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「終わりの始まり Border of Life」(2022/05/06 (金) 22:16:40) の最新版変更点
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*終わりの始まり Border of Life ◆qwglOGQwIk
安眠誘導装置から目覚めたギガゾンビは上体をゆっくりと起こし上げ、伸ばす。
ふうと溜息を吐きながら、自身の置かれている状況をゆっくりと思い起こす。
そのせいで二度と思い出したくなかった、あの苦痛と恐怖に再度震える。
鼻が、耳が、指が、体の部位が次々と切り取られ、永劫とも感じられた激痛の時間。
あの男、グリフィスの拷問を思い返してしまい、その苦痛に顔をしかめる。
そこでギガゾンビは思考を切り替え、忘れよう、忘れようとする。
頭がまだぼやけていたせいか、そこから先をなんとか思い出すのを止めることが出来た。
現状把握をある程度終えたギガゾンビは安眠誘導装置から移動し、愛用のマスクを顔に再び装着する。
ギガゾンビは部屋を見渡すが、密告以来ずっとくっついて回ったフェムトの姿が見えない。
どうでも良い時ほどべたべたする癖、主人の目覚めに付き添いもしないとは怠慢な奴だと思った。
そこでギガゾンビはフェムトを怒鳴りつけるべく、部屋に取り付けられているはずの端末にアクセスする。
……アクセスできないだと?
本調子にならずやや寝惚け気味だったギガゾンビも、何度アクセスしても端末が出現しないことには異変を感じる。
あの後何があったのか、ひょっとしたら最悪の結果となってしまったのではないかと思い、恐怖で心が塗りつぶされる。
恐怖を振り払いギガゾンビは状況を打開すべく部屋から外へ出ようとするも、やはり扉は開かない。
扉にを押しても引いても引っ張っても全く動く気配すらない。
これでは埒が開かないと見たギガゾンビは部屋の中を物色し、何でもいいから使えるものを探す。
軽く物色した所で、ギガゾンビは安眠誘導装置の近くに置かれていた愛用の杖を発見する。
愛用の杖を取り戻し、扉に向かって光線を放つ。
元々城内の設備投資は割合ケチられているため、ギガゾンビ考える水準では安物の扉はあっさり光線の前に打ち砕かれた。
ギガゾンビ城の廊下に出るものの、廊下にはツチダマ達の姿は微塵も無く、それどころか通路には隔壁が展開されている。
「……クソッ、いったい何がどうなっているんだ。フェムトの奴は何をしているッ……!! 」
ギガゾンビが現状にふつふつと怒りを滾らせながら廊下へ出たところで、今頃寝室の端末にフェムトの姿が映る。
「ご無事ですか! ギガゾンビ様!」
フェムトの最優先事項はあくまで主ギガゾンビの生還である。
故にギガゾンビ救出班には彼の独断で特に多くの人員が割り振られ、加えてフェムト自らが指示を出し続けていた。
ギガゾンビの寝室はフェムトには最重要システムの一つであったため、主へのネットワーク回復及び救出にはほぼ全力が注がれていたのだ。
短時間での復旧が可能だったのは、この一点に他ならない。
「フェムト! 一体何がどうなっているッ!! 主人の世話をほったらかしにするとは親として恥ずかしいぞ! 」
「申し訳ありませんギガゾンビ様! 今ギガゾンビ様救出隊を向かわせているところです」
「……フン、まあいい。今回はお前の功績に免じて許してやろう。さっさと現状況を話せ」
「…………緊急事態が発生しました。バトルロワイヤルの参加者達が大挙してこの城に攻め込み始めました」
「何だとぉ!? 」
「……それだけではありません。城のシステムにハッキングが仕掛けられ、撃退に失敗。
全システムの殆どが停止、または敵の管制下に置かれました。」
「…………何だとぉぉぉぉぉぉぉぉ!? 」
「申し訳ございません! 本当に申し訳ございません……」
――気に入らん、気に入らん、気に入らん、気に入らん、気に入らんぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
参加者の手綱である首輪の解除、加えて城内システムのハッキング。
どう考えても、バトルロワイヤル運営は不可能。この試行のゲームは停止に追い込まれるのは間違いないと判断。
ふつふつと怒りが沸き起こり、我慢の限界に達するのも近かった。
さらにフェムトから追い討ちの一撃がかかる。
「……更に悪い報告です。付近の亜空間に船影が発見され、この世界へ向かって航行中です。
…彼らの正体はタイムパトロール及び時空管理局の所属艦船かと。
我々の分析では、数時間以内に到着する可能性が非常に高いと予測されています」
ここに至ってギガゾンビは怒声も罵倒も出すわけでなく、ただ押し黙っていた。
フェムトも主の機嫌が悪い様子を察知し、なんと声をかけていいか押し黙らざるを得なくなっていた。
――ゲームオーバーだと? ふざけるな。
――――ふざけるなふざけるなふざけるな。
――――――ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな
――――――ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな……………………。
――――――これは一体なんだああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!
ぷちっ――
――ブチブチブチ、ブチ、ブッチーン!!!
…………そしてついに、ギガゾンビの中で何かがキレた。
「…………ふざけるなあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!! 」
「す、済みません済みません済みませんギガゾンビ様……。哀れなわが子フェムトをどうか許してくださいませ……」
強烈な怒声を浴びつけた後、罵倒や怒声を浴びつけるではなくギガゾンビは押し黙る。
その間の悪い沈黙が数秒か、あるいは数分経過した所でギガゾンビが口を開く。
「…フェムトよ、押収物保管庫か格納庫のどちらかはまだこちらの手にあるか……? 」
「はい! なんとか押収物保管庫だけは奴らの手から守りきりました。
まことに申し訳ありませんが私の一存でギガゾンビ様救出のために私物を使わせて貰っています」
「……よくやったフェムトよ、押収物保管庫の4番目のコンテナの中に取り寄せバッグがある。
それを使って私を救出するがよい」
「はっ! 了解いたしました」
それを契機に端末はプツンと音を立てて機能停止をする。
再び静かになった廊下に、入れ替わるようにして新たな音が発生する。
「フヒッ…、フヒッ……、フヒヒヒヒヒヒヒ……………………」
――許さん、許さん、絶対に許さん、私の、私の至高のエンターテイメントを邪魔するだと。
――――そんなことは、決して許さない!! バトルロワイヤルが未完で終了するなど、決してあってはならないのだ!!!!
ギガゾンビがバトルロワイヤルにかける情熱は並ならぬものではない。
彼は脱獄してさえ自由は無かった。
古巣のある23世紀には戻ることはできず、捜査の手が及ばないなんともみすぼらしい辺境世界で過ごす羽目になった。それだけでない。
珍妙不可思議にてうさんくさい30世紀の時空犯罪者、ヒエール・ジョコマンと上辺だけの同盟を結んだせいで男二人のむさくるしい共同生活を強いられたこと。
それだけの苦痛は、傲慢な男であるギガゾンビに決して耐えられたものではない。
ギガゾンビがそれだけの苦痛、苦渋を舐めても耐えた理由、それはバトルロワイヤルに他ならない。
バトルロワイヤルの完遂こそはもはやギガゾンビの夢であり、希望であり、生きがいであった。
それを完膚なきまでにブチ壊しにされた。ギガゾンビの夢が! 希望が! 至福が! フェムトの報告でガラガラと音を立て全て崩れ落ちた。
頭が真っ白になった。心の中で号泣を飲んだ。だがそれだけでは決して終われない、終わらせなかった。
ギガゾンビのバトルロワイヤルへの執念が、全てを否定されてさえ再起を促した。
――バトルロワイヤルは完遂されなければいけない、人類史に残る芸術作品として永遠に語り継がれるべき至高の作品。
ギガゾンビの思いは、あれだけ自身を悩ませたグリフィスへの恐れさえどうでもよくなるものであった。
というよりも半ばヤケクソに近い。ギガゾンビ自身がどうやっても状況を打開できないのを一番良く理解している。
どうせ死ぬなら派手に暴れた方がいい、ただそれだけであった。
ギガゾンビはその場で佇むと、バトルロワイヤル完遂のために怨念と執念をフル回転させ、らしくもない深い思慮状態に入る。
そんなこんなで、彼はフェムトやツチダマ達の手で乱暴に取り寄せられたことさえ気にしては居なかった。
「フヒ、フヒ、フヒヒヒ………」
「ギガゾンビ様、どうか気をおたしかにっ……!! 」
フェムトの必死の呼びかけから少し遅れて、ギガゾンビがレスポンスを返す。
「…よい、よい、フェムト。私は何も問題ない」
「よかった。さあギガゾンビ様早く…」
そう言うが早く、ギガゾンビはフェムトから取り寄せバッグをひったくり、手を突っ込んで何かを取り出す。
「ギガゾンビ様! 何をなさっているのです」
「この状況を打開するための秘密兵器を取り寄せるのだよ。フェ、ム、トくぅ~ん」
そういってギガゾンビは何やら不思議な機械装置を取り出す。
フェムト、そして管理室のオペレーターツチダマ達は何が何やら分からない様子で疑問符を浮かべている。
「どういうことですか? フェムトに説明してくださいませ」
「この装置の中にあるロストロギアを使い、忌々しいクソ虫どもをこの手で殲滅するのだ……
バトルロワイヤルは、この精霊王ギガゾンビ自らの手で決着を付けるのだぁ!! 」
「ギガゾンビ様! 気をお確かに! 」
「さっきからずっと言っているが私は正常だよ、フェムト君」
「いえ、絶対に間違っています。ここは私達ツチダマに任せて即刻脱出の準備をするのです
ギガゾンビ様のような偉大なお方が、ここで亡くなってはならないのです! 」
その言葉に同調するようにして、オペレーターダマ達もそうギガ!そうギガ!とコールをする。
最もフェムト以外の彼らは忠誠心からではなく、ギガゾンビの死による道連れに巻き込まれたくないというのが最も大きい。
そのギガギガコールを、一声によってギガゾンビは終結させる。
「くどいぞフェムト! 私は何としてでもバトルロワイヤル完遂を成し遂げなければならないのだ!!
