「王の手の平の王」(2007/04/19 (木) 21:45:36) の最新版変更点
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*王の手の平の王 ◆LXe12sNRSs
夜の帳は明朝を向かえ、下ろした黒幕をまた白の世界へと譲っていく。
物語は終焉を迎えつつある。この世界で三度目の朝日を見ることはあるのか、はたまたその前に決着は着くのか。
私はあと幾度、あの主催者の傲岸不遜な様を見ればよいのだろうか。
――此度の濫觴は、主催者ギガゾンビの急な招集にある。
集った参加者は老若男女隔てりはなく、それこそ闘争とは無縁の人生を歩むはずであった幼子もいたことだろう。
どんな人間とて、良識はある。
あのギガゾンビがヒトの範疇に収まる生物であるというのなら、そこに良識を凌駕するほどの悪意が秘められているのは明白だった。
私も含め、この余興では数多くの人間がその悪意に身を歪められながら生き、そして死んでいく。
最終的に残るのは一人。ギガゾンビに見定められた、勝利者のみだ。
この場合の勝利者とは、縁も所縁もない、もしくはそれすらも断ち切り、他者を殺し尽くせた者を指す。
世間ではそういった者を外道と総称し、皆の嫌悪を一身に受ける悪役に仕立て上げられるのだろう。
私は、王でありながらにその未来を受け入れる覚悟を持った。
守るべき多くの民がいるというのに――いや、いるからこそ――私は剣を取ったのだ。
憐憫の情を無へと流し、屠殺を行うような気構えで人間の命を奪ってきた。
力を持たぬ子供を屠ることを些事としか捉えず、あえてギガゾンビの傀儡となることを受け入れた結果が、今の私。
だが、これは軽挙などではない。その裏には、確かな不抜の精神が鎮座している。
王の選定をやり直す。言ってしまえば、それは私個人の我侭に過ぎない。それも、79名の犠牲を伴う壮大な我侭だ。
王に必要なものは、教養と慈愛、民を慈しむ心、何者にも侵されぬ気高き自我、国を守れる単純な力……それこそ、挙げていけば切りがない。
私は国を滅ぼした駄目な王だ。その上過去の失敗にとらわれ、やり直しの機会を与えられただけで誇りを投げ捨てる愚者でもある。
そんな私の政策が、一度のやり直しでどうにかなるなど誰が思おうか。
放送のたびに姿を現すギガゾンビを見ていると、常々思う。
いつの世も、王とは聖人か愚か者かのどちらかなのだと。
「……ん…………朝、ですか」
明るみを増してきた視野に起き抜け特有の不快感を感じながら、私はいつの間にか眠ってしまっていたらしいその身を起こした。
これまでの疲労が積もり積もった結果なのだろう。睡眠を取れたことは幸運に思うべきだが、些か気が緩んでしまっていたようだ。
時計を取り出し、現在の時刻を確認する。短針は南の方角を示し、周囲の明るさを妙に感じさせない結果を教えてくれた。
睡眠中に何事もなかったことは不幸中の幸いと言え、放送を聞き逃すことなく目を覚ますことが出来たのもまた、不幸中の幸いだった。
近くの川で適度に洗面を済ませ、立ち去ろうとしたところでその見事なせせらぎに女性ゆえの欲望を滾らせてしまう。
「…………これからまた、長い一日が始まるのですね」
私はそのような言葉を述べた後、気がつけばいそいそと脱衣に取り掛かっていた。
身を清めるというのは、神聖でいてとても意味のある行為だ。
睡眠により身体に蓄積された疲労は取れようとも、外皮に積もった垢までは除けない。
