魔法のジュエル ほしいものは ◆C1.qFoQXNw
歩みを進めるたびに右肩に巻いた布を血が染めた。応急処置だけでは激しい運動は傷に障る。
翠星石の突然の裏切り――実際は限りなく過剰防衛に近い正当防衛なのだが――で友人を殺害された魅音は逃避する。
『お持ち帰り』モードのレナがいるかも知れないという淡い期待に賭けて。
だが魅音のほんの僅かな期待は絶望によって覆えされた。破壊された遊具の数々、花々が咲き乱れていたであろう花壇は無残に荒らされ、アスファルトは広範囲に渡ってズタズタに切り裂かれている。
相当な実力者、しかも暴れっぷりから人間ですら無いかもしれない何者か戦闘を行った証明だ。仮にレナがここにいたとしても逃げるか巻き込まれたか、どちらにしろ人探しどころではない。
「ううぅ、痛い…痛い、いたぃよう…」
肩を銃撃された上必死に走って逃げてきたのだ。興奮状態が醒めアドレナリンが止まると激痛が魅音に襲いかかった。
右手に温かい水っ気が感じられる。強行軍で肩から血液が噴出し始めたのだ。振り返ると今まで歩いてきた道には流血の跡が点々と続いている。
「私、このまま死んじゃうのかな…梨花の仇も討てずに」
急に立ちくらみを覚え花壇の側のベンチに身体を横たえて休む。考えてみればこの世界に放り込まれてからロクに睡眠をとっていないではないか。
いつの間にか双眸が閉じられ右肩を押さえたまま魅音は気を失った。
翠星石の突然の裏切り――実際は限りなく過剰防衛に近い正当防衛なのだが――で友人を殺害された魅音は逃避する。
『お持ち帰り』モードのレナがいるかも知れないという淡い期待に賭けて。
だが魅音のほんの僅かな期待は絶望によって覆えされた。破壊された遊具の数々、花々が咲き乱れていたであろう花壇は無残に荒らされ、アスファルトは広範囲に渡ってズタズタに切り裂かれている。
相当な実力者、しかも暴れっぷりから人間ですら無いかもしれない何者か戦闘を行った証明だ。仮にレナがここにいたとしても逃げるか巻き込まれたか、どちらにしろ人探しどころではない。
「ううぅ、痛い…痛い、いたぃよう…」
肩を銃撃された上必死に走って逃げてきたのだ。興奮状態が醒めアドレナリンが止まると激痛が魅音に襲いかかった。
右手に温かい水っ気が感じられる。強行軍で肩から血液が噴出し始めたのだ。振り返ると今まで歩いてきた道には流血の跡が点々と続いている。
「私、このまま死んじゃうのかな…梨花の仇も討てずに」
急に立ちくらみを覚え花壇の側のベンチに身体を横たえて休む。考えてみればこの世界に放り込まれてからロクに睡眠をとっていないではないか。
いつの間にか双眸が閉じられ右肩を押さえたまま魅音は気を失った。
そして――時系列はやや遡る。
二人の魔法少女、獅堂光と高町なのは絶句した。
瓦礫、残骸、剥き出しの水道管、セメントと焦げた臭いetc…。
「…なんて酷い」
「一体どんな手段を使ったらこうなるんだ…?」
放送直後、E-4エリアで大爆発があったと後に複数の人間が証言している。
空爆後の東京かドレスデンかという程の被害。倒壊家屋多数、辛うじて残った建物も爆発直後だけに燻っている。
放送ではここE-4とF-8、距離的に捜索は不可能だがB-1のどかに『身動きの取れなくなった人物』がいるという。
それはもしかしたら今だ再会できない自分の仲間かもしれない、近場ということもあって二人はクーガーの同行申し入れを断り15:00より禁止エリアになるE-4へ『身動きの取れなくなった人物』の捜索に脚を踏み入れた。
しかし望みは薄いだろう。爆発は放送後であったから仮に『身動きの取れなくなった人物』がいたならば今頃は…。
あまりの光景に目的も忘れて二人は立ちすくんでしまった。
「光さん、とにかく探しましょう。」
「ウン、そうだね」
なのはの言葉で光は我に返るが見渡す限り周囲は瓦礫の山ばかり。手近な倒壊家屋を捜索するが人の痕跡さえ発見できなかった。
二人は視認できる距離を保ちながら捜索している。手分けして探せば効率がいいのだろうがマーダー集中が懸念されそれはできない。
結局大した成果も無く時間だけが刻々と過ぎていくだけであった。
時間が迫っている。禁止エリアになるまであと30分弱といったところであろうか。
「どうしましょう、後30分ぐらいしか」
「後10分だけ、10分だけ捜索したら脱出しよう」
