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「「射手座の日を越えていけ」(後編)」(2022/05/03 (火) 12:38:04) の最新版変更点
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*「射手座の日を越えていけ」(後編) ◆LXe12sNRSs
「なんなんだこれは……」
思わず、そんな力ない声が漏れてしまう。
ユニットを一つ失った<コンピ研連合>の次なる戦略。それは、予想だにしないものだった。
意外なことに、敵は正面から姿を現したのだ。敵ユニットの一つ、<ブラインドネス>が、単身……を、『20に分けて』。
最初に説明したが、一つのユニットは一万五千隻の宇宙戦艦+補給艦によって形成されている。
ダメージを受けるごとに、その総数が減っていくという寸法だ。
そして僕は、このゲームのマニュアルに載っていたあるシステムのことを思い出す。
それは、『分艦隊』と呼ばれるものだった。
概要はこうだ。一つのユニットを最大20のユニットに分散し、それぞれを索敵や囮、壁に利用する。分身みたいなものだ。
当然、個々の戦力はガクンと落ちるし、なにより複数のユニットを同時に操作しなければならないというデメリットがある。
5つのユニットを同時に駆使するだけでも高難易度だというのに、それをさらに増やすなど、あまりに馬鹿げている。
いくら僕がゲームチャンプとはいえ、専門はあくまでもコントローラだ。パソコンのタイピングがそこまで上手いわけではない。
だからこそ、熟練者向けのシステムである『分艦隊』は、戦略の視野に入れていなかった。
しかし、まさかそれを敵が仕掛けてくるとは思わなかった。
考えてもみて欲しい。『分艦隊』最大のデメリットは、操作難度が上がるという部分にある。
だが、僕が相手にしているのは現実の人間ではなく、CPUだ。
彼らはキーボードを叩くなんていう原始的な方法は取らない。要するに、操作難度の上昇という弊害は関係ないのだ。
ノーリスクで『分艦隊』のメリットを利用できるなんて、そんなの反則じゃないか。製作者はユーザーをなめてるのか!
クレームを言っても、それが製作者側に届くことはない。所詮は素人の自作品、ゲームバランスは滅茶苦茶というわけか。
僕は20に分散した<ブラインドネス>と正面からやりあいつつ、ついに<D艦隊>と<E艦隊>を撃沈されてしまった。
敵の<ブラインドネス>を示す光点は、まだ8つほど残っている。数的にも絶対的不利に陥ってしまった。
不幸は続くもので、僕が<ブラインドネス>群の相手に躍起になっていると、後方から<イクイノックス>、<ムスペルヘイム>が攻め込んできていた。
別に気づかなかったわけではない。今回は<ルペルカリア>を落としたことによりできた余裕で、完璧な索敵を済ませている。
敵が隠れたまま歩み寄る隙間なんてなかったはずなんだ……そうして不信感を募らせていた僕は、ついに見てしまった。
前方の<ブラインドネス>の光点がパッと消え、
いつの間にか後方、敵二艦隊の側に合流している姿を。
……つまり、だ。
敵は冗談でもなんでもなく、文字通り『ワープ』なるマニュアルにもないインチキ能力を使い、戦っていたと。
索敵から逃れ、四方を上手く取り囲めていたのも、すべてはこのワープ能力によるものだと。
デメリットを処分した『分艦隊』に、行為自体が反則的である『ワープ』。
<コンピ研連合>は、僕ら<ゲイナー帝国>が持ち得ない絶対的な力を保持していた。
「ふっ、フフフフフ……」
「げ、ゲイナーくん……?」
意識せず、笑みが漏れた。傍らでドラえもんが心配そうに見つめている。
やられた。完敗だよ。こんなふざけたCPUを搭載しているゲーム、クリアできるはずがない。
何が射手座の日を越えていけ、だ。無理に決まってますよこんなの。
僕は<C艦隊>が撃沈されたところで手を休め――そのままノートパソコンを閉じようかどうか考えた。
クリアできないゲームに、可能性なんて残されていない。早いところトグサさんに席を譲ってしまおう。
みんなは落胆するかもしれないけれど、幸い、ipod内のデータを持ってハッキングすれば、首輪の構造データは入手できそうだし。
「こんなゲーム、クリアする必要なんてないよ」
ドラえもんにも聞こえないほど小さな声で、ぼそっと呟いた。
だってそうでしょう? ギガゾンビの居場所は、ユービックがくれた情報で分かったし、首輪の電波特定はトグサさん任せでどうにかなる。
ひみつ道具の専門家であるドラえもんもいるし、首輪解除のための装置作成は何も心配ない。
今さら、このゲームをクリアすることになんの意味があるのか? 答えなんて決まってる。意味なんてないんだよ。
トグサさんとドラえもんがいる。首輪は解除できる。
レヴィさんやフェイトちゃんがいる。首輪さえ外せれば、ギガゾンビが二人に敵うはずもない。
それに比べて僕なんて、特別役に立つわけでもない。
キングゲイナーがあるならまだしも、それ以外はみんな、ゲームが得意というところくらいしか見てないじゃないか。
ゲインみたいな狙撃の腕前があるわけじゃないから、銃を持ったって意味はない。
ボクシングだって、ゲインとやりあったら秒殺されるような弱さだ。
そんな僕に、何ができるっていうんだ。
僕に残されているものなんて、何もないじゃないか……!
「いや、その理屈はおかしい」
…………え?
