「サムライ、もえる」(2021/07/11 (日) 16:17:03) の最新版変更点
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**サムライ、もえる ◆v3IQLoJSTY
そこは右も左も高い本棚の並ぶ薄暗い広間。その中央の暗がりで、床に座し瞑想している
男が一人。石川五ェ門は図書館の3Fにいた。修行の場より先程の場所に集められ、そして
ここへと飛ばされたのだ。
(己を高める者達同士の戦いならば、いくらでも剣を交えよう。だが個人の快楽の為の
戦いなど断じて許すわけにはいかん。ましてや無抵抗の子供を殺めるなど言語道断!)
クワッと目を開くと五ェ門は立ち上がった。下の階で物音がしたような気がしたのだ。
ギガゾンビと名乗った妖術使いが、何処にいるかは分からない。闇雲に動くのは相手の思う
壺だが、ここで手をこまねいている訳にもいかない。こうしている間にも無力な女子供が
命を落としているかもしれないのだから。
1Fまで降りた時、五ェ門は血の匂いに気が付いた。部屋の一角に血塗れの中年男性が
倒れているではないか。慌てて駆け寄り脈を取るが既に事切れていた。床には血文字で
『生徒達を……』と書かれていた。この男は教師だったのだろうか。
五ェ門は部屋のカーテンを引き千切って男の遺体を包むと部屋の端にあるソファーへ移し、
己の修行不足を恥じると共に最期まで生徒を思った教師の冥福を祈った。
(すまぬ。拙者がもう少し早く気が付いていれば……)
現場に争った形跡は無い。後頭部の傷を見ても不意打ち、その後に一方的に殴打だろう。
犯人は既に逃げ去ったか。ならば何処へ向かった? 五ェ門が思案していると木の擦れた
音がした。扉が開いたのだ。部屋の中には誰もいない事は確認していた。だとすれば外からの
侵入者に他ならない。殺害犯が戻って来たのだろうか? 五ェ門は侵入者に備えて気を
引き締めると本棚の影に身を隠し手刀を構えた。残念ながら彼には武器として扱える物は
支給されていなかった。デイパックの中にもう一つ鞄が入っており、その中には小さな
螺子巻きと奇妙な筒が二つ入っていただけだったのだ。
「失礼いたします」
(むむ。あの服、いつか国外の屋敷で見た事がある。確か西洋女中といったか)
「お初にお目にかかります。私はラブレス家の使用人、ロベルタと申します」
静かに挨拶をして入ってきたのはロベルタだった。手には火の灯った燭台を掲げている。
眼鏡のせいか表情は見えないが恐らく若い。彼女は五ェ門のいる本棚へ向かって丁寧な
会釈をした。ロベルタに釣られて五ェ門も姿を現して挨拶を返す。不意打ちをするような
卑怯な殺人犯は堂々と挨拶などしないだろう。
「あ、あぁ拙者、石川五ェ門と申す……」
「五ェ門様、でございますか。失礼ながらお聞きしたい事がいくつか―――」
「む、拙者で答えられる事であれば……」
「当家の若様、ガルシア・ラブレス様の行方を、ご存じないでしょうか?」
丁寧な物腰にも五ェ門は構えを崩さず、思考を巡らす。あの男の知り合いだろうか?