それは神から与えられた粋高にして私の偉大なる使命、それを諦めることなど出来はしない!! 」
「ですが……」
「君は何か勘違いをしているようだが、別に私は死ぬつもりなど更々無いぞ? 」
「えっ……一体どういうことでしょうか? 」
「しょうがない。哀れなフェムト君たちに、このギガゾンビ様が直々に秘密の全てを教えてやろうじゃないか!!! 」
――ギガゾンビが取り寄せバッグで取り寄せた不思議な機械。
それは単なる機構を会わせただけの装置であり、未来で言うパッケージ化された道具という概念からは程遠い。
装置の機能としては、亜空間破壊装置の機能を拡張させたものである。
亜空間破壊理論というのはあくまで時空間や世界を破壊し、隔離するという技術である。
これだけではせいぜい舞台となる世界を用意するのが精一杯である。
そこで亜空間破壊理論を補佐するための機構を製作することにしたのだ。
それは千差万別の世界体系を持つ参加者たちを集め、バトルロワイヤルを円滑に運営するためにだけに作られた装置である。
便座上、ギガゾンビはこの装置に名前をつけている。
"世界統合構成装置"と。
製作者であるギガゾンビさえも、この装置の機構については完全に理解をしていない。
その原因は30世紀の技術であり、組み込んだロストロギアである。
ギガゾンビの知識範疇から考えれば、機構の半分以上ブラックボックスと化している始末である。
だがこの装置も、ロジック単位で見れば役割は比較的単純だ。
ベースとなる機構はひみつ道具のもしもボックスである。
もしもボックス自体はギガゾンビの技術分野であるため、完全に構造や理論は把握している。
ごく単純に言うならば、もしもボックスの理論というのは現存する一つの世界上に使用者の意思に従った擬似世界を構築するというものである。
重要なのは一点、"使用者の意思に従った"、つまり望みどおりの世界を設計することが出来るというものである。
ギガゾンビはこの一点に着目し、あらゆる並行世界の法則体系を包括し、魔法も科学も超常も異能も存在する世界を構築することが出来ないかと考えたのである。
だが、もしもボックスで作り出した世界は所詮擬似世界、擬似世界は元の世界のルールに従い、平行世界の法則体系を整合性が合うように調整しただけに過ぎない。
例えば科学技術の変わりに魔法技術が発展した擬似世界を作り出したとしよう。その魔法というものは、根底は元の世界の法則体系に根差している。
他の平行世界で運用される魔法や魔術などとは、根元の法則そのものが違う。
もしもボックスで構築された擬似世界は、包括する体系の違いから整合性に問題が出るのも必然といえる。
その整合性の問題を解決する上でギガゾンビはヒエールから得た技術である、平行世界に干渉するための機構を利用した。
亜空間や時空間技術に精通するギガゾンビは必死の勉学の末、平行世界機構の複製を行うだけの技術は手に入れることは出来た。
それでも複製レベルに留まり、応用技術といった話には手も足も出ない。
だがこの機構により、23世紀では元の世界体系というハードウェアに手も足も出なかった擬似世界構築に対して新たな一手を打つことが出来る。
すなわち世界体系というハードウェアレベルで任意の世界設計を行えるのである。
これならばバトルロワイヤルにふさわしい世界構築を行えるはずであった。
だが問題は発生した。ロストロギアレベルの超大な力に関しては世界の整合性こそ取れるものの、制御不能なのである。
ギガゾンビがブチ当たったその問題の発生源は、涼宮ハルヒの世界構築能力、闇の書の守護騎士プログラムやサーヴァントシステムを筆頭に枚挙がない。
ロストロギアは闇の書を初めとして、元の世界を離れ各平行世界に散らばっている物である。
完全に法則が違う世界にも関わらずその世界体系の下で事故の整合性を保っているのは、システムの独立性に他ならない。
ロストロギア単体で一つの法則体系が構築されており、他世界の法則に依存しないからこそ普遍的な力を行使可能なのだ。
このように独立した機構かつ、魔法体系で構築されたとなれば魔法体系を用いて制御干渉を行わなければならない。
そんな技術はお手上げに等しかった。
そこでギガゾンビは単純な方法を思いつく、餅は餅屋に、すなわち、魔法は魔法に、ロストロギアはロストロギアに。
ギガゾンビが組み込んだロストロギアとは、世界を超えるほどの絶大な力を持ち使用者の願いを叶える魔法のトランプ。
その名もスゲーナスゴイデス。
オカマ魔女のマカオとジョマが平行世界を超え、ヘンダーランドを作り上げることができたのはこのトランプの力に他ならない。
ロストロギアとは、過去に滅んだ超高度文明から流出する、特に発達した技術や魔法の総称のことである。
正確に言うならば、スゲーナスゴイデスは時空管理局の定めるロストロギアの定義からは外れている。
だがギガゾンビにとっては高度に発達した技術や魔法、タイムパトロールや時空管理局の手に負えないものならば何でもよかったのだ。
スゲーナスゴイデスはギガゾンビの主観から言えば、ロストロギア扱いである。
ロストロギアは危険なものが多く、制御に失敗すれば一つの世界をも滅ぼしかねない。
ロストロギアの管理を専門とする時空管理局でさえ、問題を起こさないように保管するのが精一杯といったレベル。
専門家にさえ手のつけようが無いという一点においてはこのバトルロワイヤルの円滑な運営には必須のものであった。
だがそんなものが用意に扱えるはずがなく、その殆どはギガゾンビの手に負えるものではない。
ギガゾンビが数あるロストロギアの中からスゲーナスゴイデスを選んだ理由は、制御の容易性にこそある。
ジュエルシードはロストロギアの典型例である。願いを叶えるロストロギアである。
だがギガゾンビが活用するという観点から見れば、スゲーナスゴイデスとは天地ほどの違いがある。
スゲーナスゴイデスは願うだけで魔力の欠片もない子供でさえも力を行使し、簡単に願いを叶えることが出来る。
対してジュエルシードは実質的にはエネルギーの結晶体であり、同じ願いを叶えるために魔法技術を用いなければならない。
魔法技術に関しては前述の通りほぼ何の知識も無し、となればギガゾンビには制御不能である。
それでも何かの役には立つと思い、回収しておいたのがグリフィスに与えたものだ。
もう一つ、スゲーナスゴイデスのトランプはその性質にも重要性が高い。
願いを叶える能力を持った52枚のトランプと、一見して何の役にも立たないジョーカー。
だが願いを叶えるための力の根源はジョーカーにこそある。
言うなればジョーカーはシステムの核で、通常の札は端末といった関係にあった。
ロストロギア研究に長い時間をかけた末、その特性だけは知ることが出来た。
この特性こそが亜空間破壊装置を補完し、30世紀の技術体系でも手も足も出ない完全な空間隔離に有用な性質を持つのである。
亜空間破壊理論そのものはギガゾンビが発見し、体系化した技術である。
そのギガゾンビの熱意の結晶ともいえる亜空間破壊理論も、7世紀も経てば簡単に陳腐化する。
陳腐化したとはいえ、亜空間破壊技術はバトルロワイヤルの運営の核とも言える技術であった。
代換として用いることの出来る技術も他になく、陳腐化したその技術に頼らざるを得なかったのである。
そこで陳腐化した技術の価値を復活させる意味で、ロストロギアを用いることになった。
亜空間破壊装置の機構体系をスゲーナスゴイデスの力でロックすることで、亜空間破壊機構を保護し、干渉不可にすることが出来る。
亜空間破壊機構にはもう一つの問題があった。
安全性の問題と空間隔離の関係上どうしても装置を最低6つに分配する必要があること、空間への装置固定が必須であること。
制御が容易で6つの亜空間破壊装置に組み込める同等の性質を持つロストロギアとなれば、該当する品目は少なくなる。
52枚もあるスゲーナスゴイデスならば6つの亜空間破壊装置に組み込むのはたやすく、制御の容易性を持つという観点からも筆頭候補となったというわけだ。
ギガゾンビはスゲーナスゴイデスを亜空間破壊装置、及び世界統合構築装置に組み込むことでバトルロワイヤル参加者の整合性問題、亜空間破壊機構の保護を成し遂げたというわけである。
制御方法は至ってシンプル。ギガゾンビが円滑にバトルロワイヤル運営に都合のいいように、ゲームバランスを取れるようにと願うだけでよい。
そのためにトランプという端末を通じて核となるジョーカーに働きかけただけである。
更に言えばトランプに正確に願いを叶えさせるために、もしもボックスの世界構築を通して決定している。
ギガゾンビでは手も足も出ないロストロギアレベルの問題の典型例、闇の書の守護騎士プログラムの分離独立を成し遂げることが出来たのもこのためである。
だがそれは力技で同レベルのロストロギアを強引にねじ伏せたに過ぎない。
均衡が崩れればどうなるか分からないというのは皮肉にもジュエルシードと闇の書の暴走で証明された。
しかし本来はそのような自体は絶対ありえないのである。ギガゾンビがそういうようにバトルロワイヤルの舞台を設計したからだ。
亜空間破壊装置を通じて世界全体のバランスを効率的に調整し、世界統合構成装置からの力の供給によって亜空間破壊装置の出力増強という安定性を高める相互システムによるものである。
システムの安定性は高く、亜空間破壊装置が3つ以上健在ならば問題が発生しようと簡単に安定形に戻すことが出来たはずであった。
だが亜空間破壊装置が6つ全て破壊されてしまった今、安定性を高めるためのシステムが皮肉にも本来の役割を果たせないほどに不安定になっている。
不安定性が顕在化したのが劉鳳のアルター進化であり、涼宮ハルヒの覚醒であった。
どれもシステムさえ顕在ならば、簡単に押さえ込めたはずだった。だが現在、システムは文字通り完璧にダウンしている。
それでも参加者に対する制限があるのか無いのか分からないレベルでも今だ保持されているのは、ギガゾンビがその手に持つ秘密の装置のお陰に他ならない。
全てを教えるといい、言葉通り本当に全てを話すギガゾンビ。
長っが~~いギガゾンビの技術話についていけるツチダマなど、フェムトを含めてゼロである。
この一刻一秒を争う正念場において、ギガゾンビはバトルロワイヤルを継続する理由を説明するために、前置きが長すぎて本文にすら至っていなかった。
それに耐えかねたオペレーターオペレーターの一体が、耐え切れなくなってついに口を漏らす。
「…で、その装置がギガゾンビ様の生存にどう絡んでくるギガ? 」
言ってはならない一言を言ってしまい、ギガゾンビの話はグッキリと腰が折れる。
発言したオペレーターは一秒後にギガゾンビの機嫌を損ねたことを把握し、その場でどうかお許しくださいませ!などと命乞いを始めた。
普段なら死刑執行確定のツチダマのことなどどうでもよいギガゾンビは、冷静に考えると貴重な時間を無駄にしていたことを理解する。
「そう、一言で言うならばこれはルールだ!! バトルロワイヤルを正々堂々と行うためのルールだ!」
と言い切るギガゾンビ、そしてフェムトが口を挟もうとした矢先に更にギガゾンビは言葉を進める。
「いいかフェムト! 奴らはフェアプレーどころか重大なルール違反を犯した。心の広いギガゾンビ様でももう許しては置けないのだよ!