「ゲイナーくん、君は自分が何もできない役立たずの能無しだと卑下しているみたいだけど、そんなことはないんだよ」
無意識の内に、思っていたことを言葉に出してしまったらしい。
ドラえもんは淀みのない真っ直ぐな瞳で、僕を正面から見据えていた。
「これは僕の友達の話なんだけどね、その子は勉強が駄目でテストも零点ばかり、ケンカも弱けりゃ野球もヘタクソ、
泳げない上によくママに叱られる。友達に泣かされることなんてしょっちゅうだし、家出したって一日で戻ってくるようなヤツなんだ。
そんなヤツでもね、いいところはたくさんあったよ。
男の子のくせにあやとりが得意だし、射撃の腕前はそこらのガンマンよりすごいんだ。
ひみつ道具を使わせたら天才だし、3秒で昼寝ができる人間なんて、世界中探したってそいつしかいない」
真摯に友達の話をするドラえもんの目尻には、涙が浮かんでいた。
眼差しは真剣なまま、僕の目を見つめている。涙を流しつつも、感情は泣きはしなかったのだ。
僕だって鈍感じゃない。ドラえもんのいう友達なる人物が、彼にとってどんな存在なのかは分かるし、その末路がどうなったのかも聞いている。
心は涙を流しているというのに、ドラえもんは泣かないんだ。もう、うつむいたりあきらめたりすることはできないから。
「ゲイナー」
僕とドラえもんの側に、トグサさんが歩み寄ってくる。
「おまえ、ウチのタチコマと一緒に行動してたんだろう? なら知ってるんじゃないか、九課の習わしを」
「九課……」
思い出す。タチコマの中でマニュアルを頭に入れながら聞いていた、公安九課という組織のことを。
『我々の間にチームプレイなどという都合のいい言い訳は存在しない。 必要なのはスタンドプレーの結果として生じるチームワークだけだ』
――それはたしか、公安九課のボスなる人物のセリフだったろうか。
あのとき、タチコマが自分の仲間よりもまず、フェイトの友達の捜索を優先したのは、その教えによるところが大きかったはずだ。
各々が信頼していたから、だからこそ公安九課は成り立っていた――そんな話を、あの場で聞いたような気がする。
「でも、僕の取り得はみんなの手助けなんか……」
「ゲイナー」
無意識に漏れた憤りは、眠っていたフェイトちゃんすら起こしてしまっていたらしい。
苦しそうに上半身を起こし、失われていないほうの目で、優しげにこちらを見つめる姿があった。
「ゲイナー、あのとき言ったじゃないですか。
足手まといだけど、守ってくれって言ってるようなものだけど、一緒に連れて行って欲しいって。
私は、あのときの言葉をまだ覚えてますよ。ゲイナーは私が守るし、これからだって一緒です。
それに、『エクソダス』って言葉、ゲイナーが教えてくれたんですよ」
思い出す。レヴィさんに半裸で放置され、そこをフェイトちゃんとタチコマに助けてもらった。
あのときから僕は、自分が役立たずだと自覚していた。みんなの迷惑になるかもしれない――だけど、僕は二人とともに行く道を選んだ。
――最後の最後まで自分からは何もしないのであれば、それは死んでいるのと同じだ。
今を思えば、ゲインのこの言葉に反感しようとしていただけなのかもしれない。
でも、僕はまだ生きてる。タチコマやなのはちゃんはもういないけど、僕はまだ生きてるんだ。
「――エクソダス、か。まさか、ゲイナー少年の口からそんな言葉出るとはね」
「ゲイン、おまえは何か、ゲイナーに一言ないのか?」
「……ないな。なにせ、俺の知っているゲイナー・サンガはゲームチャンプだ。
ゲイナーがクリアできないゲームがあるとしたら、それは誰にもクリアすることができない仕様なんだろう」
他の面々に対して、ゲインの態度は素っ気なかった。
そのどこか余裕ぶった、大人の態度が気にいらない。
「ゲインさん」
「ん?」
「頬、殴ってください」
「はぁ!?」
大人なんて、不条理な存在なんだ。そんなの、今に始まったことじゃないじゃないか。
「気でも狂ったかゲイナー?」
「いいから、一発ガツンとやってください」
このゲイン・ビジョウという人にしたって、とんでもない大人であることは変わりない。
女垂らしでフェイトちゃんみたいな子供にまで色目を使う。僕を子供と馬鹿にする。簡単に嘘をつく。
たぶん、この先も好きにはなれない。だけど、それがゲイン・ビジョウという人なんだと思う。
「まぁ、野郎を殴り飛ばすくらいなんでもないが……手加減はしないぞ」
「やってください」
立ち上がり、ゲインさんの前に歩み寄る。
そして、頬面に容赦ない拳が飛び込んでくる。
痛い。だけど、目が覚める。
「これで満足か?」
「痛ぅ……と、トグサさんも、やってください」
「おいおい、俺もかよ」
「あなたも鬱憤が溜まってるでしょう? ここいらで吐き捨ててみたらどうです!?」
半ばヤケ気味に、僕はトグサさんに迫った。
トグサさんは若干躊躇したような顔を作りながらも、ゲインさんに「やっちまえ」と支援され、拳を振るった。
衝撃で身体がよろめく。この人もなんだかんだで、加減を知らない人だ。
痛い。だけど、目が覚める。
「ぐっ……ふぇ、フェイトちゃんも」
「え、私もですか?」
フェイトちゃんがおっかなびっくりした表情で、不恰好に身構える。
正直、このときの僕の顔は、相当変な顔だったと思う。
女の子に殴ってくれと迫るなんて、そりゃ普通に考えれば怖い。
でも、そんなことはどうでもいい。フェイトちゃんの僕に対する好感度が下がったって、構いやしない。
フェイトちゃんはかなり迷った末に、僕の頬を平手でぺチンとはたいてくれた。
あんまり痛くはなかったけれど、それでも目は覚めた。
「最後は……ドラえもん」
「よ、よ~し!」
ドラえもんも僕の一連の奇行の意味を分かってくれたのか、手加減する素振りは見せなかった。
丸っこい手で、僕の頬を思い切り抉る。今まで以上の衝撃に耐え切れず、身体が尻餅をついた。
それでも、ドラえもん本来のパワーを考えれば、軽い。さすが子守ロボット、無意識の内に手加減してくれたのだろうか。
とにかく、これで四人分。レヴィさんの分も含めれば、僕はこの殺し合いの場で、計五人もの参加者にタコ殴りされたわけである。
それでも、僕はまだ生きている。
「まったく……みんなでお手本みたいな説教並べて、そんなに僕に期待してるんですか?」
ぶつぶつ呟きながらも、僕はノートパソコンの前に舞い戻る。
傍目から見たら、亡霊みたいな空気を纏っていたように思えるだろう。
なんてカッコ悪い。
カッコ悪いけど、もうなんか……いいや。
「ドラえもん、痛覚って素晴らしいと思わないかい? 痛みは人の脳を刺激し、他の感覚を一時的に麻痺させてしまう。
ここに来てもう一日半が経つけど、僕は今までろくに睡眠を取っていない。正直かなり眠かったんだ。
だけど、ここまで持ち堪えることができた。それはひとえに、定期的にレヴィさんに殴られていたおかげだと思うんだ。
――つまり、僕はみんなに殴られたからこそ、ここまで生き延びることができたんだよ!」
「な、なんだっ――――え、えぇぇぇぇぇ……?」
ドラえもんがエラーコードを出したような顔をしている。理解不能と言いたいのだろう。
大丈夫。僕だって自分が何を言っているのかよく分かっていない。テンションに身を任せている状態だ。
それでも、今の僕に眠気がないことは事実だ。頭は今までにないくらいスッキリしているし、気持ちは高ぶっている。
今なら、何をしてもうまくいくような――そんな予感がする。
「敵の数が多い? なら、片っ端から撃墜していけばいいだけじゃないか!
ワープがなんだ! 相手の転移先を読むことくらい、この僕ができないとでも!?
それしきの戦法で僕に膝をつけさせようなんて、あまいんだよォォォォォォォ!!!」
吼えた。
腹の底から声を出して、パソコン内の<コンピ研連合>を威嚇した。
「知ってるかトグサ? 内向的な性格の子供ほど、いざキレたら手がつけられないそうだ」
「子持ちの身の上としては、頭の痛くなる話題だな……今度時間ができたら、
年頃の女の子の扱い方を教えてくれないか? 将来、娘が反抗期になったときの参考にしたいんでね」
「ご婦人の話題というなら喜んで」
周囲の目など気にしない。僕は叫びながら、キーボードを壊さん勢いでタイプを続ける。
指の動きがいつにもまして軽快だ。間接に油を差したかのような錯覚を覚える。
「いける、これならいけるぞ――!」
今一度、戦況を整理しよう。
こちらの戦力は二つ。旗艦である<A艦隊>と、ボロボロの<B艦隊>のみ。
対する<コンピ研連合>は、8つに分かれた<ブラインドネス>と、<イクイノックス>に<ムスペルヘイム>、そしてまだ見ぬ旗艦<ディエス・イラエ>。
この不利な戦況も、今なら簡単に打開できるような気がしてくるから不思議だ。
眠気が去り、高揚している僕の脳内には、次々と状況打破のためのアイディアが湧きあがってくる。
さぁ、考えろゲイナー・サンガ。どうするどうする――おまえならどうする!?