だがあの男は純日本人だろう。少なくともガルシアとかいう顔ではない。そうすると
あの場にいた子供ないし青年の一人の事だろうか? 何にせよその名に覚えはなかった。
たしか名簿を貰ったはずだが、暗いのでまだ見ていなかったのだ。
この時、気が付くべきであった。灯りは彼女が持って来た事、五ェ門がいたのは暗い
本棚の影だったという事に。
「申し訳ないが、まだ拙者は誰とも出会ってござらん。力になれず申し訳ない」
嘘だ。しかし無関係かもれない娘にわざわざ惨劇を伝える事に必要はないだろう。
「そう……でございますか。お顔をお上げください。こちらこそ、お時間を取らせて、
申し訳ありませんでした」
ロベルタは深々と御辞儀をすると、部屋の端にある閲覧用のテーブルへ燭台を置いた。
蝋燭の灯りがロベルタの整った顔を照らし上げる。
(なんと可憐な……)
灯りを置くという事は、この場に留まるという事だろう。五ェ門は多少違和感を覚えたが
若様を待つのだろうと勝手な解釈をした。もしかしたら相手は犯人かも知れないが。
「失礼だがロベルタ殿は、ここでどなたか、先程の御仁をここで待たれるのか? 拙者、
この先の病院へと向かおうかと思っていた所。もし宜しければご一緒致しませんか?」
五ェ門の言葉にロベルタは僅かに微笑んで答えた。
「お気遣い感謝いたします。ですが私はここで、人を待たねばなりません。ですから……」
「あ、いや。拙者も絶対病院に行かねばならない、という訳ではござらん。ここよりも
他の者が訪れそうなので向かおうかと思っていただけで。ロベルタ殿が残るというので
あればこの石川五ェ門、微力ながらご一緒させていただく」
「そう……でございますか。お優しいのですね」
「いやいや。こんな所に女性を一人で置いて行くわけにはいかぬ訳で……」
五ェ門は半ば強引に居残る事を決めた。弱者を守ると決めた矢先、か弱い女性を置いて
一人で他へ行くのは論外だろう。犯人が戻ってくる可能性もある。石川五ェ門、女に弱い
所はルパン三世と大して変わらない。峰不二子を信用するかしないかの違いだけだ。
「しかし今このような時に本を見に来る者がいるとも思えないのだが。ロベルタ殿は何か
考えがあって人を待たれるのだろうか?」
「ええ、もちろんでございます。本は読むだけの物では、ございません。五ェ門様、これを
御覧ください」
ロベルタの指の先には他と同じような本棚があるだけだった。五ェ門はその本棚へと
近づき調べ始めたが、隠し扉などは見当たらない。丹念に調べてみるが普通の本棚だ。
「ロベルタ殿、一体ここに何が?」
振り向こうとした時、五ェ門の首にロベルタの左腕が後ろから巻きついた。背中に
握り拳大の筒のような物が押し当てられる。それはロベルタの右腕に装着された空気砲と
呼ばれる道具だった。
「ロベルタ殿?!」
「ドカン(ドンッ!)、ドカン(ドンッ!)」
抑揚の無い声で『ドカン』と発する度に衝撃が五ェ門の背中を撃ち抜いた。至近距離で
なおかつ左腕で固定して衝撃を逃がさない。五ェ門が腕を外そうともがくが機械人形か
何かのようにビクともしない。やはりこの娘があの男を殺したのか? しかしこれは殺し
慣れした動きだ。先程の素人の様な手口とはまったく次元が違う。
「御免ッ!」
三度目を言わせる前に渾身の肘打ちをロベルタの腹部に叩き込み、ようやく束縛から
逃れた。飛び交う衝撃を避け本棚の裏へと転がり込むが、五ェ門の口からは血が零れ落ちる。
内臓を傷つけている事は間違いなかった。
「ドカン、五ェ門様、ドカン、どこへお隠れに、ドカン、なりましたか?」
抑揚の無いロベルタの声が近づいてくる。ここは隠れて一か八か、出会い頭の相打ちを
狙うしか道は無いか。だが五ェ門の行動を予想していたかのように、それは起こった。
本棚が五ェ門の隠れている方へとドミノのように倒れたのた。空気砲は五ェ門を狙ったもの
ではなく、本棚を倒す為のものだったのだ。
「ふ、不覚……」
五ェ門は山の様な本に圧し掛かられ、完全に動きを封じられてしまった。辛うじて首と
左腕は自由だが本棚を起す事は出来ない。身動きできない五ェ門の前にロベルタが立った。
「まだご無事でしたか、五ェ門様」
「ロベルタ殿、何故……」
「ここに若様は、居られません。ですから早急に事態を終息させて、若様の元へ参りたい
のです。申し訳ございません。全ての方にご退場を願います」
「……ここに居た男を殺したのも、ロベルタ殿の仕業か?」
「存じませぬ。私が出会ったのは五ェ門様が最初ですわ」
ロベルタがチラリと遺体の方を見たような気がした。唐突に五ェ門は理解した。この娘は
自分と同じく、血の匂いを嗅ぎ分けていたのだと。もしかしたら自分が殺害犯と思われて
いたのかも知れないと。
「……無念」
眼前に突きつけられた空気砲を前に、五ェ門は死を覚悟して目を瞑った。したばかりの
約束を果たせぬまま死に行く未熟さを男に詫びながら。だが空気砲は撃たれなかった。
