「以心電信」(2021/11/13 (土) 20:43:25) の最新版変更点
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*以心電信 ◆lbhhgwAtQE
「な、何だありゃ……」
「何という事だ……」
ジャイアン少年の頼みを受けて、喋る人形の翠星石探しを始めることになった俺達3人が捜索の為に立ち寄ったレジャービル。
その屋上で俺達が見たのは思わず目を疑ってしまうような光景だった。
「な、なぁ、キョン兄ちゃん。あれってホテルだよな……」
「言うな、少年。俺も今、何が起こってるのか整理しているところだ」
目の前に見えたのは、市街地でもひときわ目立っていたはずの高層建築。
だが、それは何があったのか知らないが俺達の目の前から消え去っていたのだ。
正確に言うと、薄暗い下の方を見ると何やら瓦礫のような山が見えないでもない。
――ま、要するに倒壊したのだろう。
では、あんな見た感じ堅牢そうな建物が何故崩壊してる? ホワイ?
そんな自問をしていてまっさきに思い出したのは、あの大震災の記憶。
絶対に壊れることが無いと思っていたビルが次々と崩れ、堅牢そうに見えた高速道路の高架が横倒しになり、多くの人が犠牲になった忘れもしない記憶……。
あの時のような巨大な地震があれば、鉄筋コンクリート造のビルだって崩壊するだろう。
しかし、だとしたら俺達にもその揺れが伝わっているはず。よってこの案は却下だ。
そして、次に思いつくのは爆弾等による意図的破壊。
ニュースでやる海外の発破解体や飛行機で突っ込む自爆テロみたいなやりかたをすれば、局地的に建物を崩壊させることが出来る。
天災を原因とするよりもよっぽど現実味のある案だ。
だが、もしそうだとすると…………。
「あっちでは、ビルを壊せるだけの力、もしくは武器を持った奴が暴れてるってことか? そうなのか、おい」
ここに至るまでにバカみたいに強い西洋騎士やらバカみたいに叫びながら殴りあう男達やらを見てきたわけだし、
あそこにその類のトンデモ人間がいても全くおかしくない。
――というか、プラスチック爆弾やら大砲やらが支給されてれば俺だって、ビル一つ壊すことくらい出来るかもしれない。
「翠星石…………まさかあいつ!!」
「お、おい! どうしたんだ、急に!」
俺は、いきなり何か思いついたように踵を返して階段の方へと向かうジャイアン少年を呼び止める。
すると、少年は焦ったような表情でこちらを向いて口を開く。
「あいつ……もしかしたらあの瓦礫の中にいるのかもしんない。だったら、急いで助け出してやんねぇと!!」
「いや、まだあそこにいるって決まったわけじゃないだろう」
と、立ち止まりながらも足踏みをし続けるジャイアン少年。
どうやら、見た目どおりに考えるよりも先に体が動くタイプのようだ。
……だが、今は無鉄砲に動けるような状況じゃないだろう。
まずは翠星石とやらが本当にホテルにいるのかどうかを確かめるのが先だ。
幸い、俺にはそれを調べられる手段があることだし。
「とりあえず落ち着け、少年。……まず、本当に翠星石があそこにいるのか、そして行動するのはホテルで何が起こってるのかを調べてからだ」
「し、調べるっていっても、そんな事できる訳が……」
「いや、不可能ってわけじゃないぞ。世の中には人類数千年の文明が生み出した便利な利器って物があってだなぁ――」
そう言いつつ、俺はデイパックからノートパソコンを取り出す。
「キョン殿……それは?」
「ノートパソコンっていう……まぁ、簡単に言ってしまうと色々出来る便利な道具です。情報収集も出来るくらい便利な、ね」
「では、その“のーとぱそこん”とやらのお陰で、キョン殿は聖上の死について知ったのですか?」
俺は黙って頷く。
ちなみに、放送を聞いたビルを出てここに来る途中でトウカさんにはハクオロという人が朝倉に殺されたという事実は喋っていた。
トウカさんはしきりにどうして俺がそんなことを知ってたのか疑問に思ってたようだが。
「とにかく、だ。
何の因果か、こいつは一部ネットに繋がってるみたいで、放送の度に死んだ奴らの名前やら禁止エリアの情報が更新されていくみたいだ。
それに加えて、誰かが俺たちの事実況してるみたいでな、誰がどうしたっていう情報も逐一書き込まれている」
「ネ、ネットってあれだろ? 電話線使って色んなこと調べる奴。……それで翠星石の居場所も分かるのか!?」
「ま、何もしないでがむしゃらに進むよりは有効だと思うぞ」
俺の言葉に、ジャイアン少年はようやく足踏みをやめた。
そして、静かに頷く。
「分かった。……それじゃ、早くそれを調べてみようよ」
「そうだな。――んじゃ、ちょっとこいつで試したいこともあるから、一旦1階まで降りるぞ」
「おう!」
落ち着きを取り戻した少年の姿を見て、一安心した俺は階段へと向かう。
レジャービルの階段を非常灯を頼りにひたすら下へ降りてゆく。
目指すは、1階の入口正面にあった総合カウンターだ。
行きがけにぱっと見ただけだったのだが、あそこには電話があった。
あそこの電話回線を使えば、この超局地的にしかネットと繋がってないノートパソコンを外部の広大なネットワークに接続できるのではないかと考えたのだ。
もしそれが実現すれば、両親なり警察なり自衛隊なり果ては国連にだって救助を要請できるかもしれない。
――そんな期待を胸に俺達は1階まで降り、電話の前にまで来たのだが…………。
「――って、モジュラージャックになってないのかよ……」
LANケーブルを出せとまで言っているのではない。
せめてモジュラージャックに対応していてほしかったのだが…………俺のささやかな期待はここで打ち砕かれた。
だが、そんな俺の軽いショックに背後の少年と時代錯誤な侍ガールが気付くはずもない。
「……どうなされたキョン殿?」
「翠星石がどこにいるのか早く調べようぜ!」
ま、仕方ないわな。
俺はノートパソコンを開くと電源を入れようとする。
だが、そんな時に限って横槍というものは入るようだ。
「……おや? 先客がいたのかい。そんじゃおじゃましますよ、っと」
入口のガラスドアが開く音が聞こえたかと思えば、聞こえてきたのはそんな渋い男の声。
俺が声のするほうを振り返ろうとすると、それよりも先にトウカさんが刀に手を当てて俺と少年の前に立った。
「某、エヴェンクルガのトウカと申す者。……そなたは何者か?」
「おいおい、五ェ門みたいな喋り方するお嬢ちゃんだな。……それにトウカって名前……」
「答えになっていないぞ! 答えよ、そなたは何者だ!? ここにいる者を傷つけようとするなら、容赦は――」
警戒する気持ちは分かるがトウカさん、それはちょっと喧嘩腰過ぎないか?
いや、確かに俺も最初は首に包丁当てられたりしたから、これがトウカさんのやり方なのか?