「これが勝利の鍵だァァァ――!!」
コントロールキーとF4キーを同時押し。テンキーで数を指定。そうして、僕は敵と同様に『分艦隊』を発動させた。
対象は<B艦隊>、それを限界値である20にまで分散し、一斉に索敵艇を出させる。
ゲームはもはや終盤、暴かれていないMAPはほんの一握り。この状況下、20もの艦隊で索敵を行えばどうなるか。
残された闇は瞬く間に晴れていき、隠れていた敵旗艦――<ディエス・イラエ>がついに姿を見せた。
「ゲイナーくん、敵の親玉が!」
「分かってる!」
索敵命令を出していた分艦隊に片っ端から突撃命令を出す。もちろん、標的は<ディエス・イラエ>一点集中だ。
タイピングが追いつかず、いくつかの分艦隊はまだ健在の<イクイノックス>等に落とされたが、振り返りはしない。
ここまできたらあとは力押しだ。残った全勢力、すべてで<ディエス・イラエ>を潰しにかかる。
次々と沈艦していく<B艦隊>だが、どうにか20の内の4つが<ディエス・イラエ>のもとに到達した。
一斉に攻撃開始。こんどは我が<ゲイナー帝国>が、四方から集中砲火を浴びせる!
分艦隊を使ったため個々の火力は弱まっているが、敵側からすれば、旗艦が袋叩きにされている状態だ。静観していられるはずがない。
定石に従うなら、近くの味方部隊を救援に回す。シンプルながらもこれがベストのはずだ。
だけど、<コンピ研連合>はそんなちゃちな手は使わない。使う必要がないのだ。
「あっ! 敵の親玉が消えた!?」
ドラえもんの驚きとともに、包囲していた<ディエス・イラエ>が突然消失する。
攻撃対象を失い動きを止めた<B艦隊>は、その隙を突かれ<イクイノックス>、<ムスペルヘイム>、<ブラインドネス>の残党に襲撃される。
僕の頼みの綱であった<B艦隊>は、一つも残らず殲滅されてしまった。
「ど、どうするのさゲイナーくん! これじゃあもう……」
「慌てすぎだよ、ドラえもん。これも狙いの内さ」
動揺するドラえもんに、僕は冷静に切り替えした。
「いいかいドラえもん、まず、敵の親玉である<ディエス・イラエ>はどこへ消えたと思う?」
「え? それはさっきから使ってるインチキワープを使って……MAPの別の場所に逃げたんじゃないの?」
「正解。だけどこの画面上のMAPを見てほしい。表示されている敵艦隊は、<イクイノックス>等攻撃部隊だけだ。
さて、ここでもう一度問題。敵の旗艦、<ディエス・イラエ>はどこに消えたのか……分かるかい?」
ドラえもんが首を捻る。が、すぐにハッとした表情で「分かった!」と告げた。
――そう、すべては計算の内だったんだ。
どんなに精巧で姑息なCPUでも、プログラムである以上、パターン性というものを持っている。
この、<コンピ研連合>が持っているパターンは――『ピンチになるとワープを多用する』。
僕はみんなに殴られスッキリした脳で、やっとそのパターンに気づいたんだ。
だからこそ、あんな無茶な奇襲を仕掛けた。相手の旗艦を、わざとワープさせるために。
さっきから相手が使っているワープだけど、これにもある法則がある。
それは、『索敵艇が行き届いていない未開範囲に出現する』というものだ。
相手はワープというインチキ能力をカモフラージュするため、初めは必ずこちらの視界範囲外に出現し、そこから姿を現す。
あたかも正規ルートを使い、高速移動でそこに回り込んだと錯覚させるためだ。
一見便利そうなワープ能力。だが、これは終盤になるにつれ、思わぬデメリットを呼び込んでしまう。
「敵は、必ずこちらが視認できていない範囲にワープする。だけどドラえもん、今、MAP上で視認できていない箇所はいくつある?」
「――ここだけだ!」
そう言って、ドラえもんがMAP左上隅の黒円を指し示した。
――これが、ワープ多様の落とし穴。
僕がこのゲームをプレイし始めて早数十分。
基本に沿い索敵行動を怠らなかったおかげで、MAPの全域は余すことなくライトアップされていた。
唯一残っている場所があるとすれば、ドラえもんが指し示した黒円の範囲。ここだけが、まだ『索敵していない場所』なのである。
何も見落としていたわけではない。<B艦隊>に分艦隊の指定をし、一斉索敵をする際に、わざとここだけ残すよう仕向けたのだ。
「敵旗艦がワープを使って逃げ帰る場所――そこを、この一部分に限定させるためにね!」
<ディエス・イラエ>が転移したであろう黒円の範囲。そのすぐ側では、我が旗艦、<A艦隊>が攻撃態勢で待ち構えていた。
分艦隊させた<B艦隊>、その狙いは一斉索敵のためだけではない。
<ディエス・イラエ>のワープを見越し、ワープ後即座に対応できるよう、<A艦隊>をここまで移動させるための囮にしたのだ。
「なるほど。他所で味方を派手に騒がせておいて、本命は敵組織のアジトで張り込むと……案外、刑事の素質があるんじゃないか?」
「すごい……なんだか、ゲイナーが輝いて見える」
「決めちまえ、ゲイナー」
「ゲイナーくん!」
「これで……とどめだァァァァァ!!!」
待機していた<A艦隊>に、攻撃を指示。
全弾、黒円の中にいるであろう<ディエス・イラエ>へ叩き込む。
爆発SEが連続して鳴り響き、そしてメッセージウインドが開かれた。
「こ、コンピュータ研に栄光あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
片手にワイングラスを持った<コンピ研連合>総統の玉砕グラフィックが表示され、断末魔の叫びとともに消えていった。
ちょろいファンファーレが鳴り響き、モニタに輝かしい文字が表示されてゲームは終わる。
『You Win!』
◇ ◇ ◇
エンディングBGMが流れ、スタッフロールが映し出されている。
こんなものまで用意しているなら、素人作成のゲームにしては上出来だろう。
そして、
「……やった?」
この画面に到達したということはつまり――僕は、《The Day of Sagittarius 3》をクリアした。
「――いぃぃやっっっほおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅ!!!」
跳びはね、側にいたドラえもんとハイタッチを交わす。
感極まるとはこのことだ。ついに、ついに僕は……僕の仕事をやり遂げた!
