「孤城の主(後編)」(2022/01/09 (日) 06:11:43) の最新版変更点
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*孤城の主(後編) ◆S8pgx99zVs
瓦礫の山が積み立ち、その所々に破壊の傷跡が散見できる。
土煙が上がり空を銃声と破壊音が占める様はまさに戦場だった。
「あそこ」
長門が指差す先には瓦礫の影に隠れる五人の姿があった。その中には見知った顔である
次元大介がいる――となると彼らがどういった集団か推理するのは簡単だった。
「君がキョン君か?」
腰を低くして戦場を突っ切り、トグサが五人が身を隠す瓦礫の影へと滑り込む。
「その声は……トグサさん? ――それに長門!?」
キョンは予想外の仲間との再会に驚いた。しかし、先立ったのは喜びよりも疑問の方だった。
映画館にいたはずの彼らが何故ここにいるのか? そしてハルヒはどうしていないのか?
「なぁに、ちょっとした情報収集でね。それを話すと長くなるんで説明は後にするよ。
それと彼女達はまだ映画館に避難している。まだ眠っているだろう。
――で、こちらの状況は? あまり穏やかな雰囲気じゃないが」
「あの赤い化物が俺たちの敵で、それ以外は味方です」
「解りやすい説明、どうも」
間髪置かずに返ってきた答えに状況を把握すると、トグサは後ろに控える長門を振り返った。
「で、どうする? 何かこの状況をクリアするいいアイデアが?」
「ある」
今度も間髪置かずに答えが返ってくる。ハルヒといい彼らといいSOS団の人間は中々せっかちなようだ。
「説明してくれ」
トグサはその先を促した。
「あのアーカードと自らを呼称する存在を撃破するにはその存在の核――彼の言う心臓を破壊する必要がある。
なので、私が彼の動きを封じ心臓の位置をスキャンしてあなたに電脳を通じて場所を伝える。
あなたはそれを撃ち抜いてくれればいい」
説明はわかりやすく簡単だ。だがしかし、
「できるのかそんなこと?」
トグサの疑問に長門は表情を変えずに補足説明を加えた。
「正午前にあった彼との戦闘中の発言および戦闘内容から、彼の体内に存在する核を破壊すれば倒せるという確度は高い。
また、正午より蓄積を開始した構成情報を使用すれば最悪の場合でも四秒は足止めできることが期待できる。
スキャニングは足止めと併せ直接接触によって行う。
彼そのものの構造を解析することは現在の私には不可能だが、ギガゾンビの用意した首輪は別。
彼の体内にそれを発見できればそこが弱点と見て間違いない」
長門有希の説明は論理的だ。だがしかし……、
「それじゃあ、長門のリスクが高すぎる。それに俺の銃には弾丸が一発しか入ってない」
まるで特攻を思わせる無謀な作戦をトグサは否決しようとするが、
「問題ない。この付近で確認できている敵対的存在は彼のみ。今私が倒れても影響は少ない。
それに、元々チャンスは一度きり。予備弾薬の数は問題にならない」
「失敗したら?」
「しない。私も。あなたも」
言うが早いか長門有希は瓦礫の陰を飛び出す。
論議の猶予を持たない長門に舌打ちしつつトグサも狙撃体勢を取り、長門有希との電脳通信を開いた。
この大胆と無謀のギリギリのラインを緻密になぞる行動パターン。それにトグサは今は亡き少佐を思い浮かべた。
「長門を援護してくれ」
まだ接触までに距離を有する彼女のためにトグサが援護を要求する。
「あいよ」
再び出会った男の要請を次元、そして魅音も快く引き受け怪物に弾雨を浴びせた。
「――で、あの嬢ちゃん。大丈夫なのか?」
次元の最もな疑問をキョンが受ける。
「ええ。人間離れしてるってなら、アイツが一番そうですから」
その言葉の中に強い信頼を感じ取った次元は、手にする銃からさらに援護の一撃を放った。
鉄拳を振るいセラスを再び瓦礫の山へと沈めジャッカルの弾丸でついに絶影を捕らえた怪物が、
新しく場に現れた長門有希に気付き顔を綻ばせた。
「お前も――『魔女』か。今日はつくづく魔女に縁がある」
半日ぶり再び対峙する怪物と魔女。
一方はその顔に童のように喜色を浮かべる。だが逆に内面は翁のように最後を求めていた。
もう一方は鉄のように無表情。だがその内面は未だかつてないノイズの嵐に満ちていた。
ここにいる全ての者が注目する中、両者は一歩一歩静かに歩み寄る。
――滅びだ。これが夢の狭間で待ち望んだ滅びを告げる者だ。
――もう私の中には何もない。私の城も兵もその全てが失われた。
――後は、この滅びを告げる者が私の寝室をノックすれば…………。
接触するまであと数歩。そんな場所まで来た所で怪物が腕を跳ね上げ拳銃を撃つ。
空中に魔女の帽子だけを残すと、長門は低い姿勢から一気に怪物へと肉薄した。
それを押し潰さんと振り下ろされた怪物の拳を片手で受け、さらにもう片方の腕を伸ばし銃を持った腕を封じる。
一瞬で四つに組んだ状態に持っていった長門の口から特殊な高速言語が発せられ、
彼女の中でこの世の原理を書き換えるコードが組み上げられる。
「呪文か!」
気付き逃れようとするがすでに怪物の身体はピクリとも動かない。
「当該対象の絶対座標軸よりの移動を封鎖。並行して構造解析を開始」
接触してから一秒たらずで長門有希の体温は高負荷により43度まで上昇していた。
安全装置により処理に規制が掛かろうとするが、長門有希はこのフェイルセーフを自身で解除。
さらに体温は44……45……46……と急激に上昇していく。
接触した場所から解析用の枝が怪物の中へと伸びる。
彼女にとっては未知の情報で構成された存在。既知の存在に例えるなら怪物の中はまさに宇宙だった。
さらに体温は上昇。すでに有機生命体が活動を維持できる限界を超え、その雪のように白い表皮が熱に捲りあがり始める。
相対する怪物は彼女の目の中に決死の覚悟を汲み取り悦ぶ――やはり貴様は人間だ。
そして、その深く広い闇の中で彼女は遂に目的の「首輪」を発見した。
接触開始より1.2秒で怪物の体内に首輪に該当する物質を発見。
電脳を通じてトグサの眼に送られるまではコンマ一秒以下で終了。
情報を受信したトグサは0.4秒かけて照準し次の瞬間に最後の弾丸を発射した。
――寝室の扉を開けた私の胸に白木の杭が……
そして、発射された弾丸はコンマ一秒以下の速さで銃口から心臓までの空間を渡り……
怪物――吸血鬼アーカードの心臓を貫いた。
こうして狂愛の魔女によって始まった、怪物を呼び出し不幸を撒き散らす夜宴は、
もう一人の秩序を齎す魔女の手によってそれを終えられた。
万遍なく瓦礫が散らばったホテルの敷地内。完全に沈黙を取り戻したその中のいくつかの場所。
傷つき倒れた、あるいは死に瀕している者達の下へそれぞれ親しい人が駆けつけた。
吸血鬼アーカード。彼の下へかつては彼の僕だった吸血姫が駆け寄る。
「セラス……ヴィクトリア……」
もうその声には以前のような力はこもってはいなかった。
「マ"、マ"ズダァ~……」
かつての主の滅びにセラスは彼の手を握り涙を溢す。
「……お前は自分の、道程を……、自ら選び取った。もはや私は貴様の、主人……ではない」
それでもなお、セラスは滅び行く彼をマスターと呼び涙を溢す。
「フ……この未熟者め。だが、すでに一人の吸血姫であるならば……お前は独りで行かねばならん。
……私は、先に地獄で待っているとしよう……奴が先に逝っているのなら……退屈はしまい」
セラスの掌からアーカードであったものが零れ落ちる。
――塵は塵に。
セラスにとって彼は、厄災を運び込む者であり。闇に引きずり込んだ張本人であり。主人であり。
先を往く師であり。新しい家族であり。最後には仇であった。
そんな彼は塵となって彼女の前から姿を消し、そこには彼女が流した涙と存在を証明する銀色の首輪だけが残った。
そんな彼女を離れた位置で見ていたのは魅音だ。
セラスと怪物にどのような思惑があったかは彼女にはわからないが、死闘を経て彼女の中のセラスへの疑惑は払拭されていた。
泣き暮れる彼女を背に魅音は瓦礫の山を降りた。
打ち立った瓦礫に背を預け戦後の休息を取る劉鳳の下へ、何時の間にかに姿を消していたぶりぶりざえもんがその姿を現していた。
「お前、どこに行ってたんだ……」
完全に消耗しきった劉鳳の声は弱弱しかったが、逆にぶりぶりざえもんはまだ元気そのものだった。
「うむ。最初に言っただろう? 瓦礫の下に埋もれた人をおたすけすると」
そういえば、と劉鳳は思い出した。怪物から逃れる方便かと思ったがそうではなかったらしい。
だが、成果は芳しくなかったようだ。ぶりぶりざえもんの手にあるのは銀色の首輪のみである。
「間に合わなかったか……」
劉鳳は再び悔恨に歯をかみ締める。
「S……、U……、I…………、劉鳳。これはなんて書いてあるんだ?」
ぶりぶりざえもんの手から首輪を受け取る。どうやら内側に何か彫られているらしい。
「……SUISEISEKI――すいせいせき、か。この首輪の持ち主の名だろうか」
すいせいせき。劉鳳のその言葉に近くにいた剛田武が反応した。
だが、劉鳳が持ち上げた銀の環を見ると、その顔は見る間に悲しみに満ちた。
「翠星石~ッ!!」
剛田武は彼女の名前を呼び声を上げて泣いた。少年の純粋な悲しみにそれを聞くものも心を傷める。
だが魅音だけはその後ろでそれを少し冷めた目で見ていた。
武はただの素直な少年で本気で翠星石の死を悲しんでいる。
それは理性で理解でき、彼がもう魅音の敵でないことは明らかだが、
やはりそれでも梨花の仇である彼女の死を魅音は悲しむことができなかった。
ただ、失われるだけという虚しさが募るばかりだ。
あの時散り散りになった三人は、こうしてそれぞれにとって不幸せな再会を果たした。
横たわる長門有希の有様に、近づいた者の内何人かは思わず顔を背けた。
激しい高体温に曝された身体は表面から湯気を立て、その表面のほとんどがケロイドと化していた。