すると、目の前の男は両手を上げて敵意が無いことを示してきた。
「降参だ降参。俺はこんな下らないゲームになんざ乗ってないよ。……これでいいんだろ、お嬢ちゃん」
「お、お嬢ちゃんではない! 某は誇り高きエヴェンクルガのトウカだ!」
「わ、悪かった悪かったって。……俺は次元大介だ。よろしくな」
次元と名乗ったその男は、少しよれたダークスーツを身に纏い、黒い帽子で目を隠した…………そんな一見悪人な感じの男だった。
だがゲームに乗ってない以上、ここでは敵ではないという事になる。
それに名乗られた以上、こっちも名前を言わないと心象が悪くなるだろうな。
「……キョンだ。言っておくが本名じゃないぞ? 何故か知らんがこの名前で名簿には載ってる」
「俺、剛田武」
「キョンに武、か。――っておいおい、これまた都合よく……」
俺達の顔を見て、次元さんは驚いたような表情を(目が隠れてたので本当にそうかは分からないが)した。
「……お前達、涼宮ハルヒに長門有希、それにアルルゥって奴らと知り合いだな」
――今、何と言った?
次元さんはハルヒと長門の名前を口にしなかったか?
「お、おい。どうしてハルヒと長門の名前を……」
「アルルゥ殿の事を知ってるのか!?」
俺とトウカさんは次元さんに詰め寄る。
すると、次元さんは静かに頷いた。
「ま、ここに来る途中にちょっと会ってな。……伝言を頼まれてる」
「伝言……だって?」
「あぁ。ま、すぐにそれを伝えてもいいんだけどよ、その前に…………」
次元さんはそう言いながら、ジャイアン少年の方を向いた。
「ちょっくら、そこのボウズに聞きたいことがある。……この糞ったれなゲームを考えたギガゾンビの野郎についてな」
どうやら次元さんはギガゾンビを見つけ出して倒す手段を探しているらしい。
そして、その為にはギガゾンビについての情報が必要と考え、そのギガゾンビと面識があるであろう青狸とその仲間を探していたそうだ。
――言われてみれば、確かにこのジャイアン少年、あの時見せしめに殺された少女のそばに立っていた気がする。
あの時、それどころじゃなかった俺に比べて、どうやらこの次元さんはどんな状況でも冷静でいられるらしい。
「――ってなわけでよ、あの野郎について何か分かってる事があったら、俺に教えてくれ。
それがそいつをここに引き摺り下ろす糸口になるかもしれないからな」
「……それで、キョン兄ちゃんとトウカ姉ちゃんの友達の伝言を教えてくれるんだな?」
「あぁ。男に二言はねぇ。――それにそこの姉ちゃんがいる限り嘘なんざつけそうにねぇよ」
ちらりとトウカさんを見やり、次元さんは苦笑する。
「……分かった。俺が知る限りで教えてやるよ。……俺もあいつはギッタギタにしないと気がすまないしな」
すると、ジャイアン少年は一呼吸置いて喋りだした。
ギガゾンビについてのその正体についてを――
俺達の為に手を……いや口を煩わせてもらってすまんな、少年よ。
「――っていうわけで、俺達はギガゾンビを倒したんだよ」
要領を得ない喋りや脱線が多かったものの、何とかジャイアン少年によるギガゾンビ講釈は終わった。
――で、纏めるとだ。
まず、それっぽい言葉から推測していたギガゾンビが未来から来たという推測はどうやらアタリのようだ。
どうやらあいつは、過去の世界で未来の道具を使って世界を支配していた時間犯罪者であるらしい。
……まったく、未来から来たのに謙虚に俺達の時代で生きていた朝比奈さんの爪の垢を煎じて一万回ほど飲ませてやりたいぜ。
そして、肝心のギガゾンビの打倒法だが、最終的にはタイムパトロールという時間に関する警察組織とやらが助けに来てくれ、それによりあいつは逮捕されたようだ。
勿論、ジャイアン少年らによる必死の抵抗が功を奏したのは言うまでもないが。
「なるほど。するってぇと、そのタイムパトロールとやらに通報する事があいつを何とかする為の近道になるってこった」
「う、うん。そうだと思う……」
「警察に通報ねぇ……人に頼るって方法が気に食わないが、あちらさんがどこに隠れてるか分からん現状だと、それが手っ取り早いっちゃ手っ取り早いな……」
通報か……。
こいつがSOS団ホームページ以外の外の世界のページに繋がりゃ、すぐにでもするんだけどな。
そういえば、俺がさっき送ったメールはちゃんと届いてるのだろうか。
もし、古泉のアホがあれを読んでくれれば、機関とやらが対処法を考えてくれるかもしれないし、もしかしたら朝比奈さん(大)の耳に届くかもしれない。
古泉の機関が何とか出来なくても、未来人の朝比奈さん(大)ならば可能性は……。
いやいや、でも待て。
こっちにいる朝比奈さん(小)が死んでしまった今、彼女は存在するのか?
これはいわゆる親殺しのタイムパラドックスとやらに相当するのではないか?
――って、ここで色々考えていてもどうにもならんよな。
とにかく今はあのメールに賭けるしかない。
「話は終わったか、次元殿? ならば……」
「ん? あぁ、そうだな。そろそろ…………と悪いな、手当てしてもらってよ」
次元さんは脇腹を負傷していた。
それは血の滲む布を見ても一目瞭然だ。
――そして、ジャイアン少年の話を聞いている間、トウカさんが巻かれた布を交換していたのだ。
「怪我をしている者を見過ごすほど某は腐っていない。――って、それよりもアルルゥ殿は無事なのか!? それで某に何と!?」
「落ち着いてくれ、嬢ちゃん。そうせかさなくても話すからよ。俺があいつらと出会ったのは――――」
ハルヒと長門それにアルルゥという少女は現在、トグサという警察の人らとともに軍用トラック乗って行動しているらしい。
次元さんが見たところ、ハルヒは頭に包帯を、長門は腕に添え木をしていたという。
……あいつら、一体どんな無茶をしたって言うんだ。
しかし、そんな怪我をしておいて、俺に「死んだら死刑」などと矛盾にも程があることを言うあたりがあいつらしいな……。
まぁ、元気そうだったって話だから、何はともあれ良かったが。
トウカさんも探していた少女の片割れが元気にしていると聞いて、安堵の溜息をついていた。
「……それじゃ、ハルヒ達は今のところ、そのトグサさんっていう人に保護されているということでいいんですね?」
「あの後、何も起こってなければな。……今頃は映画館で休憩でもしてるんじゃないか?」
「映画館……」
今朝方通過してきた場所ではないか。
……何というすれ違いだ。こんな時に限っていい方に働かない俺の運を今日はいつもより多めに恨む。
「今から行っても遅くはないかもな。……ハルヒって嬢ちゃん、お前さんの事凄く心配してたぞ?」
あのハルヒが?
俺を奴隷か何かのようにコキ使いまわしてくれちゃったりしてくれるあのハルヒが、俺の心配を?
これは、明日は大雨だろうか――――と冗談はさておき。
今、俺は岐路に立たされたわけだ。
今すぐ映画館に向かってハルヒや長門と合流するか、ここにいるジャイアン少年の人探しを続行するか。
……いや、岐路と言うほどのものではないか。
俺の中では既に答えは出ていたのだから。
「トウカさん……ハルヒや長門、それにアルルゥって子は信頼できる人の下にいるようです。ですから……」
「ですから武殿の人探しを続ける――そう申されるのですね?」
「あ、あぁ。……やっぱり行きたいですか? 映画館へ」
すると、トウカさんは首を横に振った。
「キョン殿が残るのであれば、某もそれに従うまで。……それに一度交わした約束を反故にするのは武人として恥ずべき事。
アルルゥ殿が無事でいることが確認できた今は、武殿の人探しを手伝い続けるべきだと思っております」
そう言うトウカさんの顔は凛としていた。
――というわけで、方針が決まったところで、今度はジャイアン少年の方を向く。
「ま、そういうわけでだ。待たせたな、翠星石探しは続行だ少年」
「キョ、キョン兄ちゃん!! キョン兄ちゃんはやっぱり心の友だぁぁ!!!」
って待て! だからその抱きつきは危険なんだって!!
