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「最初の過ちをどうか」(2022/02/19 (土) 10:33:17) の最新版変更点
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*最初の過ちをどうか ◆qwglOGQwIk
水飛沫とともに、私の顔が川より引き上げられる。
「ぐ…っ、うううううっ…………あああっ……」
私の意識を奪わんと活動を続けている痛みは水面から空気へと移され、更なる鋭さを増して襲い掛かっていた。
それに耐え切れずか、先ほどの戦闘による余波か私の体は崩れ落ち地面へとへたり込む。
治療のため河川の水で洗浄した後頭部の傷口の痛みは、もはや形容しがたい物となり私の意識を奪おうとする。
それでも、私は意識を失うわけにはいかない。
今意識が無くなれば二度と目覚めることは無いという感覚だけが、私の意識を苦痛の最中へと踏み止める。
痛みだけが、私の思考を支配する。故に余計なことを考えなくて良い。
――そう、私の体を震わせてた畏怖すべき存在、セラス・ヴィクトリアのことでさえ今は考えなくて良い。
アヴァロンから供給される魔力を使い、逐次傷を修復する。
それが幾時ほど続いたか、私の体を紅く染め続けていた出血はようやく止まる。
傷は予想以上に深かった。
形容でなく骨さえも削り捨てたあの一撃により、ほぼ全ての体力が血とともに失われることになった。
あの場からの遁走後、使えるだけの魔力を傷の処置に費やした。それでも傷口から血はまだ止まらなかった。
傷口は魔力によって応急処置程度の治療は施されたが、汚水にまみれたその傷がいつ悪化するとも限らなかった。
だから河川の水で汚れを落とし、これ以上の悪化を防ぐというわけであった。
治療こそ一段落したが体力も、魔力も無い。今この場で交戦すれば何も出来ずに死ぬだろう。
その事実に気がついた私の心を、恐怖が再び染め上げる。
……死にたくない。逃げ出したい。そう思っても体は動かない。
私の意志と反して、再び体が震えだした。
セラスへの畏怖が、異形への恐れが再び思考を支配する。
――誰かに罵られている。それはセラス・ヴィクトリアであった。
それは君島邦彦であり、鉄槌の騎士であり、無名の剣士であり、眼鏡の少年でもあった。
『失望した』『死んでしまえ、臆病者』『勝負を汚した下賎なるものめ』『それでも騎士か』
次々に私を罵る声が増えていく。そこには私の守りたかった民もまた居た。
お前なんか王じゃない。敵前逃亡など国の恥だ。とまで言われた。それでも構わなかった。
なぜなら、私は彼らの言うとおりの人間であったから、真実だから受け入れるしかない。
私は王でも騎士でも無い、何も出来なかったアルトリアという少女なのだから。
それでも、譲れないものがたった一つだけある。
「……私は課せられた責務を果たすために居るっ! 責務を果たすためならばどれだけ罵られようとも、下衆であろうとも構わない!
