がんばれジャイアン! ◆lbhhgwAtQE
こんなはずじゃなかった。
今までの冒険だったら、どんなにヤバくなっても最後はみんなで力を合わせりゃなんとかなった。
俺達はそうやって、恐竜ハンターや独裁者、ロボットの軍団みたいな強い奴らを倒してきたんだ。
ギガゾンビだって……まぁタイムパトロールが大体は何とかしちまったけどよ、俺達が動かなきゃどうなってたか分からなかったんだぜ?
……とにかく、そういう訳だったんだ。
今までの冒険だったら、どんなにヤバくなっても最後はみんなで力を合わせりゃなんとかなった。
俺達はそうやって、恐竜ハンターや独裁者、ロボットの軍団みたいな強い奴らを倒してきたんだ。
ギガゾンビだって……まぁタイムパトロールが大体は何とかしちまったけどよ、俺達が動かなきゃどうなってたか分からなかったんだぜ?
……とにかく、そういう訳だったんだ。
……だけど、今回は違った。
脱獄して、俺達に再び姿を見せたギガゾンビはいきなりしずかちゃんを殺しやがった。
しかも、俺達を離れ離れにしてこんなところに放り出しやがって……そして直にスネ夫や先生も誰かの手に掛かって……。
だから俺は心に決めたんだ。
翠星石や梨花ちゃん、それに魅音姉ちゃんを守ってみせる。
そして心の友ののび太とドラえもんを絶対見つけ出して、そんでもって力を合わせてギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやるってな。
……それなのに。
それなのによぉ……。
脱獄して、俺達に再び姿を見せたギガゾンビはいきなりしずかちゃんを殺しやがった。
しかも、俺達を離れ離れにしてこんなところに放り出しやがって……そして直にスネ夫や先生も誰かの手に掛かって……。
だから俺は心に決めたんだ。
翠星石や梨花ちゃん、それに魅音姉ちゃんを守ってみせる。
そして心の友ののび太とドラえもんを絶対見つけ出して、そんでもって力を合わせてギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやるってな。
……それなのに。
それなのによぉ……。
――まさか…こんな形で…繰り…返し…のさんげ…きは…と……め…ら……れ………な……………
――許さないです。全部っ、ぜんぶおまえらが悪いです!
――あんた仲間を! 殺してやる!!
ちくしょう!
何であんなことになっちまったんだよ!
俺達は仲間だったんだろ……! なのに……何で……何で…………。
梨花ちゃん……守れなくって本当にごめんな……。
魅音姉ちゃん……無事でいてくれよ……。
翠星石……お前に一体何があったんだよ……。
何であんなことになっちまったんだよ!
俺達は仲間だったんだろ……! なのに……何で……何で…………。
梨花ちゃん……守れなくって本当にごめんな……。
魅音姉ちゃん……無事でいてくれよ……。
翠星石……お前に一体何があったんだよ……。
魅音姉ちゃんも気になるけど、今は翠星石を何としても見つけ出して、話を聞かなくちゃいけない。
何であんなことをしちまったのか――ってな。
俺は自分にそう言い聞かせて、灰色のビルの中へと入っていった。
何であんなことをしちまったのか――ってな。
俺は自分にそう言い聞かせて、灰色のビルの中へと入っていった。
「おーい、翠星石ー!!! いるかー!? いるなら返事しろー!!!」
薄暗いビルの中に俺の声がこだまする。
「翠星石ー!!! さっきのこと怒ってるなら謝るからよー!! だから出て来いよー!!」
……だけど、いつまで経っても返事は聞こえてこない。
やっぱ、こんなところにあいつはいないか……。
俺はそう思いつつも、やっぱり気になって、すぐ傍にあったドアを開けてみた。すると――
「うわっ!!」
ドアを開けて入った中には、凄い瓦礫の山があった。
いや、それだけじゃなかった。その瓦礫の山の上には…………焼け焦げた何かがあった。
何か? 違うな。
そいつには手足みたいなのがついていて、頭みたいのも当然ついていた。
そんでもって、その頭みたいな部分には見間違えるわけがないあの変な髪型がへばりついてた。
そう、これは…………。
「ス、スネ夫ォォォォォ!!!!!!」
……これは、俺の心の友の成れの果てだった。
薄暗いビルの中に俺の声がこだまする。
「翠星石ー!!! さっきのこと怒ってるなら謝るからよー!! だから出て来いよー!!」
……だけど、いつまで経っても返事は聞こえてこない。
やっぱ、こんなところにあいつはいないか……。
俺はそう思いつつも、やっぱり気になって、すぐ傍にあったドアを開けてみた。すると――
「うわっ!!」
ドアを開けて入った中には、凄い瓦礫の山があった。
いや、それだけじゃなかった。その瓦礫の山の上には…………焼け焦げた何かがあった。
何か? 違うな。
そいつには手足みたいなのがついていて、頭みたいのも当然ついていた。
そんでもって、その頭みたいな部分には見間違えるわけがないあの変な髪型がへばりついてた。
そう、これは…………。
「ス、スネ夫ォォォォォ!!!!!!」
……これは、俺の心の友の成れの果てだった。
――ジャイア~ン、今日ボクんちこない? 新しいゲーム買ったんだ!