「長門! お前なにしてんだよっ!」
キョンが長門の側へ膝をつき悲壮な声を上げる。
彼女の時に自分を顧みない性分は知っていたはずだが、それでもまさかと思った。
後ろに立ったトグサも悔恨と苦渋に満ちた表情で彼女を見下ろしていた。
見開いた目は白濁化しており、どう見ても彼女の状態は死を免れそうにない。
だが長門は捲れ上がり真っ赤に腫れた唇を細かく震わせると淡々と言葉を紡ぎ始めた。
それを聞き逃すまいと、キョンとトグサは彼女の口に耳を近づける。
「……切欠はあなたが送ったメールだった」
「何を言ってるんだ長門? ……いや、もしかしてあのメールのことを言ってるのか?」
キョンは思い出す。偶然見つけたノートPCから送ったSOS団宛ての電子メールのことを。
長門有希はキョンの質問を無視し、言葉を紡ぎ続ける。
「涼宮ハルヒを初めとするSOS団団員と、その周辺にいる人物の消失を感知した我々は全力でその捜索を行った。
だが結果、得られた情報はゼロだった。
そこにある時あなたからのメールが、唯一残されたSOS団員である古泉一樹に届いた。
彼はすぐに我々情報統合思念体に協力を要請し、それを元に私達は発信元を特定しようと試みたが、
完璧な次元の断絶の前にそれは達成できなかった。
次に試みたのが私自身による私のハッキング。
その目的は完全に遮断された空間内へと送り込むトロイの木馬。
私自身の異時間同位体全てに対し並列的にハッキングを仕掛け、
結果それは連れ去られる瞬間の私に対して微細な成果をあげた。それが今の私。
そして私自身に仕込まれた構成情報はこの世界に来た瞬間分散し、
解析した情報から脱出のヒントを内包したいくつかの物体に偽装される。
そして、この世界に来た私は私自身が気付くことなく脱出のプロセスを完成させるため、
その偽装されたヒントを集めこの状況を解決する。
記憶操作はこの空間の支配者に対する偽装ではあったが、
この有機体が使用不可状態に陥ったため緊急避難処置として認識操作を解除し、現在情報を伝えている。
――質問を」
突然の説明に戸惑うキョンより先にトグサが素早く質問する。
「俺が見つけた映像フィルム。アレもやはり脱出のヒントだったのか?」
トグサの質問に長門有希はただ淡々と答える。
「そう。
この空間を包む次元の隔絶はその強固さゆえに一定の大きさ以上にはなりえない。
あの映像情報を実際の映像情報と照らし合わせることで、この空間の規模と形を計測することができるはず」
「それは、ギガゾンビが潜む場所への足がかりになるか?」
「可能性はある」
「じゃあ、他にそういったヒントがまだあるのか?」
「可能性は高い」
長門の回答に得心すると、トグサは一歩引いてキョンに質問を促した。
「じゃあ、ちょっとだけ教えてくれ。切欠は俺からのメールだって言ったが、じゃあこのPCそのものは一体どこから出てきたんだ?」
デイバッグから黒一色のノートPCを取り出し、キョンは長門に質問する。
それにも、長門有希はただ淡々と答えた。
「そのノートPCはおそらく今回私から発信された構成情報が偽装されたもの。
そして、今私が連れ去られた時間平面上ではあなたからの電子メールが切欠となっている。
一番初めにどうやってあなたがそれを発信し私が受け取ったのかは解らない。
しかし、何故今そうなっているのかは説明できる。
人類が時間と認識している時間の流れを一次元とした場合、
それらは断絶された時間平面の連続でしかなく、それゆえに常に一定で介入により一切変化することはない。
変容するのは二次元目に当たる時間平面の振幅。そして時間次元はこの波を利用し、常に安定した時間の有様を求める。
結果、三次次元による時間干渉は円環状へと落ち着くことが多い。
これもその結果」
「……解ったことにしとくよ」
長門有希の不可解な返答にキョンは苦虫を噛み潰したような顔をする。
「ありがとう。じゃあもう眠ってくれ」
トグサの言葉を受け取ると、長門有希はその唇の震えを止め、物言わぬただの屍と化した。
「え? ……どうしたんだ長門? ……トグサさん、コレは一体?」
トグサに問いかけるキョンの顔には激しく狼狽の様が浮かんでいる。
だが、逆にトグサの顔は諦観とも取れる静けさがあった。
「キョン君。彼女は……長門有希はすでに死んでいたんだ。さっきの対決でね。
今のは彼女の言葉通り緊急のプログラムだ。……そう、今わの際に彼女が俺に伝えてきたよ」
キョンは物言わぬ長門の顔見つめる。
「やっと会えたばかりじゃないか。……なんで、そんな勝手に死んじまうんだよ」
ポツポツと零れ落ちた涙が傷ついた長門有希の顔を叩く。
ご都合主義のファンタジーなら彼女はこれで生き返っただろう。
だが此処は、この現実は決してそうではないことをキョンは知っていた。
&color(red){【鳳凰寺風@魔法騎士レイアース 死亡】}
&color(red){【アーカード@HELLSING 死亡】}
&color(red){【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】}
&color(red){[残り29人]}
偶然にも居合わせた多数の人間。大きな危機が去り次の行動をどうするか迷う彼らを纏めたのは、
その内のほとんどの人間とのコンセサンスを持ち、積極的に脱出を図り人を集めるトグサだった。
「……じゃあ、今病院には怪我をした四人とそこに向かった峰不二子という女がいるんだな?」
「うむ、そのとおりだ」
数時間ぶりに再会できたぶりぶりざえもんの報告に、トグサは思案をめぐらせる。
病院は自分達が初めて辿りついた時も襲撃の跡が見られ、結局自分達もさらなる襲撃にそこを追い出されることとなった。
このゲームのクリアを自分以外の全員の殺害と捉えている参加者にとって、そこが絶好の狩場であることはすでに明白だ。
しかし、だからといって重症を負ったしかも複数の人間に動いてもらうのも無茶な話だ。
ならばとりあえずはこの連中、そして映画館に残したハルヒ達を病院に結集させるか……。
病院自体が立て籠もるに適した施設だということは確認済みなのだから、むしろそういった施設を脱出を目指す人間で占拠すると考えればいい。
決心するとトグサは少し高く積もった瓦礫の上に立ちみんなに声をかけた。
「みんな聞いてくれ。
改めて自己紹介するが、俺は公安九課に所属するトグサという者だ。
もちろん俺はこのふざけたゲームに従うつもりはないし従ってはいない。それは君達もそうだろう。
そこで君達に提案したい。俺たちが一致団結してこのゲームそのものを破壊するということを」
そこでトグサは一旦言葉を区切り、壇上から見下ろせる彼らがその言葉に耳を傾けているかを確認する。
全員が彼の言葉に耳を傾けていることに満足するとトグサはさらに言葉を続けた。
「そこで提案だ。まずは全員でここから西にある病院に移動したいと思う。
ここには重症を負った人間がいるし、また病院にも同様に怪我を負った人間が集まっている。
病院に全員が集まれば互いに手当てをしあい、休息を取ることも容易だろう。
そして、人数が集まりその知識と知恵を持ち合えばゲームの破壊にも近づける」
最後にどうだろう? と回答を促す言葉でしめトグサは口を閉じた。
全員が自分の言葉に乗ってくれるだろうと彼は思っていたが……、
「少しだけここで待たせてもらえないかな?」
そう提案したのはトグサとは初対面になる魅音だ。
「クーガーとなのはちゃんがもうすぐここに帰って来るはずなんだ。それに……」
魅音は堆く積みあがった瓦礫を見上げる。絶望的と言えども、それが確定するまではここを動きたくないのが彼女の思いであった。
「その人達はいま何所に?」
「なのはちゃんは、このホテルを多分最初に襲ってたヤツを追って……
そしてクーガーはここに向かってる途中で襲われたシグナムってヤツと闘ってる」
そう答えて、魅音は彼らと別れてからかなりの時間が経過していることに気づいた。
魅音の言葉にトグサは質問を重ねる。
「襲ってきた連中の特徴を教えてもらってもいいかい?」
「最初のヤツはわからない……飛んでいるのが遠目に見えただけだから……
シグナムって言ったのは、私みたいに髪を束ねた赤い髪の女だよ」
魅音の話すシグナムの特徴にトグサは思い当たる節があった。
それはハルヒ達を襲いルパンを殺害した……。
「悪いが俺は先に抜けさせてもらうぜ」
そういって立ち上がったのは次元だ。シグナムが彼の仇であることはトグサも知っている。
「待ってくれ次元。あんたも脱出を目指しているんじゃないのか?」
「それとこれとは別問題なのさ。なあに、てめえの用事が済んだらそっちに戻る。それでいいだろ?」
そう言うと次元は魅音、そして劉鳳にクーガーとシグナムがいた場所を聞くと最後に忠告を残してホテルを去った。
「トグサ。不二子って女からは目を離すなよ。利がある内は大人しいがあいつは見切りが早いからな。
仲間にすれば頼もしいが、土壇場で裏切る。こんな所で馬鹿をするとは思えねえが、一応気をつけといてくれ」
と、彼が去った後をぶりぶりざえもんが追いかける。
「おい。お前までどうしたんだ?」
と、トグサは引き止めるが、
「あいつには私のおたすけが必要だと思ってな。
それに、今のわたしには病院に戻って太一達に合わせる顔がないのだ。
彼らをおたすけする別の方法を見つけたら戻るので、それを伝えてくれ」
言うが早いか、ぶりぶりざえもんもまた翆の光の尾を引いて暗闇の中へと去ってしまった。
トグサはぶりぶりざえもんの光る尻が気になったが、次の再会の際に言及するとして残った者達の下へと戻った。
次元とぶりぶりざえもんが去った後に短い時間で行われた話し合いの結果、
結局ホテル跡地に残る者といち早く病院へ負傷者を送る者に別れることになった。
もちろん、残る者にはきりのいいところで病院へと向かうように言い聞かせてだ。