「やった! やったよドラえもん!!」
「うん! うん! 君はやればできるヤツなんだよゲイナーくん!」
無邪気に喜び合う僕とドラえもんの様子を見て、ゲインさんとトグサさんはやれやれと微笑を浮かべている。
まったくこの二人は、どこまでも大人な対応をしてくれる。
フェイトちゃんはパチパチと拍手をしており、心の底から僕の健闘を称えてくれているようだ。素直に嬉しい。
――しかして、これで僕はノートパソコンに残されていたメッセージどおり、射手座の日を乗り越えたことになる。
このエンディングが終わった後、いったいどんな結果が待っているのか――僕は座して見守った。
他四名の視線もパソコンのモニタに集中し、興味ゼロのスタッフロールに「さっさと終われ」と訴えかける。
エンディングをスキップできないのがこうも苦痛だったことはない。
しかしながら、クリアしてこんなに感動を覚えたゲームもこれが初だ。
もし無事に帰ることができたら、ぜひシンシアと一緒にこのゲームで対人戦をやりたい。
彼女ならどんな奇抜な戦略を立てるか、想像するだけでも楽し――と、そんなことを考えていたら、やっとスタッフロールが終了した。
画面がブラックアウトする。
変化を待ちながら、今の内にまばたきを済ませておく。
そして――――
EMIRI.K>あ、繋がった。
黒背景の画面に表示されたのは、ゴシック体の簡素な文字列だった。
「EMIRI.K…………エミリ? 何者だ?」
みんなの口から、疑問符交じりの言葉が漏れる。
エミリ……イニシャルE.K.……少なくとも、参加者名簿には載っていなかった名前だ。
全員がそのエミリなるメッセージ主の正体を訝しげつつ、モニタ上に綴られていく字を見やった。
EMIRI.K>突然ごめんなさい。ですが、時間がないので簡潔に説明させてもらいます。
まず、私はあなたがたの味方です。これから約五分間の間、可能な範囲であなたがたの入力した質問にお答えします。
なるべく急いでください。このDISCを通じて交信ができるのは、僅かな時間のみです。
――戸惑ったり迷っている暇は与えられない。
僕はこのとき、本能的にそう感じながらも、すぐには指を動かすことができなかった。
そしてそんな僕らに追い討ちをかけるかのように――七回目の放送が始まった。
【D-3・病院内レントゲン室/2日目・夕方(放送開始)】
【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:疲労と眠気、特に足には相当な疲労(休息中により回復傾向)、SOS団団員辞退は不許可
[装備]:S&W M19(残弾6/6発、予備弾薬×11発)
[道具]:デイバッグ、支給品一式、警察手帳、i-pod
タチコマのメモリチップ、エクソダス計画書、コンラッドのノートパソコン(壊れかけ)
[思考]
基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
1:エミリ……何者だ?
2:ハックに備える。
3:フェイトを保護する。
4:凛達が心配。
5:ハルヒか他の人間にロケ地巡りをしてもらうよう頼む(ギガゾンビの居場所が確定すれば不要)。
[備考]
※ギガゾンビの城を確認しました
※グリフィスやユービックのことについてロックから伝え聞きました。
※ユービックに対する疑心はまだありますが、視覚データ確認に伴いだいぶ薄れました。
※i-podの中身は、電脳通信制限解除のプログラムとハッキングに必要な攻性防壁突破プログラムでした。
※前記のうち、後者を使用できるは一回限りと思われます。
【ゲイン・ビジョウ@OVERMANキングゲイナー】
[状態]:右手に火傷(小)、全身各所に軽傷(擦り傷・打撲)、腹部に重度の損傷(外傷は塞がった)
[装備]:ウィンチェスターM1897(残弾数5/5、予備弾薬×25発)、NTW20対物ライフル(弾数0/3)、悟史のバット
[道具]:デイパック、支給品一式、スパイセットの目玉と耳(×2セット) 、どこでもドア
トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ、エクソダス計画書
[思考]
基本:ギガゾンビを打倒し、ここからエクソダス(脱出)する。
1:エミリ……そんな名のご婦人もいたようないなかったような……。
2:フェイトを看病する。
4:ユービックを警戒。
5:皆を率いてエクソダス計画を進行させる。
6:時間に余裕があれば、是非ともトウカと不二子を埋葬しに戻りたい。
[備考]
※仲間から聞き逃した第三放送の内容を得ました。
※首輪の盗聴器は、ホテル倒壊の轟音によって故障しています。
※モールダマから得た情報及び考察をメモに記しました。
※ユービックのことを一応は信用はしましたが、別の嫌悪感を抱き始めています。
※この時点では、ゲインは神人が病院へ害をなす可能性を考えています。
※どこでもドアを使用してのギガゾンビ城周辺(α-5のエリア一帯)への侵入は不可能です。
【住職ダマB(ユービック)】
[状態]:ダメージ甚大、上半身だけ、言語機能に障害
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:グリフィスを助ける。そのためならば、参加者との協力も惜しまない
1:グリフィスを捜索
2:1を達成するために、協力者とひとまず信頼を構築したい
3:コンラッドのパソコン返してくれないかな……。
[備考]
※ギガゾンビの言葉(ツチダマはいつでも爆破できる)はハッタリかもと思いつつあります。
【ゲイナー・サンガ@OVERMAN キングゲイナー】
[状態]:疲労蓄積、風邪の初期症状、腹部と後頭部と顔面に打撲(処置済み)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い
[装備]:技術手袋(使用回数:残り14回)、トウカの日本刀、コンバットナイフ
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料一日分消費)
ノートパソコン+"THE DAY OF SAGITTARIUS III"のゲームCD(ディスクが挿入されている)
スタングレネード×2、スパイセットの目玉と耳
クーガーのサングラス、グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)、エクソダス計画書
病院内で見つけた工具箱、解体された首輪、機械の部品多数
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出
1:これはいったい……って、放送が!?
2:凛達が心配
3:首輪解除機の作成
4:ユービックを警戒
5:カズマが戻ってきたらクーガーのサングラスを渡す
6:グラーフアイゼンを誰かふさわしい人に譲る
[備考]
※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです
※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています
※基礎的な工学知識を得ました。
※ゲイナーの立てた首輪に関する仮説は『Can you feel my soul』を参考の事
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:大程度のダメージ、頭部に強い衝撃、強い決意
[装備]:虎竹刀
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)
[思考]
基本:ひみつ道具と仲間を集めて仇を取る。ギガゾンビを何とかする
1:このメッセージを送っている人物は、いったい何者なんだ?