何の成果も挙げられず諦めが二人の胸の内を漂いだしている。
結局ここではなかったのではないか? 他の2ヶ所のどちらかで『身動きの取れなくなった人物』はとっくに誰かが救出しているのではないか? 希望的観測が浮かび始めた、廃屋を捜索中のそんな時だった。
瓦礫、残骸、剥き出しの水道管、セメントと焦げた臭いetc…。
「…なんて酷い」
「一体どんな手段を使ったらこうなるんだ…?」
放送直後、E-4エリアで大爆発があったと後に複数の人間が証言している。
空爆後の東京かドレスデンかという程の被害。倒壊家屋多数、辛うじて残った建物も爆発直後だけに燻っている。
放送ではここE-4とF-8、距離的に捜索は不可能だがB-1のどかに『身動きの取れなくなった人物』がいるという。
それはもしかしたら今だ再会できない自分の仲間かもしれない、近場ということもあって二人はクーガーの同行申し入れを断り15:00より禁止エリアになるE-4へ『身動きの取れなくなった人物』の捜索に脚を踏み入れた。
しかし望みは薄いだろう。爆発は放送後であったから仮に『身動きの取れなくなった人物』がいたならば今頃は…。
あまりの光景に目的も忘れて二人は立ちすくんでしまった。
「光さん、とにかく探しましょう。」
「ウン、そうだね」
なのはの言葉で光は我に返るが見渡す限り周囲は瓦礫の山ばかり。手近な倒壊家屋を捜索するが人の痕跡さえ発見できなかった。
二人は視認できる距離を保ちながら捜索している。手分けして探せば効率がいいのだろうがマーダー集中が懸念されそれはできない。
結局大した成果も無く時間だけが刻々と過ぎていくだけであった。
時間が迫っている。禁止エリアになるまであと30分弱といったところであろうか。
「どうしましょう、後30分ぐらいしか」
「後10分だけ、10分だけ捜索したら脱出しよう」
何の成果も挙げられず諦めが二人の胸の内を漂いだしている。
結局ここではなかったのではないか? 他の2ヶ所のどちらかで『身動きの取れなくなった人物』はとっくに誰かが救出しているのではないか? 希望的観測が浮かび始めた、廃屋を捜索中のそんな時だった。
パァン
不意に乾いた音が廃墟に木霊した。世界の衝撃映像を集めたテレビ番組でよく聞く音だ。
「今の銃声!?」
光が振り向いて聞こえたか、という視線をなのはに送った。彼女も首を縦に振って聞こえたとジェスチャーする。
本物の銃声をナマで聞くのは初めてだが距離は意外と遠いのではないかと想像する。
無鉄砲にも光は駆け出そうとするがなのはに引っ張られ止められた。
「待ってください光さん、相手は銃を持っているんですよ!」
「でもこのままじゃ…!」
「確か光さん、双眼鏡のようなものをもっていらしたのでは? 一旦確認してからの方が」
指摘されてディパックを漁ったところ出てきたのはオモチャのオペラグラスだった。
「今の銃声!?」
光が振り向いて聞こえたか、という視線をなのはに送った。彼女も首を縦に振って聞こえたとジェスチャーする。
本物の銃声をナマで聞くのは初めてだが距離は意外と遠いのではないかと想像する。
無鉄砲にも光は駆け出そうとするがなのはに引っ張られ止められた。
「待ってください光さん、相手は銃を持っているんですよ!」
「でもこのままじゃ…!」
「確か光さん、双眼鏡のようなものをもっていらしたのでは? 一旦確認してからの方が」
指摘されてディパックを漁ったところ出てきたのはオモチャのオペラグラスだった。
パァン
取り出した瞬間にもう一発。間違いない、西方向へ走ってもすぐには届かない距離。
急いで覗いたオペラグラスが映したのは廃墟を舞台に行われる悲劇だった。
舞台上の役者は5人、緑色の少女が拳銃を握っており足元に銃撃されたと思しき少女と少年が倒れている。その視線の先には肩を撃たれた少女がうずくまっており、ややは離れた場所に少年が立ち尽くしていた。
緑色の少女が三度目の銃撃を放とうとした刹那、少年が巨大な団扇のようなもので扇いで緑色の少女を吹き飛ばす。少年の介入で命を拾った少女は肩を押さえ一目散に南の方向へと駆け出していった。
惨劇後少年は去っていく二人の少女を交互に振り返ると自分が吹き飛ばした少女の方向へと走っていく。
急いで覗いたオペラグラスが映したのは廃墟を舞台に行われる悲劇だった。
