ムーンマーガレット◆B0yhIEaBOI



今夜は月夜。それも、満月。


月明かりの中、山を下って、市街地の方へ走る。
人工的な明かりの無い山中だったけれど、真昼のように――否、真昼以上に辺りのことが良く見えた。
走っている最中に、色々な音が聞こえたし、実際何人かの人も居た。
爆発音、銃声、叫び声、笑い声、泣き声。話し声。
そして、いくつかの人影。一つの場所に留まるものも、移動する者もいる。
でも、今は接触を避けて駆け抜ける。
まずは日中に留まれる拠点と、マスター、ウォルターさんを見つけるのが先決だ。

なんだか、まるでこの山中が小さな箱庭であるかのような錯覚を覚える。
きっと満月の夜というロケーションが、私の五感を昂ぶらせているのだろう。
でも、あの人たち、あれで隠れているつもりなのかしら。

「ふふッ」

自然と笑みがこぼれる。
いけない、今は笑っていられるような状況じゃないのに。
でも、今なら、
ほんのちょび~~~~~~~~っとだけ、
……マスターの言う、『闘争』っていう言葉が分かるような気がしてしまう。
正直、今他の人に会いたくないのは、この闘争心、というか、『疼き』のせいでもある。
もし、万が一戦闘になりでもすれば、その時は――
ああ、あんまり認めたくは無いけれど、やっぱり私って吸血鬼なんだなぁ……


そして私は、思ったほどの時間も経たない間に市街地の端へと到着した。疲労はほとんど感じない。
取り敢えず、日中に潜めるような場所を探す事にする。
でも、その時、あることに気付いた。

――見られている!

進行方向の、路地裏に誰かがいる。今は姿も完全に隠れているけれど、確実に今もそこにいる。
『私には、わかる』
でも、私の進行方向にいて、私が行くのを分かっているのに姿を現さない。
……ということは、待ち伏せ?
なら、あそこに隠れているのは、殺し合いを好む殺人鬼、ということなのだろうか?
それなら、戦闘を避けようとしても、狙われてるわけだから、迂闊に逃げるのは危険かな……


って、冗談じゃない!
そっちが殺人鬼なら、こっちは吸血鬼だっつーの!
相手がその気なら、こっちから仕掛けてやる。先手必勝。取り敢えず、先に押さえ込んでしまおう。
私は勢いで今までの思考をひっくり返し、路地に向かって走り出した。
我ながら、今夜は好戦的だなぁ。

「止まれッ!」

私が走り出した直後、男は路地から姿を現した。
顔にはマスク、いや暗視ゴーグルを着けている。このせいで私は発見されてしまったのか。
男が、黒い何かを私の顔に突き出す。
――銃!?危ない!!
作戦変更、とりあえずぶん殴って大人しくさせてしまえ!!

「――警察だッ!!」  
「へっ!?」
よく見れば、手にしているのは警察手帳。や、やばっ止まらな――――

ズゴォン!!







「……ご、ごめんなさい……」
「……寿命が3年は縮まったよ」
彼の頬スレスレを通過して、私の拳は彼の背後の壁にめり込んでいた。
……ギリギリセーフ、結果オーライ!?



†   †   †   †   † 



「ごめんなさい!ごめんなさい!本当にごめんなさい!!」
「ああ、もういいって。お互い怪我も無かったんだしさ」
「で、でも……ごめんなさい!」

あの後私は、衝撃音を誰かに聞かれたかもしれない、ということで、あの場所から歩き出したのだった。
この男と一緒に。男の名は――
「あれ、そういえばお名前聞いてませんでしたね。私はセラス・ヴィクトリア。セラスと呼んで下さい」
「俺はトグサ――トグサでいい」
「わかりましたトグサさん。そういえばトグサさんも警察官なんですか?」
「ああ、一応ね。君も警察官なのかい?」
「あ、はい!でも今は警察官というか特殊情報機関員と言うか……あ゛」

うっかり機密を漏洩してしまった。トグサは苦笑しているようだ。
「ハハ、今のは聞かなかったことにしとくよ……その代わりと言っちゃなんだが、2、3聞かせて欲しいことがあるんだけど」
「え?ええ、何ですか?」
「セラスは何処に向かってたんだ?実は暫くの間尾行してたんだが……まさか見つかるとは思って無かったがな。油断したよ。
観察していた観想だが、セラスは何か探し物か、探し人でもいるのか?」

