「少年の決意」(2021/06/24 (木) 20:01:59) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**少年の決意 ◆WgWWWgbiY6
広く、暗い空間。
本来なら人々を楽しませる映画が上映されるはずのその場所が、今は余りにも静かだ。
一つの椅子に腰掛ける日本人とも英国人ともとれる顔立ちの男が一人。
彼、平賀=キートン・太一は、支給された奇妙な道具に関する説明書を眺めていた。
彼の思考は始めからゲームの脱出、それのみだった。
もちろん自分のみならず、他に集められてしまった人々も一緒にだ。
それがどれだけ難しい事かはキートンにもわからない。
先程集められた部屋で見た多種多様なる人々(そう形容していいのかわからない者も居たが)も
自分の喉元に輝く忌々しい首輪の技術力も、はっきり言えば自分の知る常識からは逸脱している。
そして目を通している説明書に書かれた内容も彼の常識からは考えられないものだった。
「とりあえず、使ってみるか。」
結局、今までのオプの仕事のようにSASなどで培った経験に頼るしかないと考え、腹を括った。
半身半疑で懐中電灯のようなものを取り出す。
彼に支給された秘密道具『テキオー灯』。
この光線を浴びる事で人間は様々な場所で24時間活動することが可能になる代物である。
しかし、効果としてあまりに便利すぎる為か一人一回分しか使えないらしい。
とはいえ、こんな所で試してみたところで役にはたたない。
それにこの秘密道具というものを信じきれたわけでもないのだ。
もう一つの支給品『極細の鋼線』も、説明書を読む限り扱う為には特殊な訓練が必要なようだ。
「武器は現地調達か・・・」
そんな考えを巡らせていると、部屋の外で少し涙で掠れたような声が聞こえた。
「ドラえもーん、ジャイアーン、スネ夫ー、せんせーい!」
まさか、殺し合いが行われるこの場所で堂々と人探しをしているのだろうか。
声を張り上げれば、この殺し合いに乗ったものに狙われるリスクは高いはずだというのに。
それともこちらを油断させる罠なのか。いや、この声は聞いたことがあった。
あの部屋で殺された女の子の友達であろう少年の声だ。
確か、のび太と呼ばれていたはずだ。
女の子が殺されたとき、誰よりも激昂していたのはあの少年だった。
そして、知り合いも居なくなり、不安に駆られ判断力が鈍っているのだろう。
どんな理由にせよ、これ以上叫ばれることは殺し合いに乗った者を呼ばれることは
あの子にとっても自分にとっても良い結果にはならない。
キートンは接触を試みる事にした。
「そこに居るのはもしかしてのび太くんかい?」
「だ、誰なの?」
予想通り少年は先程ののび太だったらしく、銃を構えこちらに向ける。
ランタンを右手に両腕を挙げ、笑顔で接する。
この状況下での笑顔は相手によれば逆に不信感を与えかねないが、のび太のような純粋そうな子供の心を信じて、あえて笑顔にする。
「安心して。私は平賀=キートン・太一。君を襲ったりはしないよ。」
「う、うわぁーん」
その笑顔にこのロワイヤルが始まり、初めて人の優しさに出会えたのび太は緊張がほぐれ泣き出してしまう。
結果的にさっきよりも大声を出させる結果になってしまったが、キートンも仕方ないと諦めた。
「大丈夫かい?」
「うん。なんだかキートンさんにいろいろ話したら少し落ち着いたよ。」
一通り泣き終えたあと、のび太とキートンは自己紹介をした。
のび太から聞いたドラえもんの話は、秘密道具の科学力を説明するには荒唐無稽ともいえたが
実際に目の前にあるのでは納得せざるを得なかった。
「のび太君、君も知っているとは思うけど・・・これを使わないかい?」
「それ・・・テキオー灯だ。」
「なら、これの効力は知っているね?