舞台上の役者は5人、緑色の少女が拳銃を握っており足元に銃撃されたと思しき少女と少年が倒れている。その視線の先には肩を撃たれた少女がうずくまっており、ややは離れた場所に少年が立ち尽くしていた。
緑色の少女が三度目の銃撃を放とうとした刹那、少年が巨大な団扇のようなもので扇いで緑色の少女を吹き飛ばす。少年の介入で命を拾った少女は肩を押さえ一目散に南の方向へと駆け出していった。
惨劇後少年は去っていく二人の少女を交互に振り返ると自分が吹き飛ばした少女の方向へと走っていく。
距離的にも時間的にも介入の機会は無かったかも知れない。
しかしあの少年のように行動し注意を一瞬逸らせるだけでも十分効果があったはずではないか。
今から何を言っても仕方か無い、どう選択をしていたとしても初めに撃たれた少女を助ける事はできなかったのだ。
こうして悲劇の舞台には誰もいなくなった――観客二人を除いては。
少女は即死だったようだ。腹部を紅く染め驚愕の表情で果てている。少年は腹部を丸く抉り取られ死後やや時間が経っていたがこちらもまた即死だったろう。
もうすぐ禁止エリアになる場所で固まっているところからあの4人は放送を聞いてやって来た仲間同士だったのだろうか? 仲間割れが死因、しかも誰も立ち入らない所で躯を晒してはこの少女も浮かばれないだろう。
「なのはちゃん、禁止エリアになるまでどのくらい?」
「えっと、あと20分くらいです」
「ちょっと帰るのは遅くなるけど、いいかな?」
「私は構いませんがどうし…」
続く言葉は必要なかった。躯と化した少女を“再び”背負い光は南へと歩き出したからだ。
「まず禁止エリアを脱出しこの子たちを埋葬できる場所を探そう。可能なら負傷した子も保護する。重いだろうけどなのはちゃんは男の子の方を運んで」
「あ、はい。ちょっと待ってください、ちょうどいい物が」
なのはも埋葬に必要だろうと転がっていたピッケルをしまうと少年の遺体を背負い光を追う。
剣道で鍛えた光を違って小さいとはいえ少年の、しかも遺体を背負っていくのは相当キツかったが気力で我慢する。
肩を撃たれた少女が逃げ去った方向は遊園地があったはず。逃げ込むには絶好の場所だがそれはマーダーが潜むにも都合のいい場所でもある。
早く彼女を保護しなければ――海やゲインの二の舞は決して繰り返させはしない、思いを強く抱き光は脚を速める。
唯一生き残っているはずのフェイトに会うためになのはも歩む。友の武器バルディッシュ・アサルトを抱いて。
二人の魔女少女が瓦礫の山を駆け抜けたしばらく後、E-4は禁止エリアとなったが直後消えた者がいた事は誰にも気づかれなかった。
しかしあの少年のように行動し注意を一瞬逸らせるだけでも十分効果があったはずではないか。
今から何を言っても仕方か無い、どう選択をしていたとしても初めに撃たれた少女を助ける事はできなかったのだ。
こうして悲劇の舞台には誰もいなくなった――観客二人を除いては。
少女は即死だったようだ。腹部を紅く染め驚愕の表情で果てている。少年は腹部を丸く抉り取られ死後やや時間が経っていたがこちらもまた即死だったろう。
もうすぐ禁止エリアになる場所で固まっているところからあの4人は放送を聞いてやって来た仲間同士だったのだろうか? 仲間割れが死因、しかも誰も立ち入らない所で躯を晒してはこの少女も浮かばれないだろう。
「なのはちゃん、禁止エリアになるまでどのくらい?」
「えっと、あと20分くらいです」
「ちょっと帰るのは遅くなるけど、いいかな?」
「私は構いませんがどうし…」
続く言葉は必要なかった。躯と化した少女を“再び”背負い光は南へと歩き出したからだ。
「まず禁止エリアを脱出しこの子たちを埋葬できる場所を探そう。可能なら負傷した子も保護する。重いだろうけどなのはちゃんは男の子の方を運んで」
「あ、はい。ちょっと待ってください、ちょうどいい物が」
なのはも埋葬に必要だろうと転がっていたピッケルをしまうと少年の遺体を背負い光を追う。
剣道で鍛えた光を違って小さいとはいえ少年の、しかも遺体を背負っていくのは相当キツかったが気力で我慢する。
肩を撃たれた少女が逃げ去った方向は遊園地があったはず。逃げ込むには絶好の場所だがそれはマーダーが潜むにも都合のいい場所でもある。
早く彼女を保護しなければ――海やゲインの二の舞は決して繰り返させはしない、思いを強く抱き光は脚を速める。
唯一生き残っているはずのフェイトに会うためになのはも歩む。友の武器バルディッシュ・アサルトを抱いて。