貴方達が死を望もうとも、私はまだ死ぬわけにはいかない! 」
罵りの声は止んだ、最後に一つの問いかけを残して。
『貴方にそれが出来るの?』
私は地に伏していることに気がついた。気絶していたことに気がついたのはそれから数刻後。
空を見上げ、太陽の位置を確認する。
空に浮ぶ太陽は真南へと到達しておらず、まだ昼に達していないことを示していた。
その位置の進みから考えて、あの戦いから数時間経過といった所か。
立ち上がることさえできなかった私の体は、ようやく立ち上がるほどの体力を戻していた。
アヴァロンを杖として体を支えながら、より休息しやすい近くの民家へと移動を開始する。
足取りは重かった、最後の言葉が重かった。
「私…は……」
迷ってばかりいた。迷わないと決意したのに迷ってしまった。良心の呵責に苛まれ何度も失敗を犯した。
本当に願いを叶えたいのなら、何故一思いに殺さなかったのか。
何故一思いに君島邦彦を貫ぬけなかったのか。
あの救いのヒーローと答えたぶりぶりざえもんを、何故あの時生かしてしまったのか。
何故私はセラス・ヴィクトリアを恐れ、遁走してしまったのか。
私のつまらない意地のために、この殺し合いの場において沢山の罪も無い人々を殺した、死んでいった。
私の望みを叶えるためならば、罵られようと、蔑まれようと、意地を通して全てを切り捨てていかなければならなかった。
私はあの時それをしなかった。そうすることができたのにしなかった。
迷いのために臆病者と成り果て、騎士王としての誇りさえも失った。
何故、選定をやり直すという目的のために全てを捨てることができなかったのか。
願いを諦めることは出来ない、でもその自信は揺らいでいた。
程なく民家へ辿り着き、私はそのままベッドへと倒れこんだ。
その手にあるのは剣ではなく再び剣の鞘、アヴァロン。
剣は三度折れた。二度は選定の剣、そして竜殺しの大剣。
折れずに残ったのは剣の鞘だけであった。
……また、鞘を剣として戦わねばならなくなった。
剣よりも強い鞘というのは、何たる皮肉か。
……いや、剣よりも鞘が強かったのだ。
仲間を守り意地を通した君島邦彦、鉄槌の騎士、そしてセラス・ヴィクトリア。
彼らは私よりも力量で劣っていた。だが彼らは私に打ち勝った。
そう、彼らは鞘だった。仲間を護り、思いやる鞘だった。
私は剣だった。無慈悲に敵を打ち砕く剣であった。
剣は誰かを護ることは出来ない。私が国を護ることなど出来はしなかったのだ。
私が王としてふさわしくなかった理由、王に必要なのは民や仲間を思いやり、理解する心だったのだ。
その意志の力は剣さえも凌駕し、打ち砕いた。
――だが私は鞘であることを選ばなかった。剣を取り民を護ろうとしたことがそもそもの間違いだったのだ。
今ならマーリンが何故剣を選んだ私を怒りつけたのか理解できる。最初から間違えていたからだ。
彼らの意思を理解できなかった。誰かを護るということを理解していなかった。
理解できなかったから、自分にはその生き方を真似できないから、怖かったのだ。
間違いだらけの自分を彼らの意地によって完璧に否定されたから、震えが止まらなかったのだ。
私は、ブリテン王の器たる人物では無かったのだ。
「ははははっ……」
乾いた声が室内に木霊する。それは自嘲であり、諦めの声であった。
何故私が国を滅ぼしたか、それは私が王たる資質を持っていなかったからだ。
そう理解してしまえば、私が長い間抱き続けていた疑問にも確信が宿る。
――選定の剣は間違っていた。自分よりもふさわしい者があの剣を引き抜くべきだったのだ。
私は剣でしかない。剣士のクラスであるセイバーのサーヴァントであり、それ以上でも以下でも無い。
今から鞘の生き方を真似しようとしても、血塗られた剣となった私にもうそれはできない。
鞘を失ったために私の国を護れなかったように、出来はしない。
私に出来ることは、剣を取り敵を打ち倒すことだけなのだから。
もう私は誰かを護ることなど出来はしないのだ。
それでも私は国を、民を護りたかった。その心に偽りなど無かった。
でも、私には国を護る資格などありはしなかった。
だから私は私の変わりに国を護ってくれる者に王位を譲り、国を護って貰いたい。
失望されようと、臆病者であろうと、敗北者であろうと、騎士王でなくても、決して譲るわけにはいかない。
私が私であるために、それだけは絶対に譲るわけにはいかない。
――あのセラスや君島邦彦、鉄槌の騎士のような仲間を護る鞘のような人間に王位を譲ることこそが私の責務。
だからこそ私は負けるわけには、死ぬわけにはいかなくなった。
死んでしまえば間違いを正すことが出来ない。私が産んでしまった不幸を正すことが出来ない。
本当に手に入れたいものの為に、私は全てを捨てて進むしかないのだ。
だから私が剣として出来る最良の手段。全てを切り捨てて、全てを無かったことにする。
どれだけ怖くても、どれだけ困難な道であろうとも、立ち向かわなければならないのだ。
君島邦彦が、ぶりぶりざえもんが、鉄槌の騎士達が、セラス・ヴィクトリアが通した意地というのは、きっとそういうものであったのだ。
それが私には、なかった。
もう迷いも震えも無い。私は矮小な人間であり、ただ剣を振るって不幸を生むだけの哀れな道化だ。