十数秒後、五ェ門が目を開けた時にはロベルタの姿は無く、遠くから一言可憐な声が
聞こえただけだった。それはこう聞こえた。
「では五ェ門様、御機嫌よう」
――――――――――――――――――――――
身動きの取れない五ェ門を放置し、ロベルタは閲覧用の机から燭台を手に取った。
そして近くに転がっている五ェ門のデイパックを手にすると一言、別れの挨拶を告げた。
「では五ェ門様、御機嫌よう」
そう言ってロベルタは崩れた本の山に火の灯った燭台を投げ捨てると立ち去った。
瞬く間に火は炎となり建物全体を覆ってゆくだろう。若干、遅れたが予定通りだ。
外へと出たロベルタは窓の中に見えるまだ小さな炎を見て呟いた。
「後、78人。明るい火に群がる羽虫は何匹でしょうか?」
ロベルタは獲物を待ち伏せる為、闇の中へと姿を消した。
【C-3/図書館の近く/1日目/黎明】
【ロベルタ@BLACK LAGOON】
[状態]:肋骨にヒビ(行動には仕様無し)
[装備]:空気砲@ドラえもん
[道具]:支給品二セット、マッチ一箱、ロウソク2本(燭台は失いました)
ドールの鞄と螺子巻き@ローゼンメイデン(五ェ門の支給品)
糸無し糸電話1ペア@ドラえもん(五ェ門の支給品)
[思考・状況]
1:待ち伏せで人数を減らす。
2:皆殺し(ギガゾンビ含む)にして終了させる
3:帰ってガルシアの捜索を続行する
[備考]:アニメ一期の途中、ラグーン商会を追跡している途中から来ています。
五ェ門の支給品は中身を確認して一つのデイパックにまとめました。
&color(red){【石川五ェ門@ルパン三世 死亡】}
&color(red){[残り76人]}
[備考]:支給品はロベルタに持ち去られました
*時系列順で読む
Back:[[奥様は6インチの魔法少女!]] Next:[[reckless snow wind]]
*投下順で読む
Back:[[闇に包まれた未来]] Next:[[ドラえモンアドベンチャー 漂流? 殺戮の島!]]
|ロベルタ|61:[[神父 アレクサンド・アンデルセン]]|
|&color(red){石川五ェ門}||
**サムライ、もえる ◆v3IQLoJSTY
そこは右も左も高い本棚の並ぶ薄暗い広間。その中央の暗がりで、床に座し瞑想している
男が一人。石川五ェ門は図書館の3Fにいた。修行の場より先程の場所に集められ、そして
ここへと飛ばされたのだ。
(己を高める者達同士の戦いならば、いくらでも剣を交えよう。だが個人の快楽の為の
戦いなど断じて許すわけにはいかん。ましてや無抵抗の子供を殺めるなど言語道断!)
クワッと目を開くと五ェ門は立ち上がった。下の階で物音がしたような気がしたのだ。
ギガゾンビと名乗った妖術使いが、何処にいるかは分からない。闇雲に動くのは相手の思う
壺だが、ここで手をこまねいている訳にもいかない。こうしている間にも無力な女子供が
命を落としているかもしれないのだから。
1Fまで降りた時、五ェ門は血の匂いに気が付いた。部屋の一角に血塗れの中年男性が
倒れているではないか。慌てて駆け寄り脈を取るが既に事切れていた。床には血文字で
『生徒達を……』と書かれていた。この男は教師だったのだろうか。
五ェ門は部屋のカーテンを引き千切って男の遺体を包むと部屋の端にあるソファーへ移し、
己の修行不足を恥じると共に最期まで生徒を思った教師の冥福を祈った。
(すまぬ。拙者がもう少し早く気が付いていれば……)
現場に争った形跡は無い。後頭部の傷を見ても不意打ち、その後に一方的に殴打だろう。
犯人は既に逃げ去ったか。ならば何処へ向かった? 五ェ門が思案していると木の擦れた
音がした。扉が開いたのだ。部屋の中には誰もいない事は確認していた。だとすれば外からの
侵入者に他ならない。殺害犯が戻って来たのだろうか? 五ェ門は侵入者に備えて気を
引き締めると本棚の影に身を隠し手刀を構えた。残念ながら彼には武器として扱える物は
支給されていなかった。デイパックの中にもう一つ鞄が入っており、その中には小さな
螺子巻きと奇妙な筒が二つ入っていただけだったのだ。
「失礼いたします」
(むむ。あの服、いつか国外の屋敷で見た事がある。確か西洋女中といったか)
「お初にお目にかかります。私はラブレス家の使用人、ロベルタと申します」
静かに挨拶をして入ってきたのはロベルタだった。手には火の灯った燭台を掲げている。
眼鏡のせいか表情は見えないが恐らく若い。彼女は五ェ門のいる本棚へ向かって丁寧な
会釈をした。ロベルタに釣られて五ェ門も姿を現して挨拶を返す。不意打ちをするような
卑怯な殺人犯は堂々と挨拶などしないだろう。
「あ、あぁ拙者、石川五ェ門と申す……」
「五ェ門様、でございますか。失礼ながらお聞きしたい事がいくつか―――」
「む、拙者で答えられる事であれば……」
「当家の若様、ガルシア・ラブレス様の行方を、ご存じないでしょうか?」
丁寧な物腰にも五ェ門は構えを崩さず、思考を巡らす。あの男の知り合いだろうか?