そこで不本意であるが奴らと同じく、こちらもルールを守ることをやめることにした」
そういってギガゾンビは装置の蓋を開け、装置にセットされていたトランプ、スゲーナスゴイデスを引っこ抜く。
「スゲーナスゴイデスの力があれば、全部は無理だがシステムと管制の一部を取り戻すのも容易い
何せ、願いを叶える魔法のトランプなのだからなぁ!! 」
「ではギガゾンビ様、尚更脱出をするべきではないのでしょうか! 」
「……いいかフェムト君、この私を舐め腐った生贄どもを生かしておくことは決して出来ないのだよ!
そこで私直々に、己の身分を弁えないクソ虫どもに制裁を加える必要があるッ!! 」
「……ですが、それでも私はギガゾンビ様の安全第一を考えておりまして」
「フェムト君、さっきから何度も言っているが君は大きな勘違いをしている。逃げた所で無駄となのだよ。
このまま逃げ出したとしてもタイムパトロールが私の存在抹消の極刑を執行すれば、全ての事象が無かった事になるのだからなぁ!!
そしれその執行はまず間違いなく執り行われるッ!! 」
『『『な、なんだってー!! 』』』
フェムトを除いたツチダマ軍団は大パニックである。
進むも地獄戻るも地獄、どうやっても自分達の生存は絶望決定。
光景はこの世の終わりである、その場に居るオペレーターのツチダマ達はてんやわんやで自分達がもう何をすればいいか分からないといった始末である。
フェムトだけがギガゾンビの趣旨が分からないといった様子で、困惑した目で続きを待つ。
「話をよく聞かんかツチダマどもめ! 天才の私はちゃ~んとその対策は考えてあるのだからなぁ! 」
その一言で混乱がすぐに静まるでなく、まだ現状を把握できずに逃避行動に走るツチダマも居た。
このままでは話が続かないと判断し、見せしめもかねて適当にツチダマの一つを杖で爆殺する。
その爆殺音で、ようやく混乱は静まった。
「ですがギガゾンビ様、反逆者どもと戦うことにどういう意味が? 」
「…話の続きを聞けば分かる、今度は黙って聞くことだな」
23世紀の極刑、存在抹消に対するタイムパトロールの判断基準は明白に決まっている。
すなわち、存在抹消を行えば手っ取り早く歴史の整合性を取れる場合である。
ギガゾンビは多数の時系列と平行世界に対する干渉を行っている。その影響を取り除くのは一筋縄ではいかないだろう。
多大な労働力をかけて歴史を修正するよりも、存在そのものを抹消して無かった事にするのが最適な判断だ。
ギガゾンビが最初に犯した大規模な歴史改変は、司法判断によっては存在抹消さえもありえた。
しかしギガゾンビの功罪、ヒカリ族を日本へと移住させるきっかけを作ったという事実がある。
日本の歴史に深く関わる功罪がある以上存在抹消とはいかず、そのお陰で懲役刑による刑務所暮らしで済んだというのだ。
しかし今回はそうとは行かない。
前回とは規模が桁違いのため、日本誕生の功罪を差し引いても存在抹消される事はギガゾンビ自身が確実視している。
存在抹消だけは避けたいのは、ギガゾンビもツチダマ達も共通であった。
ギガゾンビが描いた青写真というのは、こうだ。
それこそもっと問題の規模を大きくし、手がつけられないほどにしてしまえばいい。
ギガゾンビがバトルロワイヤルを運営するべきもう一つの理由、それは資金の問題である。
ゲーム終了後にギガゾンビはバトルロワイヤルという至高の娯楽を提供し、顧客である富裕層から利益を上げる。
この富裕層というのは、ギガゾンビがスポンサーとして提携するにあたって条件が加えられている。
バトルロワイヤル完遂に協力し、ギガゾンビの計画を影からサポートすることである。
この条件に該当するとギガゾンビが判断したスポンサーとのみコネクションを保持している。
しかしギガゾンビが不適当とした顧客層も数多く、存在抹消回避において利用する価値が生まれるのである。
バトルロワイヤルを求める富裕層、権力層に訴えかけるのだ。
"どうか私と私の作品を抹消させず、後世まで永遠に残してください"と。
ギガゾンビの提携するスポンサーは30世紀の未来から平行世界まで多岐に渡る。
当然彼らの中にはタイムパトロールや時空管理局のような組織にまで権力が及ぶものも居る。
彼らの力を借りて、存在抹消だけは避けるように圧力をかけさせれば良い。
存在抹消が最大の極刑であるのは、未来永劫にわたって歴史に影響が出るという一点である。
そのため歴史改変クラスの大犯罪でさえ、存在抹消が施行された事例というのは長いタイムパトロールの歴史の中でも極めて少ない。
未来にも影響が及ぶ以上、存在抹消に当たって発生する未来への影響を厳密に調査する必要がある。
その結果として干渉が及ぶと考えられる時代の司法も存在抹消施行に関わる必要があるというのだ。
当然各時代の視点から厳密な話し合いが必要となるため、妥協案で存在抹消が回避されるというケースが大半を占める。
そのために実際に施行に至ったケースなど殆ど無いというものだった。
だがギガゾンビのケースは各時代レベルなく、各世界レベルの大規模干渉である。
明らかに悪影響が明白な以上、功罪の面から見れば存在抹消が最も妥当な判断となってしまうだろう。
幾ら権力者でも、司法判断を覆すほどの力は無いだろう。多数の時代が判断を降す以上、状況を完全に好転させるのはまず不可能だろう。
顧客層を広げた副時効果として、各時代や各次元の干渉を更に大規模、超規模化することになる。
ギガゾンビの想定では、顧客層の一部がバトルロワイヤル存続のために派手に動き、結果として共犯者として捕まるだろう。
誰か一人捕まったならば芋蔓式でどんどん調査が複雑化し、より多くの共犯者が生まれるだろう。
その共犯者が犯罪者ならば問題ないと言った所であるが、彼らは富裕層や権力層である。
そうなればギガゾンビ本人の問題では済まない。最悪の場合は大規模スキャンダルで政府が傾く可能性さえある。
それだけ問題が多角化、巨大化すれば人間の手で処理できるはずが無くなる。
言うなれば司法という天秤が白黒付けるのを止めるために、100tの重りを載せて天秤そのものを壊してしまったといった所か。
判断を降すべき天秤が壊れてしまえば、どうやっても刑罰の判断が出来ないという理屈である。
「というわけだ、分かったかねフェムト君。
私がここに残ろうが残るまいが、まずはバトルロワイヤルをしなければ意味が無いのだよ」
「ギガゾンビ様、そんなに深くまで考えていたのですね……」
それに呼応するようにして、スゲー、頭いいギガなどと、ギガゾンビを褒め称える発言が各地で沸き起こる。
ギガゾンビの理屈に納得をしてしまったのと、とりあえず自分達も生き残れるかもしれないという安堵感からであった。
「フェムト君、ここにはジョーカーと52枚中残り28枚のトランプが収められている。
12枚は亜空間破壊装置に組み込まれ失われた。もう12枚とジョーカーはこの世界統合構成装置の機能を維持するのに必要なのだよ
君には10枚のトランプを与えよう。どうしてもやってもらいたいことがあるのだよ」
「ギガゾンビ様、私は何をすれば良いでしょう! 」
「格納庫の最奥部にある特別コレクションルームへと向かうのだ。
スゲーナスゴイデスのトランプは何枚使っても構わん。このギガゾンビ様専用にして最強最大の機動兵器、ザンダクロスを奪還するのだ!! 」
そういってギガゾンビはトランプを一枚構え、呪文を唱える。
「スゲーナスゴイデス! 」
トランプから発生した煙とともに、目の前には小さなロボットが現れた。
「これがザンダクロスだ。間違えるんじゃないぞフェムト君」
「はっ、了解しました! 」
「少々不安が残るな、いやしんぼの君には特別にもう三枚だけ使うことを許そう」
そういってトランプを手渡すとともに、フェムトは凄い勢いで駆け出していった。
ギガゾンビはその様子を眺めると、殆ど仕事をしていなかったオペレーターツチダマ達に指示を出す。
「いいかツチダマども、復活した天才ギガゾンビ様の指示に従うがよい!
