夜空の再会 ◆lbhhgwAtQE
「ふむ、これはどうしたことか……」
井尻又兵衛由俊は一人、市街地の路地裏で戸惑っていた。
それもそのはずで、彼がデイバッグの中身を確認しようとそれを開けると中から出てきたのはどれも見た事もないようなものだったのだから。
一つ。透明な素材に包まれた液体。
これは、どうやら上についていた白い円筒を回すことで中身を飲めるようになっている水筒のようなものであることを彼は十数分かけて理解した。
一つ。先端が赤く塗られた棒状の金属がくるくると回る物体。
これは、どうやら赤い部分が同じ方向を差すことから、一定の方角を示す役目を持っているということを彼は十数分かけて(ry。
一つ。筒状で先端部だけなにやら広がっている物体。
これは、どうやら突起を滑らすことで明かりをともす役目をもっているのだということを彼は(ry
他にも色々と用途の分からないものはいくつかあった。
だが、彼にとってもっとも用途が分からなかったのが……
「このぱそこん……とかいう黒い箱は一体何なのだ? 指南書を読んでもさっぱり分からぬぞ」
彼の手元にあるのはまさしくノートパソコン。
これが存在する時代の又兵衛くらいの歳の男でさえ理解するのが難しいものなのだ、彼が理解するなど不可能に近かった。
「触らぬ神に祟りなし、とはよく言ったものだ。これはしまっておこうか」
と又兵衛は理解するのを諦め、ノートパソコンを他の基本一式と一緒にバッグへとしまう。
そして、残ったのは、ノートパソコンと一緒に配給された品――筒状の部分を持つ黒光りする金属製の何か。
説明書を読んだ又兵衛は、それが南蛮渡来の火縄銃の一種であることをそれとなしに理解したが……
「このような物を渡すとは……あの男め……」
自分が鉄砲で撃たれた時に、しんのすけが見せた悲しい顔を思い出した又兵衛は、その悲しみを自分に作らせようとしているギガゾンビに強い怒りを覚えていた。
そして、だからこそ、このようなものは使うまいとバッグに収めたのであった。
「よし、では出るとしようか」
そして又兵衛は歩き出した。
井尻又兵衛由俊は一人、市街地の路地裏で戸惑っていた。
それもそのはずで、彼がデイバッグの中身を確認しようとそれを開けると中から出てきたのはどれも見た事もないようなものだったのだから。
一つ。透明な素材に包まれた液体。
これは、どうやら上についていた白い円筒を回すことで中身を飲めるようになっている水筒のようなものであることを彼は十数分かけて理解した。
一つ。先端が赤く塗られた棒状の金属がくるくると回る物体。
これは、どうやら赤い部分が同じ方向を差すことから、一定の方角を示す役目を持っているということを彼は十数分かけて(ry。
一つ。筒状で先端部だけなにやら広がっている物体。
これは、どうやら突起を滑らすことで明かりをともす役目をもっているのだということを彼は(ry
他にも色々と用途の分からないものはいくつかあった。
だが、彼にとってもっとも用途が分からなかったのが……
「このぱそこん……とかいう黒い箱は一体何なのだ? 指南書を読んでもさっぱり分からぬぞ」
彼の手元にあるのはまさしくノートパソコン。
これが存在する時代の又兵衛くらいの歳の男でさえ理解するのが難しいものなのだ、彼が理解するなど不可能に近かった。
「触らぬ神に祟りなし、とはよく言ったものだ。これはしまっておこうか」
と又兵衛は理解するのを諦め、ノートパソコンを他の基本一式と一緒にバッグへとしまう。
そして、残ったのは、ノートパソコンと一緒に配給された品――筒状の部分を持つ黒光りする金属製の何か。
説明書を読んだ又兵衛は、それが南蛮渡来の火縄銃の一種であることをそれとなしに理解したが……
「このような物を渡すとは……あの男め……」
自分が鉄砲で撃たれた時に、しんのすけが見せた悲しい顔を思い出した又兵衛は、その悲しみを自分に作らせようとしているギガゾンビに強い怒りを覚えていた。
そして、だからこそ、このようなものは使うまいとバッグに収めたのであった。
「よし、では出るとしようか」
そして又兵衛は歩き出した。