何より、汚れとは精神的疲労の蓄積に繋がる。
故にそれを洗い流す意味合いは非常に大きく、また私の場合は数々の決闘で染み付いた血の臭いもあるため……。
と、言い訳がましい文句を述べながら身を河川に浸す最中、切創を抉る痛みに緩んだ気を引き締められ、私は何かを思い出したかのように我が身を眺めた。
……お世辞にも美麗とは言えない。土埃と血に汚れ、傷だらけとなった肌。
勇敢な戦士からしてみれば勲章とも取れる激戦の爪痕だが、その裏には死屍たる者たちの怨嗟が蠢いている。
望みながらに散っていった佐々木小次郎は別格として、君島邦彦とヴィータの命、その抗いの功績はこの身に刻まれ消えることはない。
弱者の命など、覇業の礎としては極有り触れたものだ。
それが絶望的と思われた悲願を叶えるためのものというならば、尚のこと。
だからといって、私はそれを軽視するつもりはない。
この願いは誰にも譲れないが、私が奪った命はこれから先の未来、私自身の教訓として背負っていく覚悟だ。
償いにもならない自己満足であるということは、私が一番よく分かっている。
所詮、私は民を思わぬ愚鈍な王。見知らぬ者には慇懃無礼を貫き、欲に縛られ命を奪う。非道な略奪者だ。
だがこれは私がこの世界を周旋して得た結論であり、今さらそれを曲げるつもりもない。
殺し、生き延び、勝利を掴む。ここで私が成すべきことは、ただそれだけでいい。
犠牲となった者へ弔詞を読むことも、若い命を散らした勇者のために墓石を立てることも、全ては事後で済む。
自分の都合のために動き、戦う。反吐が出る。
この、身を焦がすほどの嫌悪感こそが、殺し合いというものなのだろう――と、私は今さらながらに理解した。
「あの者たちは、まだ生き延びているでしょうか」
清めの儀式を終えた私は、回復した体力を衰えさせぬため食事に取り掛かった。
相変わらず不味い。栄養価も低い。
だが、世の中には貧困に苦しむ人間がごまんといる。それを思えば、味に文句など言えるはずもない。
ただ胃にものを溜めるための行為に没頭しながら、私が思い出したのは、私とは相対する位置に立つ者たちの素顔。
ギガゾンビに反抗の意志を示した幼い少年。
ヒトの域を脱しながらに、気高い信念を掲げていたぶりぶりざえもんなる豚。
それら脆弱な民の他にも、エヴェンクルガのトウカやシェルブリットのカズマといった難敵もまだ残っている。
彼等の活躍如何によっては、ギガゾンビの目論見は崩れ去るかもしれない。
愚者の野望は、図らずとも潰えるもの。しかしそれでは私が困る。
彼の王には、我が悲願を叶えて貰わねばならぬのだから。
「さて」
私は立ち上がり、新たに我が武器となった大剣、ドラゴンころしの柄を握った。
食後の運動――というほどの量は摂取していないが、慣れない武器では実戦において不利が付きまとう。
不安要素を少しでも取り除いておくため、この剣の特性を知っておく必要があった。
胸の辺りまで持ち上げ、その確かな重量感に握り手の筋肉を収縮させる。
……なるほど。これは大したじゃじゃ馬だ。
隻腕でこれを振るっていた佐々木小次郎が、いかに凄腕の剣士だったか改めて思い知らされる。
私は決闘の末にこれを小次郎から落手し、新たな得物とすることを決めた。
斬るというよりは叩く、突くというよりは潰すといった効果の見られる鈍器のような剣だが、振るう分には問題ない。
これが人の手に渡ることを想定して作られたというのなら、サーヴァントである私は雑作もなく操れるだろう。
意識集中。
振り上げ――振り下ろす!