ツチダマにしてはフェムトの仕事はなかなかに見事だ、指示系統はこのまま継続して運用する。
管理ナンバーの下一桁が1のものは、このギガゾンビ様救出の任務が終了したので新たな使命を与える。
ギガゾンビ様の押収物保管庫にあるありったけのスパイセットと石ころ帽子を使い、このバトルロワイヤルの行く末を記録しろ。
私はどうしても私室でやらなければならないことがある。しばらくはフェムトの指示に従い何としても耐え抜け」
「「「「「「「「了解しました、ギガゾンビ様!」」」」」」」」
ツチダマ達の気合の入りようが違う。自身の生存と存在がかかっているのが最も大きい。
だが馬鹿にしていたはずのギガゾンビがここに来て主人らしさを取り戻した点も重要である。
普段なら話すら聞かず死刑確定のツチダマがギガゾンビとあれだけコミュニケーションを取れたというのが異質なものである。
だからこそその点をグリフィスに付け込まれ、孤立という事態になってしまった事もあった。
その離反も収め、この土壇場になってまるで豹変したかのような思考判断から、ツチダマ達は気合を入れて命令に従う気になったというわけである。
ツチダマ達を鼓舞し終えたギガゾンビは、取り寄せバッグを手に持ち司令室を離れる。そしてすぐ近くにある私室へと向かった。
途中の廊下や私室のシステムも一部ハッキングがかけられていたが、スゲーナスゴイデスの力で無理やり引き戻す。
ギガゾンビは取り寄せバッグを用いて、独自調査の顧客リストを取り出す。
それは勿論至高の芸術であるバトルロワイヤルをあらゆる世界に発信するためである。
ギガゾンビは端末に触れると、バトルロワイヤルの映像を保存したサーバーへとアクセスをする。
幸いにもバトルロワイヤルの映像記録は全てが無事に揃っていた。
ギガゾンビは私室備え付けの通信端末から、重要スポンサーから順番にバトルロワイヤルの映像とメッセージの送信を始めた。
ツチダマ達がてんやわんやと忙しく格闘する中、バトルロワイヤル配信事項と平行してギガゾンビは世界統合構成装置を弄る。
それにたった一つ命令を下す。
"12時、地球破壊爆弾を可能な限り最大の規模で爆発させる"
加えてギガゾンビは、入力した命令に削除不能、状態変更の場合最優先で実行と設定を行った。
ギガゾンビ城ハッキングの反省を踏まえ、装置は少しでも干渉したらドカンという危険極まりない設定を行った。
かつての臆病者のギガゾンビならともかく、キレてしまったギガゾンビに躊躇は微塵も無く、自身の崩壊を恐れずに背水の陣を引いた。
そもそも、この装置自体もう長持ちさせる必要は無いのだ。
恐らく12時にはタイムパトロールや時空管理局が到着してゲームオーバーである。終了したゲームにルールは必要ない。
現在、世界統合構成装置は最低限の動作しかしていないのに加えて、安定化を図るべきスゲーナスゴイデスが引き抜かれ過負荷がかかっている。
その故障は時間の問題である。だが装置を止めることはギガゾンビにも出来ない。
装置を止めることが出来ないのは、闇の書という存在によるものが大きい。
闇の書の防衛プログラムの暴走がギリギリのところで食い止めるために出力低減され、そのために装置容量のほぼ全てが費やされている。
もし完全に装置を停止したならば、出力抑制の反動により防衛プログラムは手がつけられないレベルまで暴走するであろう。
ギガゾンビの目的はもはや生き残ることにはなく、バトルロワイヤルを完遂し、後世に残すことにこそある。
自身をコケにした生贄ども、特に宿敵である青ダヌキの子守ロボットことドラえもんだけは決して生かしてはおけない。
自身の手で復讐を達成するという意味でも、今更ギガゾンビはバトルロワイヤルを止めることは出来ない。
ギガゾンビが思い描く結末の形とは復讐を達成し、バトルロワイヤルを完遂することである。
事が最高にうまく進めば生き残ることも出来るかもしれないが、そううまく行くわけが無い事をギガゾンビは学習している。
ありえないはずのイレギュラーが次々に起こり覆され続けているのが現在の状況だ、妥協点に達しさえすれば十分であった。
フェムトを納得させるためにギガゾンビは嘘を付いたのである。ギガゾンビが今後について結論を想定した時点で、元々生還を捨てていた。
どう立ち回ろうとも、死刑だけは逃れることはできないという結論である。
司法が成り立たなくなるほどの大規模問題に発展したとしても、それでも犯罪者には最終的に刑罰を執行せざるを得ない。
罪が裁かれなければ、法治は成り立たないのである。その妥協点はほぼ間違いなく存在抹消に次ぐ死刑。
生還は絶望的だ、だからこそ今まで決定できなかった大胆な判断を下すことが出来るのである。
フェムトらツチダマに教えてはならない秘匿は二点、自身の死亡がほぼ決定していること。そして世界統合構成装置にセットされた地球破壊爆弾への命令だろう。
どちらかが発覚すれば、無駄だと分かっていてもツチダマ達は血眼でギガゾンビを生還させるべくタイムマシンへと強引に引っ張りこむであろう。
世界統合構成装置がツチダマ達に秘匿されていたのは単純にいい加減なツチダマ達ではたった一つしかない最重要な機構を任せられないと判断したことからだった。
何より一度決定したルールを覆すといったフェアプレーに反する行為をギガゾンビ自身が嫌っていた。
ルールの範疇で動くからゲームは面白いのであり、ルール無用のゲームに面白さは無い。
そして今は、ギガゾンビのヤケクソとハッタリを守るという理由で秘匿をすることになった。
ツチダマ達は余りにも過酷な状況のため主人のギガゾンビにさえ頭が回らないという好都合な状態へと移行している。
秘匿に関しては、何の問題も無いだろう。
ギガゾンビが平行した作業を終えた時点で、まず一つ目のスポンサーへと映像とメッセージが送られた。
そのメッセージの結末にはギガゾンビの夢が、執念が込められていた。
"…この映像を拝見した皆様、どうかあなたの手で私のバトルロワイヤルを完成させてください。
それだけが私の望みです。
バトルロワイヤル運営・主催・最高取締役 ギガゾンビ"
【α-5/ギガゾンビ城・廊下/2日目・夜中】
【ホテルダマ(フェムト)】
[道具]:スゲーナスゴイデスのトランプ13枚@クレヨンしんちゃん
[思考]:
基本:ギガゾンビ様の望みに従い、バトルロワイヤルを完遂させる
1:格納庫へ進入、ザンダクロスの奪還を行う。
2:ギガゾンビ様の存在を守るために、バトルロワイヤルを完遂させる。
3:タイムマシンを駆動し、ギガゾンビ様を無事生還させる
4:生き残り、闇の書、TPに対処
5:ギガゾンビ様が脱出したら、地球破壊爆弾を爆発させ全ての敵を道連れにする
【α-5/ギガゾンビ城・ギガゾンビの私室/2日目・夜中】
【ギガゾンビ@ドラえもん のび太の日本誕生】
[状態]:ブチ切れ、決死の覚悟
[道具]:スゲーナスゴイデスのトランプ10枚@クレヨンしんちゃん、ギガゾンビの杖、取り寄せバッグ@ドラえもん
[思考]:
基本:バトルロワイアルの完遂。
1:バトルロワイヤルの映像を顧客に配信する。
2:ザンダクロスを用いて、参加者を直々に粛清する。
3:可能ならばタイムマシンで生還・脱出
最終行動方針:バトルロワイヤル存在抹消の阻害
※
ギガゾンビはバトルロワイヤルの映像記録を配信中。全ての顧客に配信が終わるまで約一時間程
世界統合構成装置はギガゾンビの私室に置かれています。
※スゲーナスゴイデスで具現化した物体等は、一定時間経過後に元に戻ります。
トッペマのように魔法の力を行使する分には元には戻りません。
一度使ったスゲーナスゴイデスのトランプは本編同様消滅します。
※
ギガゾンビ城内の隔壁はそのほとんどがトグサ(タチコマ)によって閉じられています
これは、トグサ側の操作によって自由に開閉することができます
現在、ギガゾンビの寝室および、タイムマシン発進所は、隔壁によって隔絶されています
※
ギガゾンビ城の押収物保管庫には、ギガゾンビが各世界から持ち出したものの内
支給品として配布されなかった物が置かれています
それが何で、どれだけあるかは不明
ツチダマ達がそれを持ち出して使おうとしています
※
亜空間より近づく船影はタイムパトロールか時空管理局の艦艇。12時までには到着予定
※
地球破壊爆弾は12時丁度、もしくは少しでも干渉を加えた時点で爆発。
解除するには地球破壊爆弾と世界統合構成装置両方の無効化が必要。
*投下順に読む
Back:[[陽が落ちる(5)]]Next:[[夜の始まり、旅の始まり -Fate-]]
*時系列順に読む
Back:[[消えずに残るモノ、蘇ったモノ -Eternal Blaze-]]Next:[[Moonlit Hunting Grounds]]
|293:[[陽が落ちる(5)]]|ホテルダマ(フェムト)|297:[[今、そこにある闇]]|
|293:[[陽が落ちる(5)]]|ギガゾンビ|297:[[今、そこにある闇]]|
*終わりの始まり Border of Life ◆qwglOGQwIk
安眠誘導装置から目覚めたギガゾンビは上体をゆっくりと起こし上げ、伸ばす。
ふうと溜息を吐きながら、自身の置かれている状況をゆっくりと思い起こす。
そのせいで二度と思い出したくなかった、あの苦痛と恐怖に再度震える。
鼻が、耳が、指が、体の部位が次々と切り取られ、永劫とも感じられた激痛の時間。
あの男、グリフィスの拷問を思い返してしまい、その苦痛に顔をしかめる。
そこでギガゾンビは思考を切り替え、忘れよう、忘れようとする。
頭がまだぼやけていたせいか、そこから先をなんとか思い出すのを止めることが出来た。
現状把握をある程度終えたギガゾンビは安眠誘導装置から移動し、愛用のマスクを顔に再び装着する。
ギガゾンビは部屋を見渡すが、密告以来ずっとくっついて回ったフェムトの姿が見えない。
どうでも良い時ほどべたべたする癖、主人の目覚めに付き添いもしないとは怠慢な奴だと思った。
そこでギガゾンビはフェムトを怒鳴りつけるべく、部屋に取り付けられているはずの端末にアクセスする。
……アクセスできないだと?
