ある接触 ◆M91lMaewe6


ランタンのオレンジ色の明かりが、無数の傷と血で彩られた大剣を煌々と照らす。
佐々木小次郎はこの大剣を見て感嘆のため息をついた。
これは間違いなく、歴戦の戦士が扱っていたものと彼は確信した。
そして、この死合いの参加者に与えられる支給品の何割かが、参加者の本来の持ち物だという推測が浮かんだ。

そうであって欲しいと、彼は心から思った。
彼の本来の武器である長剣、物干し竿を取り戻した上で戦いに赴きたかったのもある。
だが、それ以上にこの大剣の本来の持ち主と出会い、戦う事ができるならどれだけ己を高め、
喜びを得ることができるのだろう。彼の心は躍った。

彼は口元に笑みを浮かべつつも、何者かがここに接近しつつあるのを察知した。
接近者が敵で飛び道具の使い手なら、すぐにの粉を払わねばと、ゆったりとした歩調で気配の方へ顔を向けた。
彼の間合いからは相当距離が離れていたものの、そこには銀色の甲冑を着た細身の人間の姿が確認できた。
肌に当たる部分は確認しづらかった、なぜなら相手は褐色の肌を持つ女、キャスカだったからだ。

★★★

南の町へと足を運んでいたキャスカは突如目に入った光景に目を見開く。
川のほとりにいる、自分に支給された大剣よりも更に大きな剣を手に持った一人の青年の姿。
キャスカは青年を思わず一瞬、ガッツかと思った。
しかし、その考えはすぐに打ち消した。
なぜなら青年は彼と比べ背は低く、記憶にある限り体格も違っていたからだ。
キャスカは少しずつ、歩を進め青年に近づく。

「そなたは何を望む」

接近を悟った小次郎が親しげとも言える口調でキャスカに問いかける。
キャスカは問いに答えなかった。どうやら飛び道具の類は携帯している様子はないと彼女は分析する。
後は、向こうの青年が大剣をどう扱うか等の力量の見極めだ。
体格を見る限り、まともにアレを扱えるかどうか怪しい。
他に周囲に人影は無い。仕掛けようか?

いや……ゲームの主催である、仮面の男に食って掛かった者の中には、見たことの無い青い動物がいた。
数年前、ガッツとグリフィスが戦い、自らも一目見た怪物『不死者のゾッド』は戦闘し始めのときは、比較的人に近い姿をしていたと聞いた。
人外が化けているなら、自分から仕掛けるのは無謀だなとキャスカは自重する。
小次郎は肩をすくめ、剣をゆっくりと振った。

「…………ッ!」

キャスカの戦闘本能が警鐘を鳴らし始めた。
あの男は間違いなくアレを使いこなせるとキャスカは判断した。
小次郎はゆっくりとした足取りで、キャスカに近づく。
キャスカも覚悟を決め、小次郎に接近しようとする。
小次郎はそれを確認し、足を止める。

「くっ……」
キャスカは数歩下がった。このまま進めば命を刈り取られると思ったからだ。
小次郎は瞬時に間合いから離れた少女を見るや、その力量に感嘆した。
思わずキャスカはじりじりと後退をする。
ガッツやグリフィスと同等以上の力量を持つであろう、参加者がいる事実を認識せざるを得なかったからだ。

なぜか相手から、殺気はあまり感じとれない。もしかしたら撤退は可能かもしれない。
そう思ったキャスカであったが、ガッツとグリフィスの顔が浮かび、とっさに自制した。

グリフィスは負けず嫌いだ。目の前の男に見逃す気があっても、彼は勝てるまで逃げようとしないだろう。
ならグリフィスの剣である以上、取るべき行動はとキャスカは己を奮い立たせる。
キャスカは剣を構え、小次郎はそれをみるや一歩踏み込み、彼の視線がキャスカの持つ剣に移った。
キャスカはそんな小次郎の様子を怪訝に思う前に、それを好機と見て弾かれた様に彼に向かって走った。

一瞬遅れて、小次郎はキャスカを迎え撃たんとする。
少女はもう目の前だった。疾いと小次郎は思った。
彼は大剣の向きを変え、盾で受けるような構えを取った。
キャスカはその行動を理解できなかったが、攻撃を鈍らせるような真似はしなかった。
瞬時にキャスカの剣突きの軌道は変わり、小次郎のわき腹を斬らんと進んだ。