2:凛とグリフィスの捜索。
[備考]
※Fateの魔術知識、リリカルなのはの魔法知識を学びました。
※ギガゾンビに対する反乱と、その結末までを簡潔に聞きました(なので、所々正確ではない可能性があります)
※ユービックの話を完全には信じていません。
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:右眼球損失(止血済み)、全身に重度の打撲、肋骨を骨折(措置済み)、右脇腹に裂傷(止血済み)、左側のツインテールなし、魔力スッカラカン、バリアジャケット解除
[装備]:バルディッシュ・アサルト(スタンバイフォーム/弾倉内カートリッジなし/予備カートリッジ×12発)、なのはのリボン
[道具]:デイバッグ、支給品一式、クラールヴィント、西瓜×1個、ローザミスティカ(銀)、エクソダス計画書
[思考]
基本:戦闘の中断及び抑制。協力者を募って脱出を目指す。
1:体を直すためにも休息……だけど、これを見届けてから。
2:凛とグリフィスの捜索。
3:光球(ローザミスティカ)の正体を凛に尋ねる。
4:遠坂凛と協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
5:ベルカ式魔法についてクラールヴィントと相談してみる。
6:カルラや桃色の髪の少女(ルイズ)の仲間に会えたら謝る。
[備考]
※襲撃者(グリフィス)については、髪の色や背丈などの外見的特徴しか捉えていません。素顔は未見。
※首輪の盗聴器は、ルイズとの空中戦での轟音により故障しているようです。
※『EMIRI.K』の正体は長門と同じ情報統合思念体である『喜緑 江美里』です。
今から約五分間、彼女と交信、(可能な範囲で)情報のやり取りを行うことができます。
*時系列順に読む
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*投下順に読む
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|291:[[「射手座の日を越えていけ」(前編)]]|トグサ|293:[[陽が落ちる(1)]]|
|291:[[「射手座の日を越えていけ」(前編)]]|ゲイン・ビジョウ|293:[[陽が落ちる(1)]]|
|291:[[「射手座の日を越えていけ」(前編)]]|ゲイナー・サンガ|293:[[陽が落ちる(1)]]|
|291:[[「射手座の日を越えていけ」(前編)]]|ドラえもん|293:[[陽が落ちる(1)]]|
|291:[[「射手座の日を越えていけ」(前編)]]|フェイト・T・ハラオウン|293:[[陽が落ちる(1)]]|
*「射手座の日を越えていけ」(後編) ◆LXe12sNRSs
「なんなんだこれは……」
思わず、そんな力ない声が漏れてしまう。
ユニットを一つ失った<コンピ研連合>の次なる戦略。それは、予想だにしないものだった。
意外なことに、敵は正面から姿を現したのだ。敵ユニットの一つ、<ブラインドネス>が、単身……を、『20に分けて』。
最初に説明したが、一つのユニットは一万五千隻の宇宙戦艦+補給艦によって形成されている。
ダメージを受けるごとに、その総数が減っていくという寸法だ。
そして僕は、このゲームのマニュアルに載っていたあるシステムのことを思い出す。
それは、『分艦隊』と呼ばれるものだった。
概要はこうだ。一つのユニットを最大20のユニットに分散し、それぞれを索敵や囮、壁に利用する。分身みたいなものだ。
当然、個々の戦力はガクンと落ちるし、なにより複数のユニットを同時に操作しなければならないというデメリットがある。
5つのユニットを同時に駆使するだけでも高難易度だというのに、それをさらに増やすなど、あまりに馬鹿げている。
いくら僕がゲームチャンプとはいえ、専門はあくまでもコントローラだ。パソコンのタイピングがそこまで上手いわけではない。
だからこそ、熟練者向けのシステムである『分艦隊』は、戦略の視野に入れていなかった。
しかし、まさかそれを敵が仕掛けてくるとは思わなかった。
考えてもみて欲しい。『分艦隊』最大のデメリットは、操作難度が上がるという部分にある。
だが、僕が相手にしているのは現実の人間ではなく、CPUだ。
彼らはキーボードを叩くなんていう原始的な方法は取らない。要するに、操作難度の上昇という弊害は関係ないのだ。
ノーリスクで『分艦隊』のメリットを利用できるなんて、そんなの反則じゃないか。製作者はユーザーをなめてるのか!
クレームを言っても、それが製作者側に届くことはない。所詮は素人の自作品、ゲームバランスは滅茶苦茶というわけか。
僕は20に分散した<ブラインドネス>と正面からやりあいつつ、ついに<D艦隊>と<E艦隊>を撃沈されてしまった。
敵の<ブラインドネス>を示す光点は、まだ8つほど残っている。数的にも絶対的不利に陥ってしまった。
不幸は続くもので、僕が<ブラインドネス>群の相手に躍起になっていると、後方から<イクイノックス>、<ムスペルヘイム>が攻め込んできていた。
別に気づかなかったわけではない。今回は<ルペルカリア>を落としたことによりできた余裕で、完璧な索敵を済ませている。
敵が隠れたまま歩み寄る隙間なんてなかったはずなんだ……そうして不信感を募らせていた僕は、ついに見てしまった。
前方の<ブラインドネス>の光点がパッと消え、
いつの間にか後方、敵二艦隊の側に合流している姿を。
……つまり、だ。
敵は冗談でもなんでもなく、文字通り『ワープ』なるマニュアルにもないインチキ能力を使い、戦っていたと。
索敵から逃れ、四方を上手く取り囲めていたのも、すべてはこのワープ能力によるものだと。
デメリットを処分した『分艦隊』に、行為自体が反則的である『ワープ』。
<コンピ研連合>は、僕ら<ゲイナー帝国>が持ち得ない絶対的な力を保持していた。
「ふっ、フフフフフ……」
「げ、ゲイナーくん……?」
意識せず、笑みが漏れた。傍らでドラえもんが心配そうに見つめている。
やられた。完敗だよ。こんなふざけたCPUを搭載しているゲーム、クリアできるはずがない。
何が射手座の日を越えていけ、だ。無理に決まってますよこんなの。
僕は<C艦隊>が撃沈されたところで手を休め――そのままノートパソコンを閉じようかどうか考えた。
クリアできないゲームに、可能性なんて残されていない。早いところトグサさんに席を譲ってしまおう。
みんなは落胆するかもしれないけれど、幸い、ipod内のデータを持ってハッキングすれば、首輪の構造データは入手できそうだし。
「こんなゲーム、クリアする必要なんてないよ」
ドラえもんにも聞こえないほど小さな声で、ぼそっと呟いた。
だってそうでしょう? ギガゾンビの居場所は、ユービックがくれた情報で分かったし、首輪の電波特定はトグサさん任せでどうにかなる。
ひみつ道具の専門家であるドラえもんもいるし、首輪解除のための装置作成は何も心配ない。
今さら、このゲームをクリアすることになんの意味があるのか? 答えなんて決まってる。意味なんてないんだよ。
トグサさんとドラえもんがいる。首輪は解除できる。
レヴィさんやフェイトちゃんがいる。首輪さえ外せれば、ギガゾンビが二人に敵うはずもない。
それに比べて僕なんて、特別役に立つわけでもない。
キングゲイナーがあるならまだしも、それ以外はみんな、ゲームが得意というところくらいしか見てないじゃないか。
ゲインみたいな狙撃の腕前があるわけじゃないから、銃を持ったって意味はない。
ボクシングだって、ゲインとやりあったら秒殺されるような弱さだ。
そんな僕に、何ができるっていうんだ。
僕に残されているものなんて、何もないじゃないか……!
「いや、その理屈はおかしい」
…………え?