理解することを諦めてしまえば、恐怖など何も無い。
だから出来る事をする。剣として一つの不幸を切り捨て、一つの不幸を無かったことにする。
救いたいのは護りたかった国、救えないのは哀れなこの殺し合い。
私の我侭を、責務を果たすのはそれだけしかない。
そのためなら何を使っても、どんな犠牲を払ってでも成し遂げなければいけない。
――剣が欲しくなった。私の間違いとともにあったあの剣が……
無名の剣士、アサシンのサーヴァントである小次郎が漏らしていたエクスカリバーの情報。
それによれば、この殺し合いの場にて私の剣であるエクスカリバーを持つ者がいるらしい。
その者から剣を奪い、私の間違いとともにあり続けた剣で全てを清算しよう。
勝ち残るためならば黒き少女であろうとなんであろうと、利用できるものは利用する。
結局の所、私はあの仮面の男と同じ畜生道に生きるしかないのだ。
――私は絶対に生き残らなければならない。最初の過ちを正すために…………
彼女は間違っていた。本当に必要だったのは鞘となり彼女を護る人間であった。
――それはもう何処にもいないから、彼女も決して救われない。
【B-4 民家/2日目/昼】
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重傷(治療済み)、疲労(大)、魔力消費(大)、強い決意
[装備]:コンバットナイフ
[道具]:支給品一式(食糧なし)、スコップ、なぐられうさぎ(黒焦げで、かつ眉間を割られています)@クレヨンしんちゃん
:アヴァロン@Fate/ Stay night
[思考・状況]
1:休息し、魔力と体力の回復を待つ。
2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する。
3:水銀燈との休戦協定、同盟を考慮する。
4:エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす。
5:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。
[備考]
※アヴァロンが展開できないことに気付いています。
*時系列順で読む
Back:[[FATE]] Next:[[ひぐらしのなくころに(前編)]]
*投下順で読む
Back:[[暁の終焉(後編)]] Next:[[請負人Ⅲ ~決意、新たに~]]
|266:[[不死身のドラキュリーナひとり、そして――]]|セイバー|275:[[遥か遠き理想郷~アヴァロン~]]|
*最初の過ちをどうか ◆qwglOGQwIk
水飛沫とともに、私の顔が川より引き上げられる。
「ぐ…っ、うううううっ…………あああっ……」
私の意識を奪わんと活動を続けている痛みは水面から空気へと移され、更なる鋭さを増して襲い掛かっていた。
それに耐え切れずか、先ほどの戦闘による余波か私の体は崩れ落ち地面へとへたり込む。
治療のため河川の水で洗浄した後頭部の傷口の痛みは、もはや形容しがたい物となり私の意識を奪おうとする。
それでも、私は意識を失うわけにはいかない。
今意識が無くなれば二度と目覚めることは無いという感覚だけが、私の意識を苦痛の最中へと踏み止める。
痛みだけが、私の思考を支配する。故に余計なことを考えなくて良い。
――そう、私の体を震わせてた畏怖すべき存在、セラス・ヴィクトリアのことでさえ今は考えなくて良い。
アヴァロンから供給される魔力を使い、逐次傷を修復する。
それが幾時ほど続いたか、私の体を紅く染め続けていた出血はようやく止まる。
傷は予想以上に深かった。
形容でなく骨さえも削り捨てたあの一撃により、ほぼ全ての体力が血とともに失われることになった。
あの場からの遁走後、使えるだけの魔力を傷の処置に費やした。それでも傷口から血はまだ止まらなかった。
傷口は魔力によって応急処置程度の治療は施されたが、汚水にまみれたその傷がいつ悪化するとも限らなかった。
だから河川の水で汚れを落とし、これ以上の悪化を防ぐというわけであった。
治療こそ一段落したが体力も、魔力も無い。今この場で交戦すれば何も出来ずに死ぬだろう。
その事実に気がついた私の心を、恐怖が再び染め上げる。
……死にたくない。逃げ出したい。そう思っても体は動かない。
私の意志と反して、再び体が震えだした。
セラスへの畏怖が、異形への恐れが再び思考を支配する。
――誰かに罵られている。それはセラス・ヴィクトリアであった。
それは君島邦彦であり、鉄槌の騎士であり、無名の剣士であり、眼鏡の少年でもあった。
『失望した』『死んでしまえ、臆病者』『勝負を汚した下賎なるものめ』『それでも騎士か』
次々に私を罵る声が増えていく。そこには私の守りたかった民もまた居た。
お前なんか王じゃない。敵前逃亡など国の恥だ。とまで言われた。それでも構わなかった。
なぜなら、私は彼らの言うとおりの人間であったから、真実だから受け入れるしかない。
私は王でも騎士でも無い、何も出来なかったアルトリアという少女なのだから。
それでも、譲れないものがたった一つだけある。
「……私は課せられた責務を果たすために居るっ! 責務を果たすためならばどれだけ罵られようとも、下衆であろうとも構わない!