本調子にならずやや寝惚け気味だったギガゾンビも、何度アクセスしても端末が出現しないことには異変を感じる。
あの後何があったのか、ひょっとしたら最悪の結果となってしまったのではないかと思い、恐怖で心が塗りつぶされる。
恐怖を振り払いギガゾンビは状況を打開すべく部屋から外へ出ようとするも、やはり扉は開かない。
扉を押しても引いても引っ張っても全く動く気配すらない。
これでは埒が開かないと見たギガゾンビは部屋の中を物色し、何でもいいから使えるものを探す。
軽く物色した所で、ギガゾンビは安眠誘導装置の近くに置かれていた愛用の杖を発見する。
愛用の杖を取り戻し、扉に向かって光線を放つ。
元々城内の設備投資は割合ケチられているため、ギガゾンビ考える水準では安物の扉はあっさり光線の前に打ち砕かれた。
ギガゾンビ城の廊下に出るものの、廊下にはツチダマ達の姿は微塵も無く、それどころか通路には隔壁が展開されている。
「……クソッ、いったい何がどうなっているんだ。フェムトの奴は何をしているッ……!! 」
ギガゾンビが現状にふつふつと怒りを滾らせながら廊下へ出たところで、今頃寝室の端末にフェムトの姿が映る。
「ご無事ですか! ギガゾンビ様!」
フェムトの最優先事項はあくまで主ギガゾンビの生還である。
故にギガゾンビ救出班には彼の独断で特に多くの人員が割り振られ、加えてフェムト自らが指示を出し続けていた。
ギガゾンビの寝室はフェムトには最重要システムの一つであったため、主へのネットワーク回復及び救出にはほぼ全力が注がれていたのだ。
短時間での復旧が可能だったのは、この一点に他ならない。
「フェムト! 一体何がどうなっているッ!! 主人の世話をほったらかしにするとは親として恥ずかしいぞ! 」
「申し訳ありませんギガゾンビ様! 今ギガゾンビ様救出隊を向かわせているところです」
「……フン、まあいい。今回はお前の功績に免じて許してやろう。さっさと現状況を話せ」
「…………緊急事態が発生しました。バトルロワイヤルの参加者達が大挙してこの城に攻め込み始めました」
「何だとぉ!? 」
「……それだけではありません。城のシステムにハッキングが仕掛けられ、撃退に失敗。
全システムの殆どが停止、または敵の管制下に置かれました。」
「…………何だとぉぉぉぉぉぉぉぉ!? 」
「申し訳ございません! 本当に申し訳ございません……」
――気に入らん、気に入らん、気に入らん、気に入らん、気に入らんぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
参加者の手綱である首輪の解除、加えて城内システムのハッキング。
どう考えても、バトルロワイヤル運営は不可能。この至高のゲームは停止に追い込まれるのは間違いないと判断。
ふつふつと怒りが沸き起こり、我慢の限界に達するのも近かった。
さらにフェムトから追い討ちの一撃がかかる。
「……更に悪い報告です。付近の亜空間に船影が発見され、この世界へ向かって航行中です。
…彼らの正体はタイムパトロール及び時空管理局の所属艦船かと。
我々の分析では、数時間以内に到着する可能性が非常に高いと予測されています」
ここに至ってギガゾンビは怒声も罵倒も出すわけでなく、ただ押し黙っていた。
フェムトも主の機嫌が悪い様子を察知し、なんと声をかけていいか押し黙らざるを得なくなっていた。
――ゲームオーバーだと? ふざけるな。
――――ふざけるなふざけるなふざけるな。
――――――ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな
――――――ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな……………………。
――――――これは一体なんだああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!
ぷちっ――
――ブチブチブチ、ブチ、ブッチーン!!!
…………そしてついに、ギガゾンビの中で何かがキレた。
「…………ふざけるなあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!! 」
「す、済みません済みません済みませんギガゾンビ様……。哀れなわが子フェムトをどうか許してくださいませ……」
強烈な怒声を浴びせかけた後、罵倒や怒声を浴びせかけるではなくギガゾンビは押し黙る。
その間の悪い沈黙が数秒か、あるいは数分経過した所でギガゾンビが口を開く。
「…フェムトよ、押収物保管庫か格納庫のどちらかはまだこちらの手にあるか……? 」
「はい! なんとか押収物保管庫だけは奴らの手から守りきりました。
まことに申し訳ありませんが私の一存でギガゾンビ様救出のために私物を使わせて貰っています」
「……よくやったフェムトよ、押収物保管庫の4番目のコンテナの中に取り寄せバッグがある。
それを使って私を救出するがよい」
「はっ! 了解いたしました」
それを契機に端末はプツンと音を立てて機能停止をする。
再び静かになった廊下に、入れ替わるようにして新たな音が発生する。
「フヒッ…、フヒッ……、フヒヒヒヒヒヒヒ……………………」
――許さん、許さん、絶対に許さん、私の、私の至高のエンターテイメントを邪魔するだと。
――――そんなことは、決して許さない!! バトルロワイヤルが未完で終了するなど、決してあってはならないのだ!!!!
ギガゾンビがバトルロワイヤルにかける情熱は並ならぬものではない。
彼は脱獄してさえ自由は無かった。
古巣のある23世紀には戻ることはできず、捜査の手が及ばないなんともみすぼらしい辺境世界で過ごす羽目になった。それだけでない。
珍妙不可思議にてうさんくさい30世紀の時空犯罪者、ヒエール・ジョコマンと上辺だけの同盟を結んだせいで男二人のむさくるしい共同生活を強いられたこと。
それだけの苦痛は、傲慢な男であるギガゾンビに決して耐えられたものではない。
ギガゾンビがそれだけの苦痛、苦渋を舐めても耐えた理由、それはバトルロワイヤルに他ならない。
バトルロワイヤルの完遂こそはもはやギガゾンビの夢であり、希望であり、生きがいであった。
それを完膚なきまでにブチ壊しにされた。ギガゾンビの夢が! 希望が! 至福が! フェムトの報告でガラガラと音を立て全て崩れ落ちた。
頭が真っ白になった。心の中で号泣を飲んだ。だがそれだけでは決して終われない、終わらせなかった。
ギガゾンビのバトルロワイヤルへの執念が、全てを否定されてさえ再起を促した。
――バトルロワイヤルは完遂されなければいけない、人類史に残る芸術作品として永遠に語り継がれるべき至高の作品。
ギガゾンビの思いは、あれだけ自身を悩ませたグリフィスへの恐れさえどうでもよくなるものであった。
というよりも半ばヤケクソに近い。ギガゾンビ自身がどうやっても状況を打開できないのを一番良く理解している。
どうせ死ぬなら派手に暴れた方がいい、ただそれだけであった。
ギガゾンビはその場で佇むと、バトルロワイヤル完遂のために怨念と執念をフル回転させ、らしくもない深い思慮状態に入る。
そんなこんなで、彼はフェムトやツチダマ達の手で乱暴に取り寄せられたことさえ気にしては居なかった。
「フヒ、フヒ、フヒヒヒ………」
「ギガゾンビ様、どうか気をおたしかにっ……!! 」
フェムトの必死の呼びかけから少し遅れて、ギガゾンビがレスポンスを返す。
「…よい、よい、フェムト。私は何も問題ない」
「よかった。さあギガゾンビ様早く…」
そう言うが早く、ギガゾンビはフェムトから取り寄せバッグをひったくり、手を突っ込んで何かを取り出す。
「ギガゾンビ様! 何をなさっているのです」
「この状況を打開するための秘密兵器を取り寄せるのだよ。フェ、ム、トくぅ~ん」
そういってギガゾンビは何やら不思議な機械装置を取り出す。
フェムト、そして管理室のオペレーターツチダマ達は何が何やら分からない様子で疑問符を浮かべている。
「どういうことですか? フェムトに説明してくださいませ」
「この装置の中にあるロストロギアを使い、忌々しいクソ虫どもをこの手で殲滅するのだ……
バトルロワイヤルは、この精霊王ギガゾンビ自らの手で決着を付けるのだぁ!! 」
「ギガゾンビ様! 気をお確かに! 」
「さっきからずっと言っているが私は正常だよ、フェムト君」
「いえ、絶対に間違っています。ここは私達ツチダマに任せて即刻脱出の準備をするのです
ギガゾンビ様のような偉大なお方が、ここで亡くなってはならないのです! 」
その言葉に同調するようにして、オペレーターダマ達もそうギガ!そうギガ!とコールをする。
最もフェムト以外の彼らは忠誠心からではなく、ギガゾンビの死による道連れに巻き込まれたくないというのが最も大きい。
そのギガギガコールを、一声によってギガゾンビは終結させる。
「くどいぞフェムト! 私は何としてでもバトルロワイヤル完遂を成し遂げなければならないのだ!!