……とか言いつつも、俺はまたも少年の抱きつきの餌食になる。学習能力を身に付けようぜ、俺。
「そ、そろそろ離してくれ…………。俺はか弱い男子学生なんだ。そんな丈夫には………………ん?」
カウンターに寄りかかって抱きつきから離れようとしていた俺の目に、ふと例の電話が映った。
電話……………………そうか!
「――うわっ! キョン兄ちゃんどうしたんだ!?」
「キョン殿……?」
俺は体をひねってジャイアン少年のホールディングから離脱すると即座にカウンターを飛び越えて電話の受話器に手をかける。
「……悪いが、少年。あともう少し待ってくれないか」
「……え? それって……」
「次元さん。あんた、確かさっきハルヒ達は映画館にいるだろうっていたよな?」
俺の問いに次元さんは首肯する。
「あぁ。あの後、無事に到着して、何事も無かったらな」
その答えが聞ければ十分だ。
俺は、電話の横に置かれていた“主要施設電話番号一覧”を指でなぞり、映画館の番号を確認する。
「キョン殿……一体何を?」
「電話ですよ、電話。俺達が直接行ってやることはできませんが、電話で声でだけでも直接伝えるくらいのことはしてやらないと」
どんな理由で、あのギガゾンビが電話を設置したのかわからないが、こんな形で役立つとは。
俺は、一覧に書かれていた番号をしっかりとプッシュしていった。
俺が番号をプッシュし終えると、コール音が鳴りはじめた。
そして、コール音が聞こえる中、俺は心の中で「頼む、通じてくれ」と何度も唱える。
――すると、その願いが通じたのか、ついに不意にコール音が途切れ、人の声がした。
『……はい、もしもし』
通じた! ハルヒや長門のものではない男の声だったが、とにかく通じた!
俺の心臓が大きく跳ねた……気がした。
「も、もしもし。えっと、そちらは映画館でしょうか?」
『あ、あぁ。確かに映画館だ。そっちはどこからかけてる? で、君は何者だ?』
「えっとレジャービルです。俺は名簿だとキョンって書かれてる参加者です」
『ふむ、キョンか。遅れたが俺はトグサだ。この馬鹿げたゲームには乗っていない。そっちもか?』
俺は、その問いに短い返事で肯定の意を示す。
どうやら、電話越しにも男前な声を出すこの人がハルヒ達を保護しているというトグサさんらしい。
『そうか。――で、君はどうしてここに電話を? 仲間を探す為に虱潰しに各施設に電話をかけてるのか?』
「いえ、実は――」
俺はトグサさんに俺が次元さんと出会い、そこにハルヒ達がいる事を聞いたという旨を伝える。
するとトグサさんは納得したように返事をする。
『なるほど。それで、声を聞こうとここに電話を』
「はい。……それで、そのハルヒは……」
『元気にしてるよ。すぐにでも代わってやりたいが――――その前に一つ聞きたいことがある』
――またか。
次元さんといい、何で今日はこうも勿体ぶられるんだ。
『君のいるレジャービルから見て、ホテルは大分近い位置にあると思うが何か変わった動きはあるかい?
そこに俺の仲間がいるはずなのだが……』
ホテルっていうと、あったはずなのについさっき見たら瓦礫の山に大変身していたあのホテルか?
――って他にホテルって名前の建物が地図には書かれてない以上、あれがここにおける唯一無二のホテルってことだよな。
何を考えてるんだ一体……。
俺は、屋上から見たままの状況を報告してやった。
それを聞いてトグサさんは唖然としているようだった。……が、次の瞬間には口を開いていた。
『……そうか。情報提供ありがとう。それじゃ、ハルヒと長門を呼んでくるから少し待っててくれ』
そう言うと、トグサさんはどうやら受話器を置いたようだ。
そして、それからすぐに受話器越しにこちらに何かが向かってくる足音が聞こえてきて――
『キョン! キョンなのよね、あんた!』
いやはや、なんとも懐かしい団長様の声がいきなり俺の耳に痛いくらいに飛び込んできた。
「ハルヒ、元気か? 何か怪我したって聞いたが……」
『こんなの大した事ないって! それよりもあんたは無事なの?』
「あぁ。色々あったが問題ないさ。何とか無事に生きてる」
ハルヒに言われて思い出したが、本当に色々あったよな……。
それでも生きてる俺ってもしかして意外と強運の持ち主だったりするのか?
そして俺の答えに、ハルヒは安堵したような声を出す。
『そう、良かった……。――あ、それじゃ有希にも代わるわね!』
場所がどこだろうと相変わらずのハイテンションぶりだ。……ま、それがあいつのいいところなのだろうが。
『……電話を代わった』
こいつも相変わらずのローテンションだことで。
「おぅ、久しぶりだな。……で、無事か? 骨折ったっぽいが」
『問題ない。回復には時間を要するが、自然治癒可能なレベル』
「……そうか、それはよか――いや、よくないか。骨折だもんな……」
『現在は体力の温存に専念している。私も涼宮ハルヒも徐々にだけど回復の傾向にある。……心配しなくていい』
長門に言われると何故か安心感があるような気がするのは俺だけか?
「……ま、声を聞く分には大丈夫そうだな。――と、そうだ。そっちにアルルゥって子がいるだろ?
こっちにその子の知り合いのトウカさんっていう人がいるんだ。話をさせてやりたいから代わってくれないか?」
『分かった…………』
それだけ言うと受話器が再びどこかに置かれたようだ。
遠くから、ハルヒがアルちゃんアルちゃんと叫ぶ声が聞こえる。
すると俺も受話器から顔を離し、それを目をぱちくりとさせるトウカさんへと渡した。
「……キョン殿、さきほどなら独り言を言っていたようだがこれは一体……」
「いや、これは電話といってですね、要するに離れた場所にいる人と会話できる道具なんです。
これを使えばアルルゥさんの声が聞こえてくるはずですよ」
「あ、アルルゥ殿が!? ぜ、是非貸してくだされ!!」
俺の言葉を聞いた途端に受話器をひったくるように奪うトウカさん。
……だけどそれ、持ち方逆です。
俺がそれを言うと、いつもどおり「某としたことが!」と言いながら持ち直す。
すると、すぐにトウカさんの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「ア、アルルゥ殿! 無事でしたか!? 某……某はアルルゥ殿が無事かどうかばかりが気になっていた次第で……」
嬉しそうな、それでいて涙ぐむような声でトウカさんは喋り続ける。
そして、それが終わると俺に受話器を返してきた。
「……かたじけない。このような機会を設けてもらって」
「いや、無事なことが確かめられたなら何よりですよ。……さてと、誰が今は受話器の向こうに――」
『こぅら! キョン! 返事しなさいってばキョン!!!』
受話器に耳を当てるなり大声は勘弁してください。鼓膜の振動が痛いです。
「聞こえてるさ。……だから、んな大声はよせ」
『そんなことよりも! ――で、あんたはいつこっちに来れるの? 一時間後? それとも二時間後?