貴方達が死を望もうとも、私はまだ死ぬわけにはいかない! 」
罵りの声は止んだ、最後に一つの問いかけを残して。
『貴方にそれが出来るの?』
私は地に伏していることに気がついた。気絶していたことに気がついたのはそれから数刻後。
空を見上げ、太陽の位置を確認する。
空に浮ぶ太陽は真南へと到達しておらず、まだ昼に達していないことを示していた。
その位置の進みから考えて、あの戦いから数時間経過といった所か。
立ち上がることさえできなかった私の体は、ようやく立ち上がるほどの体力を戻していた。
アヴァロンを杖として体を支えながら、より休息しやすい近くの民家へと移動を開始する。
足取りは重かった、最後の言葉が重かった。
「私…は……」
迷ってばかりいた。迷わないと決意したのに迷ってしまった。良心の呵責に苛まれ何度も失敗を犯した。
本当に願いを叶えたいのなら、何故一思いに殺さなかったのか。
何故一思いに君島邦彦を貫けなかったのか。
あの救いのヒーローと答えたぶりぶりざえもんを、何故あの時生かしてしまったのか。
何故私はセラス・ヴィクトリアを恐れ、遁走してしまったのか。
私のつまらない意地のために、この殺し合いの場において沢山の罪も無い人々を殺した、死んでいった。
私の望みを叶えるためならば、罵られようと、蔑まれようと、意地を通して全てを切り捨てていかなければならなかった。
私はあの時それをしなかった。そうすることができたのにしなかった。
迷いのために臆病者と成り果て、騎士王としての誇りさえも失った。
何故、選定をやり直すという目的のために全てを捨てることができなかったのか。
願いを諦めることは出来ない、でもその自信は揺らいでいた。
程なく民家へ辿り着き、私はそのままベッドへと倒れこんだ。
その手にあるのは剣ではなく再び剣の鞘、アヴァロン。
剣は三度折れた。二度は選定の剣、そして竜殺しの大剣。
折れずに残ったのは剣の鞘だけであった。
……また、鞘を剣として戦わねばならなくなった。
剣よりも強い鞘というのは、何たる皮肉か。
……いや、剣よりも鞘が強かったのだ。
仲間を守り意地を通した君島邦彦、鉄槌の騎士、そしてセラス・ヴィクトリア。
彼らは私よりも力量で劣っていた。だが彼らは私に打ち勝った。
そう、彼らは鞘だった。仲間を護り、思いやる鞘だった。
私は剣だった。無慈悲に敵を打ち砕く剣であった。
剣は誰かを護ることは出来ない。私が国を護ることなど出来はしなかったのだ。
私が王としてふさわしくなかった理由、王に必要なのは民や仲間を思いやり、理解する心だったのだ。
その意志の力は剣さえも凌駕し、打ち砕いた。
――だが私は鞘であることを選ばなかった。剣を取り民を護ろうとしたことがそもそもの間違いだったのだ。
今ならマーリンが何故剣を選んだ私を怒りつけたのか理解できる。最初から間違えていたからだ。
彼らの意思を理解できなかった。誰かを護るということを理解していなかった。
理解できなかったから、自分にはその生き方を真似できないから、怖かったのだ。
間違いだらけの自分を彼らの意地によって完璧に否定されたから、震えが止まらなかったのだ。
私は、ブリテン王の器たる人物ではなかったのだ。
「ははははっ……」
乾いた声が室内に木霊する。それは自嘲であり、諦めの声であった。
何故私が国を滅ぼしたか、それは私が王たる資質を持っていなかったからだ。
そう理解してしまえば、私が長い間抱き続けていた疑問にも確信が宿る。
――選定の剣は間違っていた。自分よりもふさわしい者があの剣を引き抜くべきだったのだ。
私は剣でしかない。剣士のクラスであるセイバーのサーヴァントであり、それ以上でも以下でもない。
今から鞘の生き方を真似しようとしても、血塗られた剣となった私にもうそれはできない。