それは神から与えられた崇高にして私の偉大なる使命、それを諦めることなど出来はしない!! 」
「ですが……」
「君は何か勘違いをしているようだが、別に私は死ぬつもりなど更々無いぞ? 」
「えっ……一体どういうことでしょうか? 」
「しょうがない。哀れなフェムト君たちに、このギガゾンビ様が直々に秘密の全てを教えてやろうじゃないか!!! 」
――ギガゾンビが取り寄せバッグで取り寄せた不思議な機械。
それは単なる機構を合わせただけの装置であり、未来で言うパッケージ化された道具という概念からは程遠い。
装置の機能としては、亜空間破壊装置の機能を拡張させたものである。
亜空間破壊理論というのはあくまで時空間や世界を破壊し、隔離するという技術である。
これだけではせいぜい舞台となる世界を用意するのが精一杯である。
そこで亜空間破壊理論を補佐するための機構を製作することにしたのだ。
それは千差万別の世界体系を持つ参加者たちを集め、バトルロワイヤルを円滑に運営するためにだけに作られた装置である。
便座上、ギガゾンビはこの装置に名前をつけている。
"世界統合構成装置"と。
製作者であるギガゾンビさえも、この装置の機構については完全に理解をしていない。
その原因は30世紀の技術であり、組み込んだロストロギアである。
ギガゾンビの知識範疇から考えれば、機構の半分以上ブラックボックスと化している始末である。
だがこの装置も、ロジック単位で見れば役割は比較的単純だ。
ベースとなる機構はひみつ道具のもしもボックスである。
もしもボックス自体はギガゾンビの技術分野であるため、完全に構造や理論は把握している。
ごく単純に言うならば、もしもボックスの理論というのは現存する一つの世界上に使用者の意思に従った擬似世界を構築するというものである。
重要なのは一点、"使用者の意思に従った"、つまり望みどおりの世界を設計することが出来るというものである。
ギガゾンビはこの一点に着目し、あらゆる並行世界の法則体系を包括し、魔法も科学も超常も異能も存在する世界を構築することが出来ないかと考えたのである。
だが、もしもボックスで作り出した世界は所詮擬似世界、擬似世界は元の世界のルールに従い、平行世界の法則体系を整合性が合うように調整しただけに過ぎない。
例えば科学技術の変わりに魔法技術が発展した擬似世界を作り出したとしよう。その魔法というものは、根底は元の世界の法則体系に根差している。
他の平行世界で運用される魔法や魔術などとは、根元の法則そのものが違う。
もしもボックスで構築された擬似世界は、包括する体系の違いから整合性に問題が出るのも必然といえる。
その整合性の問題を解決する上でギガゾンビはヒエールから得た技術である、平行世界に干渉するための機構を利用した。
亜空間や時空間技術に精通するギガゾンビは必死の勉学の末、平行世界機構の複製を行うだけの技術を手に入れることは出来た。
それでも複製レベルに留まり、応用技術といった話には手も足も出ない。
だがこの機構により、23世紀では元の世界体系というハードウェアに手も足も出なかった擬似世界構築に対して新たな一手を打つことが出来る。
すなわち世界体系というハードウェアレベルで任意の世界設計を行えるのである。
これならばバトルロワイヤルにふさわしい世界構築を行えるはずであった。
だが問題は発生した。ロストロギアレベルの超大な力に関しては世界の整合性こそ取れるものの、制御不能なのである。
ギガゾンビがブチ当たったその問題の発生源は、涼宮ハルヒの世界構築能力、闇の書の守護騎士プログラムやサーヴァントシステムを筆頭に枚挙がない。
ロストロギアは闇の書を始めとして、元の世界を離れ各平行世界に散らばっている物である。
完全に法則が違う世界にも関わらずその世界体系の下で自己の整合性を保っているのは、システムの独立性に他ならない。
ロストロギア単体で一つの法則体系が構築されており、他世界の法則に依存しないからこそ普遍的な力を行使可能なのだ。
このように独立した機構かつ、魔法体系で構築されたとなれば魔法体系を用いて制御干渉を行わなければならない。
そんな技術はお手上げに等しかった。
そこでギガゾンビは単純な方法を思いつく、餅は餅屋に、すなわち、魔法は魔法に、ロストロギアはロストロギアに。
ギガゾンビが組み込んだロストロギアとは、世界を超えるほどの絶大な力を持ち使用者の願いを叶える魔法のトランプ。
その名もスゲーナスゴイデス。
オカマ魔女のマカオとジョマが平行世界を超え、ヘンダーランドを作り上げることができたのはこのトランプの力に他ならない。
ロストロギアとは、過去に滅んだ超高度文明から流出する、特に発達した技術や魔法の総称のことである。
正確に言うならば、スゲーナスゴイデスは時空管理局の定めるロストロギアの定義からは外れている。
だがギガゾンビにとっては高度に発達した技術や魔法、タイムパトロールや時空管理局の手に負えないものならば何でもよかったのだ。
スゲーナスゴイデスはギガゾンビの主観から言えば、ロストロギア扱いである。
ロストロギアは危険なものが多く、制御に失敗すれば一つの世界をも滅ぼしかねない。
ロストロギアの管理を専門とする時空管理局でさえ、問題を起こさないように保管するのが精一杯といったレベル。
専門家にさえ手のつけようが無いという一点においてはこのバトルロワイヤルの円滑な運営には必須のものであった。
だがそんなものが用意に扱えるはずがなく、その殆どはギガゾンビの手に負えるものではない。
ギガゾンビが数あるロストロギアの中からスゲーナスゴイデスを選んだ理由は、制御の容易性にこそある。
ジュエルシードはロストロギアの典型例である。願いを叶えるロストロギアである。
だがギガゾンビが活用するという観点から見れば、スゲーナスゴイデスとは天地ほどの違いがある。
スゲーナスゴイデスは願うだけで魔力の欠片もない子供でさえも力を行使し、簡単に願いを叶えることが出来る。
対してジュエルシードは実質的にはエネルギーの結晶体であり、同じ願いを叶えるために魔法技術を用いなければならない。
魔法技術に関しては前述の通りほぼ何の知識も無し、となればギガゾンビには制御不能である。
それでも何かの役には立つと思い、回収しておいたのがグリフィスに与えたものだ。
もう一つ、スゲーナスゴイデスのトランプはその性質にも重要性が高い。
願いを叶える能力を持った52枚のトランプと、一見して何の役にも立たないジョーカー。
だが願いを叶えるための力の根源はジョーカーにこそある。
言うなればジョーカーはシステムの核で、通常の札は端末といった関係にあった。
ロストロギア研究に長い時間をかけた末、その特性だけは知ることが出来た。
この特性こそが亜空間破壊装置を補完し、30世紀の技術体系でも手も足も出ない完全な空間隔離に有用な性質を持つのである。
亜空間破壊理論そのものはギガゾンビが発見し、体系化した技術である。
そのギガゾンビの熱意の結晶ともいえる亜空間破壊理論も、7世紀も経てば簡単に陳腐化する。
陳腐化したとはいえ、亜空間破壊技術はバトルロワイヤルの運営の核とも言える技術であった。
代替として用いることの出来る技術も他になく、陳腐化したその技術に頼らざるを得なかったのである。
そこで陳腐化した技術の価値を復活させる意味で、ロストロギアを用いることになった。
亜空間破壊装置の機構体系をスゲーナスゴイデスの力でロックすることで、亜空間破壊機構を保護し、干渉不可にすることが出来る。
亜空間破壊機構にはもう一つの問題があった。
安全性の問題と空間隔離の関係上どうしても装置を最低6つに分配する必要があること、空間への装置固定が必須であること。
制御が容易で6つの亜空間破壊装置に組み込める同等の性質を持つロストロギアとなれば、該当する品目は少なくなる。
52枚もあるスゲーナスゴイデスならば6つの亜空間破壊装置に組み込むのはたやすく、制御の容易性を持つという観点からも筆頭候補となったというわけだ。
ギガゾンビはスゲーナスゴイデスを亜空間破壊装置、及び世界統合構築装置に組み込むことでバトルロワイヤル参加者の整合性問題、亜空間破壊機構の保護を成し遂げたというわけである。
制御方法は至ってシンプル。ギガゾンビが円滑にバトルロワイヤル運営に都合のいいように、ゲームバランスを取れるようにと願うだけでよい。
そのためにトランプという端末を通じて核となるジョーカーに働きかけただけである。
更に言えばトランプに正確に願いを叶えさせるために、もしもボックスの世界構築を通して決定している。
ギガゾンビでは手も足も出ないロストロギアレベルの問題の典型例、闇の書の守護騎士プログラムの分離独立を成し遂げることが出来たのもこのためである。
だがそれは力技で同レベルのロストロギアを強引にねじ伏せたに過ぎない。
均衡が崩れればどうなるか分からないというのは皮肉にもジュエルシードと闇の書の暴走で証明された。
しかし本来はそのような事態は絶対ありえないのである。ギガゾンビがそういうようにバトルロワイヤルの舞台を設計したからだ。
亜空間破壊装置を通じて世界全体のバランスを効率的に調整し、世界統合構成装置からの力の供給によって亜空間破壊装置の出力増強という安定性を高める相互システムによるものである。
システムの安定性は高く、亜空間破壊装置が3つ以上健在ならば問題が発生しようと簡単に安定形に戻すことが出来たはずであった。
だが亜空間破壊装置が6つ全て破壊されてしまった今、安定性を高めるためのシステムが皮肉にも本来の役割を果たせないほどに不安定になっている。
不安定性が顕在化したのが劉鳳のアルター進化であり、涼宮ハルヒの覚醒であった。
どれもシステムさえ顕在ならば、簡単に抑え込めたはずだった。だが現在、システムは文字通り完璧にダウンしている。
それでも参加者に対する制限があるのか無いのか分からないレベルでも今だ保持されているのは、ギガゾンビがその手に持つ秘密の装置のお陰に他ならない。
全てを教えるといい、言葉通り本当に全てを話すギガゾンビ。
長っが~~いギガゾンビの技術話についていけるツチダマなど、フェムトを含めてゼロである。
この一刻一秒を争う正念場において、ギガゾンビはバトルロワイヤルを継続する理由を説明するために、前置きが長すぎて本文にすら至っていなかった。
それに耐えかねたオペレーターの一体が、耐え切れなくなってついに口を漏らす。
「…で、その装置がギガゾンビ様の生存にどう絡んでくるギガ? 」
言ってはならない一言を言ってしまい、ギガゾンビの話はグッキリと腰が折れる。
発言したオペレーターは一秒後にギガゾンビの機嫌を損ねたことを把握し、その場でどうかお許しくださいませ!などと命乞いを始めた。
普段なら死刑執行確定のツチダマのことなどどうでもよいギガゾンビは、冷静に考えると貴重な時間を無駄にしていたことを理解する。
「そう、一言で言うならばこれはルールだ!! バトルロワイヤルを正々堂々と行うためのルールだ!」
と言い切るギガゾンビ、そしてフェムトが口を挟もうとした矢先に更にギガゾンビは言葉を進める。
「いいかフェムト! 奴らはフェアプレーどころか重大なルール違反を犯した。心の広いギガゾンビ様でももう許してはおけけないのだよ!