トグサさんに頼んで、出来るだけ長くここで待てるように頼むからトウカさんって人と一緒に早く――』
「悪い。俺達はまだそっちに行けそうにない」
『……え? それってどういう……』
「こっちでの用事が残ってるんだ。それが終わるまではそっちには行けないって事だ」
『用事って……そんな! 今度はいつ声聞けるか分からないのよ! それなのにどうし――あ、有希、何してるの! 返してってば!』
受話器越しに何やらハルヒの声が遠くなっていく。
そして、その代わりに聞こえてきたのは……。
『電話を代わった。……こちらにまだ来れないのは決定事項?』
「ん? まぁ、まだ時間がかかりそうだな」
『……そう』
高揚するハルヒの声を聞いた後だからか、長門の声の落ち着き振りが妙に浮いて聞こえる。
「ま、用事が済んだら、そっちに行きたいとは思うけどな。――で、お前らはこの後、どっちの方に行く気だ?」
『まだ分からない。……だけど、移動することが決まったら移動先を留守番電話でそのレジャービル宛に残しておく』
「だがな、そんなことして他のやつがそれを聞いたら……」
『問題ない。他の人には分からないように別の言葉に置き換えて伝言する』
――長門曰く、移動する際はその移動する方角を真逆にして伝えるそうだ。
北へ行くつもりなら“南へ”、東へ行くつもりなら“西へ”といった要領で。
たしかにこれなら、誰かに聞かれてもバレないだろうな。
「……分かった。それじゃ、そろそろ切るぞ」
『……そう』
「ハルヒ達の事、頼んだぞ」
『……任せて』
何度も言うが、今回ばかりはこいつの冷静な声がこれほど頼もしく思えたことはない。
俺はあいつらの無事を祈りつつ、受話器を置いた。
さて、電話も終わったし、そろそろ本題に入るとするか。
「……長らく待たせたな、少年。ついにこいつの出番が来たようだ」
「お、おう! そうだよ、早く見てみようぜ!」
俺は、ジャイアン少年の声にせかされ、開いていたノートパソコンの電源を入れる。
すると次元さんがそのパソコンを後ろから覗き見てきた。
「――お、こいつはどうしたんだ? 支給品か?」
「えぇ。――とは言っても誰かの遺品みたいですが」
そう言ってる間に、画面はたちまち例の趣味の悪い土偶壁紙のデスクトップに変わる。
俺はポインタを動かし、インターネットのブラウザを開く。
「……おい、ネットと繋がってるってことは、外と連絡が――」
「いや、これとんでもないローカルネットワークみたいでして、全然外のホームページと繋がらないんです」
繋がるのがギガゾンビ様ホームページとツチダマ掲示板、それに我らがSOS団のページだけというのだからお笑い草だ。
だが、今必要な情報はその僅かに開かれたネットワークで十分回収できる。
俺はSOS団のページを開くと、すぐにツチダマ掲示板へと移動する。
そこで俺達が見た内容は――――――
【D-5・レジャービル/1日日・夜中】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:全身各所に擦り傷、ギガゾンビと殺人者に怒り、強い決意
[装備]:バールのようなもの、わすれろ草@ドラえもん、ころばし屋&円硬貨数枚@ドラえもん
[道具]:支給品一式×4(食料一食分消費)、キートンの大学の名刺、ロープ、ノートパソコン
[思考・状況]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:武の翠星石探しに協力してやる。
2:1を行うに際して、掲示板をひとまず調べる。
3:1が終わり次第、ハルヒらの下へ急行する。
4:『射手座の日』に関する情報収集。
5:トウカと共にトウカ、君島、しんのすけの知り合いを捜索する。
6:アーカードを警戒する。
7:あれ? そういえばカズマってどこかで聞いたような……
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照ということで
【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、額にこぶ
[装備]:物干し竿@Fate/stay night
[道具]:支給品一式(食料一食分消費)、出刃包丁(折れた状態)@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
基本:無用な殺生はしない
1:武の翠星石探しに協力する。
2:1の後、直ちにアルルゥの下へ。
3:キョンと共に君島、しんのすけの知り合い及びエルルゥを捜索する。
4:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョンと武を守り通す。
5:ハクオロへの忠義を貫き通すべく、エルルゥとアルルゥを見つけ次第守り通す。
【剛田武@ドラえもん】
[状態]:健康 仲間の分裂に強い後悔、額にこぶ、焦り
[装備]:虎竹刀@Fate/stay night、強力うちわ「風神」@ドラえもん
[道具]:支給品一式、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に
ジャイアンシチュー(2リットルペットボトルに入れてます)@ドラえもん
シュールストレミング一缶、缶切り
[思考・状況]
1:翠星石が非常に心配。キョン達と共に一刻も早く探し出し、落ち着かせる。梨花の件についての理由も聞きたい。
2:翠星石の手がかりを探す為に掲示板を調べる。
3:手遅れになる前に、のび太とドラえもんを見つける。
4:逃げた魅音もかなり心配。必ず探し出し、守る。
基本:誰も殺したくない
最終:ギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやる
【次元大介@ルパン三世】
[状態]:疲労/脇腹に怪我(手当て済み、ただし傷口は閉じていない)
[装備]:朝倉涼子のコンバットナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱/454カスール カスタムオート(残弾:7/7発)@HELLSING
[道具]:デイバッグ(+3)/支給品一式(×4)(-2食)/13mm爆裂鉄鋼弾(34発)@HELLSING
レイピア/ハリセン/ボロボロの拡声器(使用可)/望遠鏡/双眼鏡
蒼星石の亡骸(首輪つき)/リボン/ナイフを背負う紐/蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン
トグサの考察メモ/トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ
[思考]
基本:1.女子供は相手にしないが、それ以外には容赦しない。
基本:2.できるだけ多くの人間が脱出できるよう考えてみるか……
1:休息しつつ、掲示板の様子を見てみる。
2:その後、拡声器を使ってみるか検討する。
3:アルルゥ、トグサ、ヤマトの知り合いに会えたら伝言を伝える。
4:ルパンの仇=ピンクの髪の女(シグナム)を殺す。
5:引き続き、殺された少女(静香)の友達と青い狸を探す。
6:圭一と蒼星石の知り合いを探す。(※蒼星石の遺体は丁重に扱う)
7:ギガゾンビの野郎を殺し、くそったれゲームを終わらせる。
8:翠星石って確か蒼星石の双子の姉さんとか言ってたよな……。どうするか……。
[備考]
トグサとの情報交換により、
『ピンク髪に甲冑の弓使い(シグナム)』『赤いコスプレ東洋人少女(カレイドルビー)』
『羽根の生えた黒い人形(水銀燈)』『金髪青服の剣士(セイバー)』
を危険人物と認識しました。
*時系列順で読む
Back:[[此方の岸]] Next:[[I believe you]]
*投下順で読む
Back:[[此方の岸]] Next:[[I believe you]]
|209:[[苦労人]]|キョン|226:[[仲間を探して]]|
|209:[[苦労人]]|トウカ|226:[[仲間を探して]]|
|209:[[苦労人]]|剛田武|226:[[仲間を探して]]|
|206:[[【背中で泣いてる 男の美学】]]|次元大介|226:[[仲間を探して]]|
*以心電信 ◆lbhhgwAtQE
「な、何だありゃ……」
「何という事だ……」
ジャイアン少年の頼みを受けて、喋る人形の翠星石探しを始めることになった俺達3人が捜索の為に立ち寄ったレジャービル。
その屋上で俺達が見たのは思わず目を疑ってしまうような光景だった。
「な、なぁ、キョン兄ちゃん。あれってホテルだよな……」
「言うな、少年。俺も今、何が起こってるのか整理しているところだ」
目の前に見えたのは、市街地でもひときわ目立っていたはずの高層建築。
だが、それは何があったのか知らないが俺達の目の前から消え去っていたのだ。
正確に言うと、薄暗い下の方を見ると何やら瓦礫のような山が見えないでもない。
――ま、要するに倒壊したのだろう。
では、あんな見た感じ堅牢そうな建物が何故崩壊してる? ホワイ?