鞘を失ったために私の国を護れなかったように、出来はしない。
私に出来ることは、剣を取り敵を打ち倒すことだけなのだから。
もう私は誰かを護ることなど出来はしないのだ。
それでも私は国を、民を護りたかった。その心に偽りなど無かった。
でも、私には国を護る資格などありはしなかった。
だから私は私の変わりに国を護ってくれる者に王位を譲り、国を護って貰いたい。
失望されようと、臆病者であろうと、敗北者であろうと、騎士王でなくても、決して譲るわけにはいかない。
私が私であるために、それだけは絶対に譲るわけにはいかない。
――あのセラスや君島邦彦、鉄槌の騎士のような仲間を護る鞘のような人間に王位を譲ることこそが私の責務。
だからこそ私は負けるわけには、死ぬわけにはいかなくなった。
死んでしまえば間違いを正すことが出来ない。私が産んでしまった不幸を正すことが出来ない。
本当に手に入れたいものの為に、私は全てを捨てて進むしかないのだ。
だから私が剣として出来る最良の手段。全てを切り捨てて、全てを無かったことにする。
どれだけ怖くても、どれだけ困難な道であろうとも、立ち向かわなければならないのだ。
君島邦彦が、ぶりぶりざえもんが、鉄槌の騎士達が、セラス・ヴィクトリアが通した意地というのは、きっとそういうものであったのだ。
それが私には、なかった。
もう迷いも震えも無い。私は矮小な人間であり、ただ剣を振るって不幸を生むだけの哀れな道化だ。
理解することを諦めてしまえば、恐怖など何も無い。
だから出来る事をする。剣として一つの不幸を切り捨て、一つの不幸を無かったことにする。
救いたいのは護りたかった国、救えないのは哀れなこの殺し合い。
私の我侭を、責務を果たすのはそれだけしかない。
そのためなら何を使っても、どんな犠牲を払ってでも成し遂げなければいけない。
――剣が欲しくなった。私の間違いとともにあったあの剣が……
無名の剣士、アサシンのサーヴァントである小次郎が漏らしていたエクスカリバーの情報。
それによれば、この殺し合いの場にて私の剣であるエクスカリバーを持つ者がいるらしい。
その者から剣を奪い、私の間違いとともにあり続けた剣で全てを清算しよう。
勝ち残るためならば黒き少女であろうとなんであろうと、利用できるものは利用する。
結局の所、私はあの仮面の男と同じ畜生道に生きるしかないのだ。
――私は絶対に生き残らなければならない。最初の過ちを正すために…………
彼女は間違っていた。本当に必要だったのは鞘となり彼女を護る人間であった。
――それはもう何処にもいないから、彼女も決して救われない。
【B-4 民家/2日目/昼】
【セイバー@Fate/stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重傷(治療済み)、疲労(大)、魔力消費(大)、強い決意
[装備]:コンバットナイフ
[道具]:支給品一式(食糧なし)、スコップ、なぐられうさぎ(黒焦げで、かつ眉間を割られています)@クレヨンしんちゃん
アヴァロン@Fate/stay night
[思考・状況]
1:休息し、魔力と体力の回復を待つ。
2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する。
3:水銀燈との休戦協定、同盟を考慮する。
4:エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす。
5:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。
[備考]
※アヴァロンが展開できないことに気付いています。
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