「ゲイナーくん、君は自分が何もできない役立たずの能無しだと卑下しているみたいだけど、そんなことはないんだよ」
無意識の内に、思っていたことを言葉に出してしまったらしい。
ドラえもんは淀みのない真っ直ぐな瞳で、僕を正面から見据えていた。
「これは僕の友達の話なんだけどね、その子は勉強が駄目でテストも零点ばかり、ケンカも弱けりゃ野球もヘタクソ、
泳げない上によくママに叱られる。友達に泣かされることなんてしょっちゅうだし、家出したって一日で戻ってくるようなヤツなんだ。
そんなヤツでもね、いいところはたくさんあったよ。
男の子のくせにあやとりが得意だし、射撃の腕前はそこらのガンマンよりすごいんだ。
ひみつ道具を使わせたら天才だし、3秒で昼寝ができる人間なんて、世界中探したってそいつしかいない」
真摯に友達の話をするドラえもんの目尻には、涙が浮かんでいた。
眼差しは真剣なまま、僕の目を見つめている。涙を流しつつも、感情は泣きはしなかったのだ。
僕だって鈍感じゃない。ドラえもんのいう友達なる人物が、彼にとってどんな存在なのかは分かるし、その末路がどうなったのかも聞いている。
心は涙を流しているというのに、ドラえもんは泣かないんだ。もう、うつむいたりあきらめたりすることはできないから。
「ゲイナー」
僕とドラえもんの側に、トグサさんが歩み寄ってくる。
「おまえ、ウチのタチコマと一緒に行動してたんだろう? なら知ってるんじゃないか、九課の習わしを」
「九課……」
思い出す。タチコマの中でマニュアルを頭に入れながら聞いていた、公安九課という組織のことを。
『我々の間にチームプレイなどという都合のいい言い訳は存在しない。 必要なのはスタンドプレーの結果として生じるチームワークだけだ』
――それはたしか、公安九課のボスなる人物のセリフだったろうか。
あのとき、タチコマが自分の仲間よりもまず、フェイトの友達の捜索を優先したのは、その教えによるところが大きかったはずだ。
各々が信頼していたから、だからこそ公安九課は成り立っていた――そんな話を、あの場で聞いたような気がする。
「でも、僕の取り得はみんなの手助けなんか……」
「ゲイナー」
無意識に漏れた憤りは、眠っていたフェイトちゃんすら起こしてしまっていたらしい。
苦しそうに上半身を起こし、失われていないほうの目で、優しげにこちらを見つめる姿があった。
「ゲイナー、あのとき言ったじゃないですか。
足手まといだけど、守ってくれって言ってるようなものだけど、一緒に連れて行って欲しいって。
私は、あのときの言葉をまだ覚えてますよ。ゲイナーは私が守るし、これからだって一緒です。
それに、『エクソダス』って言葉、ゲイナーが教えてくれたんですよ」
思い出す。レヴィさんに半裸で放置され、そこをフェイトちゃんとタチコマに助けてもらった。
あのときから僕は、自分が役立たずだと自覚していた。みんなの迷惑になるかもしれない――だけど、僕は二人とともに行く道を選んだ。
――最後の最後まで自分からは何もしないのであれば、それは死んでいるのと同じだ。
今を思えば、ゲインのこの言葉に反感しようとしていただけなのかもしれない。
でも、僕はまだ生きてる。タチコマやなのはちゃんはもういないけど、僕はまだ生きてるんだ。
「――エクソダス、か。まさか、ゲイナー少年の口からそんな言葉出るとはね」
「ゲイン、おまえは何か、ゲイナーに一言ないのか?」
「……ないな。なにせ、俺の知っているゲイナー・サンガはゲームチャンプだ。
ゲイナーがクリアできないゲームがあるとしたら、それは誰にもクリアすることができない仕様なんだろう」
他の面々に対して、ゲインの態度は素っ気なかった。
そのどこか余裕ぶった、大人の態度が気にいらない。
「ゲインさん」
「ん?」
「頬、殴ってください」
「はぁ!?」
大人なんて、不条理な存在なんだ。そんなの、今に始まったことじゃないじゃないか。
「気でも狂ったかゲイナー?」
「いいから、一発ガツンとやってください」
このゲイン・ビジョウという人にしたって、とんでもない大人であることは変わりない。
女垂らしでフェイトちゃんみたいな子供にまで色目を使う。僕を子供と馬鹿にする。簡単に嘘をつく。
たぶん、この先も好きにはなれない。だけど、それがゲイン・ビジョウという人なんだと思う。
「まぁ、野郎を殴り飛ばすくらいなんでもないが……手加減はしないぞ」
「やってください」
立ち上がり、ゲインさんの前に歩み寄る。
そして、頬面に容赦ない拳が飛び込んでくる。
痛い。だけど、目が覚める。
「これで満足か?」
「痛ぅ……と、トグサさんも、やってください」
「おいおい、俺もかよ」
「あなたも鬱憤が溜まってるでしょう? ここいらで吐き捨ててみたらどうです!?」
半ばヤケ気味に、僕はトグサさんに迫った。
トグサさんは若干躊躇したような顔を作りながらも、ゲインさんに「やっちまえ」と支援され、拳を振るった。
衝撃で身体がよろめく。この人もなんだかんだで、加減を知らない人だ。
痛い。だけど、目が覚める。
「ぐっ……ふぇ、フェイトちゃんも」
「え、私もですか?」
フェイトちゃんがおっかなびっくりした表情で、不恰好に身構える。
正直、このときの僕の顔は、相当変な顔だったと思う。
女の子に殴ってくれと迫るなんて、そりゃ普通に考えれば怖い。
でも、そんなことはどうでもいい。フェイトちゃんの僕に対する好感度が下がったって、構いやしない。
フェイトちゃんはかなり迷った末に、僕の頬を平手でぺチンとはたいてくれた。
あんまり痛くはなかったけれど、それでも目は覚めた。
「最後は……ドラえもん」
「よ、よ~し!」
ドラえもんも僕の一連の奇行の意味を分かってくれたのか、手加減する素振りは見せなかった。
丸っこい手で、僕の頬を思い切り抉る。今まで以上の衝撃に耐え切れず、身体が尻餅をついた。
それでも、ドラえもん本来のパワーを考えれば、軽い。さすが子守ロボット、無意識の内に手加減してくれたのだろうか。
とにかく、これで四人分。レヴィさんの分も含めれば、僕はこの殺し合いの場で、計五人もの参加者にタコ殴りされたわけである。
それでも、僕はまだ生きている。
「まったく……みんなでお手本みたいな説教並べて、そんなに僕に期待してるんですか?」
ぶつぶつ呟きながらも、僕はノートパソコンの前に舞い戻る。
傍目から見たら、亡霊みたいな空気を纏っていたように思えるだろう。
なんてカッコ悪い。
カッコ悪いけど、もうなんか……いいや。
「ドラえもん、痛覚って素晴らしいと思わないかい? 痛みは人の脳を刺激し、他の感覚を一時的に麻痺させてしまう。
ここに来てもう一日半が経つけど、僕は今までろくに睡眠を取っていない。正直かなり眠かったんだ。
だけど、ここまで持ち堪えることができた。それはひとえに、定期的にレヴィさんに殴られていたおかげだと思うんだ。
――つまり、僕はみんなに殴られたからこそ、ここまで生き延びることができたんだよ!」
「な、なんだっ――――え、えぇぇぇぇぇ……?」
ドラえもんがエラーコードを出したような顔をしている。理解不能と言いたいのだろう。
大丈夫。僕だって自分が何を言っているのかよく分かっていない。テンションに身を任せている状態だ。
それでも、今の僕に眠気がないことは事実だ。頭は今までにないくらいスッキリしているし、気持ちは高ぶっている。
今なら、何をしてもうまくいくような――そんな予感がする。
「敵の数が多い? なら、片っ端から撃墜していけばいいだけじゃないか!
ワープがなんだ! 相手の転移先を読むことくらい、この僕ができないとでも!?
それしきの戦法で僕に膝をつけさせようなんて、あまいんだよォォォォォォォ!!!」
吼えた。
腹の底から声を出して、パソコン内の<コンピ研連合>を威嚇した。
「知ってるかトグサ? 内向的な性格の子供ほど、いざキレたら手がつけられないそうだ」
「子持ちの身の上としては、頭の痛くなる話題だな……今度時間ができたら、
年頃の女の子の扱い方を教えてくれないか? 将来、娘が反抗期になったときの参考にしたいんでね」
「ご婦人の話題というなら喜んで」
周囲の目など気にしない。僕は叫びながら、キーボードを壊さん勢いでタイプを続ける。
指の動きがいつにもまして軽快だ。関節に油を差したかのような錯覚を覚える。
「いける、これならいけるぞ――!」
今一度、戦況を整理しよう。
こちらの戦力は二つ。旗艦である<A艦隊>と、ボロボロの<B艦隊>のみ。
対する<コンピ研連合>は、8つに分かれた<ブラインドネス>と、<イクイノックス>に<ムスペルヘイム>、そしてまだ見ぬ旗艦<ディエス・イラエ>。
この不利な戦況も、今なら簡単に打開できるような気がしてくるから不思議だ。
眠気が去り、高揚している僕の脳内には、次々と状況打破のためのアイディアが湧きあがってくる。
さぁ、考えろゲイナー・サンガ。どうするどうする――おまえならどうする!?