そして、トグサ自身は映画館に残したハルヒ達を迎えに行くべく一足先に自転車を漕いでホテルを離れた。
トグサが行ってから後、セラスがホテルの敷地内に一台のリヤカーを引いて戻ってくる。
「ども、おまたせしました」
「これで俺を運ぶのか?」
疲弊し地面に横になっていた劉鳳はそれを見て顔を顰めたが、次の瞬間には一刻も病院へと自分を運ぶようセラスに命令していた。
身体に染み込んだ従者体質なのか、セラスは言われるままに劉鳳をリヤカーに横たえ、
その横にはキョンとトウカの手によって足を折った剛田武が横たえられた。
そして、去り際に劉鳳がトウカへと声をかける。
「俺のバッグの中に刀が一本ある。それを取れ」
言うがままにトウカがバッグを漁ると、白鞘の刀が中から見つかった。
そのつくりから実戦向けに仕上げられた業物であることが彼女には窺え知れる。
「これを某に……?」
「ああ、俺には無用の長物だ」
その言葉にトウカは感極まり、謝辞を並べ立てまくる。
それをくすぐったそうにしながら劉鳳はホテルを去り、トウカはその姿が見えなくなるまで頭を下げ続けていた。
「これも”おたすけ”か? ぶりぶりざえもん……」
劉鳳は見上げる満月に向かってなんとなく呟き、悪い気はしない――そう思った。
”彼女は自分の仕事を立派に果たした。その後を継ぐのが俺達の仕事だ。違うかキョン君?”
そのトグサの言葉をその通りだと頭では理解できる。
だがしかしキョンの足元には長門有希の遺体がさっきのまま横たわっていた。
彼女を弔いたいからとこの場所に残ったものの、長門なら蘇るんじゃないかというありもしない期待に身体を動かすことができなかったのだ。
「……キョン殿」
ここで亡くなった鳳凰寺風と野原みさえを埋葬し、
灰を被った獅堂光の墓を改めて整え終わったトウカと魅音がキョンと横たわる長門有希の方へと心配そうに戻ってくる。
「ええわかってますよ。サボっちまってすいません」
わざと明るい声を出して自分を奮わせると、キョンはトウカからスコップを受け取り長門有希の墓を掘り始めた。
(安心してろよ長門。俺がお前のヒントを受け損なったことなんてなかっただろ?)
並んで掘られた三人の女性の墓、その横に四つ目の墓穴を掘りながらキョンは、この悪趣味なゲームからの脱出を改めて決心した。
それを離れた位置で見守る彼の用心棒であるトウカ。
彼女の腰には先刻の闘いで折れた物干し竿に代わって、劉鳳から預かった斬鉄剣が佩かれていた。
そこから更に離れた場所で、魅音は瓦礫の山を登ったり降りたりしながら昼間の宝探しを思い返していた。
あの時はまだ四人とも仲良くやっていたのにあれも嘘だったのか……。
しかし、もうその答えは永遠に得られない。時と共に命も何もかもが失われていってしまう。
……それでももう止まったりはしない。
魅音は瓦礫の山の頂上から空を見上げクーガーとなのはの帰りを待った。
【D-5/ホテル跡地/1日目-真夜中】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、ギガゾンビと殺人者に怒り、強い決意
[装備]:バールのようなもの、スコップ
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-1)、わすれろ草@ドラえもん、キートンの大学の名刺
ロープ、ノートパソコン
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:長門を埋葬し、魅音と一緒にクーガーとなのはを待つ。
2:その後、病院へと向かう。
3:『射手座の日』に関する情報収集。
4:トウカと共にトウカ、君島、しんのすけの知り合いを捜索する。
5:キャスカ、ルイズを警戒する。
6:あれ? そういえばカズマってどこかで聞いたような……
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:疲労、左手に切り傷、全身各所に擦り傷、額にこぶ
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[道具]:支給品一式(食料-1)、出刃包丁(折れている)、物干し竿(刀/折れている)@fate/stay night
[思考]
基本:無用な殺生はしない
1:長門を埋葬し、魅音と一緒にクーガーとなのはを待つ。
2:その後、病院へと向かう。
3:キョンと共に君島、しんのすけの知り合い及びエルルゥを捜索する。
4:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョンと武を守り通す。
5:ハクオロへの忠義を貫き通すべく、エルルゥとアルルゥを見つけ次第守り通す。
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:心身共に疲労、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り)
[装備]:AK-47カラシニコフ(30/30)、AK-47用マガジン(30発×3)
[道具]:支給品一式、スルメ二枚、表記なしの缶詰二缶、レジャー用の衣服数着(一部破れている)
[思考]
基本:バトルロワイアルの打倒
1:キョンとトウカと共にクーガーとなのはを待つ。
2:瓦礫の山を捜索。
3:クーガーとなのはが戻ってきたら病院へ向かう。
4:沙都子を探して保護する。
5:圭一、レナの仇を取る。(水銀燈とカレイドルビーが対象)
セラスとキョンに事後を任せトグサは自転車を全力で駆っていた。
映画館で待つハルヒ、アルルゥ、ヤマト。彼がもし長門の死を放送で知れば必ずパニックを起こし、
その外へと飛び出してしまうだろう。その前に戻って自分が事情を説明しなければならない。
ハルヒや、長門に懐いたアルルゥのことを思うと心が痛むが、逃げるわけにはいかないことだ。
病院に戻ったら、セラスにも謝らなければならないだろう。他のホテルにいた者達にも。
この一連のホテルで連なり起こった惨劇、そのドミノの最初の一枚を倒したのは確実に自分だ。
すでに脱落してしまった者には合わせる顔もない。だからこそ、犠牲になったものに報いるためにも必ず脱出してみせる。
時計で時刻を確認しながら病院の前を突っ切る。
往く道で後ろに乗せていた彼女は重さを感じさせなかったが、帰りの道を戻るトグサの胸にはその不在はとても重かった。
【C-3/市街地路上/1日目-真夜中】
【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:疲労と眠気、SOS団団員辞退、自転車全速力
[装備]:S&W M19(残弾6/6発)、刺身包丁、ナイフとフォーク×各10本、マウンテンバイク
[道具]:デイバッグと支給品一式×2(食料-4)、S&W M19の弾丸(34発)、警察手帳(持参していた物)
技術手袋(使用回数:残り17回)@ドラえもん、首輪の情報等が書かれたメモ1枚
[思考]
基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
1:映画館に戻りハルヒ達に事情を説明。
2:その後ハルヒ達を病院へと誘導。
3:病院に人が集まったら、改めて詳しい情報交換を行う。
4:ハルヒからインスタントカメラを借りてロケ地巡りをやり直す。
5:情報および協力者の収集、情報端末の入手。
6:タチコマ、エルルゥ、八神太一の捜索。
[備考]
風、次元と探している参加者について情報交換済み。
ホテルより西に、レジャービルの前を横切り病院への道を走る一台のリヤカーがあった。
それを引いているのは吸血姫であるセラスで、荷台には満身創痍の劉鳳と右足首を折った剛田武が横になっている。
「急げセラス。俺はあの不二子という女が悪なのか見定めねばいけないんだ」
横になったままの姿勢で劉鳳が台車を引くセラスに注文する。
いかなる艱難辛苦を経ようとも彼の横柄な態度は改まらないらしい。
「アイヨー」
こちとらも同じく満身創痍なのに吸血姫使いが悪いとブーたれながらもセラスは台車を引く。
その腕には彼女のマスターであった吸血鬼アーカードの心臓に嵌っていた、
他よりも小さめの銀の環が月光を跳ね返し輝いていた。
(……のび太。ドラえもん)
劉鳳の横に寝かされた剛田武は翠星石の首輪を握り締めながら真上の月を見ていた。
劉鳳の話によるとそこに彼らがいるという。なまじ仲間が集まるがゆえに、
スネ夫という大切な仲間が揃わないことが彼の心を痛めた。
ガラガラガラガラと音を立てて月夜をリヤカーが走る。
【D-5/市街地路上/1日目-真夜中】
【劉鳳@スクライド】
[状態]:満身創痍
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(-2食)、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱、ビスクドール、ローザミスティカ(真紅) @ローゼンメイデン
[思考]
基本:自分の正義を貫く。正義とは何かを見定める。
1:病院へと向かい不二子が悪か見極める。
2:病院で手当てを受ける。
3:悪を断罪する。(ウォルターを殺した犯人、朝倉涼子※名前を知らない、シグナム※クーガーに任せた)
4:ゲームに乗っていない人達を保護し、ここから解放する。
[備考]
※ジュンを殺害し、E-4で爆発を起こした犯人を朝倉涼子と思っています。
※例え相手が無害そうに見える相手でも、多少手荒くなっても油断無く応対します。
※朝倉涼子については名前(偽名でなく本名)を知りません。
【セラス・ヴィクトリア@HELLSING】
[状態]:全身打撲、裂傷及び複数の銃創 (※どれも少しずつ回復中)