風を切る豪快な音が、地を生えずる雑草に衝撃の波濤を送る。
腕に支障はない。カリバーンを振るっていた頃ほどの速さは求められないが、代償として倍以上の破壊力を得た。
ドラゴンころしとはよく言ったものだ。これほどの重量を誇る剣、容易く振るえれば確かに竜とて斬り殺せるだろう。
使いこなせる者は限られてくるだろうが、適した使い手に渡ればこれ以上ない強力な武器だ。ギガゾンビも中々に面白いものを提供してくれる。
……いや、これも全てはギガゾンビの企みどおりと言ったところか。
何しろこれだけの大剣、人間に振り下ろせば木っ端微塵の肉塊と成り果てるのは目に見えている。
残酷な死を見たい者からすれば、これ以上なく都合のいい悪趣味な武器だ。
おそらく、私が休息を取っていたこの場を禁止区域としなかったことも、全ては謀を円滑に進めるための処置に違いない。
ただでさえ、身動きの取れない参加者を禁止区域の罠で追い詰めるような輩だ。
そんな腐った思考を持つ者が、暢気に休息を取る私を見逃す理由があるとすれば一つ。私が殺し合いに積極的だからだろう。
これは推測だが、おそらく残り人数が減るのに相応して、殺し合いに臨む者の数も減少の傾向にあるのだ。
だからこそ力のある殺人鬼たちに安息を与え、また満足に戦えるよう促している。
大した贔屓ぶりだ。力のない者が駆逐されていくのを楽しみつつ、企画が破綻しないよう内部をうまく操作する。見事としか言いようがない。死ねばいいのに。
「……もっとも、今の私が言えたものでもありませんが。
さぁ、ギガゾンビよ。あと幾度、私はあなたの手の平で躍ればいい?」
訪れた定期放送の時間に、視線を空へと移動させる。
いつもと変わらぬ演出で現れたギガゾンビの像。あれを斬り伏せられたら、どれだけ気持ちが晴れやかになるだろうか。
考えても仕方がない。今の私は、愚者に操られる傀儡の王。滑稽すぎる大馬鹿者でしかないのだから。
願わくば、できるだけ多くの名が呼ばれますように。
この手を汚す機会が少なくなりますように。
そしていつの日か、あの仮面に天誅を。
常々思う。
こんなもの、さっさと終わってしまえばいいのに。
【C-2/二日目/早朝(放送開始)】
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、両肩に傷(ほぼ完治)、魔力消費(中)
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク、アヴァロン@Fate/ Stay night
[道具]:支給品一式(食糧なし)、スコップ、なぐられうさぎ(黒焦げで、かつ眉間を割られています)@クレヨンしんちゃん
コンバットナイフ、鉈@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
1:放送を聞き終えた後、出発。
2:エクスカリバーを探してみる。
3:優勝し、王の選定をやり直させてもらう。
4:エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす。
5:迷いは断ち切った。この先は例え誰と遭遇しようとも殺す覚悟。
※アヴァロンが展開できないことに気付いています。
※防具に兜が追加されています。ビジュアルは桜ルートの黒セイバー参照。
*時系列順で読む
Back:[[Macabre in muddled rabbithutch(後編)]] Next:[[暗闇に光る目]]
*投下順で読む
Back:[[Macabre in muddled rabbithutch(後編)]] Next:[[暗闇に光る目]]
|246:[[Luna rainbow]]|セイバー||
*王の手の平の王 ◆LXe12sNRSs
夜の帳は明朝を向かえ、下ろした黒幕をまた白の世界へと譲っていく。
物語は終焉を迎えつつある。この世界で三度目の朝日を見ることはあるのか、はたまたその前に決着は着くのか。
私はあと幾度、あの主催者の傲岸不遜な様を見ればよいのだろうか。
――此度の濫觴は、主催者ギガゾンビの急な招集にある。
集った参加者は老若男女隔てりはなく、それこそ闘争とは無縁の人生を歩むはずであった幼子もいたことだろう。
どんな人間とて、良識はある。
あのギガゾンビがヒトの範疇に収まる生物であるというのなら、そこに良識を凌駕するほどの悪意が秘められているのは明白だった。
私も含め、この余興では数多くの人間がその悪意に身を歪められながら生き、そして死んでいく。
最終的に残るのは一人。ギガゾンビに見定められた、勝利者のみだ。
この場合の勝利者とは、縁も所縁もない、もしくはそれすらも断ち切り、他者を殺し尽くせた者を指す。
世間ではそういった者を外道と総称し、皆の嫌悪を一身に受ける悪役に仕立て上げられるのだろう。
私は、王でありながらにその未来を受け入れる覚悟を持った。
守るべき多くの民がいるというのに――いや、いるからこそ――私は剣を取ったのだ。
憐憫の情を無へと流し、屠殺を行うような気構えで人間の命を奪ってきた。
力を持たぬ子供を屠ることを些事としか捉えず、あえてギガゾンビの傀儡となることを受け入れた結果が、今の私。