「これが勝利の鍵だァァァ――!!」
コントロールキーとF4キーを同時押し。テンキーで数を指定。そうして、僕は敵と同様に『分艦隊』を発動させた。
対象は<B艦隊>、それを限界値である20にまで分散し、一斉に索敵艇を出させる。
ゲームはもはや終盤、暴かれていないMAPはほんの一握り。この状況下、20もの艦隊で索敵を行えばどうなるか。
残された闇は瞬く間に晴れていき、隠れていた敵旗艦――<ディエス・イラエ>がついに姿を見せた。
「ゲイナーくん、敵の親玉が!」
「分かってる!」
索敵命令を出していた分艦隊に片っ端から突撃命令を出す。もちろん、標的は<ディエス・イラエ>一点集中だ。
タイピングが追いつかず、いくつかの分艦隊はまだ健在の<イクイノックス>等に落とされたが、振り返りはしない。
ここまできたらあとは力押しだ。残った全勢力、すべてで<ディエス・イラエ>を潰しにかかる。
次々と沈艦していく<B艦隊>だが、どうにか20の内の4つが<ディエス・イラエ>のもとに到達した。
一斉に攻撃開始。こんどは我が<ゲイナー帝国>が、四方から集中砲火を浴びせる!
分艦隊を使ったため個々の火力は弱まっているが、敵側からすれば、旗艦が袋叩きにされている状態だ。静観していられるはずがない。
定石に従うなら、近くの味方部隊を救援に回す。シンプルながらもこれがベストのはずだ。
だけど、<コンピ研連合>はそんなちゃちな手は使わない。使う必要がないのだ。
「あっ! 敵の親玉が消えた!?」
ドラえもんの驚きとともに、包囲していた<ディエス・イラエ>が突然消失する。
攻撃対象を失い動きを止めた<B艦隊>は、その隙を突かれ<イクイノックス>、<ムスペルヘイム>、<ブラインドネス>の残党に襲撃される。
僕の頼みの綱であった<B艦隊>は、一つも残らず殲滅されてしまった。
「ど、どうするのさゲイナーくん! これじゃあもう……」
「慌てすぎだよ、ドラえもん。これも狙いの内さ」
動揺するドラえもんに、僕は冷静に切り替えした。
「いいかいドラえもん、まず、敵の親玉である<ディエス・イラエ>はどこへ消えたと思う?」
「え? それはさっきから使ってるインチキワープを使って……MAPの別の場所に逃げたんじゃないの?」
「正解。だけどこの画面上のMAPを見てほしい。表示されている敵艦隊は、<イクイノックス>等攻撃部隊だけだ。
さて、ここでもう一度問題。敵の旗艦、<ディエス・イラエ>はどこに消えたのか……分かるかい?」
ドラえもんが首を捻る。が、すぐにハッとした表情で「分かった!」と告げた。
――そう、すべては計算の内だったんだ。
どんなに精巧で姑息なCPUでも、プログラムである以上、パターン性というものを持っている。
この、<コンピ研連合>が持っているパターンは――『ピンチになるとワープを多用する』。
僕はみんなに殴られスッキリした脳で、やっとそのパターンに気づいたんだ。
だからこそ、あんな無茶な奇襲を仕掛けた。相手の旗艦を、わざとワープさせるために。
さっきから相手が使っているワープだけど、これにもある法則がある。
それは、『索敵艇が行き届いていない未開範囲に出現する』というものだ。
相手はワープというインチキ能力をカモフラージュするため、初めは必ずこちらの視界範囲外に出現し、そこから姿を現す。
あたかも正規ルートを使い、高速移動でそこに回り込んだと錯覚させるためだ。
一見便利そうなワープ能力。だが、これは終盤になるにつれ、思わぬデメリットを呼び込んでしまう。
「敵は、必ずこちらが視認できていない範囲にワープする。だけどドラえもん、今、MAP上で視認できていない箇所はいくつある?」
「――ここだけだ!」
そう言って、ドラえもんがMAP左上隅の黒円を指し示した。
――これが、ワープ多様の落とし穴。
僕がこのゲームをプレイし始めて早数十分。
基本に沿い索敵行動を怠らなかったおかげで、MAPの全域は余すことなくライトアップされていた。
唯一残っている場所があるとすれば、ドラえもんが指し示した黒円の範囲。ここだけが、まだ『索敵していない場所』なのである。
何も見落としていたわけではない。<B艦隊>に分艦隊の指定をし、一斉索敵をする際に、わざとここだけ残すよう仕向けたのだ。
「敵旗艦がワープを使って逃げ帰る場所――そこを、この一部分に限定させるためにね!」
<ディエス・イラエ>が転移したであろう黒円の範囲。そのすぐ側では、我が旗艦、<A艦隊>が攻撃態勢で待ち構えていた。
分艦隊させた<B艦隊>、その狙いは一斉索敵のためだけではない。
<ディエス・イラエ>のワープを見越し、ワープ後即座に対応できるよう、<A艦隊>をここまで移動させるための囮にしたのだ。
「なるほど。他所で味方を派手に騒がせておいて、本命は敵組織のアジトで張り込むと……案外、刑事の素質があるんじゃないか?」
「すごい……なんだか、ゲイナーが輝いて見える」
「決めちまえ、ゲイナー」
「ゲイナーくん!」
「これで……とどめだァァァァァ!!!」
待機していた<A艦隊>に、攻撃を指示。
全弾、黒円の中にいるであろう<ディエス・イラエ>へ叩き込む。
爆発SEが連続して鳴り響き、そしてメッセージウインドが開かれた。
「こ、コンピュータ研に栄光あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
片手にワイングラスを持った<コンピ研連合>総統の玉砕グラフィックが表示され、断末魔の叫びとともに消えていった。
ちょろいファンファーレが鳴り響き、モニタに輝かしい文字が表示されてゲームは終わる。
『You Win!』
◇ ◇ ◇
エンディングBGMが流れ、スタッフロールが映し出されている。
こんなものまで用意しているなら、素人作成のゲームにしては上出来だろう。
そして、
「……やった?」
この画面に到達したということはつまり――僕は、《The Day of Sagittarius 3》をクリアした。
「――いぃぃやっっっほおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅ!!!」
跳びはね、側にいたドラえもんとハイタッチを交わす。
感極まるとはこのことだ。ついに、ついに僕は……僕の仕事をやり遂げた!
