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魔女は夜明けと共に ◆FbVNUaeKtI


あの女の命が尽きて・・・私が街にたどり着いた頃にはもう、かなりの時間が過ぎていた。
現場から急いで離れたあと、荷物を纏めるのに私は思った以上の時間を費やしてしまったのだ。
(もうすぐ朝ね・・・果たして今日は、いい一日になるのかしら)
まだ薄暗い空を、軽く苦笑しながら一瞥。
そしてすぐに、私の目は元の職務―すなわち、周囲の警戒へと戻る。
森を抜けてすぐの造成地らしき住宅街。
山を背にして高台に建ち並ぶ数件の家屋。その塀を盾に、私はゆっくりと人の姿を探す。
人を集めようと彷徨う者。人を殺そうと彷徨う者。
前者にせよ後者にせよ、こちらが先に見つけるように心がけたい。
運命に打ち勝つためにまず必要なのは、相手に対する知識。情報なのだ。
先手を取り、知識を得、先を読み、自らの領域へと誘い込む。
それは、大切な仲間達との部活で・・・繰り返される日常で学んだこと。
(複雑化する社会において、順境、逆境、いかなる状況においても適応できるよう・・・だったかしら?
 魅音の言う通りになってしまったわね。本人はそんなつもりじゃなかったでしょうけど。くすくす)
ともかく、運命に打ち勝つためには、情報が、先手を取ることが必要なのだ。
そして、こちらの存在に気づかれる事がなければ。
相手を不意打ちで殺すことが出来れば、運命に立ち向かう力を得ることが出来るかもしれない。
(さっきみたいに・・・と言いたいところだけれど)

つい先刻、戦闘直後の不意をついて殺した女。
彼女から手に入れた二つの支給品は、どちらもハズレとしか言いようの無い物だった。
一つは彼女の手にしていた銃・・・これは銃と言っていいのだろうか?
傘でさえ持て余しているのに、それ以上の大きさと威力があるのだ。
明らかに私では扱えない。仮に扱えたとしても、時と場所を考える必要性があった。
そして、もう一つの支給品。鞄のそこから出てきたそれに、私はよく見覚えがあった。
これまた、今の私では扱えない。いや、扱う必要すらない。
この状況では全く使えないその布切れに、少し苛立ちを感じた。
(まあ、ともかく。いま使える道具はスタンガンと・・・この傘くらいのものね)
その傘ですらも不意の戦闘には弱い。体勢も整えずに使うと、私の体格ではどうしても転倒してしまう。
やはり、こちらにアドバンテージがある状況でないと駄目なのだ。
(結局のところ、先手を取らなきゃ生き残れないって事ね)
だからこそ、私は目を皿のようにして参加者を探す。
遠くを走り去る電車。時折聞こえる風の音。そして・・・私は彼を見つけた。

その少年は一本の竹刀を手に、近くの通りを歩いていた。
(ずいぶん体格がいいわね・・・圭一くらいの歳かしら)
そんな事を考え、あまりにどうでもいい内容に頭を振る。
私が考えるべきはそんな事じゃない。殺せるか、否かだ。
少年は、周囲を多少確認するものの・・・背後を顧みる事無く、無用心に前進している。
私との体格差から、普通に襲い掛かるのは無謀と判断。
かといって、この位置から撃っても弾は当たりそうにもない。
私は素人なのだ。狙って当てるなんて分が悪すぎる。
だが・・・一人で行動している、それもあんなに無用心な参加者を見逃すのは多少惜しい。それならば・・・