だが、これは軽挙などではない。その裏には、確かな不抜の精神が鎮座している。
王の選定をやり直す。言ってしまえば、それは私個人の我侭に過ぎない。それも、79名の犠牲を伴う壮大な我侭だ。
王に必要なものは、教養と慈愛、民を慈しむ心、何者にも侵されぬ気高き自我、国を守れる単純な力……それこそ、挙げていけば切りがない。
私は国を滅ぼした駄目な王だ。その上過去の失敗にとらわれ、やり直しの機会を与えられただけで誇りを投げ捨てる愚者でもある。
そんな私の政策が、一度のやり直しでどうにかなるなど誰が思おうか。
放送のたびに姿を現すギガゾンビを見ていると、常々思う。
いつの世も、王とは聖人か愚か者かのどちらかなのだと。
「……ん…………朝、ですか」
明るみを増してきた視野に起き抜け特有の不快感を感じながら、私はいつの間にか眠ってしまっていたらしいその身を起こした。
これまでの疲労が積もり積もった結果なのだろう。睡眠を取れたことは幸運に思うべきだが、些か気が緩んでしまっていたようだ。
時計を取り出し、現在の時刻を確認する。短針は南の方角を示し、周囲の明るさを妙に感じさせない結果を教えてくれた。
睡眠中に何事もなかったことは不幸中の幸いと言え、放送を聞き逃すことなく目を覚ますことが出来たのもまた、不幸中の幸いだった。
近くの川で適度に洗面を済ませ、立ち去ろうとしたところでその見事なせせらぎに女性ゆえの欲望を滾らせてしまう。
「…………これからまた、長い一日が始まるのですね」
私はそのような言葉を述べた後、気がつけばいそいそと脱衣に取り掛かっていた。
身を清めるというのは、神聖でいてとても意味のある行為だ。
睡眠により身体に蓄積された疲労は取れようとも、外皮に積もった垢までは除けない。
何より、汚れとは精神的疲労の蓄積に繋がる。
故にそれを洗い流す意味合いは非常に大きく、また私の場合は数々の決闘で染み付いた血の臭いもあるため……。
と、言い訳がましい文句を述べながら身を河川に浸す最中、切創を抉る痛みに緩んだ気を引き締められ、私は何かを思い出したかのように我が身を眺めた。
……お世辞にも美麗とは言えない。土埃と血に汚れ、傷だらけとなった肌。
勇敢な戦士からしてみれば勲章とも取れる激戦の爪痕だが、その裏には死屍たる者たちの怨嗟が蠢いている。
望みながらに散っていった佐々木小次郎は別格として、君島邦彦とヴィータの命、その抗いの功績はこの身に刻まれ消えることはない。
弱者の命など、覇業の礎としては極有り触れたものだ。
それが絶望的と思われた悲願を叶えるためのものというならば、尚のこと。
だからといって、私はそれを軽視するつもりはない。
この願いは誰にも譲れないが、私が奪った命はこれから先の未来、私自身の教訓として背負っていく覚悟だ。
償いにもならない自己満足であるということは、私が一番よく分かっている。
所詮、私は民を思わぬ愚鈍な王。見知らぬ者には慇懃無礼を貫き、欲に縛られ命を奪う。非道な略奪者だ。
だがこれは私がこの世界を周旋して得た結論であり、今さらそれを曲げるつもりもない。
殺し、生き延び、勝利を掴む。ここで私が成すべきことは、ただそれだけでいい。
犠牲となった者へ弔詞を読むことも、若い命を散らした勇者のために墓石を立てることも、全ては事後で済む。
自分の都合のために動き、戦う。反吐が出る。
この、身を焦がすほどの嫌悪感こそが、殺し合いというものなのだろう――と、私は今さらながらに理解した。
「あの者たちは、まだ生き延びているでしょうか」
清めの儀式を終えた私は、回復した体力を衰えさせぬため食事に取り掛かった。
相変わらず不味い。栄養価も低い。
だが、世の中には貧困に苦しむ人間がごまんといる。それを思えば、味に文句など言えるはずもない。
ただ胃にものを溜めるための行為に没頭しながら、私が思い出したのは、私とは相対する位置に立つ者たちの素顔。
ギガゾンビに反抗の意志を示した幼い少年。
ヒトの域を脱しながらに、気高い信念を掲げていたぶりぶりざえもんなる豚。
それら脆弱な民の他にも、エヴェンクルガのトウカやシェルブリットのカズマといった難敵もまだ残っている。
彼等の活躍如何によっては、ギガゾンビの目論見は崩れ去るかもしれない。
愚者の野望は、図らずとも潰えるもの。しかしそれでは私が困る。
彼の王には、我が悲願を叶えて貰わねばならぬのだから。
「さて」
私は立ち上がり、新たに我が武器となった大剣、ドラゴンころしの柄を握った。
食後の運動――というほどの量は摂取していないが、慣れない武器では実戦において不利が付きまとう。
不安要素を少しでも取り除いておくため、この剣の特性を知っておく必要があった。
胸の辺りまで持ち上げ、その確かな重量感に握り手の筋肉を収縮させる。
……なるほど。これは大したじゃじゃ馬だ。
隻腕でこれを振るっていた佐々木小次郎が、いかに凄腕の剣士だったか改めて思い知らされる。
私は決闘の末にこれを小次郎から落手し、新たな得物とすることを決めた。
斬るというよりは叩く、突くというよりは潰すといった効果の見られる鈍器のような剣だが、振るう分には問題ない。
これが人の手に渡ることを想定して作られたというのなら、サーヴァントである私は雑作もなく操れるだろう。
意識集中。
振り上げ――振り下ろす!