支給されたこのテキオー灯は一人一回分しか使う事ができない。
君がこれを浴びて海の中に潜っていれば、一日は安全に過ごすことができるはずだ。」
少し考えた後、のび太は言った。
「ありがとうございます。キートンさん。でも僕、これを使う事はできません。
先生にスネ夫にジャイアン、それにドラえもん。
みんなが大変な状況に遭っているかもしれないのに一人だけ、安全な所で待っているなんてできません。
だから、それはキートンさんが使ってください。」
「・・・仕方が無いな。じゃあ私も君と一緒に友達を探そう。
それだけじゃない。ここに集められたみんなでだそしてみんなで脱出しよう。それで良いかな?」
キートンもこんなことを聞く前から、のび太の決意はわかっていた。
それを聞いたのも、誰か一人でも生き残ってもらいたいという願いからだったのかもしれない。
「うん。キートンさん!」
のび太はいつも通りの元気な笑顔でそれに答えた。
――でも、僕は脱出は出来ないかもしれない。ギガゾンビだけは絶対に許す事は出来ないから。
しかし、少年の心には鬱屈とした闇が蝕み始めているのかもしれない。
【B-4:映画館・1日目 深夜】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP38(装弾数:8発・予備弾24発)
[道具]:支給品一式(配給品数不明)
[思考・状況]1:キートンと一緒にドラえもんたちを探す。
2:できるだけ人を集める。
3:しずかちゃんの仇をとる。
【平賀=キートン・太一@MASTERキートン】
[状態]:健康
[装備]:テキオー灯@ドラえもん・極細の鋼線@HELLSING
[道具]:支給品一式
[思考・状況]1:のび太と一緒にドラえもんたちを探す。
2:道中で武器になるようなものを探す。
3:できるだけ人を集める。
4:ゲームからの脱出。
*時系列順で読む
Back:[[Fact or Fiction?]] Next:[[少女の幸運と少女の不幸]]
*投下順で読む
Back:[[Fact or Fiction?]] Next:[[少女の幸運と少女の不幸]]
|野比のび太|61:[[神父 アレクサンド・アンデルセン]]|
|平賀=キートン・太一|61:[[神父 アレクサンド・アンデルセン]]|
**少年の決意 ◆WgWWWgbiY6
広く、暗い空間。
本来なら人々を楽しませる映画が上映されるはずのその場所が、今は余りにも静かだ。
一つの椅子に腰掛ける日本人とも英国人ともとれる顔立ちの男が一人。
彼、平賀=キートン・太一は、支給された奇妙な道具に関する説明書を眺めていた。
彼の思考は始めからゲームの脱出、それのみだった。
もちろん自分のみならず、他に集められてしまった人々も一緒にだ。
それがどれだけ難しい事かはキートンにもわからない。
先程集められた部屋で見た多種多様なる人々(そう形容していいのかわからない者も居たが)も
自分の喉元に輝く忌々しい首輪の技術力も、はっきり言えば自分の知る常識からは逸脱している。
そして目を通している説明書に書かれた内容も彼の常識からは考えられないものだった。
「とりあえず、使ってみるか。」
結局、今までのオプの仕事のようにSASなどで培った経験に頼るしかないと考え、腹を括った。
半身半疑で懐中電灯のようなものを取り出す。
彼に支給された秘密道具『テキオー灯』。
この光線を浴びる事で人間は様々な場所で24時間活動することが可能になる代物である。
しかし、効果としてあまりに便利すぎる為か一人一回分しか使えないらしい。
とはいえ、こんな所で試してみたところで役にはたたない。
それにこの秘密道具というものを信じきれたわけでもないのだ。
もう一つの支給品『極細の鋼線』も、説明書を読む限り扱う為には特殊な訓練が必要なようだ。
「武器は現地調達か・・・」
そんな考えを巡らせていると、部屋の外で少し涙で掠れたような声が聞こえた。
「ドラえもーん、ジャイアーン、スネ夫ー、せんせーい!」
まさか、殺し合いが行われるこの場所で堂々と人探しをしているのだろうか。
声を張り上げれば、この殺し合いに乗ったものに狙われるリスクは高いはずだというのに。