そんな自問をしていてまっさきに思い出したのは、あの大震災の記憶。
絶対に壊れることが無いと思っていたビルが次々と崩れ、堅牢そうに見えた高速道路の高架が横倒しになり、多くの人が犠牲になった忘れもしない記憶……。
あの時のような巨大な地震があれば、鉄筋コンクリート造のビルだって崩壊するだろう。
しかし、だとしたら俺達にもその揺れが伝わっているはず。よってこの案は却下だ。
そして、次に思いつくのは爆弾等による意図的破壊。
ニュースでやる海外の発破解体や飛行機で突っ込む自爆テロみたいなやりかたをすれば、局地的に建物を崩壊させることが出来る。
天災を原因とするよりもよっぽど現実味のある案だ。
だが、もしそうだとすると…………。
「あっちでは、ビルを壊せるだけの力、もしくは武器を持った奴が暴れてるってことか? そうなのか、おい」
ここに至るまでにバカみたいに強い西洋騎士やらバカみたいに叫びながら殴りあう男達やらを見てきたわけだし、
あそこにその類のトンデモ人間がいても全くおかしくない。
――というか、プラスチック爆弾やら大砲やらが支給されてれば俺だって、ビル一つ壊すことくらい出来るかもしれない。
「翠星石…………まさかあいつ!!」
「お、おい! どうしたんだ、急に!」
俺は、いきなり何か思いついたように踵を返して階段の方へと向かうジャイアン少年を呼び止める。
すると、少年は焦ったような表情でこちらを向いて口を開く。
「あいつ……もしかしたらあの瓦礫の中にいるのかもしんない。だったら、急いで助け出してやんねぇと!!」
「いや、まだあそこにいるって決まったわけじゃないだろう」
と、立ち止まりながらも足踏みをし続けるジャイアン少年。
どうやら、見た目どおりに考えるよりも先に体が動くタイプのようだ。
……だが、今は無鉄砲に動けるような状況じゃないだろう。
まずは翠星石とやらが本当にホテルにいるのかどうかを確かめるのが先だ。
幸い、俺にはそれを調べられる手段があることだし。
「とりあえず落ち着け、少年。……まず、本当に翠星石があそこにいるのか、そして行動するのはホテルで何が起こってるのかを調べてからだ」
「し、調べるっていっても、そんな事できる訳が……」
「いや、不可能ってわけじゃないぞ。世の中には人類数千年の文明が生み出した便利な利器って物があってだなぁ――」
そう言いつつ、俺はデイパックからノートパソコンを取り出す。
「キョン殿……それは?」
「ノートパソコンっていう……まぁ、簡単に言ってしまうと色々出来る便利な道具です。情報収集も出来るくらい便利な、ね」
「では、その“のーとぱそこん”とやらのお陰で、キョン殿は聖上の死について知ったのですか?」
俺は黙って頷く。
ちなみに、放送を聞いたビルを出てここに来る途中でトウカさんにはハクオロという人が朝倉に殺されたという事実は喋っていた。
トウカさんはしきりにどうして俺がそんなことを知ってたのか疑問に思ってたようだが。
「とにかく、だ。
何の因果か、こいつは一部ネットに繋がってるみたいで、放送の度に死んだ奴らの名前やら禁止エリアの情報が更新されていくみたいだ。
それに加えて、誰かが俺たちの事実況してるみたいでな、誰がどうしたっていう情報も逐一書き込まれている」
「ネ、ネットってあれだろ? 電話線使って色んなこと調べる奴。……それで翠星石の居場所も分かるのか!?」
「ま、何もしないでがむしゃらに進むよりは有効だと思うぞ」
俺の言葉に、ジャイアン少年はようやく足踏みをやめた。
そして、静かに頷く。
「分かった。……それじゃ、早くそれを調べてみようよ」
「そうだな。――んじゃ、ちょっとこいつで試したいこともあるから、一旦1階まで降りるぞ」
「おう!」
落ち着きを取り戻した少年の姿を見て、一安心した俺は階段へと向かう。
レジャービルの階段を非常灯を頼りにひたすら下へ降りてゆく。
目指すは、1階の入口正面にあった総合カウンターだ。
行きがけにぱっと見ただけだったのだが、あそこには電話があった。
あそこの電話回線を使えば、この超局地的にしかネットと繋がってないノートパソコンを外部の広大なネットワークに接続できるのではないかと考えたのだ。
もしそれが実現すれば、両親なり警察なり自衛隊なり果ては国連にだって救助を要請できるかもしれない。
――そんな期待を胸に俺達は1階まで降り、電話の前にまで来たのだが…………。
「――って、モジュラージャックになってないのかよ……」
LANケーブルを出せとまで言っているのではない。
せめてモジュラージャックに対応していてほしかったのだが…………俺のささやかな期待はここで打ち砕かれた。
だが、そんな俺の軽いショックに背後の少年と時代錯誤な侍ガールが気付くはずもない。
「……どうなされたキョン殿?」
「翠星石がどこにいるのか早く調べようぜ!」
ま、仕方ないわな。
俺はノートパソコンを開くと電源を入れようとする。
だが、そんな時に限って横槍というものは入るようだ。
「……おや? 先客がいたのかい。そんじゃおじゃましますよ、っと」
入口のガラスドアが開く音が聞こえたかと思えば、聞こえてきたのはそんな渋い男の声。
俺が声のするほうを振り返ろうとすると、それよりも先にトウカさんが刀に手を当てて俺と少年の前に立った。
「某、エヴェンクルガのトウカと申す者。……そなたは何者か?」
「おいおい、五ェ門みたいな喋り方するお嬢ちゃんだな。……それにトウカって名前……」
「答えになっていないぞ! 答えよ、そなたは何者だ!? ここにいる者を傷つけようとするなら、容赦は――」
警戒する気持ちは分かるがトウカさん、それはちょっと喧嘩腰過ぎないか?
いや、確かに俺も最初は首に包丁当てられたりしたから、これがトウカさんのやり方なのか?