「しかし、いきなり殺しあえなどとは……あのぎがぞんびとかいう男、一体何を考えているのだ……」
又兵衛は、市街地を歩きながらそのようなことをぼやいていた。
「しかも、女子供までもを巻き込むとは……あの者、男の風上にも置けぬ輩だな」
城にいる殿や姫、そして城下の領民を守るために戦い、そして散っていった戦国の心優しき武将、井尻又兵衛由俊。
そんな彼が、今回のバトルロワイアルを素直に受け入れられるはずがなかった。
「こうしている間にも、また誰かが戦いに巻き込まれているやもしれぬ。なんとかせねば……」
又兵衛がそんな想いを胸に歩みを進めていたその時だった。
「――む?」
又兵衛は戦場で培った感覚により、背後に迫る殺気に気づいた。
そして、その殺気の正体を見ようと後ろを振り返ったまさにその時――
又兵衛は、市街地を歩きながらそのようなことをぼやいていた。
「しかも、女子供までもを巻き込むとは……あの者、男の風上にも置けぬ輩だな」
城にいる殿や姫、そして城下の領民を守るために戦い、そして散っていった戦国の心優しき武将、井尻又兵衛由俊。
そんな彼が、今回のバトルロワイアルを素直に受け入れられるはずがなかった。
「こうしている間にも、また誰かが戦いに巻き込まれているやもしれぬ。なんとかせねば……」
又兵衛がそんな想いを胸に歩みを進めていたその時だった。
「――む?」
又兵衛は戦場で培った感覚により、背後に迫る殺気に気づいた。
そして、その殺気の正体を見ようと後ろを振り返ったまさにその時――
――ブウンッ!!!
目の前を何か硬いものが空振り、空を切る音が聞こえた。
「チィッ、外したかっ!!」
又兵衛は、その硬い何かを空振りした殺気の主の正体の声を聞いて驚いた。
「そ、その声は……ひろしか!?」
「……って、あんたは確か……」
殺気の正体――野原ひろしもようやく自分が今金属バットで殴りかかろうとした相手が誰かを認識する。
「あんた……生きてたのか」
「どうやらそのようであるな。……だが、今はそのようなことはどうでも良い。それよりも、そなたもこのような下らぬ戯れに乗せられたというのか!?」
「……あぁ、そうさ。俺は……俺はしんのすけを守らねぇといけないんだ。だから……だから悪いが他の奴らには死んでもらうことにしたんだよ!!」
「やめろ、ひろし!!」
又兵衛の制止も聞かずに、大きくバットを振りかぶるひろし。
だが。
「――な!?」
そんな大振りなひろしは言ってみれば隙だらけの状態。
戦い慣れている又兵衛がそんな隙を逃すはずもなく、彼はひろしの腕を掴むとそれをひねり上げ、バットを放棄させる。
そして更に――
「――すまぬ」
手刀を首にあてると、彼を気絶させた。
「チィッ、外したかっ!!」
又兵衛は、その硬い何かを空振りした殺気の主の正体の声を聞いて驚いた。
「そ、その声は……ひろしか!?」
「……って、あんたは確か……」
殺気の正体――野原ひろしもようやく自分が今金属バットで殴りかかろうとした相手が誰かを認識する。
「あんた……生きてたのか」
「どうやらそのようであるな。……だが、今はそのようなことはどうでも良い。それよりも、そなたもこのような下らぬ戯れに乗せられたというのか!?」
「……あぁ、そうさ。俺は……俺はしんのすけを守らねぇといけないんだ。だから……だから悪いが他の奴らには死んでもらうことにしたんだよ!!」
「やめろ、ひろし!!」
又兵衛の制止も聞かずに、大きくバットを振りかぶるひろし。
だが。
「――な!?」
そんな大振りなひろしは言ってみれば隙だらけの状態。
戦い慣れている又兵衛がそんな隙を逃すはずもなく、彼はひろしの腕を掴むとそれをひねり上げ、バットを放棄させる。
そして更に――
「――すまぬ」
手刀を首にあてると、彼を気絶させた。
「とうちゃん! と~ちゃ~ん!!」
暗い闇の中、しんのすけがいた。
そして、しんのすけは自分の事を呼んでいた。
「しんのすけぇ!!」
手を伸ばしてもそれはしんのすけには届かない。
いや、むしろしんのすけは闇の奥へとどんどん遠ざかっていた。
「しんのすけー!!」
「と~ちゃ~ん!!!」
そして、その姿は完全に闇の向こうへと消えてしまい……
