無題 コこロのアリか ◆wNr9KR0bsc



「さて、どこへ向かうか…」
地図を見る限り近くには図書館がある。このまま映画館の屋上に居座って奇襲を仕掛けるか。
人が集まると思われる図書館の方へ向かって一人でも多く人数を減らすか。それとも…?

「強き戦士が揃えば…私といえど奇襲を使っても勝てるかどうか。
 ならば、人が少なく撹乱もしやすい森に行った方が良いかも知れないな…」
地図をデイパックへと仕舞い込み、映画館の屋上から地上へ華麗に舞い降りる。
映画館の玄関に、青色のドレスが舞う。森へ向かう王は、その美しいドレスと共に何かを引き摺る。

焦りがあった。姉さま以外はいつも通りに「遊ぶ」つもりだった。
でも目の前の少年は遊べない、いや、遊びたくない。
彼を利用すれば姉さまに早く会える、そんな妙な期待が有った。
いや、それも違う。何故かしんのすけでは遊べない。 何故?
よく分からない物が僕の不快感を掻き立て、心の何かがギシギシ音を立てて。

「ねえ、君の家族はどんな人なの?」
彼と一緒にいる以上彼の家族を探す必要も有る。
「お?そうだなぁ、オラのかーちゃんとーちゃんは……」
しんのすけが言う特徴を頭に叩き込みながら、考える。
彼になるべく気付かれないように「遊ぶ」事。
戦闘となれば自分が殺し屋で有ることがバレるかも知れない。
殺し屋とわからなくても危険な奴とは見られる、そうなったら彼でも恐らくついて来ないだろう。
かといって「遊ぶ」チャンスを逃すわけには行かない。どうする…どうする?!
「ねぇ、オラの話聞いてるぅ?」
ハッと我に返ると、しんのすけが疑いの眼差しを向けている。
「う、うん。聞いてたよ」
眉を動かしながら、ヘンゼルを見つめる。
「まぁいいゾ、オラの家族はきっと大丈夫!
 …ところてん、忘れてたけどお兄さんお名前なんて言うの?まだ聞いてなかったゾ」
ところで、と言いたいのだろう。
そう言えば名簿には…あの映画での名前が載っていた。
仕方がないがここはこの名前で名乗るしかないだろう…。
「僕はヘンゼル…そうだな、世界で二番目にカッコ良い双子の一人さ」
ほうほうと頷きしんのすけが顔を覗き込む。彼にもそのうち知られてしまうんだろう。
僕が殺し屋だと。そうなったら僕はどうしよう?
不快なものが大きくなってくる、
気がつけば片手が軽い、そう言えば繋がっている筈の手が…。
「ハァ~~イ、おねぃさぁ~~~ん。オラとお茶しなぁ~~~い?」
遠くへと爆走していくしんのすけの姿が見えた、視界の奥には剣を持った一人の女性が居た。

「ハァ~~イ、おねぃさぁ~~~ん。オラとお茶しなぁ~~~い?」
驚いたのは気配を消して歩いていたセイバー。
彼女が知っている筈が無いのだが、しんのすけの目と鼻は女性に対してだけ信じられない精度で働く。
さらに女性の下へ行くための脚力も格段に上がる。
セイバーは落ち着いて剣を構え直す。
しんのすけはセイバーに夢中で剣を構えている姿に気がつかない。
「すまない」
たった一言呟き、しんのすけを剣で薙ぐ。手と瞳には僅かな哀しみを込めて。
斬り裂いたのは、空気。
「なっ…どこだ、どこにいる!」
少し目線を下に落とすと、丸い坊主頭が見える。
「あハァ~~おねぃさんのおムネおっきいゾ~」
もう一つ、しんのすけは女性を見つけると常人離れした速度でその女性の胸に飛びつく。
セイバーの射程より僅かに広かったしんのすけの射程。セイバーが剣を振り上げた時に既に足元近く迄来ていた。
剣で薙ぐ間にしんのすけは胸をよじ登っていた、結果的にそれは回避行動となった。
「なっ…は、離せ!」
一気に紅潮するセイバーの頬、急いで身体を捩るがその程度ではしんのすけは離れない。
「でもゴツゴツしててお胸のほうには触れないゾ…」
「離せと…言っているッ!!」
服を掴み力任せに引き剥がし放り投げる。
「おわっ!!」
急な出来事にしんのすけは尻からバウンドし、近くの木に頭をぶつけて倒れた。
「許さない…許さないッ!」
怒りに身を任せしんのすけへと向かうセイバー、今度こそ確実に仕留める為に剣を振り下ろす。
「死ねぇッ!」