そっと鞄に傘を仕舞い、懐に手をやる。そこにはスタンガンの固い感触。
・・・相手を静かに尾行し、隙を見せたら襲い掛かる。
幸い、彼はまだ私の存在には気づいていない。
ならば、少しの間泳がせて、決定的な隙をみせた時・・・
それは休息の瞬間でも、戦闘の間際でもいい。その瞬間に、狩る。
(尾行は羽入の得意分野なのだけど・・・)
そんな事を考えながら、追跡を開始する。
電信柱に隠れ、塀に隠れ・・・影から彼を観察する。
竹刀を右手に持ち、腰には変なうちわ。そして左腕には、人形。
緑色の服を着けたそれは、愛らしい少女の姿をしていた。
どう見たって彼には似合わないそれに、私は少し眩暈を感じた。
どうやら、相当変わった趣味を持っているらしい。
彼の腕にしっかりと抱えられた少女の人形。
その身体は何故か進行方向と逆、少年の後方へと向けられている。
肩口から上半身を覗かせ、その両腕には悪趣味な事に人形には合わないサイズの銃が抱えられていた。
(レナなら“かぁいい”とか言ってお持ち帰りするのかしら?
 というか、あの拳銃って本物・・・?)
などと考えていると・・・不意に、その左右で色の違う瞳と目が合った気がして・・・
「フリーズ!武器を捨てやがれです!
 そこに隠れてるやつは両手を挙げて“とーこー”しろです!」
それが叫んだのと、私が人形の首にある物に気づいたのは、ほぼ同時だった。
(首輪!?あれも参加者だっていうの?いや、それよりも奴等に気がつかれた!)
声と同時に少年も振り返る。私は軽く服の乱れなどを確認して、おずおずと彼等の前に出て行った。

「みー・・・お人形さんがこわいのです・・・撃たないでほしいのですよ・・・」

◆◆◆◇◆◆◆

「みー・・・お人形さんがこわいのです・・・撃たないでほしいのですよ・・・」

そう言って電柱の影から出てきたのは、怯えた目をした女の子だった。
てっきり恐ろしい殺人鬼でもいるんじゃないかと思っていた俺は、少し拍子抜けする。
「そんな事言っても騙されないです!お前は無茶苦茶怪しいです!」
「お、おい、やめろよ。怯えてるじゃねえかよ」
思わず出た制止の言葉に、銃を突きつけているスイセイセキが不満そうに口を尖らせた。
「わりぃな。驚かせるつもりは無かったんだ」
俺がそう言って謝っても、女の子は涙目で“みー”としか言わない。
どうしたらいいのかもわからず言葉に詰まってると、銃を突きつけたままのスイセイセキが言った。
「はやくバッグから武器を出しやがれです!」
その言葉におずおずと鞄を降ろして・・・女の子は鞄から三つの物を取り出した。
それは真っ黒な傘と、黒くて変なひらひらのついた布切れ、そして・・・
「なんだ、こりゃ・・・」
鞄から最後に出てきたのは、大人の背丈よりでっかい銃だった。
あまりのでかさにスイセイセキも目を丸くしている。
「疑って悪かったな。ほら、お前も謝れよ」
俺の言葉に頬膨らませやがる人形。謝る気は無いみたいだ。
「・・・もういいのですか?なら、片づけるのを手伝ってほしいのですよ」
傘を仕舞いながらそういう女の子。俺は慌てて銃を仕舞うのを手伝った。

「本当にすまねえな・・・俺は武。剛田武ってんだ」
「みー。ボクは古手梨花なのですよ」
そう言って、古手は“にぱー”っと笑った。その笑顔が何故か、俺の落ち着きを奪う。
慌てて顔を逸らしながら、俺はスイセイセキに自己紹介するように言った。
「翠星石は翠星石です。けど、翠星石は信じたわけじゃないです!
 後をつけてくるような、“すとーかー”は信用できないです!」
厳しい言葉に、古手の顔が暗くなる。俺はスイセイセキの頭を軽くはたく。
そして、文句を言いまくるそいつを無視しながら古手に声をかけた。
「えっと・・・大丈夫だ。俺は怪しんでねえからよ」
「・・・ごめんなさいなのです・・・すごく怖かったのです。実は・・・」
そう言って、古手は自分が見たものについて話し始めた。
それは人が人を殺す光景。金髪に黒い服の少女が、人を襲っている姿。
そして、古手自身も犬みたいな耳飾をつけた奴に襲われたらしい。
命からがら逃げたしたのだけど、物凄く怖くて、震えが止まらなくて・・・
その後、俺の姿を見つけて、恐る恐る追いかけて・・・
語り終える頃には、古手の顔は真っ青になり、身体はガタガタと震えていた。
その様子に俺は・・・死んじまった、あの女の子の事を思い出す。
この子を元気づけてやりたい・・・
(けど、こういう場合どうすればいんだ?)
俺は悩んで悩んで悩みぬいて、ふとある事を思いついた。
右手に持っていた竹刀。それに付いている、人形を取り外す。そして・・・