[装備]:対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(残弾:6/6発)@HELLSING、アーカードの首輪
13mm炸裂徹鋼弾×54発@HELLSING、スペツナズナイフ×1、ナイフとフォーク×各10本、中華包丁
銃火器の予備弾セット(各40発ずつ、※Ak-47、.454スカール、ジャッカル、S&W M19の弾丸を消費)
[道具]:支給品一式(×2)(メモ半分消費)、糸無し糸電話@ドラえもん、バヨネット@HELLSING
[思考]
基本:トグサに従って脱出を目指す。
1:劉鳳、剛田武と共に病院へ向かう。
2:食べて休んで回復する。
3:病院を死守し、トグサ達を待つ。
4:ガッツとキャスカを警戒。
[備考]
※セラスの吸血について
・通常の吸血
その瞬間のみ再生能力が大幅に向上し、少しの間戦闘能力も向上します。
・命を自分のものとする吸血
少しの間、再生能力と戦闘能力が向上し、その間のみ吸った相手の力が一部使用できます。
吸った相手の記憶や感情を少しだけ取り込むことができます。
※現在セラスは使役される吸血鬼から、一人前の吸血鬼にランクアップしたので
初期状態に比べると若干能力が底上げされています。
【剛田武@ドラえもん】
[状態]:右足首単純骨折、額と鼻に打撲、落ち込んでいる
[装備]:虎竹刀@fate/stay night、強力うちわ「風神」@ドラえもん
[道具]:支給品一式、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に、翠星石の首輪
ジャイアンシチュー(2リットルペットボトルに入れてます)@ドラえもん、シュールストレミング一缶、缶切り
[思考]
基本:誰も殺したくない、ギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやる
1:病院に向かいドラえもんとのび太に合流する。
2:病院で手当てを受ける。
2:病院で魅音を待つ。
ホテルより南、劉鳳がクーガーと別れた場所を目指して月の下を歩く一人と一匹がいた。
クーガーを迎えに……ではなく、その相手であるシグナムを探してである。
(……そのクーガーってのが、やっちまってると言っても面ぐらいは拝ませてもらえねえとな)
劉鳳と魅音から聞いたシグナムという襲撃者は、トグサから聞いたルパンの仇に間違いない。
そう確信すると次元大介は止めるも聞かず一人で飛び出してきたのだが……
「おめーさん。なんでまた俺と一緒に?」
隣を短い足でついて来るブタ――ぶりぶりざえもんに次元は問うた。
「なあに、まだお前はわたしにおたすけされてないと思ってな。
それに……、今太一達の下に戻ってもおたすけできないのだ……」
ブタにはブタの都合があるらしい……と次元は解釈した。
「ところでそのケツで光っているのは……」
ぶりぶりざえもんのパンツのお尻の部分が、蛍のように翠の淡い光を放っている。
「こ、これはなんでもないぞ。拾ったんだからわたしの物だっ」
どうやら、あの瓦礫の山で何かを拾ったらしいのだが……
「……まぁいいか。よろしくな相棒」
「うむ、私がいるからには大船に乗ったつもりでいろ」
そんなやり取りを経て、一人と一匹は足音と淡い光を残し夜の街の中へと姿を消した。
【E-6/市街地路上/1日目-真夜中】
【次元大介@ルパン三世】
[状態]:疲労、発砲による腕の疲労、脇腹に怪我(手当て済み、ただし傷口は閉じてきってない)
[装備]:454カスール カスタムオート(残弾:7/7発)@HELLSING、朝倉涼子のコンバットナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:デイバッグ(×4)、支給品一式(×4)(食料-2)、13mm爆裂鉄鋼弾(21発) @HELLSING
レイピア、ハリセン、ボロボロの拡声器(使用可)、望遠鏡、双眼鏡
蒼星石の亡骸(首輪つき)、リボン、ナイフを背負う紐、ローザミスティカ(蒼)@ローゼンメイデン
トグサの考察メモ、トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ
[思考]
基本:1.女子供は相手にしないが、それ以外には容赦しない。
基本:2.トグサに協力し、できるだけ多くの人間が脱出できるよう考えてみる。
1:生死に関わらずシグナムを探す。
2:シグナムが生きていればルパンの仇を取る。
3:クーガーと会ったらホテル跡へ戻るよううながす。
4:1-3が終われば病院へと向かう。
5:アルルゥ、トグサ、ヤマトの知り合いに会えたら伝言を伝える。
6:折を見て魅音に圭一たちのことを話す。
7:ギガゾンビの野郎を殺し、くそったれゲームを終わらせる。
[備考]
トグサとの情報交換により、
『ピンク髪に甲冑の弓使い(シグナム)』『赤いコスプレ東洋人少女(カレイドルビー)』
『羽根の生えた黒い人形(水銀燈)』『金髪青服の剣士(セイバー)』
を危険人物と認識しました。
【ぶりぶりざえもん@クレヨンしんちゃん】
[状態]:やや疲労、頭部にたんこぶ、ヤマトとの友情の芽生え、救いのヒーローとしての自覚
[装備]:なし
[道具]:ローザミスティカ(翠) @ローゼンメイデン
[思考]
基本:困っている人を探し、救いのヒーローとしておたすけする。
1:とりあえず次元大介に付き添う。
2:太一をおたすけする別の手段を見つける。
3:まだおたすけしていない相手を見つけたらそいつをおたすけする。
4:怪我人を見つけたら病院へと送る。
5:救いのヒーローとしてギガゾンビを打倒する。
【備考】
以下の物がホテル跡の鳳凰寺風の墓の近くに放置されています。
鳳凰寺風の剣@魔法騎士レイアース、鎖鎌(ある程度、強化済み)
[鳳凰寺風のデイバッグ]
小夜の刀(前期型)@BLOOD+、スパナ、果物ナイフ
紅茶セット(残り5パック)、猫のきぐるみ、マイナスドライバー、アイスピック、包丁、フォーク
包帯(残り3mぐらい)、時刻表、電話番号のメモ(E-6駅、F-1駅)
以下の物がまだホテルやその周辺の瓦礫の下に埋まっています。
[ゲインのデイパック]
支給品一式×2、工具箱 (糸ノコ、スパナ、ドライバーなど)
[バトーのデイバッグ]
支給品一式(食糧なし)、チョコビ13箱@クレヨンしんちゃん、煙草一箱(毒)、 爆弾材料各種(洗剤等?詳細不明)
電池各種、下着(男性用女性用とも2セット)他衣類
茶葉とコーヒー豆各種(全て紙袋に入れている、茶葉を一袋消費
[みさえのデイバッグ]
石ころ帽子@ドラえもん、スモールライト@ドラえもん
[他]
パチンコ、パチンコの弾用の小石数個、トンカチ、支給品一式、空のデイパック
スペツナズナイフ×1、銃火器の予備弾セット(各120発※ジャッカルの分は抜かれてます)
糸なし糸電話(使用不可)@ドラえもん、FNブローニングM1910(弾:3/6)
*時系列順で読む
Back:[[孤城の主(中編)]] Next:[[廃墟症候群]]
*投下順で読む
Back:[[孤城の主(中編)]] Next:[[廃墟症候群]]
|235:[[孤城の主(中編)]]|キョン|236:[[廃墟症候群]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|トウカ|236:[[廃墟症候群]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|園崎魅音|236:[[廃墟症候群]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|トグサ|245:[[峰不二子の陰謀]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|劉鳳|241:[[闇照らす月の標]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|セラス・ヴィクトリア|241:[[闇照らす月の標]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|剛田武|241:[[闇照らす月の標]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|次元大介|244:[[のこされたもの(相棒)]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|ぶりぶりざえもん|244:[[のこされたもの(相棒)]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|&color(red){長門有希}|298:[[GAMEOVER(1)]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|&color(red){アーカード}||
|235:[[孤城の主(中編)]]|&color(red){鳳凰寺風}||
*孤城の主(後編) ◆S8pgx99zVs
瓦礫の山が積み立ち、その所々に破壊の傷跡が散見できる。
土煙が上がり空を銃声と破壊音が占める様はまさに戦場だった。
「あそこ」
長門が指差す先には瓦礫の影に隠れる五人の姿があった。その中には見知った顔である
次元大介がいる――となると彼らがどういった集団か推理するのは簡単だった。
「君がキョン君か?」
腰を低くして戦場を突っ切り、トグサが五人が身を隠す瓦礫の影へと滑り込む。
「その声は……トグサさん? ――それに長門!?」
キョンは予想外の仲間との再会に驚いた。しかし、先立ったのは喜びよりも疑問の方だった。
映画館にいたはずの彼らが何故ここにいるのか? そしてハルヒはどうしていないのか?