次は鉈に阻まれた。
「誰だ!私の邪魔をするや」
セイバーの時が、止まった。鉈の柄を持つ人物を見た、見てしまった。
カンキのエガオで、立っていたその少年を。
「ねえねえ、お姉さん」
怖い、怖い、怖い、怖いという感情と単語が身体の中を駆けずり回り。
両手は引きつり、足は知らぬ間に一歩下がっている。
「僕と、遊ぼうよ」

その声と同時にセイバーの剣が弾かれる。それが、合図。
間髪入れずにヘンゼルの蹴りがセイバーの腹部を狙う。
後ろに少しぐら付くがすぐに身を翻す、そこに銃撃が3発。
一つは頭部、残りは脚部に目掛けて放たれるが感情を振り切ったセイバーは全てはじき落す。
一発はじき落とすごとにセイバーも少しずつ進み、全てはじき落としたところで急加速し間合いを詰める。
肩、肩、頭、腰、手、頭、腰、足。セイバーの剣とヘンゼルのナタが流れるように動く。
「うーん、やっぱり姉様じゃないと上手く当たらないや。
 あーあ…斧があったらなぁ、もっと楽しめるのに…」
間合いを取りながら更に同じ場所に3発、再び弾丸が発射される。
「同じ手は食わない!」
気が付いていなかった、同じではなかった事に。飛来してくる一つの小さな木箱の存在に。
銃弾を3発弾く流れからその小さな木箱を両断する。銃弾を弾くより簡単な作業。


「う、うがああああああああああっ!!」


それが出来なかったのはその箱が只の小さな木箱ではなかったから。
箱の中身はスタンガンと大量の画鋲。
スタンガンを入れ、最大まで電圧を高めて入れる。後は持ち手の所に画鋲を敷き詰め上蓋をはめ込む。ここまでが仕込み。
そしてそれを投げつける。後は剣で受け止められたときに画鋲が前へと前進しスタンガンの電流に触れる。
家庭用電源とまでは行かないがある程度強い電流に触れた画鋲は発光を起こし、箱に僅かな裂け目が入った時に光が爆発的に漏れ出す。
第一の攻撃はこの光。これで剣に入る力が緩み、尚且つ目くらましになる。
剣は箱に深く突き刺さったままとなる、そこにスタンガンが触れる。

結果、高圧電流が身体に流れ込む。剣を離せば逃れられる。然し腕が動かない。
「あ、ああ…あ、ああああ!!」
電流に耐えながらセイバーは剣を振り切る、箱とスタンガンが潰れる音。
瞬間的な出来事だった。セイバーの視界は点滅しだし、体には痺れが残る。
ようやく正常に戻った視界には、既に少年の姿が。

「う…ぐっ!」
まず足払いを喰らい地面とに顔からぶつかり、笑い声が頭の中に木霊する。
右肩に深く突き刺さるナタ、何回も、何回も。笑顔でセイバーの両肩にナタが振り下ろされる。
「あはははは、ははははっ、はははハははハハ!!」
肩に力が入らず剣が握れなくなってきた、抵抗できなくなってから殺すつもりのようだ。
「…そろそろお別れしようか、お姉さん」
殺される?ダメだ、それだけはダメだ。私は死ねない。民の為に、私自身の為に。
「私は…死ねない!」
私は、剣を振るった。その後に何も考えずにとにかく魔力を練った。
「勝…利すべき……」
目の前の少年を倒すために。
「黄金の…剣!」