暗い闇の中、しんのすけがいた。
そして、しんのすけは自分の事を呼んでいた。
「しんのすけぇ!!」
手を伸ばしてもそれはしんのすけには届かない。
いや、むしろしんのすけは闇の奥へとどんどん遠ざかっていた。
「しんのすけー!!」
「と~ちゃ~ん!!!」
そして、その姿は完全に闇の向こうへと消えてしまい……
「しんのすけ!!!」
ひろしは起き上がった。薄暗いコンクリートの壁に向かって手を伸ばしながら。
「何だ、夢か……」
ようやくそれを理解し、完全に目が覚めた彼は周囲を見渡し、自分がどこかの建物の一室にいて、ソファのようなものに横になっていたことに気が付く。
先ほどまで外にいたはずなのに何故……。
そんな疑問を抱いていると、その部屋に誰かが入ってきた。
「……ようやく目を覚ましたか、ひろし」
それは、ひろしも見知った人物――井尻又兵衛由俊だった。
ひろしは起き上がった。薄暗いコンクリートの壁に向かって手を伸ばしながら。
「何だ、夢か……」
ようやくそれを理解し、完全に目が覚めた彼は周囲を見渡し、自分がどこかの建物の一室にいて、ソファのようなものに横になっていたことに気が付く。
先ほどまで外にいたはずなのに何故……。
そんな疑問を抱いていると、その部屋に誰かが入ってきた。
「……ようやく目を覚ましたか、ひろし」
それは、ひろしも見知った人物――井尻又兵衛由俊だった。
手刀を使ってひろしを気絶させた後。
武器と荷物を奪い、更には殺すことも可能であったにもかかわらず、又兵衛は彼を近くにあったビルの一室へと運び込んだのだ。
そして建物の中を一通りめぐり戻ってきた彼は、目が覚めたひろしを見ることなり……
「……ようやく目を覚ましたか、ひろし」
穏やかな顔でひろしを見る又兵衛。
だが、すぐにその顔は険しい表情へと変わる。
「起きて早々申し訳ないが、そなたにどうしても聞きたいことがある。いいか?」
「………………あぁ」
「そなたがいるということは、そなたの家族もいるのか?」
「……あぁ。ひまわりとシロはいなかったが、みさえとしんのすけは来てる。……いや、気づいたら来てたという方が正しいかな」
「そう、か」
「俺がこうしている間にもしんのすけが危険な目にあってるかもしれないんだ。だから、俺はしんのすけを生き残らせるために少しでも人数を減らそうとして――」
又兵衛はそこまで聞くと、ひろしの傍まで近づき、そして
「んがっ!!」
殴った。脳天を拳骨で。
「な、何しやがる!」
「先ほど死に掛けたお返しだ。……そして、そなたの愚かさへの制裁だ」
「お、俺が愚かだと!?」
「あぁ、愚かだ。そなたは先ほど、しんのすけを生き残らせるため、と言っていたが、それで本当にしんのすけが喜ぶと思っているのか?」
又兵衛のそんな問いにひろしは戸惑う。
「そ、それは……」
「それに、しんのすけを生かす為ならば、そなたは妻をも手に掛けるというのか? 妻を手に掛けた上で子を生かす……それで本当にいいのか?」
「みさえなら分かってくれるはずだ。あいつには……しんのすけには未来があるんだ。それをこんなところで潰すわけには……」
「しんのすけの未来の為に、他の子らの未来を潰すと言うのか。あの男の口車にまんまと乗せられて――」
「うるせぇ!! 子供のいない奴に何が分かるってんだ!!」
そんな激昂とともに、ひろしは立ち上がった。
「んなこと分かってるよ。俺が正しくないことをしていることはな。だがな、俺はもう戻れないんだよ! こうする他ないんだよ!」
「それでは、やはりこの鉄の棒についていた血は……」
「あぁ、そうさ! もう俺は一人殺しちまったんだよ!!」
ひろしは叫ぶと同時に又兵衛の手からバットを奪い、それと同時にバットを思い切り横へと振った。
するとそれは、綺麗に弧を描き、又兵衛の右上腕へと直撃して…………
武器と荷物を奪い、更には殺すことも可能であったにもかかわらず、又兵衛は彼を近くにあったビルの一室へと運び込んだのだ。
そして建物の中を一通りめぐり戻ってきた彼は、目が覚めたひろしを見ることなり……
「……ようやく目を覚ましたか、ひろし」
穏やかな顔でひろしを見る又兵衛。