「なぁに、ちょっとした情報収集でね。それを話すと長くなるんで説明は後にするよ。
それと彼女達はまだ映画館に避難している。まだ眠っているだろう。
――で、こちらの状況は? あまり穏やかな雰囲気じゃないが」
「あの赤い化物が俺たちの敵で、それ以外は味方です」
「解りやすい説明、どうも」
間髪置かずに返ってきた答えに状況を把握すると、トグサは後ろに控える長門を振り返った。
「で、どうする? 何かこの状況をクリアするいいアイデアが?」
「ある」
今度も間髪置かずに答えが返ってくる。ハルヒといい彼らといいSOS団の人間は中々せっかちなようだ。
「説明してくれ」
トグサはその先を促した。
「あのアーカードと自らを呼称する存在を撃破するにはその存在の核――彼の言う心臓を破壊する必要がある。
なので、私が彼の動きを封じ心臓の位置をスキャンしてあなたに電脳を通じて場所を伝える。
あなたはそれを撃ち抜いてくれればいい」
説明はわかりやすく簡単だ。だがしかし、
「できるのかそんなこと?」
トグサの疑問に長門は表情を変えずに補足説明を加えた。
「正午前にあった彼との戦闘中の発言および戦闘内容から、彼の体内に存在する核を破壊すれば倒せるという確度は高い。
また、正午より蓄積を開始した構成情報を使用すれば最悪の場合でも四秒は足止めできることが期待できる。
スキャニングは足止めと併せ直接接触によって行う。
彼そのものの構造を解析することは現在の私には不可能だが、ギガゾンビの用意した首輪は別。
彼の体内にそれを発見できればそこが弱点と見て間違いない」
長門有希の説明は論理的だ。だがしかし……、
「それじゃあ、長門のリスクが高すぎる。それに俺の銃には弾丸が一発しか入ってない」
まるで特攻を思わせる無謀な作戦をトグサは否決しようとするが、
「問題ない。この付近で確認できている敵対的存在は彼のみ。今私が倒れても影響は少ない。
それに、元々チャンスは一度きり。予備弾薬の数は問題にならない」
「失敗したら?」
「しない。私も。あなたも」
言うが早いか長門有希は瓦礫の陰を飛び出す。
論議の猶予を持たない長門に舌打ちしつつトグサも狙撃体勢を取り、長門有希との電脳通信を開いた。
この大胆と無謀のギリギリのラインを緻密になぞる行動パターン。それにトグサは今は亡き少佐を思い浮かべた。
「長門を援護してくれ」
まだ接触までに距離を有する彼女のためにトグサが援護を要求する。
「あいよ」
再び出会った男の要請を次元、そして魅音も快く引き受け怪物に弾雨を浴びせた。
「――で、あの嬢ちゃん。大丈夫なのか?」
次元の最もな疑問をキョンが受ける。
「ええ。人間離れしてるってなら、アイツが一番そうですから」
その言葉の中に強い信頼を感じ取った次元は、手にする銃からさらに援護の一撃を放った。
鉄拳を振るいセラスを再び瓦礫の山へと沈めジャッカルの弾丸でついに絶影を捕らえた怪物が、
新しく場に現れた長門有希に気付き顔を綻ばせた。
「お前も――『魔女』か。今日はつくづく魔女に縁がある」
半日ぶり再び対峙する怪物と魔女。
一方はその顔に童のように喜色を浮かべる。だが逆に内面は翁のように最後を求めていた。
もう一方は鉄のように無表情。だがその内面は未だかつてないノイズの嵐に満ちていた。
ここにいる全ての者が注目する中、両者は一歩一歩静かに歩み寄る。
――滅びだ。これが夢の狭間で待ち望んだ滅びを告げる者だ。
――もう私の中には何もない。私の城も兵もその全てが失われた。
――後は、この滅びを告げる者が私の寝室をノックすれば…………。
接触するまであと数歩。そんな場所まで来た所で怪物が腕を跳ね上げ拳銃を撃つ。
空中に魔女の帽子だけを残すと、長門は低い姿勢から一気に怪物へと肉薄した。
それを押し潰さんと振り下ろされた怪物の拳を片手で受け、さらにもう片方の腕を伸ばし銃を持った腕を封じる。
一瞬で四つに組んだ状態に持っていった長門の口から特殊な高速言語が発せられ、
彼女の中でこの世の原理を書き換えるコードが組み上げられる。
「呪文か!」
気付き逃れようとするがすでに怪物の身体はピクリとも動かない。
「当該対象の絶対座標軸よりの移動を封鎖。並行して構造解析を開始」
接触してから一秒たらずで長門有希の体温は高負荷により43度まで上昇していた。
安全装置により処理に規制が掛かろうとするが、長門有希はこのフェイルセーフを自身で解除。
さらに体温は44……45……46……と急激に上昇していく。
接触した場所から解析用の枝が怪物の中へと伸びる。
彼女にとっては未知の情報で構成された存在。既知の存在に例えるなら怪物の中はまさに宇宙だった。
さらに体温は上昇。すでに有機生命体が活動を維持できる限界を超え、その雪のように白い表皮が熱に捲りあがり始める。
相対する怪物は彼女の目の中に決死の覚悟を汲み取り悦ぶ――やはり貴様は人間だ。
そして、その深く広い闇の中で彼女は遂に目的の「首輪」を発見した。
接触開始より1.2秒で怪物の体内に首輪に該当する物質を発見。
電脳を通じてトグサの眼に送られるまではコンマ一秒以下で終了。
情報を受信したトグサは0.4秒かけて照準し次の瞬間に最後の弾丸を発射した。
――寝室の扉を開けた私の胸に白木の杭が……
そして、発射された弾丸はコンマ一秒以下の速さで銃口から心臓までの空間を渡り……
怪物――吸血鬼アーカードの心臓を貫いた。
こうして狂愛の魔女によって始まった、怪物を呼び出し不幸を撒き散らす夜宴は、
もう一人の秩序を齎す魔女の手によってそれを終えられた。
万遍なく瓦礫が散らばったホテルの敷地内。完全に沈黙を取り戻したその中のいくつかの場所。
傷つき倒れた、あるいは死に瀕している者達の下へそれぞれ親しい人が駆けつけた。
吸血鬼アーカード。彼の下へかつては彼の僕だった吸血姫が駆け寄る。
「セラス……ヴィクトリア……」
もうその声には以前のような力はこもってはいなかった。
「マ"、マ"ズダァ~……」
かつての主の滅びにセラスは彼の手を握り涙を溢す。
「……お前は自分の、道程を……、自ら選び取った。もはや私は貴様の、主人……ではない」
それでもなお、セラスは滅び行く彼をマスターと呼び涙を溢す。
「フ……この未熟者め。だが、すでに一人の吸血姫であるならば……お前は独りで行かねばならん。
……私は、先に地獄で待っているとしよう……奴が先に逝っているのなら……退屈はしまい」
セラスの掌からアーカードであったものが零れ落ちる。
――塵は塵に。
セラスにとって彼は、厄災を運び込む者であり。闇に引きずり込んだ張本人であり。主人であり。
先を往く師であり。新しい家族であり。最後には仇であった。
そんな彼は塵となって彼女の前から姿を消し、そこには彼女が流した涙と存在を証明する銀色の首輪だけが残った。
そんな彼女を離れた位置で見ていたのは魅音だ。
セラスと怪物にどのような思惑があったかは彼女にはわからないが、死闘を経て彼女の中のセラスへの疑惑は払拭されていた。
泣き暮れる彼女を背に魅音は瓦礫の山を降りた。
打ち立った瓦礫に背を預け戦後の休息を取る劉鳳の下へ、何時の間にかに姿を消していたぶりぶりざえもんがその姿を現していた。
「お前、どこに行ってたんだ……」
完全に消耗しきった劉鳳の声は弱弱しかったが、逆にぶりぶりざえもんはまだ元気そのものだった。
「うむ。最初に言っただろう? 瓦礫の下に埋もれた人をおたすけすると」
そういえば、と劉鳳は思い出した。怪物から逃れる方便かと思ったがそうではなかったらしい。
だが、成果は芳しくなかったようだ。ぶりぶりざえもんの手にあるのは銀色の首輪のみである。
「間に合わなかったか……」
劉鳳は再び悔恨に歯をかみ締める。
「S……、U……、I…………、劉鳳。これはなんて書いてあるんだ?」
ぶりぶりざえもんの手から首輪を受け取る。どうやら内側に何か彫られているらしい。
「……SUISEISEKI――すいせいせき、か。この首輪の持ち主の名だろうか」
すいせいせき。劉鳳のその言葉に近くにいた剛田武が反応した。
だが、劉鳳が持ち上げた銀の環を見ると、その顔は見る間に悲しみに満ちた。
「翠星石~ッ!!」
剛田武は彼女の名前を呼び声を上げて泣いた。少年の純粋な悲しみにそれを聞くものも心を傷める。
だが魅音だけはその後ろでそれを少し冷めた目で見ていた。
武はただの素直な少年で本気で翠星石の死を悲しんでいる。
それは理性で理解でき、彼がもう魅音の敵でないことは明らかだが、
やはりそれでも梨花の仇である彼女の死を魅音は悲しむことができなかった。
ただ、失われるだけという虚しさが募るばかりだ。
あの時散り散りになった三人は、こうしてそれぞれにとって不幸せな再会を果たした。
横たわる長門有希の有様に、近づいた者の内何人かは思わず顔を背けた。
激しい高体温に曝された身体は表面から湯気を立て、その表面のほとんどがケロイドと化していた。
「長門! お前なにしてんだよっ!」
キョンが長門の側へ膝をつき悲壮な声を上げる。
彼女の時に自分を顧みない性分は知っていたはずだが、それでもまさかと思った。
後ろに立ったトグサも悔恨と苦渋に満ちた表情で彼女を見下ろしていた。
見開いた目は白濁化しており、どう見ても彼女の状態は死を免れそうにない。
だが長門は捲れ上がり真っ赤に腫れた唇を細かく震わせると淡々と言葉を紡ぎ始めた。