そこで不本意であるが奴らと同じく、こちらもルールを守ることをやめることにした」
そういってギガゾンビは装置の蓋を開け、装置にセットされていたトランプ、スゲーナスゴイデスを引っこ抜く。
「スゲーナスゴイデスの力があれば、全部は無理だがシステムと管制の一部を取り戻すのも容易い
何せ、願いを叶える魔法のトランプなのだからなぁ!! 」
「ではギガゾンビ様、尚更脱出をするべきではないのでしょうか! 」
「……いいかフェムト君、この私を舐め腐った生贄どもを生かしておくことは決して出来ないのだよ!
そこで私直々に、己の身分を弁えないクソ虫どもに制裁を加える必要があるッ!! 」
「……ですが、それでも私はギガゾンビ様の安全第一を考えておりまして」
「フェムト君、さっきから何度も言っているが君は大きな勘違いをしている。逃げた所で無駄なのだよ。
このまま逃げ出したとしてもタイムパトロールが私の存在抹消の極刑を執行すれば、全ての事象が無かった事になるのだからなぁ!!
そしてその執行はまず間違いなく執り行われるッ!! 」
『『『な、なんだってー!! 』』』
フェムトを除いたツチダマ軍団は大パニックである。
進むも地獄戻るも地獄、どうやっても自分達の生存は絶望決定。
光景はこの世の終わりである、その場に居るオペレーターのツチダマ達はてんやわんやで自分達がもう何をすればいいか分からないといった始末である。
フェムトだけがギガゾンビの趣旨が分からないといった様子で、困惑した目で続きを待つ。
「話をよく聞かんかツチダマどもめ! 天才の私はちゃ~んとその対策は考えてあるのだからなぁ! 」
その一言で混乱がすぐに静まるでなく、まだ現状を把握できずに逃避行動に走るツチダマも居た。
このままでは話が続かないと判断し、見せしめもかねて適当にツチダマの一つを杖で爆殺する。
その爆殺音で、ようやく混乱は静まった。
「ですがギガゾンビ様、反逆者どもと戦うことにどういう意味が? 」
「…話の続きを聞けば分かる、今度は黙って聞くことだな」
23世紀の極刑、存在抹消に対するタイムパトロールの判断基準は明確に決まっている。
すなわち、存在抹消を行えば手っ取り早く歴史の整合性を取れる場合である。
ギガゾンビは多数の時系列と平行世界に対する干渉を行っている。その影響を取り除くのは一筋縄ではいかないだろう。
多大な労働力をかけて歴史を修正するよりも、存在そのものを抹消して無かった事にするのが最適な判断だ。
ギガゾンビが最初に犯した大規模な歴史改変は、司法判断によっては存在抹消さえもありえた。
しかしギガゾンビの功罪、ヒカリ族を日本へと移住させるきっかけを作ったという事実がある。
日本の歴史に深く関わる功罪がある以上存在抹消とはいかず、そのお陰で懲役刑による刑務所暮らしで済んだというのだ。
しかし今回はそうはいかない。
前回とは規模が桁違いのため、日本誕生の功罪を差し引いても存在抹消される事はギガゾンビ自身が確実視している。
存在抹消だけは避けたいのは、ギガゾンビもツチダマ達も共通であった。
ギガゾンビが描いた青写真というのは、こうだ。
それこそもっと問題の規模を大きくし、手がつけられないほどにしてしまえばいい。
ギガゾンビがバトルロワイヤルを運営するべきもう一つの理由、それは資金の問題である。
ゲーム終了後にギガゾンビはバトルロワイヤルという至高の娯楽を提供し、顧客である富裕層から利益を上げる。
この富裕層というのは、ギガゾンビがスポンサーとして提携するにあたって条件が加えられている。
バトルロワイヤル完遂に協力し、ギガゾンビの計画を陰からサポートすることである。
この条件に該当するとギガゾンビが判断したスポンサーとのみコネクションを保持している。
しかしギガゾンビが不適当とした顧客層も数多く、存在抹消回避において利用する価値が生まれるのである。
バトルロワイヤルを求める富裕層、権力層に訴えかけるのだ。
"どうか私と私の作品を抹消させず、後世まで永遠に残してください"と。
ギガゾンビの提携するスポンサーは30世紀の未来から平行世界まで多岐に渡る。
当然彼らの中にはタイムパトロールや時空管理局のような組織にまで権力が及ぶものも居る。
彼らの力を借りて、存在抹消だけは避けるように圧力をかけさせれば良い。
存在抹消が最大の極刑であるのは、未来永劫にわたって歴史に影響が出るという一点である。
そのため歴史改変クラスの大犯罪でさえ、存在抹消が施行された事例というのは長いタイムパトロールの歴史の中でも極めて少ない。
未来にも影響が及ぶ以上、存在抹消に当たって発生する未来への影響を厳密に調査する必要がある。
その結果として干渉が及ぶと考えられる時代の司法も存在抹消施行に関わる必要があるというのだ。
当然各時代の視点から厳密な話し合いが必要となるため、妥協案で存在抹消が回避されるというケースが大半を占める。
そのために実際に施行に至ったケースなど殆ど無いというものだった。
だがギガゾンビのケースは各時代レベルでなく、各世界レベルの大規模干渉である。
明らかに悪影響が明白な以上、功罪の面から見れば存在抹消が最も妥当な判断となってしまうだろう。
幾ら権力者でも、司法判断を覆すほどの力は無いだろう。多数の時代が判断を下す以上、状況を完全に好転させるのはまず不可能だろう。
顧客層を広げた副次効果として、各時代や各次元の干渉を更に大規模、超規模化することになる。
ギガゾンビの想定では、顧客層の一部がバトルロワイヤル存続のために派手に動き、結果として共犯者として捕まるだろう。
誰か一人捕まったならば芋蔓式でどんどん調査が複雑化し、より多くの共犯者が生まれるだろう。
その共犯者が犯罪者ならば問題ないと言った所であるが、彼らは富裕層や権力層である。
そうなればギガゾンビ本人の問題では済まない。最悪の場合は大規模スキャンダルで政府が傾く可能性さえある。
それだけ問題が多角化、巨大化すれば人間の手で処理できるはずが無くなる。
言うなれば司法という天秤が白黒付けるのを止めるために、100tの重りを載せて天秤そのものを壊してしまったといった所か。
判断を下すべき天秤が壊れてしまえば、どうやっても刑罰の判断が出来ないという理屈である。
「というわけだ、分かったかねフェムト君。
私がここに残ろうが残るまいが、まずはバトルロワイヤルをしなければ意味が無いのだよ」
「ギガゾンビ様、そんなに深くまで考えていたのですね……」
それに呼応するようにして、スゲー、頭いいギガなどと、ギガゾンビを褒め称える発言が各地で沸き起こる。
ギガゾンビの理屈に納得をしてしまったのと、とりあえず自分達も生き残れるかもしれないという安堵感からであった。
「フェムト君、ここにはジョーカーと52枚中残り28枚のトランプが収められている。
12枚は亜空間破壊装置に組み込まれ失われた。もう12枚とジョーカーはこの世界統合構成装置の機能を維持するのに必要なのだよ。
君には10枚のトランプを与えよう。どうしてもやってもらいたいことがあるのだよ」
「ギガゾンビ様、私は何をすれば良いでしょう! 」
「格納庫の最奥部にある特別コレクションルームへと向かうのだ。
スゲーナスゴイデスのトランプは何枚使っても構わん。このギガゾンビ様専用にして最強最大の機動兵器、ザンダクロスを奪還するのだ!! 」
そういってギガゾンビはトランプを一枚構え、呪文を唱える。
「スゲーナスゴイデス! 」
トランプから発生した煙とともに、目の前には小さなロボットが現れた。
「これがザンダクロスだ。間違えるんじゃないぞフェムト君」
「はっ、了解しました! 」
「少々不安が残るな、いやしんぼの君には特別にもう三枚だけ使うことを許そう」
そういってトランプを手渡すとともに、フェムトは凄い勢いで駆け出していった。
ギガゾンビはその様子を眺めると、殆ど仕事をしていなかったオペレーターツチダマ達に指示を出す。
「いいかツチダマども、復活した天才ギガゾンビ様の指示に従うがよい!