――や、やっぱりジャイアンの歌は最高だな~、あ、あはは……。
――さっすがジャイアン! よっ、この日本一!
あいつは……スネ夫は俺の心の友だ。
ちょっとお調子者だったかもしれないけど、憎めない奴だった。
……こんな酷い死に方をしていいような奴じゃなかったんだよ……!
「ちくしょう……スネ夫……スネ夫……」
俺はスネ夫の手を握る。
……当たり前だったが、もう冷たい。
スネ夫が死んでたのは放送で聞いてたけど、だけど……こんな死に方はないだろ……。
悔しくてたまんない。
スネ夫をこんなにした奴が許せない。
もし見つけたらギッタギタのメッタメタにしてやりてぇ。
ちょっとお調子者だったかもしれないけど、憎めない奴だった。
……こんな酷い死に方をしていいような奴じゃなかったんだよ……!
「ちくしょう……スネ夫……スネ夫……」
俺はスネ夫の手を握る。
……当たり前だったが、もう冷たい。
スネ夫が死んでたのは放送で聞いてたけど、だけど……こんな死に方はないだろ……。
悔しくてたまんない。
スネ夫をこんなにした奴が許せない。
もし見つけたらギッタギタのメッタメタにしてやりてぇ。
……翠星石もそんな気分だったのか?
あのジュンとかいう兄ちゃんが死んでるのを見て、殺した奴が許せなくなって、それで訳分からなくなって梨花ちゃんや魅音姉ちゃんを…………。
あのジュンとかいう兄ちゃんが死んでるのを見て、殺した奴が許せなくなって、それで訳分からなくなって梨花ちゃんや魅音姉ちゃんを…………。
だったら尚更早くあいつを見つけて、止めないとな。
……このまんまだとあいつ、また何かするかもしれないからな。
それに、確かにスネ夫を殺した奴も許せねぇけど、一番悪いのはあのギガゾンビの野郎なんだ。
あいつを倒さないとこんなふざけたゲームから出られないんだよ。
翠星石の妹や仲間だって、死んじまうかもしれない。
だから翠星石……さっさと姿を見せてくれよ………………。
……このまんまだとあいつ、また何かするかもしれないからな。
それに、確かにスネ夫を殺した奴も許せねぇけど、一番悪いのはあのギガゾンビの野郎なんだ。
あいつを倒さないとこんなふざけたゲームから出られないんだよ。
翠星石の妹や仲間だって、死んじまうかもしれない。
だから翠星石……さっさと姿を見せてくれよ………………。
それから少しして。
俺は、スネ夫の体にはビルの窓についていたカーテンを引き剥がしたやつを掛けてやった。
……本当はちゃんと埋めてやるべきなんだろうけど、道具もないし俺一人じゃ時間が掛かりすぎる。
もしかしたら、そうやっている間に翠星石がまた何かをするかもしれないし……だからせめてもの気持ちだ。
「そんじゃ、俺はそろそろ行くからな」
そして俺は、何も言わないスネ夫に背を向けて、部屋を後にした。
俺は、スネ夫の体にはビルの窓についていたカーテンを引き剥がしたやつを掛けてやった。
……本当はちゃんと埋めてやるべきなんだろうけど、道具もないし俺一人じゃ時間が掛かりすぎる。
もしかしたら、そうやっている間に翠星石がまた何かをするかもしれないし……だからせめてもの気持ちだ。
「そんじゃ、俺はそろそろ行くからな」
そして俺は、何も言わないスネ夫に背を向けて、部屋を後にした。
……スネ夫、俺はお前の分まで生きてやる。