すると、目の前の男は両手を上げて敵意が無いことを示してきた。
「降参だ降参。俺はこんな下らないゲームになんざ乗ってないよ。……これでいいんだろ、お嬢ちゃん」
「お、お嬢ちゃんではない! 某は誇り高きエヴェンクルガのトウカだ!」
「わ、悪かった悪かったって。……俺は次元大介だ。よろしくな」
次元と名乗ったその男は、少しよれたダークスーツを身に纏い、黒い帽子で目を隠した…………そんな一見悪人な感じの男だった。
だがゲームに乗ってない以上、ここでは敵ではないという事になる。
それに名乗られた以上、こっちも名前を言わないと心象が悪くなるだろうな。
「……キョンだ。言っておくが本名じゃないぞ? 何故か知らんがこの名前で名簿には載ってる」
「俺、剛田武」
「キョンに武、か。――っておいおい、これまた都合よく……」
俺達の顔を見て、次元さんは驚いたような表情を(目が隠れてたので本当にそうかは分からないが)した。
「……お前達、涼宮ハルヒに長門有希、それにアルルゥって奴らと知り合いだな」
――今、何と言った?
次元さんはハルヒと長門の名前を口にしなかったか?
「お、おい。どうしてハルヒと長門の名前を……」
「アルルゥ殿の事を知ってるのか!?」
俺とトウカさんは次元さんに詰め寄る。
すると、次元さんは静かに頷いた。
「ま、ここに来る途中にちょっと会ってな。……伝言を頼まれてる」
「伝言……だって?」
「あぁ。ま、すぐにそれを伝えてもいいんだけどよ、その前に…………」
次元さんはそう言いながら、ジャイアン少年の方を向いた。
「ちょっくら、そこのボウズに聞きたいことがある。……この糞ったれなゲームを考えたギガゾンビの野郎についてな」
どうやら次元さんはギガゾンビを見つけ出して倒す手段を探しているらしい。
そして、その為にはギガゾンビについての情報が必要と考え、そのギガゾンビと面識があるであろう青狸とその仲間を探していたそうだ。
――言われてみれば、確かにこのジャイアン少年、あの時見せしめに殺された少女のそばに立っていた気がする。
あの時、それどころじゃなかった俺に比べて、どうやらこの次元さんはどんな状況でも冷静でいられるらしい。
「――ってなわけでよ、あの野郎について何か分かってる事があったら、俺に教えてくれ。
それがそいつをここに引き摺り下ろす糸口になるかもしれないからな」
「……それで、キョン兄ちゃんとトウカ姉ちゃんの友達の伝言を教えてくれるんだな?」
「あぁ。男に二言はねぇ。――それにそこの姉ちゃんがいる限り嘘なんざつけそうにねぇよ」
ちらりとトウカさんを見やり、次元さんは苦笑する。
「……分かった。俺が知る限りで教えてやるよ。……俺もあいつはギッタギタにしないと気がすまないしな」
すると、ジャイアン少年は一呼吸置いて喋りだした。
ギガゾンビについてのその正体についてを――
俺達の為に手を……いや口を煩わせてもらってすまんな、少年よ。
「――っていうわけで、俺達はギガゾンビを倒したんだよ」
要領を得ない喋りや脱線が多かったものの、何とかジャイアン少年によるギガゾンビ講釈は終わった。
――で、纏めるとだ。
まず、それっぽい言葉から推測していたギガゾンビが未来から来たという推測はどうやらアタリのようだ。
どうやらあいつは、過去の世界で未来の道具を使って世界を支配していた時間犯罪者であるらしい。
……まったく、未来から来たのに謙虚に俺達の時代で生きていた朝比奈さんの爪の垢を煎じて一万回ほど飲ませてやりたいぜ。
そして、肝心のギガゾンビの打倒法だが、最終的にはタイムパトロールという時間に関する警察組織とやらが助けに来てくれ、それによりあいつは逮捕されたようだ。
勿論、ジャイアン少年らによる必死の抵抗が功を奏したのは言うまでもないが。
「なるほど。するってぇと、そのタイムパトロールとやらに通報する事があいつを何とかする為の近道になるってこった」
「う、うん。そうだと思う……」
「警察に通報ねぇ……人に頼るって方法が気に食わないが、あちらさんがどこに隠れてるか分からん現状だと、それが手っ取り早いっちゃ手っ取り早いな……」
通報か……。
こいつがSOS団ホームページ以外の外の世界のページに繋がりゃ、すぐにでもするんだけどな。
そういえば、俺がさっき送ったメールはちゃんと届いてるのだろうか。
もし、古泉のアホがあれを読んでくれれば、機関とやらが対処法を考えてくれるかもしれないし、もしかしたら朝比奈さん(大)の耳に届くかもしれない。
古泉の機関が何とか出来なくても、未来人の朝比奈さん(大)ならば可能性は……。
いやいや、でも待て。
こっちにいる朝比奈さん(小)が死んでしまった今、彼女は存在するのか?
これはいわゆる親殺しのタイムパラドックスとやらに相当するのではないか?
――って、ここで色々考えていてもどうにもならんよな。
とにかく今はあのメールに賭けるしかない。
「話は終わったか、次元殿? ならば……」
「ん? あぁ、そうだな。そろそろ…………と悪いな、手当てしてもらってよ」
次元さんは脇腹を負傷していた。
それは血の滲む布を見ても一目瞭然だ。
――そして、ジャイアン少年の話を聞いている間、トウカさんが巻かれた布を交換していたのだ。
「怪我をしている者を見過ごすほど某は腐っていない。――って、それよりもアルルゥ殿は無事なのか!? それで某に何と!?」
「落ち着いてくれ、嬢ちゃん。そうせかさなくても話すからよ。俺があいつらと出会ったのは――――」
ハルヒと長門それにアルルゥという少女は現在、トグサという警察の人らとともに軍用トラック乗って行動しているらしい。
次元さんが見たところ、ハルヒは頭に包帯を、長門は腕に添え木をしていたという。
……あいつら、一体どんな無茶をしたって言うんだ。
しかし、そんな怪我をしておいて、俺に「死んだら死刑」などと矛盾にも程があることを言うあたりがあいつらしいな……。
まぁ、元気そうだったって話だから、何はともあれ良かったが。
トウカさんも探していた少女の片割れが元気にしていると聞いて、安堵の溜息をついていた。
「……それじゃ、ハルヒ達は今のところ、そのトグサさんっていう人に保護されているということでいいんですね?」
「あの後、何も起こってなければな。……今頃は映画館で休憩でもしてるんじゃないか?」
「映画館……」
今朝方通過してきた場所ではないか。
……何というすれ違いだ。こんな時に限っていい方に働かない俺の運を今日はいつもより多めに恨む。
「今から行っても遅くはないかもな。……ハルヒって嬢ちゃん、お前さんの事凄く心配してたぞ?」
あのハルヒが?
俺を奴隷か何かのようにコキ使いまわしてくれちゃったりしてくれるあのハルヒが、俺の心配を?
これは、明日は大雨だろうか――――と冗談はさておき。
今、俺は岐路に立たされたわけだ。
今すぐ映画館に向かってハルヒや長門と合流するか、ここにいるジャイアン少年の人探しを続行するか。
……いや、岐路と言うほどのものではないか。
俺の中では既に答えは出ていたのだから。
「トウカさん……ハルヒや長門、それにアルルゥって子は信頼できる人の下にいるようです。ですから……」
「ですから武殿の人探しを続ける――そう申されるのですね?」
「あ、あぁ。……やっぱり行きたいですか? 映画館へ」
すると、トウカさんは首を横に振った。
「キョン殿が残るのであれば、某もそれに従うまで。……それに一度交わした約束を反故にするのは武人として恥ずべき事。
アルルゥ殿が無事でいることが確認できた今は、武殿の人探しを手伝い続けるべきだと思っております」
そう言うトウカさんの顔は凛としていた。
――というわけで、方針が決まったところで、今度はジャイアン少年の方を向く。
「ま、そういうわけでだ。待たせたな、翠星石探しは続行だ少年」
「キョ、キョン兄ちゃん!! キョン兄ちゃんはやっぱり心の友だぁぁ!!!」
って待て! だからその抱きつきは危険なんだって!!