それともこちらを油断させる罠なのか。いや、この声は聞いたことがあった。
あの部屋で殺された女の子の友達であろう少年の声だ。
確か、のび太と呼ばれていたはずだ。
女の子が殺されたとき、誰よりも激昂していたのはあの少年だった。
そして、知り合いも居なくなり、不安に駆られ判断力が鈍っているのだろう。
どんな理由にせよ、これ以上叫ばれることは殺し合いに乗った者を呼ばれることは
あの子にとっても自分にとっても良い結果にはならない。
キートンは接触を試みる事にした。
「そこに居るのはもしかしてのび太くんかい?」
「だ、誰なの?」
予想通り少年は先程ののび太だったらしく、銃を構えこちらに向ける。
ランタンを右手に両腕を挙げ、笑顔で接する。
この状況下での笑顔は相手によれば逆に不信感を与えかねないが、のび太のような純粋そうな子供の心を信じて、あえて笑顔にする。
「安心して。私は平賀=キートン・太一。君を襲ったりはしないよ。」
「う、うわぁーん」
その笑顔にこのロワイヤルが始まり、初めて人の優しさに出会えたのび太は緊張がほぐれ泣き出してしまう。
結果的にさっきよりも大声を出させる結果になってしまったが、キートンも仕方ないと諦めた。
「大丈夫かい?」
「うん。なんだかキートンさんにいろいろ話したら少し落ち着いたよ。」
一通り泣き終えたあと、のび太とキートンは自己紹介をした。
のび太から聞いたドラえもんの話は、秘密道具の科学力を説明するには荒唐無稽ともいえたが
実際に目の前にあるのでは納得せざるを得なかった。
「のび太君、君も知っているとは思うけど・・・これを使わないかい?」
「それ・・・テキオー灯だ。」
「なら、これの効力は知っているね?
支給されたこのテキオー灯は一人一回分しか使う事ができない。
君がこれを浴びて海の中に潜っていれば、一日は安全に過ごすことができるはずだ。」
少し考えた後、のび太は言った。
「ありがとうございます。キートンさん。でも僕、これを使う事はできません。
先生にスネ夫にジャイアン、それにドラえもん。
みんなが大変な状況に遭っているかもしれないのに一人だけ、安全な所で待っているなんてできません。
だから、それはキートンさんが使ってください。」
「・・・仕方が無いな。じゃあ私も君と一緒に友達を探そう。
それだけじゃない。ここに集められたみんなでだ。そしてみんなで脱出しよう。それで良いかな?」
キートンもこんなことを聞く前から、のび太の決意はわかっていた。
それを聞いたのも、誰か一人でも生き残ってもらいたいという願いからだったのかもしれない。
「うん。キートンさん!」
のび太はいつも通りの元気な笑顔でそれに答えた。
――でも、僕は脱出は出来ないかもしれない。ギガゾンビだけは絶対に許す事は出来ないから。
しかし、少年の心には鬱屈とした闇が蝕み始めているのかもしれない。
【B-4:映画館・1日目 深夜】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP38(装弾数:8発・予備弾24発)
[道具]:支給品一式(配給品数不明)
[思考・状況]1:キートンと一緒にドラえもんたちを探す。
2:できるだけ人を集める。
3:しずかちゃんの仇をとる。
【平賀=キートン・太一@MASTERキートン】
[状態]:健康
[装備]:テキオー灯@ドラえもん・極細の鋼線@HELLSING
[道具]:支給品一式
[思考・状況]1:のび太と一緒にドラえもんたちを探す。
2:道中で武器になるようなものを探す。
3:できるだけ人を集める。
4:ゲームからの脱出。
*時系列順で読む
Back:[[Fact or Fiction?]] Next:[[少女の幸運と少女の不幸]]
*投下順で読む
Back:[[Fact or Fiction?]] Next:[[少女の幸運と少女の不幸]]
|野比のび太|61:[[神父 アレクサンド・アンデルセン]]|
|平賀=キートン・太一|61:[[神父 アレクサンド・アンデルセン]]|
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: