KOOL EDITION ◆FbVNUaeKtI
私は無力だ。
多少の語弊はあるかもしれない。けど今、この場において私は無力だった。
確かに私は、通常の有機生命体には使用不可能な能力を行使できる。
だけど、この世界では。情報統合思念体へのアクセスも出来ず、能力も制限されている現状では。
私の力を上回る有機生命体も少なからず存在していて。
私は無力だ。だからこそ、『怖い』
データの破壊が。自身の消滅が。
初めて実感する、暗く濃密な死の存在が。
多少の語弊はあるかもしれない。けど今、この場において私は無力だった。
確かに私は、通常の有機生命体には使用不可能な能力を行使できる。
だけど、この世界では。情報統合思念体へのアクセスも出来ず、能力も制限されている現状では。
私の力を上回る有機生命体も少なからず存在していて。
私は無力だ。だからこそ、『怖い』
データの破壊が。自身の消滅が。
初めて実感する、暗く濃密な死の存在が。
「死にたくない」
ただ、その呟きだけを繰り返しながら、私は部屋の隅で膝を抱えていた。
動けない。動きたくない。だからこのまま、すべてが終わるまで隠れていよう。
誰にも見つからないように。誰にも出会わないように。誰にも殺されないように。
動けない。動きたくない。だからこのまま、すべてが終わるまで隠れていよう。
誰にも見つからないように。誰にも出会わないように。誰にも殺されないように。
「死にたくない」
鞄から取り出しておいた鎌を、じっと見つめながら繰り返す。繰り返す。
右手にしっかりと握られたそれは、私の持つ唯一の保険。
時間をかけて切れ味を増した刃は、侵入してくる者に死を振りまくための物。
そうだ、分銅も強化しよう。追尾機能をつければ、確実に相手を殺せる。
確実に私は死なない。確実に私は生き残れる。
・・・ほんとに? ほんとに、この方法で生き残ることが出来るの?
右手にしっかりと握られたそれは、私の持つ唯一の保険。
時間をかけて切れ味を増した刃は、侵入してくる者に死を振りまくための物。
そうだ、分銅も強化しよう。追尾機能をつければ、確実に相手を殺せる。
確実に私は死なない。確実に私は生き残れる。
・・・ほんとに? ほんとに、この方法で生き残ることが出来るの?
唐突に疑問が浮かぶ。
たとえ、武器を強化したとしても、より強い敵―例えば先ほどの青年、劉鳳などが現れたらどうする?
ここは遊園地から、そう離れた場所というわけではない。
他に建築物が多数存在するとはいったって、彼がここを見つけ出す可能性は無いとは言い切れない。
それ以外にも危険な生命体に存在を感づかれたら? そもそも、この場所が禁止エリアに指定されたら?
ここに篭っていれば確実に生き延びれるわけではないのだ。
じゃあ、どうする? どうすれば、生き残れるの?
たとえ、武器を強化したとしても、より強い敵―例えば先ほどの青年、劉鳳などが現れたらどうする?
ここは遊園地から、そう離れた場所というわけではない。
他に建築物が多数存在するとはいったって、彼がここを見つけ出す可能性は無いとは言い切れない。
それ以外にも危険な生命体に存在を感づかれたら? そもそも、この場所が禁止エリアに指定されたら?
ここに篭っていれば確実に生き延びれるわけではないのだ。
じゃあ、どうする? どうすれば、生き残れるの?
「冷静に。冷静に考えなさい・・・」
自分を叱咤しながら、思考する。私がこの先、生きのこるためにはどうすればいい?
こちらが不利な状況で強い相手とも戦える、そんな方法はあるの?
例えば、何の能力も有していないはずのキョン君が、未だにここで生存している。その理由は何?
こちらが不利な状況で強い相手とも戦える、そんな方法はあるの?
例えば、何の能力も有していないはずのキョン君が、未だにここで生存している。その理由は何?
「・・・仲間」
そう、その方法はおそらく、徒党を組む事。
自分よりも強い存在に防衛してもらう事で、自らの生存確率を高める。
おそらくはキョン君やその他の無力な有機生命体はみな、この方法を取っているんだろう。
さらに数量が増せば増すほど、対外的な力も増していく。生存確率は更に高まる。
つまり、私が生き残るためには無力な有機生命体を装って、集団に入り込むのが最善。
要は涼宮ハルヒを観測していた時と同じ事だ。
自分よりも強い存在に防衛してもらう事で、自らの生存確率を高める。
おそらくはキョン君やその他の無力な有機生命体はみな、この方法を取っているんだろう。
さらに数量が増せば増すほど、対外的な力も増していく。生存確率は更に高まる。
つまり、私が生き残るためには無力な有機生命体を装って、集団に入り込むのが最善。
要は涼宮ハルヒを観測していた時と同じ事だ。
「とすると、問題はひとつね」
この方法を取るにあたっての最大の障害。
それはもちろん、私の今までの行為を知っている人間だ。
劉鳳に野原ひろしという名の少年、桃色の髪の少女。それから場合によっては、キョン君と長門さんも。
この中で、すでに死亡している野原ひろしを除くと残りは4名。
キョン君や長門さんは、協力関係を結べる可能性もあるから除外。
夜に出会った名前も知らない少女。彼女はすでに死亡している可能性もあるが、用心に越したことは無い。
それはもちろん、私の今までの行為を知っている人間だ。
劉鳳に野原ひろしという名の少年、桃色の髪の少女。それから場合によっては、キョン君と長門さんも。
この中で、すでに死亡している野原ひろしを除くと残りは4名。
キョン君や長門さんは、協力関係を結べる可能性もあるから除外。
夜に出会った名前も知らない少女。彼女はすでに死亡している可能性もあるが、用心に越したことは無い。
「そういえば、彼女とは約束をしてたっけ」
自分の駒となって他の参加者を殺すこと。その命令を、恐怖と一緒に心に刻み込んだんだった。
もし、あの約束を律儀に守っているようなら、彼女と組むのもいいかもしれない。
だから、あの少女は保留。よって、今、もっとも危険なのは劉鳳。
彼の口によって私の情報が広まる事は避けられないだろう。なら、どうすればいい?
私が朝倉涼子という存在だとわからないよう、容姿をつぶしてしまえばいい。
顔でも潰したら、それでもう、誰にも判別はつかなくなるだろう。
右手にしっかりと握られた鎌を見つめると、私はおもむろにその刃を自らに向けた。
もし、あの約束を律儀に守っているようなら、彼女と組むのもいいかもしれない。
だから、あの少女は保留。よって、今、もっとも危険なのは劉鳳。
彼の口によって私の情報が広まる事は避けられないだろう。なら、どうすればいい?
私が朝倉涼子という存在だとわからないよう、容姿をつぶしてしまえばいい。
顔でも潰したら、それでもう、誰にも判別はつかなくなるだろう。
右手にしっかりと握られた鎌を見つめると、私はおもむろにその刃を自らに向けた。
一時間後。意を決した私は、戸口の影から顔をだす。
周囲に人影は無い。それを確認した私は、そっと屋内に戻った。
と、不意に木の葉の擦れる音が響き、それと一緒に穏やかな風が玄関に吹きこむ。
あらわになった首筋に直接、空気の流れを感じた。
・・・多少、迷った挙句。容姿の問題に対して、私は髪を切断する程度にとどめていた。
人相を潰すのは確かに効果的だけど、同時に短絡的でもあるだろう。
顔が切り刻まれていたら、相手に余計な警戒を抱かれかねない。
短くなった髪を触りながら、私は黒色のコートを羽織る。
それは、この家で唯一発見した、まともな衣服。
少し暑苦しいが、それはしょうがない。死ぬよりはましなのだから。
ともあれ、これ以外の衣服を手に入れる必要もある。
こんな、上から身につけるものなどではなく、制服の換えになる衣服が必要なのだ。
強化し、編みこんだ髪を懐に忍ばせて・・・私は行動を再開した。
周囲に人影は無い。それを確認した私は、そっと屋内に戻った。
と、不意に木の葉の擦れる音が響き、それと一緒に穏やかな風が玄関に吹きこむ。
あらわになった首筋に直接、空気の流れを感じた。
・・・多少、迷った挙句。容姿の問題に対して、私は髪を切断する程度にとどめていた。
人相を潰すのは確かに効果的だけど、同時に短絡的でもあるだろう。
顔が切り刻まれていたら、相手に余計な警戒を抱かれかねない。
短くなった髪を触りながら、私は黒色のコートを羽織る。
それは、この家で唯一発見した、まともな衣服。
少し暑苦しいが、それはしょうがない。死ぬよりはましなのだから。
ともあれ、これ以外の衣服を手に入れる必要もある。
こんな、上から身につけるものなどではなく、制服の換えになる衣服が必要なのだ。
強化し、編みこんだ髪を懐に忍ばせて・・・私は行動を再開した。
【F-4民家付近/1日目/昼】
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:側頭部に傷(少し回復)、首までの短髪、死に対する恐怖
[装備]:鎖鎌(ある程度の強化済み)、黒いコート、布状に編みこんだ髪(ある程度の強化済み)
[道具]:支給品一式(食料無し)、ターザンロープの切れ端@ドラえもん
輸血用血液(×3p)@HELLSING、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱
[思考・状況]
1:遊園地から離れつつ換えの衣服を探す
2:集団に潜り込み生存確率を高める
3:劉鳳に対して最大の警戒をはらう
4:桃色髪の少女が約束を守っているようなら組んでもいい
基本:絶対に死にたくない
[状態]:側頭部に傷(少し回復)、首までの短髪、死に対する恐怖
[装備]:鎖鎌(ある程度の強化済み)、黒いコート、布状に編みこんだ髪(ある程度の強化済み)
[道具]:支給品一式(食料無し)、ターザンロープの切れ端@ドラえもん
輸血用血液(×3p)@HELLSING、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱
[思考・状況]
1:遊園地から離れつつ換えの衣服を探す
2:集団に潜り込み生存確率を高める
3:劉鳳に対して最大の警戒をはらう
4:桃色髪の少女が約束を守っているようなら組んでもいい
基本:絶対に死にたくない
※鎖鎌の切れ味が強化されています。
※布状に編みこんだ髪は硬度を強化されていますが、ナイフが通りにくい程度です。
※布状に編みこんだ髪は硬度を強化されていますが、ナイフが通りにくい程度です。
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