だが、すぐにその顔は険しい表情へと変わる。
「起きて早々申し訳ないが、そなたにどうしても聞きたいことがある。いいか?」
「………………あぁ」
「そなたがいるということは、そなたの家族もいるのか?」
「……あぁ。ひまわりとシロはいなかったが、みさえとしんのすけは来てる。……いや、気づいたら来てたという方が正しいかな」
「そう、か」
「俺がこうしている間にもしんのすけが危険な目にあってるかもしれないんだ。だから、俺はしんのすけを生き残らせるために少しでも人数を減らそうとして――」
又兵衛はそこまで聞くと、ひろしの傍まで近づき、そして
「んがっ!!」
殴った。脳天を拳骨で。
「な、何しやがる!」
「先ほど死に掛けたお返しだ。……そして、そなたの愚かさへの制裁だ」
「お、俺が愚かだと!?」
「あぁ、愚かだ。そなたは先ほど、しんのすけを生き残らせるため、と言っていたが、それで本当にしんのすけが喜ぶと思っているのか?」
又兵衛のそんな問いにひろしは戸惑う。
「そ、それは……」
「それに、しんのすけを生かす為ならば、そなたは妻をも手に掛けるというのか? 妻を手に掛けた上で子を生かす……それで本当にいいのか?」
「みさえなら分かってくれるはずだ。あいつには……しんのすけには未来があるんだ。それをこんなところで潰すわけには……」
「しんのすけの未来の為に、他の子らの未来を潰すと言うのか。あの男の口車にまんまと乗せられて――」
「うるせぇ!! 子供のいない奴に何が分かるってんだ!!」
そんな激昂とともに、ひろしは立ち上がった。
「んなこと分かってるよ。俺が正しくないことをしていることはな。だがな、俺はもう戻れないんだよ! こうする他ないんだよ!」
「それでは、やはりこの鉄の棒についていた血は……」
「あぁ、そうさ! もう俺は一人殺しちまったんだよ!!」
ひろしは叫ぶと同時に又兵衛の手からバットを奪い、それと同時にバットを思い切り横へと振った。
するとそれは、綺麗に弧を描き、又兵衛の右上腕へと直撃して…………
「ぐぁぁああ!!」
バットによる直撃を受けた又兵衛は、右上腕を左手で押さえながらもだえ苦しむ。
ひろしが、そんな隙だらけの又兵衛を見逃すわけも無く、更に頭部めがけてバットを振りかぶる。
だがその瞬間、彼の脳裏には、かつて合戦の帰りに撃たれ息絶えた又兵衛とそれを見て涙した息子の姿がよぎった。
「くっ、うぁあああ!!!」
バットの軌道は逸れ、うずくまる又兵衛のすぐ横にそれは叩きつけられた。
「はぁ、はぁっ、はぁっ……」
「う、ぐ……ひろし?」
「……こ、今回は見逃してやる! あんたが死ぬとしんのすけが悲しむからな。……だが、いずれあんたも……」
そこまで言うとひろしは言葉を詰まらせ、又兵衛へと背を向けた。
「ま、待つんだ、ひろし……」
又兵衛は腕の痛みに耐えながら呼び止めるが、それでもひろしはそのまま部屋を飛び出ていってしまった。
バットによる直撃を受けた又兵衛は、右上腕を左手で押さえながらもだえ苦しむ。
ひろしが、そんな隙だらけの又兵衛を見逃すわけも無く、更に頭部めがけてバットを振りかぶる。
だがその瞬間、彼の脳裏には、かつて合戦の帰りに撃たれ息絶えた又兵衛とそれを見て涙した息子の姿がよぎった。
「くっ、うぁあああ!!!」
バットの軌道は逸れ、うずくまる又兵衛のすぐ横にそれは叩きつけられた。
「はぁ、はぁっ、はぁっ……」
「う、ぐ……ひろし?」
「……こ、今回は見逃してやる! あんたが死ぬとしんのすけが悲しむからな。……だが、いずれあんたも……」
そこまで言うとひろしは言葉を詰まらせ、又兵衛へと背を向けた。
「ま、待つんだ、ひろし……」
又兵衛は腕の痛みに耐えながら呼び止めるが、それでもひろしはそのまま部屋を飛び出ていってしまった。
「……くそっ! 殺さなきゃいけないのに俺は……俺は……!!」
ひろしは先ほどの自分の行為に無性に腹を立てながらビルを出ると、無意識のうちに西の方へと足を向けた。
そして、走りながら不意に先ほどの又兵衛の言葉を思い出してしまった。
ひろしは先ほどの自分の行為に無性に腹を立てながらビルを出ると、無意識のうちに西の方へと足を向けた。