風を切る豪快な音が、地を生えずる雑草に衝撃の波濤を送る。
腕に支障はない。カリバーンを振るっていた頃ほどの速さは求められないが、代償として倍以上の破壊力を得た。
ドラゴンころしとはよく言ったものだ。これほどの重量を誇る剣、容易く振るえれば確かに竜とて斬り殺せるだろう。
使いこなせる者は限られてくるだろうが、適した使い手に渡ればこれ以上ない強力な武器だ。ギガゾンビも中々に面白いものを提供してくれる。
……いや、これも全てはギガゾンビの企みどおりと言ったところか。
何しろこれだけの大剣、人間に振り下ろせば木っ端微塵の肉塊と成り果てるのは目に見えている。
残酷な死を見たい者からすれば、これ以上なく都合のいい悪趣味な武器だ。
おそらく、私が休息を取っていたこの場を禁止区域としなかったことも、全ては謀を円滑に進めるための処置に違いない。
ただでさえ、身動きの取れない参加者を禁止区域の罠で追い詰めるような輩だ。
そんな腐った思考を持つ者が、暢気に休息を取る私を見逃す理由があるとすれば一つ。私が殺し合いに積極的だからだろう。
これは推測だが、おそらく残り人数が減るのに相応して、殺し合いに臨む者の数も減少の傾向にあるのだ。
だからこそ力のある殺人鬼たちに安息を与え、また満足に戦えるよう促している。
大した贔屓ぶりだ。力のない者が駆逐されていくのを楽しみつつ、企画が破綻しないよう内部をうまく操作する。見事としか言いようがない。死ねばいいのに。
「……もっとも、今の私が言えたものでもありませんが。
さぁ、ギガゾンビよ。あと幾度、私はあなたの手の平で躍ればいい?」
訪れた定期放送の時間に、視線を空へと移動させる。
いつもと変わらぬ演出で現れたギガゾンビの像。あれを斬り伏せられたら、どれだけ気持ちが晴れやかになるだろうか。
考えても仕方がない。今の私は、愚者に操られる傀儡の王。滑稽すぎる大馬鹿者でしかないのだから。
願わくば、できるだけ多くの名が呼ばれますように。
この手を汚す機会が少なくなりますように。
そしていつの日か、あの仮面に天誅を。
常々思う。
こんなもの、さっさと終わってしまえばいいのに。
【C-2/二日目/早朝(放送開始)】
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、両肩に傷(ほぼ完治)、魔力消費(中)
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク、アヴァロン@Fate/ Stay night
[道具]:支給品一式(食糧なし)、スコップ、なぐられうさぎ(黒焦げで、かつ眉間を割られています)@クレヨンしんちゃん
コンバットナイフ、鉈@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
1:放送を聞き終えた後、出発。
2:エクスカリバーを探してみる。
3:優勝し、王の選定をやり直させてもらう。
4:エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす。
5:迷いは断ち切った。この先は例え誰と遭遇しようとも殺す覚悟。
※アヴァロンが展開できないことに気付いています。
※防具に兜が追加されています。ビジュアルは桜ルートの黒セイバー参照。
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