……とか言いつつも、俺はまたも少年の抱きつきの餌食になる。学習能力を身に付けようぜ、俺。
「そ、そろそろ離してくれ…………。俺はか弱い男子学生なんだ。そんな丈夫には………………ん?」
カウンターに寄りかかって抱きつきから離れようとしていた俺の目に、ふと例の電話が映った。
電話……………………そうか!
「――うわっ! キョン兄ちゃんどうしたんだ!?」
「キョン殿……?」
俺は体をひねってジャイアン少年のホールディングから離脱すると即座にカウンターを飛び越えて電話の受話器に手をかける。
「……悪いが、少年。あともう少し待ってくれないか」
「……え? それって……」
「次元さん。あんた、確かさっきハルヒ達は映画館にいるだろうっていたよな?」
俺の問いに次元さんは首肯する。
「あぁ。あの後、無事に到着して、何事も無かったらな」
その答えが聞ければ十分だ。
俺は、電話の横に置かれていた“主要施設電話番号一覧”を指でなぞり、映画館の番号を確認する。
「キョン殿……一体何を?」
「電話ですよ、電話。俺達が直接行ってやることはできませんが、電話で声でだけでも直接伝えるくらいのことはしてやらないと」
どんな理由で、あのギガゾンビが電話を設置したのかわからないが、こんな形で役立つとは。
俺は、一覧に書かれていた番号をしっかりとプッシュしていった。
俺が番号をプッシュし終えると、コール音が鳴りはじめた。
そして、コール音が聞こえる中、俺は心の中で「頼む、通じてくれ」と何度も唱える。
――すると、その願いが通じたのか、ついに不意にコール音が途切れ、人の声がした。
『……はい、もしもし』
通じた! ハルヒや長門のものではない男の声だったが、とにかく通じた!
俺の心臓が大きく跳ねた……気がした。
「も、もしもし。えっと、そちらは映画館でしょうか?」
『あ、あぁ。確かに映画館だ。そっちはどこからかけてる? で、君は何者だ?』
「えっとレジャービルです。俺は名簿だとキョンって書かれてる参加者です」
『ふむ、キョンか。遅れたが俺はトグサだ。この馬鹿げたゲームには乗っていない。そっちもか?』
俺は、その問いに短い返事で肯定の意を示す。
どうやら、電話越しにも男前な声を出すこの人がハルヒ達を保護しているというトグサさんらしい。
『そうか。――で、君はどうしてここに電話を? 仲間を探す為に虱潰しに各施設に電話をかけてるのか?』
「いえ、実は――」
俺はトグサさんに俺が次元さんと出会い、そこにハルヒ達がいる事を聞いたという旨を伝える。
するとトグサさんは納得したように返事をする。
『なるほど。それで、声を聞こうとここに電話を』
「はい。……それで、そのハルヒは……」
『元気にしてるよ。すぐにでも代わってやりたいが――――その前に一つ聞きたいことがある』
――またか。
次元さんといい、何で今日はこうも勿体ぶられるんだ。
『君のいるレジャービルから見て、ホテルは大分近い位置にあると思うが何か変わった動きはあるかい?
そこに俺の仲間がいるはずなのだが……』
ホテルっていうと、あったはずなのについさっき見たら瓦礫の山に大変身していたあのホテルか?
――って他にホテルって名前の建物が地図には書かれてない以上、あれがここにおける唯一無二のホテルってことだよな。
何を考えてるんだ一体……。
俺は、屋上から見たままの状況を報告してやった。
それを聞いてトグサさんは唖然としているようだった。……が、次の瞬間には口を開いていた。
『……そうか。情報提供ありがとう。それじゃ、ハルヒと長門を呼んでくるから少し待っててくれ』
そう言うと、トグサさんはどうやら受話器を置いたようだ。
そして、それからすぐに受話器越しにこちらに何かが向かってくる足音が聞こえてきて――
『キョン! キョンなのよね、あんた!』
いやはや、なんとも懐かしい団長様の声がいきなり俺の耳に痛いくらいに飛び込んできた。
「ハルヒ、元気か? 何か怪我したって聞いたが……」
『こんなの大した事ないって! それよりもあんたは無事なの?』
「あぁ。色々あったが問題ないさ。何とか無事に生きてる」
ハルヒに言われて思い出したが、本当に色々あったよな……。
それでも生きてる俺ってもしかして意外と強運の持ち主だったりするのか?
そして俺の答えに、ハルヒは安堵したような声を出す。
『そう、良かった……。――あ、それじゃ有希にも代わるわね!』
場所がどこだろうと相変わらずのハイテンションぶりだ。……ま、それがあいつのいいところなのだろうが。
『……電話を代わった』
こいつも相変わらずのローテンションだことで。
「おぅ、久しぶりだな。……で、無事か? 骨折ったっぽいが」
『問題ない。回復には時間を要するが、自然治癒可能なレベル』
「……そうか、それはよか――いや、よくないか。骨折だもんな……」
『現在は体力の温存に専念している。私も涼宮ハルヒも徐々にだけど回復の傾向にある。……心配しなくていい』
長門に言われると何故か安心感があるような気がするのは俺だけか?
「……ま、声を聞く分には大丈夫そうだな。――と、そうだ。そっちにアルルゥって子がいるだろ?
こっちにその子の知り合いのトウカさんっていう人がいるんだ。話をさせてやりたいから代わってくれないか?」
『分かった…………』
それだけ言うと受話器が再びどこかに置かれたようだ。
遠くから、ハルヒがアルちゃんアルちゃんと叫ぶ声が聞こえる。
すると俺も受話器から顔を離し、それを目をぱちくりとさせるトウカさんへと渡した。
「……キョン殿、さきほどなら独り言を言っていたようだがこれは一体……」
「いや、これは電話といってですね、要するに離れた場所にいる人と会話できる道具なんです。
これを使えばアルルゥさんの声が聞こえてくるはずですよ」
「あ、アルルゥ殿が!? ぜ、是非貸してくだされ!!」
俺の言葉を聞いた途端に受話器をひったくるように奪うトウカさん。
……だけどそれ、持ち方逆です。
俺がそれを言うと、いつもどおり「某としたことが!」と言いながら持ち直す。
すると、すぐにトウカさんの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「ア、アルルゥ殿! 無事でしたか!? 某……某はアルルゥ殿が無事かどうかばかりが気になっていた次第で……」
嬉しそうな、それでいて涙ぐむような声でトウカさんは喋り続ける。
そして、それが終わると俺に受話器を返してきた。
「……かたじけない。このような機会を設けてもらって」
「いや、無事なことが確かめられたなら何よりですよ。……さてと、誰が今は受話器の向こうに――」
『こぅら! キョン! 返事しなさいってばキョン!!!』
受話器に耳を当てるなり大声は勘弁してください。鼓膜の振動が痛いです。
「聞こえてるさ。……だから、んな大声はよせ」
『そんなことよりも! ――で、あんたはいつこっちに来れるの? 一時間後? それとも二時間後?