「あいたた…かーちゃんのゲンコツより痛いゾ…」
しんのすけが頭のたんこぶを抑えながら起き上がった。
日頃からゲンコツで鍛えられている彼の頭はある程度の強打に耐えられるほどの石頭になっていた。
「お、そういえばヘンゼルがいないゾ?」
数秒後、しんのすけはすぐ隣に吹き飛んできたヘンゼルの姿を見た。

「くそっ、上手く実体化できないッ…」
いつもなら微塵すら残さず消し飛ばす事ができるであろう剣が、相手に切り傷を与え吹き飛ばす程度にまで落ちていた。
即興で練ったとは言えここまでできれば十分か、まだまともに動けるうちに止めを刺しに向かう。

「ヘンゼル…」
「やぁ…目が醒めたみたいだ…ね」
物凄い量の出血と相当深い傷を負いながらヘンゼルはしんのすけに話し掛ける。
「家族に、会いた、いなら。早く、逃げるとい、い」
僕は何を言ってるんだろう?頭の中がズキズキする…。
「嫌だ!そんなことできるわけ無いゾ!」
大粒の涙を流しながらしんのすけがヘンゼルに縋りつく。
「…オラが、オラがヘンゼルを守るゾ!」
しんのすけはニューナンブを、いつか見た映画の見様見真似で構え。
「おねぃさんの…オバカァ~~!!!」
銃声が一発。防御姿勢を取るが肩が上手く動かない。鎧に銃弾がめり込む。
「ヘンゼル…待ってて、今オラがおんぶしてやるゾ!」
明らかに体型が違うヘンゼルを、ムリして担ぐしんのすけ。

「ま、待てぇっ!」
足は負傷していないセイバーが一気にしんのすけに間合いを詰める。セイバーの息遣いが間近にまで聞こえたときだった。
ヘンゼルが持っていた大鉈をセイバーに向かって投げつけ、防御姿勢を取るのが遅れたセイバーの鎧に突き刺さる。
さらにしんのすけに「いつでも出せるようにしておいて」と言っておいた手榴弾をしんのすけのデイパックから取り出し投げつける。

ナタに対処している間に手榴弾が彼女を襲う、防御も間に合わず直撃。
吹き飛ばされた先ではしんのすけの姿は見えなくなっていた。
よく見れば自分の鎧に裂け目が入っている。肩も動かすのが限界である。
彼女は近くの木にもたれかかり傷の治癒を始めた。もう、今は喋る元気すらない。

「待ってて、ヘンゼル…」
ヘンゼルをおぶっているしんのすけは半ばヘンゼルの足引き摺りながら走っていた。
「オラが、なんとかしてあげるゾ…!」
しんのすけは走りつづけた、ヘンゼルが助かる望みを抱いて。
ただ、ただ。走りつづけた。


【B-4西部・1日目 黎明】
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に裂傷とやけど、両肩を大きく負傷、鎧に裂け目、極度の疲労。
[装備]:カリバーン、大ナタ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:傷を治す
2:優勝し、王の選定をやり直させてもらう

【B-4東部・1日目 黎明】
【ヘンゼル@BLACK LAGOON】
[状態]:右肩から深い切り傷(治療が受けられない場合…?)、気絶
[装備]:コルトM1917(残弾なし)
[道具]:支給品一式、コルトM1917の弾丸(残り12発)
[思考・状況]
1:手慣れた斧が欲しい
2:不快感の正体を探る(?)
3:襲ってくる奴をできるだけ「遊ぶ」
4:グレーテル、しんのすけの家族と合流

【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:中度の疲労、全身にかすり傷、頭にたんこぶ、ヘンゼルをおぶっている
[装備]:ニューナンブ(残弾4)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:ヘンゼルを助けたい
2:みさえとひろし、ヘンゼルのお姉さんと合流する
3:ゲームから脱出して春日部に帰る

※スタンガンは破壊されました。B-4西部にばら撒かれた画鋲は拾えば使用可能です


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16:勝利すべき黄金の剣 セイバー 100:王様の剣
04:哀しい少年feat無邪気少年 ヘンゼル 85:「無事でよかった」
04:哀しい少年feat無邪気少年 野原しんのすけ 85:「無事でよかった」





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