そんでもって、お前の分までギガゾンビをメッタメタにしてやっからな。
そんでもって、お前の分までギガゾンビをメッタメタにしてやっからな。
そして、そうこう街を探しているうちに空はオレンジ色になってきた。……もう夕方かぁ。
結局、翠星石は見つからなかった。
……俺の足も歩きっぱなしで痺れだしてきている。
だけど、ここで足を止めるわけにはいかないんだ。
翠星石を探す為にも……もう二度とあんなことを起こさせない為にも…………。
するとその時だった。
正面向こうにあったビルの中に何かが入っていくのを俺は見た。
「……まさか翠星石!?」
本当は遠かったからそれが何かも分からなかったし、確信なんて無かったけど、あそこに誰かいるのは確かだ。
誰かがいるなら、もしかしたら翠星石や魅音姉ちゃんと出会っているかもしれない。
だったら、そいつの話を聞くだけでも意味はあると思う。
だから俺は急いでそのビルに向かって走った。
そして、ビルに到着してその中に入ると、俺はまた中にいるかもしれない翠星石に向かってこう叫んだ。
結局、翠星石は見つからなかった。
……俺の足も歩きっぱなしで痺れだしてきている。
だけど、ここで足を止めるわけにはいかないんだ。
翠星石を探す為にも……もう二度とあんなことを起こさせない為にも…………。
するとその時だった。
正面向こうにあったビルの中に何かが入っていくのを俺は見た。
「……まさか翠星石!?」
本当は遠かったからそれが何かも分からなかったし、確信なんて無かったけど、あそこに誰かいるのは確かだ。
誰かがいるなら、もしかしたら翠星石や魅音姉ちゃんと出会っているかもしれない。
だったら、そいつの話を聞くだけでも意味はあると思う。
だから俺は急いでそのビルに向かって走った。
そして、ビルに到着してその中に入ると、俺はまた中にいるかもしれない翠星石に向かってこう叫んだ。
◆
「お~~い、翠星石~~~!!! いるか~~~!! いたら返事しろ~~~!!」
◆
……気のせいだろうか?
放送を待っていた俺の耳には確かにそんな声が聞こえてきた。
声の方向は部屋の外……廊下だ。
「キョン殿……今の声は……」
よかった。どうやらストレスから来る幻聴ではないようだ。
――いや、いいのか?
「トウカさんも聞きましたか。聞いた感じじゃまだ子供っぽいような声ですけど……」
「子供……。このような場所に幼き子までもを放るとはおのれギガゾンビめ……」
トウカさんが何だか怒っているようだった。
ま、確かに子供なんかにまで殺し合いをやらせようとする神経がどうかしてるとは思うけど……。
「誰かいないのか~~~? 返事してくれ~~~!!!」
どうやら、声の主はこのビルにいる人間を探しているようだ。
声がだんだん近づいてくる。
「声からして、向こうは一人みたいですね」
「一人……幼き子がこのような場所で一人でいるなど危険極まりない! 今すぐに保護しなければ――」
「え? あ、ちょっとトウカさん!?」
確かに言ってることは確かだけど、だからってそんな安易に飛び出したら……!!
「キョン殿はしばしお待ちを! 子の保護なら某一人で十分です」
「いや、そうじゃなくって……!!」
「では、行って参りまする」
ドアを開けて、トウカさんは出て行く。
……ちょっと待て。相手がどんな人間か分からないのに油断して出たら――!!
「どわぁぁぁ!」
「ふぁあああ!!!」
――って、言ってるそばから何か叫び声がしてるし!! しかもついでに何か倒れる音がしたような……。
俺は慌てて、トウカさんを追って部屋を出る。
「トウカさん! どうしま――」
俺の言葉は最後まで続くことなかった。
何故なら、部屋を出てすぐに俺の目には、廊下の角で重なるように倒れるトウカさんと見ず知らずの少年の夕陽で照らされた姿が飛び込んだからだ。
……トウカさん、だから急に飛び出たら危ないって何度も言ったのに。
放送を待っていた俺の耳には確かにそんな声が聞こえてきた。
声の方向は部屋の外……廊下だ。
「キョン殿……今の声は……」
よかった。どうやらストレスから来る幻聴ではないようだ。
――いや、いいのか?
「トウカさんも聞きましたか。聞いた感じじゃまだ子供っぽいような声ですけど……」
「子供……。このような場所に幼き子までもを放るとはおのれギガゾンビめ……」
トウカさんが何だか怒っているようだった。
ま、確かに子供なんかにまで殺し合いをやらせようとする神経がどうかしてるとは思うけど……。
「誰かいないのか~~~? 返事してくれ~~~!!!」
どうやら、声の主はこのビルにいる人間を探しているようだ。
声がだんだん近づいてくる。
「声からして、向こうは一人みたいですね」
「一人……幼き子がこのような場所で一人でいるなど危険極まりない! 今すぐに保護しなければ――」
「え? あ、ちょっとトウカさん!?」
確かに言ってることは確かだけど、だからってそんな安易に飛び出したら……!!
「キョン殿はしばしお待ちを! 子の保護なら某一人で十分です」
「いや、そうじゃなくって……!!」
「では、行って参りまする」
ドアを開けて、トウカさんは出て行く。
……ちょっと待て。相手がどんな人間か分からないのに油断して出たら――!!
「どわぁぁぁ!」
「ふぁあああ!!!」
――って、言ってるそばから何か叫び声がしてるし!! しかもついでに何か倒れる音がしたような……。
俺は慌てて、トウカさんを追って部屋を出る。
「トウカさん! どうしま――」
俺の言葉は最後まで続くことなかった。
何故なら、部屋を出てすぐに俺の目には、廊下の角で重なるように倒れるトウカさんと見ず知らずの少年の夕陽で照らされた姿が飛び込んだからだ。
……トウカさん、だから急に飛び出たら危ないって何度も言ったのに。
さて、ここで状況を整理しよう。
まず、トウカさんが部屋に戻ってきて余り経たない内に、いきなり廊下の方から声がしてきた。
相手は子供。そして恐らく一人。
そんな子供を放っておけないということでトウカさんがいきなり声のする廊下へと飛び出した。
そして、廊下を走っていたトウカさんは、その角で突如飛び出してきた少年と正面衝突。
こうして二人は、ともに床に頭をぶつけて揃ってこぶを作ったという訳だ。
まず、トウカさんが部屋に戻ってきて余り経たない内に、いきなり廊下の方から声がしてきた。
相手は子供。そして恐らく一人。
そんな子供を放っておけないということでトウカさんがいきなり声のする廊下へと飛び出した。
そして、廊下を走っていたトウカさんは、その角で突如飛び出してきた少年と正面衝突。
こうして二人は、ともに床に頭をぶつけて揃ってこぶを作ったという訳だ。
「某としたことが……面目ない」
トウカさんが耳をしゅんとさせながら、聞きなれたフレーズを口にする。
……本当にこの人は凄い人なのかうっかり者なのか分からなくなってきた。
そして、目をその横に向けるとこぶのできたところに濡れタオルを当てている少年がいた。
「……大丈夫か、こぶの方は」
「うん。ありがとよ、えっと……」
「キョンだ。キョンでいい」
本当は本名もあるんだけどな……まぁ、今はこれでいいや。
「某はエヴェンクルガのトウカと申す者。以後よろしく頼む」
「俺は剛田武。皆からはジャイアンって言われてたよ。よろしくな、キョン兄ちゃん、それにトウカ姉ちゃん」
ジャイアン――見るからにガキ大将なこの少年にはぴったりかもな。
妹がいたりしたら、ジャイ子とかってあだ名を付けられそうだが。
って待て。剛田武って確かどこかで……。
トウカさんが耳をしゅんとさせながら、聞きなれたフレーズを口にする。
……本当にこの人は凄い人なのかうっかり者なのか分からなくなってきた。
そして、目をその横に向けるとこぶのできたところに濡れタオルを当てている少年がいた。
「……大丈夫か、こぶの方は」
「うん。ありがとよ、えっと……」
「キョンだ。キョンでいい」
本当は本名もあるんだけどな……まぁ、今はこれでいいや。
「某はエヴェンクルガのトウカと申す者。以後よろしく頼む」
「俺は剛田武。皆からはジャイアンって言われてたよ。よろしくな、キョン兄ちゃん、それにトウカ姉ちゃん」
ジャイアン――見るからにガキ大将なこの少年にはぴったりかもな。
妹がいたりしたら、ジャイ子とかってあだ名を付けられそうだが。
って待て。剛田武って確かどこかで……。
――――そうだ、名簿だ!
さっき掲示板に書き込まれてた名前を確認するときに見た名簿の中で『野比のび太』のすぐ隣に書かれていたのが確か『剛田武』……!!
ってことは、この少年、のび太って少年と何かしらの関係がある可能性がある。
……一度、確認とってみるか。
「……なぁ、君ってもしかして、野比のび太って参加者と知り合――」
「――!!! 兄ちゃん、のび太のこと知ってるのか!? そ、それじゃドラえもんは!?」
「い、いや、どっちも見たことはないけど、名簿で君の近くに名前が書かれてあったから……。友達か?」
「あぁ。……俺の心の友だよ」
名前を聞いた瞬間の変わり様。
……恐らくは、本当に仲のいい連中なのだろう。
だったら尚更今は、その『のび太』とやらが何度も危険な目に遭ってきたなんて言って刺激しない方が良いか。
――と、そんなわけで今は別の話題を振ることにする。
「……なぁ、そういえばさっき、スイセイセキとか言ってたけど、それも知り合いなのか?」
「スイセイセキ……そ、そうだ! 俺、翠星石を探してるんだけど、兄ちゃん達見てないか!?」
「いや、だからそのスイセイセキってのは何なんだ?」
「だから翠星石ってのは――」
どうやら、スイセイセキ――翠星石っていうのは参加者の一人の事らしい(名簿で確認したら確かにいた)。
緑色の服を着ている小さな女の子で……動く人形だという。
一昔前の俺だったら、動く人形と聞いてもテレビの見すぎだと一蹴しただろうが、SOS団を通じて不思議体験をしまくった今の俺なら何とか信じることが出来る。
まぁ、こっちに来てもコスプレ侍やスーパーマンバトルを見てきた訳だしな。
……だけど、俺とトウカさんは未だそのような不思議人形を実際には目にしていない。
俺がそのことを告げると、ジャイアン少年は肩を落とした。
「……そうか。くそぅ、どこに行ったんだよ、翠星石……」
そして、そんな少年に俺は問いかけた。
「……なぁ、お前はどうしてその翠星石ってのを探してるんだ? ……何かあったのか?」
それは二人の名簿での距離が余りにも離れていたということから始まった推測。
まず、このジャイアン少年と翠星石という人形とやらは俺とトウカさんのように、ここで初めて知り合った仲だという可能性が高い。
ここで知り合った人物のパターンは大きく分けて3種類だ。
1つ目は俺とトウカさんのように、行動を供にしている同行者。
2つ目はロックさんや君島のように、顔を合わせて互いの意見を交換しつつも、行動を別にした人物。
そして3つ目はあの西洋甲冑の金髪騎士のような襲撃者……。
この落ち込んでいる様子からして襲撃者を探しているということはありえない。
また、元々行動を別にすると決めていた人物ならば、こんなに無理に探そうとはしないはず。
……ということは考えられる結論は、翠星石が元は同行者であったということ。
そして、同行者だった人物が今はいないということはつまり何かがあったということだ。
そう、離れ離れにするような何か――例えばさっき俺達が巻き込まれたガス爆発のような大きな出来事が……。
ってことは、この少年、のび太って少年と何かしらの関係がある可能性がある。
……一度、確認とってみるか。
「……なぁ、君ってもしかして、野比のび太って参加者と知り合――」
「――!!! 兄ちゃん、のび太のこと知ってるのか!? そ、それじゃドラえもんは!?」
「い、いや、どっちも見たことはないけど、名簿で君の近くに名前が書かれてあったから……。友達か?」
「あぁ。……俺の心の友だよ」
名前を聞いた瞬間の変わり様。
……恐らくは、本当に仲のいい連中なのだろう。
だったら尚更今は、その『のび太』とやらが何度も危険な目に遭ってきたなんて言って刺激しない方が良いか。
――と、そんなわけで今は別の話題を振ることにする。
「……なぁ、そういえばさっき、スイセイセキとか言ってたけど、それも知り合いなのか?」
「スイセイセキ……そ、そうだ! 俺、翠星石を探してるんだけど、兄ちゃん達見てないか!?」
「いや、だからそのスイセイセキってのは何なんだ?」
「だから翠星石ってのは――」
どうやら、スイセイセキ――翠星石っていうのは参加者の一人の事らしい(名簿で確認したら確かにいた)。
緑色の服を着ている小さな女の子で……動く人形だという。
一昔前の俺だったら、動く人形と聞いてもテレビの見すぎだと一蹴しただろうが、SOS団を通じて不思議体験をしまくった今の俺なら何とか信じることが出来る。
まぁ、こっちに来てもコスプレ侍やスーパーマンバトルを見てきた訳だしな。
……だけど、俺とトウカさんは未だそのような不思議人形を実際には目にしていない。
俺がそのことを告げると、ジャイアン少年は肩を落とした。
「……そうか。くそぅ、どこに行ったんだよ、翠星石……」
そして、そんな少年に俺は問いかけた。
「……なぁ、お前はどうしてその翠星石ってのを探してるんだ? ……何かあったのか?」
それは二人の名簿での距離が余りにも離れていたということから始まった推測。
まず、このジャイアン少年と翠星石という人形とやらは俺とトウカさんのように、ここで初めて知り合った仲だという可能性が高い。
ここで知り合った人物のパターンは大きく分けて3種類だ。
1つ目は俺とトウカさんのように、行動を供にしている同行者。
2つ目はロックさんや君島のように、顔を合わせて互いの意見を交換しつつも、行動を別にした人物。
そして3つ目はあの西洋甲冑の金髪騎士のような襲撃者……。
この落ち込んでいる様子からして襲撃者を探しているということはありえない。
また、元々行動を別にすると決めていた人物ならば、こんなに無理に探そうとはしないはず。
……ということは考えられる結論は、翠星石が元は同行者であったということ。
そして、同行者だった人物が今はいないということはつまり何かがあったということだ。
そう、離れ離れにするような何か――例えばさっき俺達が巻き込まれたガス爆発のような大きな出来事が……。
……って、こんな時になんでこんな推理が出来るんだ俺。
あの孤島での時だってこんなに頭が働かなかったというのに。
だが、推測出来てしまったものは仕方が無い。
今後の為にも少しでも参加者の情報が欲しかった俺は、迷わずこう尋ねていた。
あの孤島での時だってこんなに頭が働かなかったというのに。
だが、推測出来てしまったものは仕方が無い。
今後の為にも少しでも参加者の情報が欲しかった俺は、迷わずこう尋ねていた。
◆
「……なぁ、お前はどうしてその翠星石ってのを探してるんだ? ……何かあったのか?」
◆
キョン兄ちゃんに言われて、俺はあの時の事を思い出した。
あの思い出したくもない出来事を。
……だけど、キョン兄ちゃんとトウカ姉ちゃんは俺の手当てをしてくれた。
ここで黙っていたら、恩返しになりゃしない。
そんなの男の俺がすることじゃねぇ。
……だから、俺は言うことにした。
あの時、何が起こって、どうして俺が翠星石を探すことになったのかを。
「あ、あのよ、実は……」
そして、俺が全部話そうとしたそんな時だったんだ。
あの思い出したくもない出来事を。
……だけど、キョン兄ちゃんとトウカ姉ちゃんは俺の手当てをしてくれた。
ここで黙っていたら、恩返しになりゃしない。
そんなの男の俺がすることじゃねぇ。
……だから、俺は言うことにした。
あの時、何が起こって、どうして俺が翠星石を探すことになったのかを。
「あ、あのよ、実は……」
そして、俺が全部話そうとしたそんな時だったんだ。
あのギガゾンビのヤローの声が外からしてきたのはよ……。
【D-4・雑居ビル 1日日・夕方(放送直前)】
【剛田武@ドラえもん】
[状態]:健康、仲間の分裂に強い後悔、額にこぶ
[装備]:虎竹刀@Fate/stay night、強力うちわ「風神」@ドラえもん
[道具]:支給品一式、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に
ジャイアンシチュー(2リットルペットボトルに入れてます)@ドラえもん
シュールストレミング一缶、缶切り
[思考・状況]
1:キョン達に何があったかを話す。
2:急いで翠星石を見つけ、落ち着かせる。梨花の件についての理由も聞きたい。
3:手遅れになる前に、のび太とドラえもんを見つける。
4:逃げた魅音もなんとしても守る。
基本:誰も殺したくない
最終:ギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやる
[状態]:健康、仲間の分裂に強い後悔、額にこぶ
[装備]:虎竹刀@Fate/stay night、強力うちわ「風神」@ドラえもん
[道具]:支給品一式、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に