だがあの男は純日本人だろう。少なくともガルシアとかいう顔ではない。そうすると
あの場にいた子供ないし青年の一人の事だろうか? 何にせよその名に覚えはなかった。
たしか名簿を貰ったはずだが、暗いのでまだ見ていなかったのだ。
この時、気が付くべきであった。灯りは彼女が持って来た事、五ェ門がいたのは暗い
本棚の影だったという事に。
「申し訳ないが、まだ拙者は誰とも出会ってござらん。力になれず申し訳ない」
嘘だ。しかし無関係かもれない娘にわざわざ惨劇を伝える事に必要はないだろう。
「そう……でございますか。お顔をお上げください。こちらこそ、お時間を取らせて、
申し訳ありませんでした」
ロベルタは深々と御辞儀をすると、部屋の端にある閲覧用のテーブルへ燭台を置いた。
蝋燭の灯りがロベルタの整った顔を照らし上げる。
(なんと可憐な……)
灯りを置くという事は、この場に留まるという事だろう。五ェ門は多少違和感を覚えたが
若様を待つのだろうと勝手な解釈をした。もしかしたら相手は犯人かも知れないが。
「失礼だがロベルタ殿は、ここでどなたか、先程の御仁をここで待たれるのか? 拙者、
この先の病院へと向かおうかと思っていた所。もし宜しければご一緒致しませんか?」
五ェ門の言葉にロベルタは僅かに微笑んで答えた。
「お気遣い感謝いたします。ですが私はここで、人を待たねばなりません。ですから……」
「あ、いや。拙者も絶対病院に行かねばならない、という訳ではござらん。ここよりも
他の者が訪れそうなので向かおうかと思っていただけで。ロベルタ殿が残るというので
あればこの石川五ェ門、微力ながらご一緒させていただく」
「そう……でございますか。お優しいのですね」
「いやいや。こんな所に女性を一人で置いて行くわけにはいかぬ訳で……」
五ェ門は半ば強引に居残る事を決めた。弱者を守ると決めた矢先、か弱い女性を置いて
一人で他へ行くのは論外だろう。犯人が戻ってくる可能性もある。石川五ェ門、女に弱い
所はルパン三世と大して変わらない。峰不二子を信用するかしないかの違いだけだ。
「しかし今このような時に本を見に来る者がいるとも思えないのだが。ロベルタ殿は何か
考えがあって人を待たれるのだろうか?」
「ええ、もちろんでございます。本は読むだけの物では、ございません。五ェ門様、これを
御覧ください」
ロベルタの指の先には他と同じような本棚があるだけだった。五ェ門はその本棚へと
近づき調べ始めたが、隠し扉などは見当たらない。丹念に調べてみるが普通の本棚だ。
「ロベルタ殿、一体ここに何が?」
振り向こうとした時、五ェ門の首にロベルタの左腕が後ろから巻きついた。背中に
握り拳大の筒のような物が押し当てられる。それはロベルタの右腕に装着された空気砲と
呼ばれる道具だった。
「ロベルタ殿?!」
「ドカン(ドンッ!)、ドカン(ドンッ!)」
抑揚の無い声で『ドカン』と発する度に衝撃が五ェ門の背中を撃ち抜いた。至近距離で
なおかつ左腕で固定して衝撃を逃がさない。五ェ門が腕を外そうともがくが機械人形か
何かのようにビクともしない。やはりこの娘があの男を殺したのか? しかしこれは殺し
慣れした動きだ。先程の素人の様な手口とはまったく次元が違う。
「御免ッ!」
三度目を言わせる前に渾身の肘打ちをロベルタの腹部に叩き込み、ようやく束縛から
逃れた。飛び交う衝撃を避け本棚の裏へと転がり込むが、五ェ門の口からは血が零れ落ちる。