――え゛……そうだったのか。気付かなかった。全ての人を感知できていたワケではなかったのか。私こそ油断していた……
「いえ、私、ちょっと日の光に弱い体質でして……で、日中を過ごせる場所を探していたんです。あと、私の仲間も」
「へぇ、まるでドラキュラじゃないか。変わったタイプの義体だな」
まるで、というか、そのものなんデスけど……
「でも、トグサさんは何をするつもりだったんですか? ハッ、まさか、ストーカー……」
「おいおい、失礼なこと言うなよ。セラスが生身とは思えないスピードで市街地に入ってきたから、念のため様子を伺ってただけさ。
一応言っとくけど、俺の目的は……とりあえず情報収集ってところだな。参加者、この世界、それらについての多元的、多面的な情報を集めたい」
「あれ?トグサさんはお仲間とかはいらっしゃらないんですか?」
「いるよ。でも合流は後回しだ。今は先に集められるだけ情報を集めたい」
「ど……どうしてですか?お仲間さん達は心配じゃないんですか?」
「ないよ」
トグサはあっさり言い切った。

「ええ!?それちょっと酷くないですか!?」
「大丈夫さ。俺の同僚はそう簡単にくたばるようなタマじゃ無いしな。
それどころか、多分ほっといても、今回の状況の収拾をつけるための各自にとって最善の行動を取るはずだ。
恐らく、他参加者の掌握、殺し合いに乗る奴の制圧なんかはあいつらに任せておけば大丈夫だろう。
なら俺は、今俺にしか出来ないことをやるべきだ。だから、取り敢えずは情報を集めて、あいつらのサポートに徹することにする。
なに、嫌でもそのうち合流できるさ。」

ヤバ、なんだかちょっとカッコよかった。中年ストーカーからかなりのランクアップだ。
「信頼……してるんですね」
「そう、かもな。それにうちのボスが口酸っぱくして言ってるんだよ。

『我々の間にチームプレイなどという都合のいい言い訳は存在しない。 必要なのはスタンドプレーの結果として生じるチームワークだけだ』

――ってな。だから、俺は俺の考えるベストをするだけさ」
「……なんだか私のところのボスとちょっと似てる気がします」
「ハハ、お互い厄介なボスに当たったもんだな」
「同感です!」
厳しい上司を持つと苦労する。この点に関しては深く共感できた。
絶対私のボスの方がタチが悪いけど(マスターは別格)。
「だから、とりあえず今は情報……特に情報端末を探したいところだな。ライフラインの有無も確認したい。
あと、何らかの通信設備もあれば言うことはないんだが」
「でしたら、とりあえずホテルの方に行きますか?そこでしたら一通りの設備は整ってるでしょうし……
あっ、ホテルで今いかがわしいこと考えませんでしたか!?」
「思ってね~よ。これでも妻子持ちなんだよ、俺は!」


――と言うことで、暫くの間、私はトグサさんと行動を共にすることになりました。
そういえばトグサさんのお仲間の名前を聞けなかったり、逆にこっちの情報をペラペラ喋ってしまったりした気もしますが、
とりあえず悪い人ではないみたいだし、むしろ、ちょっと頼りになるかもしれません。
いろいろと心配事(主に私の知り合いに関して)もありますが、なんとか今回の事件解決に向けて頑張って行こうと、
改めて心に誓った私でした。



「トグサさん……きっと、何とかなりますよね?」


「当たり前だろ。俺達九課を巻き込んじまったのが、奴さんの運の尽きさ」



【D-6:市街地・1日目 黎明】
【セラス・ヴィクトリア@HELLSING】
[状態]: 健康、満月で絶好調。
[装備]: エスクード(風)@魔法騎士レイアース
[道具]: 支給品一式 (バヨネットを包むのにメモ半分消費)、バヨネット@ヘルシング
[思考・状況] 1:トグサと同行し、ホテルへ向かう。そして、ホテルを拠点として確保。
2:アーカード、ウォルターと合流
3:ドラえもんと接触し、ギガゾンビの情報を得る
※ドラえもんを『青いジャック・オー・フロスト』と認識しています。

【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]: 健康
[装備]: 暗視ゴーグル(望遠機能付き)
[道具]: 支給品一式、警察手帳(元々持参していた物)、支給アイテム×1(詳細不明、トグサ本人は確認済み)
[思考・状況] 1:ホテルに向かい、情報収集
2:通信設備の発見、確保。情報ネットワークの形成。
3: 機会があれば九課メンバーと合流。
※他メンバーの行動の妨げにならないよう、他メンバーについての情報は漏らさないつもりです。
※セラスのことを、強化義体だと思っています。


※セラス達はルパン一向よりも先にD-6市街地に侵入しています。



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32:不死身のドラキュリーナひとり セラス・ヴィクトリア 99:「きゃっほう」/「禁則事項です」/「いってらっしゃい」
トグサ 99:「きゃっほう」/「禁則事項です」/「いってらっしゃい」





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