それを聞き逃すまいと、キョンとトグサは彼女の口に耳を近づける。
「……切欠はあなたが送ったメールだった」
「何を言ってるんだ長門? ……いや、もしかしてあのメールのことを言ってるのか?」
キョンは思い出す。偶然見つけたノートPCから送ったSOS団宛ての電子メールのことを。
長門有希はキョンの質問を無視し、言葉を紡ぎ続ける。
「涼宮ハルヒを初めとするSOS団団員と、その周辺にいる人物の消失を感知した我々は全力でその捜索を行った。
だが結果、得られた情報はゼロだった。
そこにある時あなたからのメールが、唯一残されたSOS団員である古泉一樹に届いた。
彼はすぐに我々情報統合思念体に協力を要請し、それを元に私達は発信元を特定しようと試みたが、
完璧な次元の断絶の前にそれは達成できなかった。
次に試みたのが私自身による私のハッキング。
その目的は完全に遮断された空間内へと送り込むトロイの木馬。
私自身の異時間同位体全てに対し並列的にハッキングを仕掛け、
結果それは連れ去られる瞬間の私に対して微細な成果をあげた。それが今の私。
そして私自身に仕込まれた構成情報はこの世界に来た瞬間分散し、
解析した情報から脱出のヒントを内包したいくつかの物体に偽装される。
そして、この世界に来た私は私自身が気付くことなく脱出のプロセスを完成させるため、
その偽装されたヒントを集めこの状況を解決する。
記憶操作はこの空間の支配者に対する偽装ではあったが、
この有機体が使用不可状態に陥ったため緊急避難処置として認識操作を解除し、現在情報を伝えている。
――質問を」
突然の説明に戸惑うキョンより先にトグサが素早く質問する。
「俺が見つけた映像フィルム。アレもやはり脱出のヒントだったのか?」
トグサの質問に長門有希はただ淡々と答える。
「そう。
この空間を包む次元の隔絶はその強固さゆえに一定の大きさ以上にはなりえない。
あの映像情報を実際の映像情報と照らし合わせることで、この空間の規模と形を計測することができるはず」
「それは、ギガゾンビが潜む場所への足がかりになるか?」
「可能性はある」
「じゃあ、他にそういったヒントがまだあるのか?」
「可能性は高い」
長門の回答に得心すると、トグサは一歩引いてキョンに質問を促した。
「じゃあ、ちょっとだけ教えてくれ。切欠は俺からのメールだって言ったが、じゃあこのPCそのものは一体どこから出てきたんだ?」
デイバッグから黒一色のノートPCを取り出し、キョンは長門に質問する。
それにも、長門有希はただ淡々と答えた。
「そのノートPCはおそらく今回私から発信された構成情報が偽装されたもの。
そして、今私が連れ去られた時間平面上ではあなたからの電子メールが切欠となっている。
一番初めにどうやってあなたがそれを発信し私が受け取ったのかは解らない。
しかし、何故今そうなっているのかは説明できる。
人類が時間と認識している時間の流れを一次元とした場合、
それらは断絶された時間平面の連続でしかなく、それゆえに常に一定で介入により一切変化することはない。
変容するのは二次元目に当たる時間平面の振幅。そして時間次元はこの波を利用し、常に安定した時間の有様を求める。
結果、三次次元による時間干渉は円環状へと落ち着くことが多い。
これもその結果」
「……解ったことにしとくよ」
長門有希の不可解な返答にキョンは苦虫を噛み潰したような顔をする。
「ありがとう。じゃあもう眠ってくれ」
トグサの言葉を受け取ると、長門有希はその唇の震えを止め、物言わぬただの屍と化した。
「え? ……どうしたんだ長門? ……トグサさん、コレは一体?」
トグサに問いかけるキョンの顔には激しく狼狽の様が浮かんでいる。
だが、逆にトグサの顔は諦観とも取れる静けさがあった。
「キョン君。彼女は……長門有希はすでに死んでいたんだ。さっきの対決でね。
今のは彼女の言葉通り緊急のプログラムだ。……そう、今わの際に彼女が俺に伝えてきたよ」
キョンは物言わぬ長門の顔見つめる。
「やっと会えたばかりじゃないか。……なんで、そんな勝手に死んじまうんだよ」
ポツポツと零れ落ちた涙が傷ついた長門有希の顔を叩く。
ご都合主義のファンタジーなら彼女はこれで生き返っただろう。
だが此処は、この現実は決してそうではないことをキョンは知っていた。
&color(red){【鳳凰寺風@魔法騎士レイアース 死亡】}
&color(red){【アーカード@HELLSING 死亡】}
&color(red){【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】}
&color(red){[残り29人]}
偶然にも居合わせた多数の人間。大きな危機が去り次の行動をどうするか迷う彼らを纏めたのは、
その内のほとんどの人間とのコンセサンスを持ち、積極的に脱出を図り人を集めるトグサだった。
「……じゃあ、今病院には怪我をした四人とそこに向かった峰不二子という女がいるんだな?」
「うむ、そのとおりだ」
数時間ぶりに再会できたぶりぶりざえもんの報告に、トグサは思案をめぐらせる。
病院は自分達が初めて辿りついた時も襲撃の跡が見られ、結局自分達もさらなる襲撃にそこを追い出されることとなった。
このゲームのクリアを自分以外の全員の殺害と捉えている参加者にとって、そこが絶好の狩場であることはすでに明白だ。
しかし、だからといって重症を負ったしかも複数の人間に動いてもらうのも無茶な話だ。
ならばとりあえずはこの連中、そして映画館に残したハルヒ達を病院に結集させるか……。
病院自体が立て籠もるに適した施設だということは確認済みなのだから、むしろそういった施設を脱出を目指す人間で占拠すると考えればいい。
決心するとトグサは少し高く積もった瓦礫の上に立ちみんなに声をかけた。
「みんな聞いてくれ。
改めて自己紹介するが、俺は公安九課に所属するトグサという者だ。
もちろん俺はこのふざけたゲームに従うつもりはないし従ってはいない。それは君達もそうだろう。
そこで君達に提案したい。俺たちが一致団結してこのゲームそのものを破壊するということを」
そこでトグサは一旦言葉を区切り、壇上から見下ろせる彼らがその言葉に耳を傾けているかを確認する。
全員が彼の言葉に耳を傾けていることに満足するとトグサはさらに言葉を続けた。
「そこで提案だ。まずは全員でここから西にある病院に移動したいと思う。
ここには重症を負った人間がいるし、また病院にも同様に怪我を負った人間が集まっている。
病院に全員が集まれば互いに手当てをしあい、休息を取ることも容易だろう。
そして、人数が集まりその知識と知恵を持ち合えばゲームの破壊にも近づける」
最後にどうだろう? と回答を促す言葉でしめトグサは口を閉じた。
全員が自分の言葉に乗ってくれるだろうと彼は思っていたが……、
「少しだけここで待たせてもらえないかな?」
そう提案したのはトグサとは初対面になる魅音だ。
「クーガーとなのはちゃんがもうすぐここに帰って来るはずなんだ。それに……」
魅音は堆く積みあがった瓦礫を見上げる。絶望的と言えども、それが確定するまではここを動きたくないのが彼女の思いであった。
「その人達はいま何所に?」
「なのはちゃんは、このホテルを多分最初に襲ってたヤツを追って……
そしてクーガーはここに向かってる途中で襲われたシグナムってヤツと闘ってる」
そう答えて、魅音は彼らと別れてからかなりの時間が経過していることに気づいた。
魅音の言葉にトグサは質問を重ねる。
「襲ってきた連中の特徴を教えてもらってもいいかい?」
「最初のヤツはわからない……飛んでいるのが遠目に見えただけだから……
シグナムって言ったのは、私みたいに髪を束ねた赤い髪の女だよ」
魅音の話すシグナムの特徴にトグサは思い当たる節があった。
それはハルヒ達を襲いルパンを殺害した……。
「悪いが俺は先に抜けさせてもらうぜ」
そういって立ち上がったのは次元だ。シグナムが彼の仇であることはトグサも知っている。
「待ってくれ次元。あんたも脱出を目指しているんじゃないのか?」
「それとこれとは別問題なのさ。なあに、てめえの用事が済んだらそっちに戻る。それでいいだろ?」
そう言うと次元は魅音、そして劉鳳にクーガーとシグナムがいた場所を聞くと最後に忠告を残してホテルを去った。
「トグサ。不二子って女からは目を離すなよ。利がある内は大人しいがあいつは見切りが早いからな。
仲間にすれば頼もしいが、土壇場で裏切る。こんな所で馬鹿をするとは思えねえが、一応気をつけといてくれ」
と、彼が去った後をぶりぶりざえもんが追いかける。
「おい。お前までどうしたんだ?」
と、トグサは引き止めるが、
「あいつには私のおたすけが必要だと思ってな。
それに、今のわたしには病院に戻って太一達に合わせる顔がないのだ。
彼らをおたすけする別の方法を見つけたら戻るので、それを伝えてくれ」
言うが早いか、ぶりぶりざえもんもまた翆の光の尾を引いて暗闇の中へと去ってしまった。
トグサはぶりぶりざえもんの光る尻が気になったが、次の再会の際に言及するとして残った者達の下へと戻った。
次元とぶりぶりざえもんが去った後に短い時間で行われた話し合いの結果、
結局ホテル跡地に残る者といち早く病院へ負傷者を送る者に別れることになった。