「!」
いやな予感がし、キャスカはとっさに横にジャンプしようとした。
がっ……と小次郎の足払いがキャスカの足を掠めた。

体勢が一瞬崩れてしまった。小次郎は大剣を無造作に横に払った。
キャスカは思わず、受けの構えを取ってしまう。
致命的な失敗とキャスカの頭にそれがよぎる。
次に浮かんだのはガッツとグリフィスがはじめて戦ったときの光景。
キャスカはとっさに後方へ飛んだ。
大剣がキャスカの剣にぶち当たる、彼女はそれを受け流そうと動く。
この攻撃を凌げたら……!と自らに即攻撃と命令を出した。
体重もスピードも乗っていないとはいえ、持つ剣では攻撃に耐え切れないのは
彼女自身も半ば確信していたはずだった。
キャスカは地面を手につき、前方へと思い切り剣を突き出した。
黄金の剣は大剣を受け止めることができたのだ。

服と肉を裂くかすかな感触が伝わった。
反撃はすぐに来る。キャスカはすぐに身を仰け反らせ、回避する。
剣を口にくわえ、全力でバク転を続け、大きく後方へと下がり続ける。
彼女は小次郎から遠ざかろうとダッシュしようとするが、いやな予感を感じ取り身構える。

小次郎が大剣を投げつけようとしてるのが見えた。
キャスカは剣を構え、じりじりと後退を始める。
小次郎の右大腿部からは血がにじんでいた。

★★★

少女は草むらに腰を下ろした。息は荒い。
キャスカは小次郎が追ってこないのを確信した。これからの方針を考える。
結局、あの男から逃げざるを得なかった。
悔しい気持ちよりも、安堵する気持ちが強かった。
今の状態でこれ以上、手傷を負わせられないと解ったからだ。
すぐにグリフィスに貢献できなかったのは残念だが、それなりの収穫はあった。

手に持っている黄金の剣。あれほどの重量を持つ剣の斬撃に耐えることができたのだ。
ただの剣でない証拠だ。他の参加者の支給品の中にはもっと強力なものがあるかもしれない。
それをうまく使えば、ガッツやさっきの男とも互角以上に渡り合えるかもしれない。
それ故、参加者を次々襲撃するのは後回しにしようとキャスカは決めた。
飛び道具が欲しいと思った。ボウガンくらいならキャスカ自身うまく扱える。
町に行くかは放送を聞いてから決めようかとキャスカは思った。

★★★

小次郎はキャスカが姿を消したのを確認すると、川面に近づいた。
手にやった臀部から血は流れているが、深手ではない。
小次郎は思わず笑みを浮かべた。キャスカに逃げられたのを残念とは思わなかった。
技量自体、相当なものでそう易々と殺されはしないだろうと判断してるからだ。
あの女は小次郎自身も知る騎士王が使っていた、黄金の剣を持っていた。
あれを警戒したが故に防御態勢を取ったが、あの女剣士相手には違う戦法の方が良かったようだ。
まあいい……次に会うときがあれば、もっと強くなっていることだろう。
夜明けも近い、行き先は放送を聞いてから決めようか……。
小次郎は茂みの方に身を潜ませ、治療を始めた。


【C-5・1日目 早朝】

【キャスカ@ベルセルク】
[状態]:軽度の疲労
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、カルラの剣@うたわれるもの(持ち運べないので鞄に収納しました)
[思考・状況]
1:放送まで休憩する。
2:飛び道具を手に入れる。それまでは能動的な攻撃行動は控える。
3:他の参加者(グリフィス以外)を殺して最後に自害する。
4:エクスカリバーを使いこなす


【B-5の東部の川のほとり・1日目 早朝】

【佐々木小次郎@Fate/stay night】
[状態]:右臀部に刺し傷。平常心。
[装備]:竜殺し@ベルセルク
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1.放送まで傷の手当てをしつつ休憩。
2.兵(つわもの)と仕合たい。基本的には小者は無視。
3.竜殺しの所持者を見つけて、そいつと戦う。
4.物干し竿を見つける。


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50:飛び込んで行け、夜へ キャスカ 116:吸血鬼DAYDREAM
14:奥様は6インチの魔法少女! 佐々木小次郎 133:幕間 - 『花鳥風月~VSアサシン0』





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