内臓を傷つけている事は間違いなかった。
「ドカン、五ェ門様、ドカン、どこへお隠れに、ドカン、なりましたか?」
抑揚の無いロベルタの声が近づいてくる。ここは隠れて一か八か、出会い頭の相打ちを
狙うしか道は無いか。だが五ェ門の行動を予想していたかのように、それは起こった。
本棚が五ェ門の隠れている方へとドミノのように倒れたのた。空気砲は五ェ門を狙ったもの
ではなく、本棚を倒す為のものだったのだ。
「ふ、不覚……」
五ェ門は山の様な本に圧し掛かられ、完全に動きを封じられてしまった。辛うじて首と
左腕は自由だが本棚を起こす事は出来ない。身動きできない五ェ門の前にロベルタが立った。
「まだご無事でしたか、五ェ門様」
「ロベルタ殿、何故……」
「ここに若様は、居られません。ですから早急に事態を終息させて、若様の元へ参りたい
のです。申し訳ございません。全ての方にご退場を願います」
「……ここに居た男を殺したのも、ロベルタ殿の仕業か?」
「存じませぬ。私が出会ったのは五ェ門様が最初ですわ」
ロベルタがチラリと遺体の方を見たような気がした。唐突に五ェ門は理解した。この娘は
自分と同じく、血の匂いを嗅ぎ分けていたのだと。もしかしたら自分が殺害犯と思われて
いたのかも知れないと。
「……無念」
眼前に突きつけられた空気砲を前に、五ェ門は死を覚悟して目を瞑った。したばかりの
約束を果たせぬまま死に行く未熟さを男に詫びながら。だが空気砲は撃たれなかった。
十数秒後、五ェ門が目を開けた時にはロベルタの姿は無く、遠くから一言可憐な声が
聞こえただけだった。それはこう聞こえた。
「では五ェ門様、御機嫌よう」
――――――――――――――――――――――
身動きの取れない五ェ門を放置し、ロベルタは閲覧用の机から燭台を手に取った。
そして近くに転がっている五ェ門のデイパックを手にすると一言、別れの挨拶を告げた。
「では五ェ門様、御機嫌よう」
そう言ってロベルタは崩れた本の山に火の灯った燭台を投げ捨てると立ち去った。
瞬く間に火は炎となり建物全体を覆ってゆくだろう。若干、遅れたが予定通りだ。
外へと出たロベルタは窓の中に見えるまだ小さな炎を見て呟いた。
「後、78人。明るい火に群がる羽虫は何匹でしょうか?」
ロベルタは獲物を待ち伏せる為、闇の中へと姿を消した。
【C-3/図書館の近く/1日目/黎明】
【ロベルタ@BLACK LAGOON】
[状態]:肋骨にヒビ(行動には仕様無し)
[装備]:空気砲@ドラえもん
[道具]:支給品二セット、マッチ一箱、ロウソク2本(燭台は失いました)
ドールの鞄と螺子巻き@ローゼンメイデン(五ェ門の支給品)
糸無し糸電話1ペア@ドラえもん(五ェ門の支給品)
[思考・状況]
1:待ち伏せで人数を減らす。
2:皆殺し(ギガゾンビ含む)にして終了させる
3:帰ってガルシアの捜索を続行する
[備考]:アニメ一期の途中、ラグーン商会を追跡している途中から来ています。
五ェ門の支給品は中身を確認して一つのデイパックにまとめました。
&color(red){【石川五ェ門@ルパン三世 死亡】}
&color(red){[残り76人]}
[備考]:支給品はロベルタに持ち去られました
*時系列順で読む
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