「これやるよ。だから、元気だせ・・・その、俺が守ってやるからよ」

◆◆◆◇◆◆◆

「これやるよ。だから、元気だせ・・・その、俺が守ってやるからよ」

そう言ってデブ人間がすとーかーに差し出したのは、小さな人形だったです。
ふざけるのも大概にしやがれです!そんな怪しい奴を守ってどうするんです!
だから、デブ人間はお人よしだってんですよ!
さっきだって、翠星石が歩くのが遅いとか言って抱き上げやがって、馬鹿にすんなです!
かわりに翠星石が後ろを見張ってやったんで貸しは無しです!
むしろ、すとーかーを発見したんで、翠星石に貸し1です!

だいたい、すとーかーもすとーかーです。
「かわいい猫さんなのです。武、ありがとうなのです」
じゃねえってんですよ!
確かに、酷い目にあったみたいですけど・・・少しどころか、凄くかわいそうですけど・・・
なに猫人形程度で立ち直ってやがるんですか!
心配した翠星石が馬鹿みたいです!元気になって清々したです!
・・・・・・ともかく、気に入らないんで言ってやるです!

「翠星石は信用したわけじゃないです!
 ・・・けど、デブ人間に免じて信じてやるです。ありがたく思えです!」

◆◆◆◇◆◆◆

「翠星石は信用したわけじゃないです!
 ・・・けど、デブ人間に免じて信じてやるです。ありがたく思えです!」

人形の放ったその言葉に、私は軽く苦笑した。
(まあ、いいわ。とりあえず二人には信用してもらえたみたいだし)
猫の人形を指で弄ぶ。これから、この二人には存分に役に立ってもらおう。
私が生き残るために。私が運命に打ち勝つために。
(・・・使えないようなら、早めに処分しないとね)
サイコロはうまく転がってゆく・・・すこし気分が良くなった私は、手元にあった布切れを・・・
水着と同じくらいの露出度を誇る、その制服を目の前の少年に押し付けることにした。
「ならボクは、これをプレゼントするのですよ。にぱー」
極上の笑顔に少年も笑う。見上げた空は赤く染まっていた。

(果たして今日は、いい一日になるのかしら・・・?くすくす・・・)



【D-6 E-6との境界付近 早朝】

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康
[装備]:スタンガン(服の影に隠しています)@ひぐらしのなく頃に
     虎のストラップ@Fate/ stay night
[道具]:荷物一式三人分、ロベルタの傘@BLACK LAGOON
     ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾5発、劣化ウラン弾、残弾6発)@HELLSING
[思考・状況]
 1:猫をかぶって、剛田武と翠星石を利用する
 2:二人が役に立たないようなら、隙を見て殺す
 基本:ステルスマーダーとしてゲームに乗る。チャンスさえあれば積極的に殺害
 最終:ゲームに優勝し、願いを叶える

【剛田武@ドラえもん】
[状態]:健康
[装備]:虎竹刀@Fate/ stay night、強力うちわ「風神」@ドラえもん
[道具]:支給品一式、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
 1:ドラえもん、のび太、スネ夫を捜す
 2:翠星石と梨花を守ってやる
 基本:誰も殺したくない
 最終:ギガゾンビをぶん殴る

【翠星石@ローゼンメイデンシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:FNブローニングM1910@ルパン三世
[道具]:支給品一式、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ
[思考・状況]
 1:蒼星石を捜して鋏を届ける
 2:チビ人間(桜田ジュン)も“ついでに”捜す
 3:デブ人間(剛田武)の知り合いも“ついでに”探してやる
 基本:蒼星石と共にあることができるよう動く

※カルラの不明支給品を“エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に”に決定しました
※剛田武の不明支給品を“虎竹刀@Fate/ stay night”に決定しました
※翠星石の不明支給品を“FNブローニングM1910(峰不二子の愛銃)@ルパン三世”に決定しました


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59:「友達だ」 古手梨花 118:ハートの8
65:彼女の死を乗り越えて 剛田武 118:ハートの8
65:彼女の死を乗り越えて 翠星石 118:ハートの8




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