二人の魔女少女が瓦礫の山を駆け抜けたしばらく後、E-4は禁止エリアとなったが直後消えた者がいた事は誰にも気づかれなかった。
一体どれ程の使い手が暴れたらこうなるのだろう。
E-4に負けず劣らず破壊の限りを尽くされた遊園地、賑やかだったであろうかつての面影は欠片も感じられない。
光となのはが魅音を発見するのにそう時間はかからなかった。不幸中の幸い、彼女の流した血が居場所を教えてくれたのだ。
「ハア、フゥ…!? 見てください、あそこ」
なのはの指さす方に花壇のベンチで横になる魅音がいた。ここまで走ってきたのか傷口から出血している。
近づいてそっと手首に触れてみると温かい、脈もある。どうやら間に合ったようだ。
応急処置のため梨花の遺体から布を失敬して手当てに使った。後は感染症に気をつければいい。
ホッとするのもつかの間、光は見覚えのある物体を発見した。真紅の輝きを放つ魔法騎士の武具、過酷な試練を乗り越えた証。
(これってエスクードじゃないか!? …という事この人がクーガーの言ってたイオンちゃん?)
いつの間にか魅音そっちのけでエスクードに触れたままの自分に気づくが、彼女の呻きで光はあわてて我に返る。
「うう、あなたたちは…」
「あ、まだ動かないほうがいいよ。ええと、イオンちゃん、だっけ?」
「魅音だよ」
「そうだったっけか(クーガーって本当に人の名前覚えないんだな)。私は獅堂光、あの子が高町なのはちゃん。」
「園崎魅音だよ。よろしく――」
魅音の視線が少女と少年の死体に釘づけになった。そういえば彼らの埋葬をするのも目的だったはずだ。
「実は君たちが撃たれるところが遠くから見えて…その、ゴメン、助けられなくて」
「いいの、気にしないで。それよりも」
視線は梨花の遺体に向けたまま軽く嗚咽を漏らす。
「お墓、作るの手伝うから…」
E-4に負けず劣らず破壊の限りを尽くされた遊園地、賑やかだったであろうかつての面影は欠片も感じられない。
光となのはが魅音を発見するのにそう時間はかからなかった。不幸中の幸い、彼女の流した血が居場所を教えてくれたのだ。
「ハア、フゥ…!? 見てください、あそこ」
なのはの指さす方に花壇のベンチで横になる魅音がいた。ここまで走ってきたのか傷口から出血している。
近づいてそっと手首に触れてみると温かい、脈もある。どうやら間に合ったようだ。
応急処置のため梨花の遺体から布を失敬して手当てに使った。後は感染症に気をつければいい。
ホッとするのもつかの間、光は見覚えのある物体を発見した。真紅の輝きを放つ魔法騎士の武具、過酷な試練を乗り越えた証。
(これってエスクードじゃないか!? …という事この人がクーガーの言ってたイオンちゃん?)
いつの間にか魅音そっちのけでエスクードに触れたままの自分に気づくが、彼女の呻きで光はあわてて我に返る。
「うう、あなたたちは…」
「あ、まだ動かないほうがいいよ。ええと、イオンちゃん、だっけ?」
「魅音だよ」
「そうだったっけか(クーガーって本当に人の名前覚えないんだな)。私は獅堂光、あの子が高町なのはちゃん。」
「園崎魅音だよ。よろしく――」
魅音の視線が少女と少年の死体に釘づけになった。そういえば彼らの埋葬をするのも目的だったはずだ。
「実は君たちが撃たれるところが遠くから見えて…その、ゴメン、助けられなくて」
「いいの、気にしないで。それよりも」
視線は梨花の遺体に向けたまま軽く嗚咽を漏らす。
「お墓、作るの手伝うから…」
折れた鉄筋で瓦礫に梨花とジュンの名を刻み、最後に荒らされなかった花を墓前に手向けた。
ピッケルを振るいながら光は思う。海を埋葬した人物もこんな気持ちだったのだろうか。理不尽な末路に対するせめてもの慰めのつもりなのかと。
既に30人あまりの人間が死んでいる事実、受け入れていたつもりだったがあまりにも重過ぎた。
結局『身動きの取れなくなった人物』の発見は叶わなかったが怪我人を保護できたのは僥倖だろう。このままでは死ぬはず人間を助ける事ができたのだから。
魅音を護衛し2人の少女たちはホテルを目指した。怪我人を抱えつつ禁止エリアを迂回するため放送まで帰還できるかどうか微妙なところである。
道中光はどうしても魅音の左手が気になってしまう。周囲を警戒しつつもそこばかりに視線がいく。