トグサさんに頼んで、出来るだけ長くここで待てるように頼むからトウカさんって人と一緒に早く――』
「悪い。俺達はまだそっちに行けそうにない」
『……え? それってどういう……』
「こっちでの用事が残ってるんだ。それが終わるまではそっちには行けないって事だ」
『用事って……そんな! 今度はいつ声聞けるか分からないのよ! それなのにどうし――あ、有希、何してるの! 返してってば!』
受話器越しに何やらハルヒの声が遠くなっていく。
そして、その代わりに聞こえてきたのは……。
『電話を代わった。……こちらにまだ来れないのは決定事項?』
「ん? まぁ、まだ時間がかかりそうだな」
『……そう』
高揚するハルヒの声を聞いた後だからか、長門の声の落ち着き振りが妙に浮いて聞こえる。
「ま、用事が済んだら、そっちに行きたいとは思うけどな。――で、お前らはこの後、どっちの方に行く気だ?」
『まだ分からない。……だけど、移動することが決まったら移動先を留守番電話でそのレジャービル宛に残しておく』
「だがな、そんなことして他のやつがそれを聞いたら……」
『問題ない。他の人には分からないように別の言葉に置き換えて伝言する』
――長門曰く、移動する際はその移動する方角を真逆にして伝えるそうだ。
北へ行くつもりなら“南へ”、東へ行くつもりなら“西へ”といった要領で。
たしかにこれなら、誰かに聞かれてもバレないだろうな。
「……分かった。それじゃ、そろそろ切るぞ」
『……そう』
「ハルヒ達の事、頼んだぞ」
『……任せて』
何度も言うが、今回ばかりはこいつの冷静な声がこれほど頼もしく思えたことはない。
俺はあいつらの無事を祈りつつ、受話器を置いた。
さて、電話も終わったし、そろそろ本題に入るとするか。
「……長らく待たせたな、少年。ついにこいつの出番が来たようだ」
「お、おう! そうだよ、早く見てみようぜ!」
俺は、ジャイアン少年の声にせかされ、開いていたノートパソコンの電源を入れる。
すると次元さんがそのパソコンを後ろから覗き見てきた。
「――お、こいつはどうしたんだ? 支給品か?」
「えぇ。――とは言っても誰かの遺品みたいですが」
そう言ってる間に、画面はたちまち例の趣味の悪い土偶壁紙のデスクトップに変わる。
俺はポインタを動かし、インターネットのブラウザを開く。
「……おい、ネットと繋がってるってことは、外と連絡が――」
「いや、これとんでもないローカルネットワークみたいでして、全然外のホームページと繋がらないんです」
繋がるのがギガゾンビ様ホームページとツチダマ掲示板、それに我らがSOS団のページだけというのだからお笑い草だ。
だが、今必要な情報はその僅かに開かれたネットワークで十分回収できる。
俺はSOS団のページを開くと、すぐにツチダマ掲示板へと移動する。
そこで俺達が見た内容は――――――
【D-5・レジャービル/1日日・夜中】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:全身各所に擦り傷、ギガゾンビと殺人者に怒り、強い決意
[装備]:バールのようなもの、わすれろ草@ドラえもん、ころばし屋&円硬貨数枚@ドラえもん
[道具]:支給品一式×4(食料一食分消費)、キートンの大学の名刺、ロープ、ノートパソコン
[思考・状況]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:武の翠星石探しに協力してやる。
2:1を行うに際して、掲示板をひとまず調べる。
3:1が終わり次第、ハルヒらの下へ急行する。
4:『射手座の日』に関する情報収集。
5:トウカと共にトウカ、君島、しんのすけの知り合いを捜索する。
6:アーカードを警戒する。
7:あれ? そういえばカズマってどこかで聞いたような……
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照ということで
【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、額にこぶ
[装備]:物干し竿@Fate/stay night
[道具]:支給品一式(食料一食分消費)、出刃包丁(折れた状態)@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
基本:無用な殺生はしない
1:武の翠星石探しに協力する。
2:1の後、直ちにアルルゥの下へ。
3:キョンと共に君島、しんのすけの知り合い及びエルルゥを捜索する。
4:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョンと武を守り通す。
5:ハクオロへの忠義を貫き通すべく、エルルゥとアルルゥを見つけ次第守り通す。
【剛田武@ドラえもん】
[状態]:健康、仲間の分裂に強い後悔、額にこぶ、焦り
[装備]:虎竹刀@Fate/stay night、強力うちわ「風神」@ドラえもん
[道具]:支給品一式、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に
ジャイアンシチュー(2リットルペットボトルに入れてます)@ドラえもん
シュールストレミング一缶、缶切り
[思考・状況]
1:翠星石が非常に心配。キョン達と共に一刻も早く探し出し、落ち着かせる。梨花の件についての理由も聞きたい。
2:翠星石の手がかりを探す為に掲示板を調べる。
3:手遅れになる前に、のび太とドラえもんを見つける。
4:逃げた魅音もかなり心配。必ず探し出し、守る。
基本:誰も殺したくない
最終:ギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやる
【次元大介@ルパン三世】
[状態]:疲労/脇腹に怪我(手当て済み、ただし傷口は閉じていない)
[装備]:朝倉涼子のコンバットナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱/454カスール カスタムオート(残弾:7/7発)@HELLSING
[道具]:デイバッグ(+3)/支給品一式(×4)(-2食)/13mm爆裂鉄鋼弾(34発)@HELLSING
レイピア/ハリセン/ボロボロの拡声器(使用可)/望遠鏡/双眼鏡
蒼星石の亡骸(首輪つき)/リボン/ナイフを背負う紐/蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン
トグサの考察メモ/トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ
[思考]
基本:1.女子供は相手にしないが、それ以外には容赦しない。
基本:2.できるだけ多くの人間が脱出できるよう考えてみるか……
1:休息しつつ、掲示板の様子を見てみる。
2:その後、拡声器を使ってみるか検討する。
3:アルルゥ、トグサ、ヤマトの知り合いに会えたら伝言を伝える。
4:ルパンの仇=ピンクの髪の女(シグナム)を殺す。
5:引き続き、殺された少女(静香)の友達と青い狸を探す。
6:圭一と蒼星石の知り合いを探す。(※蒼星石の遺体は丁重に扱う)
7:ギガゾンビの野郎を殺し、くそったれゲームを終わらせる。
8:翠星石って確か蒼星石の双子の姉さんとか言ってたよな……。どうするか……。
[備考]
トグサとの情報交換により、
『ピンク髪に甲冑の弓使い(シグナム)』『赤いコスプレ東洋人少女(カレイドルビー)』
『羽根の生えた黒い人形(水銀燈)』『金髪青服の剣士(セイバー)』
を危険人物と認識しました。
*時系列順で読む
Back:[[此方の岸]] Next:[[I believe you]]
*投下順で読む
Back:[[此方の岸]] Next:[[I believe you]]
|209:[[苦労人]]|キョン|226:[[仲間を探して]]|
|209:[[苦労人]]|トウカ|226:[[仲間を探して]]|
|209:[[苦労人]]|剛田武|226:[[仲間を探して]]|
|206:[[【背中で泣いてる 男の美学】]]|次元大介|226:[[仲間を探して]]|
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