もちろん、残る者にはきりのいいところで病院へと向かうように言い聞かせてだ。
そして、トグサ自身は映画館に残したハルヒ達を迎えに行くべく一足先に自転車を漕いでホテルを離れた。
トグサが行ってから後、セラスがホテルの敷地内に一台のリヤカーを引いて戻ってくる。
「ども、おまたせしました」
「これで俺を運ぶのか?」
疲弊し地面に横になっていた劉鳳はそれを見て顔を顰めたが、次の瞬間には一刻も病院へと自分を運ぶようセラスに命令していた。
身体に染み込んだ従者体質なのか、セラスは言われるままに劉鳳をリヤカーに横たえ、
その横にはキョンとトウカの手によって足を折った剛田武が横たえられた。
そして、去り際に劉鳳がトウカへと声をかける。
「俺のバッグの中に刀が一本ある。それを取れ」
言うがままにトウカがバッグを漁ると、白鞘の刀が中から見つかった。
そのつくりから実戦向けに仕上げられた業物であることが彼女には窺え知れる。
「これを某に……?」
「ああ、俺には無用の長物だ」
その言葉にトウカは感極まり、謝辞を並べ立てまくる。
それをくすぐったそうにしながら劉鳳はホテルを去り、トウカはその姿が見えなくなるまで頭を下げ続けていた。
「これも”おたすけ”か? ぶりぶりざえもん……」
劉鳳は見上げる満月に向かってなんとなく呟き、悪い気はしない――そう思った。
”彼女は自分の仕事を立派に果たした。その後を継ぐのが俺達の仕事だ。違うかキョン君?”
そのトグサの言葉をその通りだと頭では理解できる。
だがしかしキョンの足元には長門有希の遺体がさっきのまま横たわっていた。
彼女を弔いたいからとこの場所に残ったものの、長門なら蘇るんじゃないかというありもしない期待に身体を動かすことができなかったのだ。
「……キョン殿」
ここで亡くなった鳳凰寺風と野原みさえを埋葬し、
灰を被った獅堂光の墓を改めて整え終わったトウカと魅音がキョンと横たわる長門有希の方へと心配そうに戻ってくる。
「ええわかってますよ。サボっちまってすいません」
わざと明るい声を出して自分を奮わせると、キョンはトウカからスコップを受け取り長門有希の墓を掘り始めた。
(安心してろよ長門。俺がお前のヒントを受け損なったことなんてなかっただろ?)
並んで掘られた三人の女性の墓、その横に四つ目の墓穴を掘りながらキョンは、この悪趣味なゲームからの脱出を改めて決心した。
それを離れた位置で見守る彼の用心棒であるトウカ。
彼女の腰には先刻の闘いで折れた物干し竿に代わって、劉鳳から預かった斬鉄剣が佩かれていた。
そこから更に離れた場所で、魅音は瓦礫の山を登ったり降りたりしながら昼間の宝探しを思い返していた。
あの時はまだ四人とも仲良くやっていたのにあれも嘘だったのか……。
しかし、もうその答えは永遠に得られない。時と共に命も何もかもが失われていってしまう。
……それでももう止まったりはしない。
魅音は瓦礫の山の頂上から空を見上げクーガーとなのはの帰りを待った。
【D-5/ホテル跡地/1日目-真夜中】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、ギガゾンビと殺人者に怒り、強い決意
[装備]:バールのようなもの、スコップ
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-1)、わすれろ草@ドラえもん、キートンの大学の名刺
ロープ、ノートパソコン
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:長門を埋葬し、魅音と一緒にクーガーとなのはを待つ。
2:その後、病院へと向かう。
3:『射手座の日』に関する情報収集。
4:トウカと共にトウカ、君島、しんのすけの知り合いを捜索する。
5:キャスカ、ルイズを警戒する。
6:あれ? そういえばカズマってどこかで聞いたような……
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:疲労、左手に切り傷、全身各所に擦り傷、額にこぶ
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[道具]:支給品一式(食料-1)、出刃包丁(折れている)、物干し竿(刀/折れている)@fate/stay night
[思考]
基本:無用な殺生はしない
1:長門を埋葬し、魅音と一緒にクーガーとなのはを待つ。
2:その後、病院へと向かう。
3:キョンと共に君島、しんのすけの知り合い及びエルルゥを捜索する。
4:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョンと武を守り通す。
5:ハクオロへの忠義を貫き通すべく、エルルゥとアルルゥを見つけ次第守り通す。
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:心身共に疲労、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り)
[装備]:AK-47カラシニコフ(30/30)、AK-47用マガジン(30発×3)
[道具]:支給品一式、スルメ二枚、表記なしの缶詰二缶、レジャー用の衣服数着(一部破れている)
[思考]
基本:バトルロワイアルの打倒
1:キョンとトウカと共にクーガーとなのはを待つ。
2:瓦礫の山を捜索。
3:クーガーとなのはが戻ってきたら病院へ向かう。
4:沙都子を探して保護する。
5:圭一、レナの仇を取る。(水銀燈とカレイドルビーが対象)
セラスとキョンに事後を任せトグサは自転車を全力で駆っていた。
映画館で待つハルヒ、アルルゥ、ヤマト。彼がもし長門の死を放送で知れば必ずパニックを起こし、
その外へと飛び出してしまうだろう。その前に戻って自分が事情を説明しなければならない。
ハルヒや、長門に懐いたアルルゥのことを思うと心が痛むが、逃げるわけにはいかないことだ。
病院に戻ったら、セラスにも謝らなければならないだろう。他のホテルにいた者達にも。
この一連のホテルで連なり起こった惨劇、そのドミノの最初の一枚を倒したのは確実に自分だ。
すでに脱落してしまった者には合わせる顔もない。だからこそ、犠牲になったものに報いるためにも必ず脱出してみせる。
時計で時刻を確認しながら病院の前を突っ切る。
往く道で後ろに乗せていた彼女は重さを感じさせなかったが、帰りの道を戻るトグサの胸にはその不在はとても重かった。
【C-3/市街地路上/1日目-真夜中】
【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:疲労と眠気、SOS団団員辞退、自転車全速力
[装備]:S&W M19(残弾6/6発)、刺身包丁、ナイフとフォーク×各10本、マウンテンバイク
[道具]:デイバッグと支給品一式×2(食料-4)、S&W M19の弾丸(34発)、警察手帳(持参していた物)
技術手袋(使用回数:残り17回)@ドラえもん、首輪の情報等が書かれたメモ1枚
[思考]
基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
1:映画館に戻りハルヒ達に事情を説明。
2:その後ハルヒ達を病院へと誘導。
3:病院に人が集まったら、改めて詳しい情報交換を行う。
4:ハルヒからインスタントカメラを借りてロケ地巡りをやり直す。
5:情報および協力者の収集、情報端末の入手。
6:タチコマ、エルルゥ、八神太一の捜索。
[備考]
風、次元と探している参加者について情報交換済み。
ホテルより西に、レジャービルの前を横切り病院への道を走る一台のリヤカーがあった。
それを引いているのは吸血姫であるセラスで、荷台には満身創痍の劉鳳と右足首を折った剛田武が横になっている。
「急げセラス。俺はあの不二子という女が悪なのか見定めねばいけないんだ」
横になったままの姿勢で劉鳳が台車を引くセラスに注文する。
いかなる艱難辛苦を経ようとも彼の横柄な態度は改まらないらしい。
「アイヨー」
こちとらも同じく満身創痍なのに吸血姫使いが悪いとブーたれながらもセラスは台車を引く。
その腕には彼女のマスターであった吸血鬼アーカードの心臓に嵌っていた、
他よりも小さめの銀の環が月光を跳ね返し輝いていた。
(……のび太。ドラえもん)
劉鳳の横に寝かされた剛田武は翠星石の首輪を握り締めながら真上の月を見ていた。
劉鳳の話によるとそこに彼らがいるという。なまじ仲間が集まるがゆえに、
スネ夫という大切な仲間が揃わないことが彼の心を痛めた。
ガラガラガラガラと音を立てて月夜をリヤカーが走る。
【D-5/市街地路上/1日目-真夜中】
【劉鳳@スクライド】
[状態]:満身創痍
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(-2食)、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱、ビスクドール、ローザミスティカ(真紅) @ローゼンメイデン
[思考]
基本:自分の正義を貫く。正義とは何かを見定める。
1:病院へと向かい不二子が悪か見極める。
2:病院で手当てを受ける。