ツチダマにしてはフェムトの仕事はなかなかに見事だ、指示系統はこのまま継続して運用する。
管理ナンバーの下一桁が1のものは、このギガゾンビ様救出の任務が終了したので新たな使命を与える。
ギガゾンビ様の押収物保管庫にあるありったけのスパイセットと石ころ帽子を使い、このバトルロワイヤルの行く末を記録しろ。
私はどうしても私室でやらなければならないことがある。しばらくはフェムトの指示に従い何としても耐え抜け」
「「「「「「「「了解しました、ギガゾンビ様!」」」」」」」」
ツチダマ達の気合の入りようが違う。自身の生存と存在がかかっているのが最も大きい。
だが馬鹿にしていたはずのギガゾンビがここに来て主人らしさを取り戻した点も重要である。
普段なら話すら聞かず死刑確定のツチダマがギガゾンビとあれだけコミュニケーションを取れたというのが異質なものである。
だからこそその点をグリフィスに付け込まれ、孤立という事態になってしまった事もあった。
その離反も収め、この土壇場になってまるで豹変したかのような思考判断から、ツチダマ達は気合を入れて命令に従う気になったというわけである。
ツチダマ達を鼓舞し終えたギガゾンビは、取り寄せバッグを手に持ち司令室を離れる。そしてすぐ近くにある私室へと向かった。
途中の廊下や私室のシステムも一部ハッキングがかけられていたが、スゲーナスゴイデスの力で無理やり引き戻す。
ギガゾンビは取り寄せバッグを用いて、独自調査の顧客リストを取り出す。
それは勿論至高の芸術であるバトルロワイヤルをあらゆる世界に発信するためである。
ギガゾンビは端末に触れると、バトルロワイヤルの映像を保存したサーバーへとアクセスをする。
幸いにもバトルロワイヤルの映像記録は全てが無事に揃っていた。
ギガゾンビは私室備え付けの通信端末から、重要スポンサーから順番にバトルロワイヤルの映像とメッセージの送信を始めた。
ツチダマ達がてんやわんやと忙しく格闘する中、バトルロワイヤル配信事項と平行してギガゾンビは世界統合構成装置を弄る。
それにたった一つ命令を下す。
"12時、地球破壊爆弾を可能な限り最大の規模で爆発させる"
加えてギガゾンビは、入力した命令に削除不能、状態変更の場合最優先で実行と設定を行った。
ギガゾンビ城ハッキングの反省を踏まえ、装置は少しでも干渉したらドカンという危険極まりない設定を行った。
かつての臆病者のギガゾンビならともかく、キレてしまったギガゾンビに躊躇は微塵も無く、自身の崩壊を恐れずに背水の陣を引いた。
そもそも、この装置自体もう長持ちさせる必要は無いのだ。
恐らく12時にはタイムパトロールや時空管理局が到着してゲームオーバーである。終了したゲームにルールは必要ない。
現在、世界統合構成装置は最低限の動作しかしていないのに加えて、安定化を図るべきスゲーナスゴイデスが引き抜かれ過負荷がかかっている。
その故障は時間の問題である。だが装置を止めることはギガゾンビにも出来ない。
装置を止めることが出来ないのは、闇の書という存在によるものが大きい。
闇の書の防衛プログラムの暴走がギリギリのところで食い止めるために出力低減され、そのために装置容量のほぼ全てが費やされている。
もし完全に装置を停止したならば、出力抑制の反動により防衛プログラムは手がつけられないレベルまで暴走するであろう。
ギガゾンビの目的はもはや生き残ることにはなく、バトルロワイヤルを完遂し、後世に残すことにこそある。
自身をコケにした生贄ども、特に宿敵である青ダヌキの子守ロボットことドラえもんだけは決して生かしてはおけない。
自身の手で復讐を達成するという意味でも、今更ギガゾンビはバトルロワイヤルを止めることは出来ない。
ギガゾンビが思い描く結末の形とは復讐を達成し、バトルロワイヤルを完遂することである。
事が最高にうまく進めば生き残ることも出来るかもしれないが、そううまく行くわけが無い事をギガゾンビは学習している。
ありえないはずのイレギュラーが次々に起こり覆され続けているのが現在の状況だ、妥協点に達しさえすれば十分であった。
フェムトを納得させるためにギガゾンビは嘘を付いたのである。ギガゾンビが今後について結論を想定した時点で、元々生還を捨てていた。
どう立ち回ろうとも、死刑だけは逃れることはできないという結論である。
司法が成り立たなくなるほどの大規模問題に発展したとしても、それでも犯罪者には最終的に刑罰を執行せざるを得ない。
罪が裁かれなければ、法治は成り立たないのである。その妥協点はほぼ間違いなく存在抹消に次ぐ死刑。
生還は絶望的だ、だからこそ今まで決定できなかった大胆な判断を下すことが出来るのである。
フェムトらツチダマに教えてはならない秘匿は二点、自身の死亡がほぼ決定していること。そして世界統合構成装置にセットされた地球破壊爆弾への命令だろう。
どちらかが発覚すれば、無駄だと分かっていてもツチダマ達は血眼でギガゾンビを生還させるべくタイムマシンへと強引に引っ張りこむであろう。
世界統合構成装置がツチダマ達に秘匿されていたのは単純にいい加減なツチダマ達ではたった一つしかない最重要な機構を任せられないと判断したことからだった。
何より一度決定したルールを覆すといったフェアプレーに反する行為をギガゾンビ自身が嫌っていた。
ルールの範疇で動くからゲームは面白いのであり、ルール無用のゲームに面白さは無い。
そして今は、ギガゾンビのヤケクソとハッタリを守るという理由で秘匿をすることになった。
ツチダマ達は余りにも過酷な状況のため主人のギガゾンビにさえ頭が回らないという好都合な状態へと移行している。
秘匿に関しては、何の問題も無いだろう。
ギガゾンビが平行した作業を終えた時点で、まず一つ目のスポンサーへと映像とメッセージが送られた。
そのメッセージの結末にはギガゾンビの夢が、執念が込められていた。
"…この映像を拝見した皆様、どうかあなたの手で私のバトルロワイヤルを完成させてください。
それだけが私の望みです。
バトルロワイヤル運営・主催・最高取締役 ギガゾンビ"
【α-5/ギガゾンビ城・廊下/2日目・夜中】
【ホテルダマ(フェムト)】
[道具]:スゲーナスゴイデスのトランプ13枚@クレヨンしんちゃん
[思考]:
基本:ギガゾンビ様の望みに従い、バトルロワイヤルを完遂させる
1:格納庫へ進入、ザンダクロスの奪還を行う。
2:ギガゾンビ様の存在を守るために、バトルロワイヤルを完遂させる。
3:タイムマシンを駆動し、ギガゾンビ様を無事生還させる
4:生き残り、闇の書、TPに対処
5:ギガゾンビ様が脱出したら、地球破壊爆弾を爆発させ全ての敵を道連れにする
【α-5/ギガゾンビ城・ギガゾンビの私室/2日目・夜中】
【ギガゾンビ@ドラえもん のび太の日本誕生】
[状態]:ブチ切れ、決死の覚悟
[道具]:スゲーナスゴイデスのトランプ10枚@クレヨンしんちゃん、ギガゾンビの杖、取り寄せバッグ@ドラえもん
[思考]:
基本:バトルロワイアルの完遂。
1:バトルロワイヤルの映像を顧客に配信する。
2:ザンダクロスを用いて、参加者を直々に粛清する。
3:可能ならばタイムマシンで生還・脱出
最終行動方針:バトルロワイヤル存在抹消の阻害
※
ギガゾンビはバトルロワイヤルの映像記録を配信中。全ての顧客に配信が終わるまで約一時間程
世界統合構成装置はギガゾンビの私室に置かれています。
※スゲーナスゴイデスで具現化した物体等は、一定時間経過後に元に戻ります。
トッペマのように魔法の力を行使する分には元には戻りません。
一度使ったスゲーナスゴイデスのトランプは本編同様消滅します。
※
ギガゾンビ城内の隔壁はそのほとんどがトグサ(タチコマ)によって閉じられています
これは、トグサ側の操作によって自由に開閉することができます
現在、ギガゾンビの寝室および、タイムマシン発進所は、隔壁によって隔絶されています
※
ギガゾンビ城の押収物保管庫には、ギガゾンビが各世界から持ち出したもののうち
支給品として配布されなかった物が置かれています
それが何で、どれだけあるかは不明
ツチダマ達がそれを持ち出して使おうとしています
※
亜空間より近づく船影はタイムパトロールか時空管理局の艦艇。12時までには到着予定
※
地球破壊爆弾は12時丁度、もしくは少しでも干渉を加えた時点で爆発。
解除するには地球破壊爆弾と世界統合構成装置両方の無効化が必要。
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