「やった! やったよドラえもん!!」
「うん! うん! 君はやればできるヤツなんだよゲイナーくん!」
無邪気に喜び合う僕とドラえもんの様子を見て、ゲインさんとトグサさんはやれやれと微笑を浮かべている。
まったくこの二人は、どこまでも大人な対応をしてくれる。
フェイトちゃんはパチパチと拍手をしており、心の底から僕の健闘を称えてくれているようだ。素直に嬉しい。
――しかして、これで僕はノートパソコンに残されていたメッセージどおり、射手座の日を乗り越えたことになる。
このエンディングが終わった後、いったいどんな結果が待っているのか――僕は座して見守った。
他四名の視線もパソコンのモニタに集中し、興味ゼロのスタッフロールに「さっさと終われ」と訴えかける。
エンディングをスキップできないのがこうも苦痛だったことはない。
しかしながら、クリアしてこんなに感動を覚えたゲームもこれが初だ。
もし無事に帰ることができたら、ぜひシンシアと一緒にこのゲームで対人戦をやりたい。
彼女ならどんな奇抜な戦略を立てるか、想像するだけでも楽し――と、そんなことを考えていたら、やっとスタッフロールが終了した。
画面がブラックアウトする。
変化を待ちながら、今の内にまばたきを済ませておく。
そして――――
EMIRI.K>あ、繋がった。
黒背景の画面に表示されたのは、ゴシック体の簡素な文字列だった。
「EMIRI.K…………エミリ? 何者だ?」
みんなの口から、疑問符交じりの言葉が漏れる。
エミリ……イニシャルE.K.……少なくとも、参加者名簿には載っていなかった名前だ。
全員がそのエミリなるメッセージ主の正体を訝しげつつ、モニタ上に綴られていく字を見やった。
EMIRI.K>突然ごめんなさい。ですが、時間がないので簡潔に説明させてもらいます。
まず、私はあなたがたの味方です。これから約五分間の間、可能な範囲であなたがたの入力した質問にお答えします。
なるべく急いでください。このDISCを通じて交信ができるのは、僅かな時間のみです。
――戸惑ったり迷っている暇は与えられない。
僕はこのとき、本能的にそう感じながらも、すぐには指を動かすことができなかった。
そしてそんな僕らに追い討ちをかけるかのように――七回目の放送が始まった。
【D-3・病院内レントゲン室/2日目・夕方(放送開始)】
【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:疲労と眠気、特に足には相当な疲労(休息中により回復傾向)、SOS団団員辞退は不許可
[装備]:S&W M19(残弾6/6発、予備弾薬×11発)
[道具]:支給品一式、警察手帳、i-pod
タチコマのメモリチップ、エクソダス計画書、コンラッドのノートパソコン(壊れかけ)
[思考]
基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
1:エミリ……何者だ?
2:ハックに備える。
3:フェイトを保護する。
4:凛達が心配。
5:ハルヒか他の人間にロケ地巡りをしてもらうよう頼む(ギガゾンビの居場所が確定すれば不要)。
[備考]
※ギガゾンビの城を確認しました
※グリフィスやユービックのことについてロックから伝え聞きました。
※ユービックに対する疑心はまだありますが、視覚データ確認に伴いだいぶ薄れました。
※i-podの中身は、電脳通信制限解除のプログラムとハッキングに必要な攻性防壁突破プログラムでした。
※前記のうち、後者を使用できるは一回限りと思われます。
【ゲイン・ビジョウ@OVERMANキングゲイナー】
[状態]:右手に火傷(小)、全身各所に軽傷(擦り傷・打撲)、腹部に重度の損傷(外傷は塞がった)
[装備]:ウィンチェスターM1897(残弾数5/5、予備弾薬×25発)、NTW20対物ライフル(弾数0/3)、悟史のバット
[道具]:支給品一式、スパイセットの目玉と耳(×2セット) 、どこでもドア
トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ、エクソダス計画書
[思考]
基本:ギガゾンビを打倒し、ここからエクソダス(脱出)する。
1:エミリ……そんな名のご婦人もいたようないなかったような……。
2:フェイトを看病する。
4:ユービックを警戒。
5:皆を率いてエクソダス計画を進行させる。
6:時間に余裕があれば、是非ともトウカと不二子を埋葬しに戻りたい。
[備考]
※仲間から聞き逃した第三放送の内容を得ました。
※首輪の盗聴器は、ホテル倒壊の轟音によって故障しています。
※モールダマから得た情報及び考察をメモに記しました。
※ユービックのことを一応は信用はしましたが、別の嫌悪感を抱き始めています。
※この時点では、ゲインは神人が病院へ害をなす可能性を考えています。
※どこでもドアを使用してのギガゾンビ城周辺(α-5のエリア一帯)への侵入は不可能です。
【住職ダマB(ユービック)】
[状態]:ダメージ甚大、上半身だけ、言語機能に障害
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:グリフィスを助ける。そのためならば、参加者との協力も惜しまない
1:グリフィスを捜索
2:1を達成するために、協力者とひとまず信頼を構築したい
3:コンラッドのパソコン返してくれないかな……。
[備考]
※ギガゾンビの言葉(ツチダマはいつでも爆破できる)はハッタリかもと思いつつあります。
【ゲイナー・サンガ@OVERMAN キングゲイナー】
[状態]:疲労蓄積、風邪の初期症状、腹部と後頭部と顔面に打撲(処置済み)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い
[装備]:技術手袋(使用回数:残り14回)、トウカの日本刀、コンバットナイフ
[道具]:支給品一式(食料一日分消費)
ノートパソコン+"THE DAY OF SAGITTARIUS III"のゲームCD(ディスクが挿入されている)
スタングレネード×2、スパイセットの目玉と耳
クーガーのサングラス、グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)、エクソダス計画書
病院内で見つけた工具箱、解体された首輪、機械の部品多数
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出
1:これはいったい……って、放送が!?
2:凛達が心配
3:首輪解除機の作成
4:ユービックを警戒
5:カズマが戻ってきたらクーガーのサングラスを渡す
6:グラーフアイゼンを誰かふさわしい人に譲る
[備考]
※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです
※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています
※基礎的な工学知識を得ました。
※ゲイナーの立てた首輪に関する仮説は『Can you feel my soul』を参考の事
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:大程度のダメージ、頭部に強い衝撃、強い決意
[装備]:虎竹刀
[道具]:支給品一式(食料-1)
[思考]
基本:ひみつ道具と仲間を集めて仇を取る。ギガゾンビを何とかする
1:このメッセージを送っている人物は、いったい何者なんだ?
2:凛とグリフィスの捜索。
[備考]
※Fateの魔術知識、リリカルなのはの魔法知識を学びました。
※ギガゾンビに対する反乱と、その結末までを簡潔に聞きました(なので、所々正確ではない可能性があります)
※ユービックの話を完全には信じていません。
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:右眼球損失(止血済み)、全身に重度の打撲、肋骨を骨折(措置済み)、右脇腹に裂傷(止血済み)、左側のツインテールなし、魔力スッカラカン、バリアジャケット解除
[装備]:バルディッシュ・アサルト(スタンバイフォーム/弾倉内カートリッジなし/予備カートリッジ×12発)、なのはのリボン
[道具]:支給品一式、クラールヴィント、西瓜×1個、ローザミスティカ(銀)、エクソダス計画書
[思考]
基本:戦闘の中断及び抑制。協力者を募って脱出を目指す。
1:体を直すためにも休息……だけど、これを見届けてから。
2:凛とグリフィスの捜索。
3:光球(ローザミスティカ)の正体を凛に尋ねる。
4:遠坂凛と協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
5:ベルカ式魔法についてクラールヴィントと相談してみる。
6:カルラや桃色の髪の少女(ルイズ)の仲間に会えたら謝る。
[備考]
※襲撃者(グリフィス)については、髪の色や背丈などの外見的特徴しか捉えていません。素顔は未見。
※首輪の盗聴器は、ルイズとの空中戦での轟音により故障しているようです。
※『EMIRI.K』の正体は長門と同じ情報統合思念体である『喜緑 江美里』です。
今から約五分間、彼女と交信、(可能な範囲で)情報のやり取りを行うことができます。
*時系列順に読む
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