3:悪を断罪する。(ウォルターを殺した犯人、朝倉涼子※名前を知らない、シグナム※クーガーに任せた)
4:ゲームに乗っていない人達を保護し、ここから解放する。
[備考]
※ジュンを殺害し、E-4で爆発を起こした犯人を朝倉涼子と思っています。
※例え相手が無害そうに見える相手でも、多少手荒くなっても油断無く応対します。
※朝倉涼子については名前(偽名でなく本名)を知りません。
【セラス・ヴィクトリア@HELLSING】
[状態]:全身打撲、裂傷及び複数の銃創 (※どれも少しずつ回復中)
[装備]:対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(残弾:6/6発)@HELLSING、アーカードの首輪
13mm炸裂徹鋼弾×54発@HELLSING、スペツナズナイフ×1、ナイフとフォーク×各10本、中華包丁
銃火器の予備弾セット(各40発ずつ、※Ak-47、.454カスール、ジャッカル、S&W M19の弾丸を消費)
[道具]:支給品一式(×2)(メモ半分消費)、糸無し糸電話@ドラえもん、バヨネット@HELLSING
[思考]
基本:トグサに従って脱出を目指す。
1:劉鳳、剛田武と共に病院へ向かう。
2:食べて休んで回復する。
3:病院を死守し、トグサ達を待つ。
4:ガッツとキャスカを警戒。
[備考]
※セラスの吸血について
・通常の吸血
その瞬間のみ再生能力が大幅に向上し、少しの間戦闘能力も向上します。
・命を自分のものとする吸血
少しの間、再生能力と戦闘能力が向上し、その間のみ吸った相手の力が一部使用できます。
吸った相手の記憶や感情を少しだけ取り込むことができます。
※現在セラスは使役される吸血鬼から、一人前の吸血鬼にランクアップしたので
初期状態に比べると若干能力が底上げされています。
【剛田武@ドラえもん】
[状態]:右足首単純骨折、額と鼻に打撲、落ち込んでいる
[装備]:虎竹刀@fate/stay night、強力うちわ「風神」@ドラえもん
[道具]:支給品一式、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に、翠星石の首輪
ジャイアンシチュー(2リットルペットボトルに入れてます)@ドラえもん、シュールストレミング一缶、缶切り
[思考]
基本:誰も殺したくない、ギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやる
1:病院に向かいドラえもんとのび太に合流する。
2:病院で手当てを受ける。
2:病院で魅音を待つ。
ホテルより南、劉鳳がクーガーと別れた場所を目指して月の下を歩く一人と一匹がいた。
クーガーを迎えに……ではなく、その相手であるシグナムを探してである。
(……そのクーガーってのが、やっちまってると言っても面ぐらいは拝ませてもらえねえとな)
劉鳳と魅音から聞いたシグナムという襲撃者は、トグサから聞いたルパンの仇に間違いない。
そう確信すると次元大介は止めるも聞かず一人で飛び出してきたのだが……
「おめーさん。なんでまた俺と一緒に?」
隣を短い足でついて来るブタ――ぶりぶりざえもんに次元は問うた。
「なあに、まだお前はわたしにおたすけされてないと思ってな。
それに……、今太一達の下に戻ってもおたすけできないのだ……」
ブタにはブタの都合があるらしい……と次元は解釈した。
「ところでそのケツで光っているのは……」
ぶりぶりざえもんのパンツのお尻の部分が、蛍のように翠の淡い光を放っている。
「こ、これはなんでもないぞ。拾ったんだからわたしの物だっ」
どうやら、あの瓦礫の山で何かを拾ったらしいのだが……
「……まぁいいか。よろしくな相棒」
「うむ、私がいるからには大船に乗ったつもりでいろ」
そんなやり取りを経て、一人と一匹は足音と淡い光を残し夜の街の中へと姿を消した。
【E-6/市街地路上/1日目-真夜中】
【次元大介@ルパン三世】
[状態]:疲労、発砲による腕の疲労、脇腹に怪我(手当て済み、ただし傷口は閉じてきってない)
[装備]:454カスール カスタムオート(残弾:7/7発)@HELLSING、朝倉涼子のコンバットナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:デイバッグ(×4)、支給品一式(×4)(食料-2)、13mm爆裂鉄鋼弾(21発) @HELLSING
レイピア、ハリセン、ボロボロの拡声器(使用可)、望遠鏡、双眼鏡
蒼星石の亡骸(首輪つき)、リボン、ナイフを背負う紐、ローザミスティカ(蒼)@ローゼンメイデン
トグサの考察メモ、トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ
[思考]
基本:1.女子供は相手にしないが、それ以外には容赦しない。
基本:2.トグサに協力し、できるだけ多くの人間が脱出できるよう考えてみる。
1:生死に関わらずシグナムを探す。
2:シグナムが生きていればルパンの仇を取る。
3:クーガーと会ったらホテル跡へ戻るよううながす。
4:1-3が終われば病院へと向かう。
5:アルルゥ、トグサ、ヤマトの知り合いに会えたら伝言を伝える。
6:折を見て魅音に圭一たちのことを話す。
7:ギガゾンビの野郎を殺し、くそったれゲームを終わらせる。
[備考]
トグサとの情報交換により、
『ピンク髪に甲冑の弓使い(シグナム)』『赤いコスプレ東洋人少女(カレイドルビー)』
『羽根の生えた黒い人形(水銀燈)』『金髪青服の剣士(セイバー)』
を危険人物と認識しました。
【ぶりぶりざえもん@クレヨンしんちゃん】
[状態]:やや疲労、頭部にたんこぶ、ヤマトとの友情の芽生え、救いのヒーローとしての自覚
[装備]:なし
[道具]:ローザミスティカ(翠) @ローゼンメイデン
[思考]
基本:困っている人を探し、救いのヒーローとしておたすけする。
1:とりあえず次元大介に付き添う。
2:太一をおたすけする別の手段を見つける。
3:まだおたすけしていない相手を見つけたらそいつをおたすけする。
4:怪我人を見つけたら病院へと送る。
5:救いのヒーローとしてギガゾンビを打倒する。
【備考】
以下の物がホテル跡の鳳凰寺風の墓の近くに放置されています。
鳳凰寺風の剣@魔法騎士レイアース、鎖鎌(ある程度、強化済み)
[鳳凰寺風のデイバッグ]
小夜の刀(前期型)@BLOOD+、スパナ、果物ナイフ
紅茶セット(残り5パック)、猫のきぐるみ、マイナスドライバー、アイスピック、包丁、フォーク
包帯(残り3mぐらい)、時刻表、電話番号のメモ(E-6駅、F-1駅)
以下の物がまだホテルやその周辺の瓦礫の下に埋まっています。
[ゲインのデイパック]
支給品一式×2、工具箱 (糸ノコ、スパナ、ドライバーなど)
[バトーのデイバッグ]
支給品一式(食糧なし)、チョコビ13箱@クレヨンしんちゃん、煙草一箱(毒)、 爆弾材料各種(洗剤等?詳細不明)
電池各種、下着(男性用女性用とも2セット)他衣類
茶葉とコーヒー豆各種(全て紙袋に入れている、茶葉を一袋消費
[みさえのデイバッグ]
石ころ帽子@ドラえもん、スモールライト@ドラえもん
[他]
パチンコ、パチンコの弾用の小石数個、トンカチ、支給品一式、空のデイパック
スペツナズナイフ×1、銃火器の予備弾セット(各120発※ジャッカルの分は抜かれてます)
糸なし糸電話(使用不可)@ドラえもん、FNブローニングM1910(弾:3/6)
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|235:[[孤城の主(中編)]]|園崎魅音|236:[[廃墟症候群]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|トグサ|245:[[峰不二子の陰謀]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|劉鳳|241:[[闇照らす月の標]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|セラス・ヴィクトリア|241:[[闇照らす月の標]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|剛田武|241:[[闇照らす月の標]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|次元大介|244:[[のこされたもの(相棒)]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|ぶりぶりざえもん|244:[[のこされたもの(相棒)]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|&color(red){長門有希}|298:[[GAMEOVER(1)]]|
|235:[[孤城の主(中編)]]|&color(red){アーカード}||
|235:[[孤城の主(中編)]]|&color(red){鳳凰寺風}||
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