、幾つもの音が聞こえる。
割り砕かれる石材の悲鳴。
踏み込みが大地を打ち据える音。
幾度と無く響くそれは、着実に変化していく。
割り砕くのではなく斬り裂くように。
打ち据えるのではなく、ただ最小限の力で叩くように。
隻腕の剣士は、左腕の虚無に早くも順応しつつあった。
◆
放送に流れた名前。その中に剣の英霊が入っていない事に安堵した。
禁止区域とやらは地図に記しておく。
日が沈むまでのささやかな休息。それによって回復した体力は鍛錬に充てる。
たとえ強者と出会ったとしても、自身が弱者では意味が無い。
物干し竿、或いはそれに類する長刀なら片腕でも問題なく振るえるが、この大剣では無理がある。
自らの剣技に固執するなら短刀や鉈という選択もあったが、どちらにしろあまりに短い。
結論。得手とする長刀に近い戦力を発揮できるのは、この大剣である。
よって、再びこの鉄塊を選んだ。
だが、自らの腕力ではこれを操るのは難しい。
技巧によって自在に振るえていたのも左腕があればこそ。
新たな方法を模索する必要があった。
自らの剣技は元より邪剣。本来為し得ぬ事こそを為す異形の業。
ならば、この剣を片手で扱う技を得ることも出来よう。
左腕の損失による重心の狂い、そして剣の重量に試行錯誤を重ねる事一時間余り。
おおよその感覚は掴んだ。
簡単な話。
左腕が落ちたのならば、左腕以外の部分で剣を振るえば良い。それだけだ。
全身を連動させ遠心力を最大限に利用し、重量に引き摺られるように前後左右へと身を跳ばす。
剣速は極力殺さず旋回、但し斬線は逃さない。
代償として動作は大振りとなり初速は落ち、燕返しなど撃てよう筈も無いが、これはこれで利点がある。
即ち―――間合いと威力。
跳躍するが故に斬撃半径は大きく、速度と遠心力が乗る分だけ威力は跳ね上がる。
そして何より―――この剣の特長が活きるのだ。
物干し竿に匹敵する長さと桁外れな重量、そして圧倒的な強度は、防護ごと力尽くで叩き斬るためのもの。
軽く身を捻り、構える。
さながら、鞘の無い居合いのように。
膝を曲げ身を沈め前傾姿勢。
―――標的たる石壁まで、物干し竿ならば三歩を要する。だが、
まずは爪先、そして足首膝腿腰腹背肩肘手首と動作を連ね、一気に振り抜く。
大気のみを斬り裂く黒い切先。
空振りだ。
構わない。この空隙はあくまで布石。
右脚を軸に半回転、弧を描いた左の足で地面を噛み更に半回転。
再び、剣先が前方へ。
「――――――ッ!!」
鋭く呼気。
一気に右脚を伸ばす。
剣の慣性に負け前方に流れる動きを助長。
その結果として生まれるのは―――跳躍だ。
燕じみた速度は、一瞬にして三歩の距離を消し飛ばす。
石壁へ一撃。斬線は正確に捉えた。故に、響く音はただ軽い。
そして速度を落とさない剣身、更に大地を踏み抜かんとする一足。
右へと跳ぶ体。空中で姿勢制御し地に突く足は屈曲によって衝撃を吸収、回転運動へと転化。
旋回する刃が庭木を両断。沈み撓んだ全身から、抑え込んだ莫大な運動量を解き放つように跳躍。
今度は背面へ。殺した距離は実に三間。豪風よりも強く疾風よりも速い、荒野にて吹き荒ぶ烈風の如き一閃。
――大地を叩く足、跳躍、斬撃。砕けることすら赦されない板硝子。
―――大地を叩く足、跳躍、斬撃。鋼の遊具を一挙に切断。
――――大地を叩く足、跳躍、斬撃。抵抗など皆無。
―――――隻腕の剣士は刃を振るう。強者と、存分に死合う為だけに。
――――――花鳥風月。
―――――――咲き誇る花を散らし、虚空舞う鳥を落とし、形無き風を断ち、上弦の月を穿つ。
――――――――彼にとって、あらゆるモノは斬る為だけに存在する。
―――――――――或いはそれは、この世界の中で最も純粋な想いだった。
◆
【A-2・校舎内/一日目/夜】
【佐々木小次郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(一度は回復しましたが、修行によって蓄積中)
右臀部に刺し傷(ほぼ完治)、左腕喪失(肘から先)、右腕に怪我
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:コンバットナイフ、鉈、支給品一式2人分(水食料二食分消費)
[思考・状況]
1:この剣技に練熟する。
2:セイバーが治癒し終わるのを待ち、再戦。
3:ドラゴンころしの所持者を見つけ、戦う。
4:物干し竿を見つける。
基本:兵(つわもの)と死合いたい。戦闘不能と判断した者は無視。
※ソロモン、圭一、レナの死体は草むらに隠されてます。
※蒼星石のローザミスティカは尚も光り輝いています。しかし誰かの下へは向かいません。
※佐々木小次郎の左腕(肘から先)はB-4エリア内に放置されています。
*時系列順で読む
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