そして、走りながら不意に先ほどの又兵衛の言葉を思い出してしまった。
――しんのすけの未来の為に、他の子らの未来を潰すと言うのか。あの男の口車にまんまと乗せられて
「んなこたぁ、百も承知だよ。俺だって殺したかない。……だけどな……それでも、しんのすけはかけがいのない息子なんだ。しんのすけの為なら、俺は――」
ひろしが見上げた夜空は、どこか寂しげだった。
ひろしが見上げた夜空は、どこか寂しげだった。
【D-4 大通りを西へ移動中 黎明】
【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:金属バット
[道具]:無し
[思考]:しんのすけ以外の参加者を殺す
しんのすけを優勝させる
【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:金属バット
[道具]:無し
[思考]:しんのすけ以外の参加者を殺す
しんのすけを優勝させる
一方、部屋に取り残された又兵衛はというと、痛みがひかない腕を押さえたまま呆然と立ち尽くしていた。
「ひろし……」
説得もむなしく、ひろしは再び人を殺すべく外へと出て行ってしまった。
又兵衛はそんな自分の不甲斐なさを呪った。
「俺は……俺は一体何をしていたんだ……。何でひろし殿を行かせてしまったんだ。くそっ!」
そして、彼はそんな悔しさを胸にしたまま、ふと窓の外を眺めた。
すると、そこには月と星が静かに輝く夜空が広がっていて……
「こんなにも美しい月夜だというのに、何故我々はこのようなことをしているのであろうな……」
誰に言うでもなく、一人呟く又兵衛。
そして、空を見ているうちに彼の心は少しずつ洗われてゆき――
「ふむ、悔やんでいても何も始まらないな」
又兵衛は立ち上がると、再度夜空を見る。
「……ひろし殿。そなたの行おうとしている事は、この俺が必ずや止めて見せよう」
彼が見ていた夜空は、ただただ美しかった……。
「ひろし……」
説得もむなしく、ひろしは再び人を殺すべく外へと出て行ってしまった。
又兵衛はそんな自分の不甲斐なさを呪った。
「俺は……俺は一体何をしていたんだ……。何でひろし殿を行かせてしまったんだ。くそっ!」
そして、彼はそんな悔しさを胸にしたまま、ふと窓の外を眺めた。
すると、そこには月と星が静かに輝く夜空が広がっていて……
「こんなにも美しい月夜だというのに、何故我々はこのようなことをしているのであろうな……」
誰に言うでもなく、一人呟く又兵衛。
そして、空を見ているうちに彼の心は少しずつ洗われてゆき――
「ふむ、悔やんでいても何も始まらないな」
又兵衛は立ち上がると、再度夜空を見る。
「……ひろし殿。そなたの行おうとしている事は、この俺が必ずや止めて見せよう」
彼が見ていた夜空は、ただただ美しかった……。
【D-4 雑居ビル 黎明】
【井尻又兵衛由俊@クレヨンしんちゃん】
[状態]:右上腕に打撲痕 強い決意
[装備]:素手
[道具]:支給品一式 ノートパソコン コルトガバメント(バッグの中なのですぐには取り出せない)
[思考]:ひろしの暴走を止める
野原一家を探す
野原一家以外にも助けるべき人物は助ける
【井尻又兵衛由俊@クレヨンしんちゃん】
[状態]:右上腕に打撲痕 強い決意
[装備]:素手
[道具]:支給品一式 ノートパソコン コルトガバメント(バッグの中なのですぐには取り出せない)
[思考]:ひろしの暴走を止める
野原一家を探す
野原一家以外にも助けるべき人物は助ける
※ひろしの持っていた荷物(二人分)は、ビル内に放置
又兵衛は持っていくかどうかは、後の書き手さん次第で
又兵衛は持っていくかどうかは、後の書き手さん次第で
時系列順で読む
Back:見えない恐怖 female gorilla Next:経験過多、経験不足
投下順で読む
Back:見えない恐怖 female gorilla Next:しっぽの生えた薬師の少女
17:海より深い父の愛 | 野原ひろし | 72:最悪の軌跡 |
井尻又兵衛由俊 | 72:最悪の軌跡 |