ジャイアンシチュー(2リットルペットボトルに入れてます)@ドラえもん
シュールストレミング一缶、缶切り
[思考・状況]
1:キョン達に何があったかを話す。
2:急いで翠星石を見つけ、落ち着かせる。梨花の件についての理由も聞きたい。
3:手遅れになる前に、のび太とドラえもんを見つける。
4:逃げた魅音もなんとしても守る。
基本:誰も殺したくない
最終:ギガゾンビをギッタギタのメッタメタにしてやる
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:全身各所に擦り傷、ギガゾンビと殺人者に怒り、強い決意
[装備]:バールのようなもの、わすれろ草@ドラえもん、ころばし屋&円硬貨数枚@ドラえもん
[道具]:支給品一式×4(食料一食分消費)、キートンの大学の名刺、ロープ、ノートパソコン
[思考・状況]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:ジャイアンから事の顛末を……って、こんな時に放送かよ
2:『射手座の日』に関する情報収集。
3:トウカと共にトウカ、君島、しんのすけの知り合い及び、ハルヒ達を捜索する。
4:朝倉涼子とアーカードを警戒する。
5:あれ? そういえばカズマってどこかで聞いたような……
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照ということで
[状態]:全身各所に擦り傷、ギガゾンビと殺人者に怒り、強い決意
[装備]:バールのようなもの、わすれろ草@ドラえもん、ころばし屋&円硬貨数枚@ドラえもん
[道具]:支給品一式×4(食料一食分消費)、キートンの大学の名刺、ロープ、ノートパソコン
[思考・状況]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:ジャイアンから事の顛末を……って、こんな時に放送かよ
2:『射手座の日』に関する情報収集。
3:トウカと共にトウカ、君島、しんのすけの知り合い及び、ハルヒ達を捜索する。
4:朝倉涼子とアーカードを警戒する。
5:あれ? そういえばカズマってどこかで聞いたような……
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照ということで
【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、額にこぶ
[装備]:物干し竿@Fate/stay night
[道具]:支給品一式(食料一食分消費)、出刃包丁(折れた状態)@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
基本:無用な殺生はしない
1:ビル内に留まり放送を聴く。
2:キョンと共にキョン、君島、しんのすけの知り合い及びエルルゥ達を捜索する
3:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョンを守り通す
4:ハクオロへの忠義を貫き通すべく、エルルゥとアルルゥを見つけ次第守り通す
[状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、額にこぶ
[装備]:物干し竿@Fate/stay night
[道具]:支給品一式(食料一食分消費)、出刃包丁(折れた状態)@ひぐらしのなく頃に
[思考・状況]
基本:無用な殺生はしない
1:ビル内に留まり放送を聴く。
2:キョンと共にキョン、君島、しんのすけの知り合い及びエルルゥ達を捜索する
3:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョンを守り通す
4:ハクオロへの忠義を貫き通すべく、エルルゥとアルルゥを見つけ次第守り通す
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178:最期の四重奏―それぞれの誓い― | 剛田武 | 209:苦労人 |
181:「ミステリックサイン」 | キョン | 209:苦労人 |
181:「ミステリックサイン」 | トウカ | 209:苦労人 |