エスクードの篭手は本来の持ち主である魔法騎士以外が所有しても無用の長物なのだ。なんとか説明して譲ってもらうか手持ちの支給品と交換してもらいたかったがまだ交渉できる雰囲気ではない事くらいは分かっている。
「さっきから気してるみたいだけどコレ、ほしいの?」
何の前触れも無く魅音が確信を突いてきた。しかも光の鼻先に現物を突き出して。
「いや、その…何ていうか、もともと私のというか」
ズバリ指摘されてしどろもどろする光。
「私の頼みを聞いてくれるなら譲ってあげてもいいんだけど」
「私にできる事なら。一体何をすればいいんだ?」
エスクードが包んだ拳に力が入りワナワナと震えた。
「翠星石と剛田武、この二人を倒して梨花の仇を討って頂戴…!」
ピッケルを振るいながら光は思う。海を埋葬した人物もこんな気持ちだったのだろうか。理不尽な末路に対するせめてもの慰めのつもりなのかと。
既に30人あまりの人間が死んでいる事実、受け入れていたつもりだったがあまりにも重過ぎた。
結局『身動きの取れなくなった人物』の発見は叶わなかったが怪我人を保護できたのは僥倖だろう。このままでは死ぬはず人間を助ける事ができたのだから。
魅音を護衛し2人の少女たちはホテルを目指した。怪我人を抱えつつ禁止エリアを迂回するため放送まで帰還できるかどうか微妙なところである。
道中光はどうしても魅音の左手が気になってしまう。周囲を警戒しつつもそこばかりに視線がいく。
エスクードの篭手は本来の持ち主である魔法騎士以外が所有しても無用の長物なのだ。なんとか説明して譲ってもらうか手持ちの支給品と交換してもらいたかったがまだ交渉できる雰囲気ではない事くらいは分かっている。
「さっきから気してるみたいだけどコレ、ほしいの?」
何の前触れも無く魅音が確信を突いてきた。しかも光の鼻先に現物を突き出して。
「いや、その…何ていうか、もともと私のというか」
ズバリ指摘されてしどろもどろする光。
「私の頼みを聞いてくれるなら譲ってあげてもいいんだけど」
「私にできる事なら。一体何をすればいいんだ?」
エスクードが包んだ拳に力が入りワナワナと震えた。
「翠星石と剛田武、この二人を倒して梨花の仇を討って頂戴…!」
【F-4・北部 遊園地北口付近/1日目 夕方】
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(大) 梨花の死に精神的ショック、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り)
[装備]:エスクード(炎)@魔法騎士レイアース
[道具]:スルメ二枚、表記なしの缶詰二缶、レジャー用の衣服数着(一部破れている)
[思考・状況]
1:とりあえず光、なのはとホテルへ向かう
2:圭一、レナ、沙都子と合流。
3:何とかして、梨花の仇を取る。(剛田武と翠星石を殺す)
4:3に協力してくれる人がいたら仲間にする。
5:危険そうな人物からはすぐに逃げる。
基本:バトルロワイアルの打倒。
[状態]:疲労(大) 梨花の死に精神的ショック、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り)
[装備]:エスクード(炎)@魔法騎士レイアース
[道具]:スルメ二枚、表記なしの缶詰二缶、レジャー用の衣服数着(一部破れている)
[思考・状況]
1:とりあえず光、なのはとホテルへ向かう
2:圭一、レナ、沙都子と合流。
3:何とかして、梨花の仇を取る。(剛田武と翠星石を殺す)
4:3に協力してくれる人がいたら仲間にする。
5:危険そうな人物からはすぐに逃げる。
基本:バトルロワイアルの打倒。
【高町なのは@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康、悲しみ、友を守るという強い決意 やや疲労
[装備]:バルディッシュ・アサルト@魔法少女リリカルなのは
[道具]:グルメテーブルかけ@ドラえもん(回数制限有り:残り18品)、テキオー灯@ドラえもん、支給品一式
[思考・状況]
1:一旦ホテルに帰還。
2:フェイトと合流。 フェイトにバルディッシュを届けたい。
3:はやてが死んだ状況を知りたい。
4:カズマが心配。
[備考]
シグナム、ヴィータは消滅したと考えています。
[状態]:健康、悲しみ、友を守るという強い決意 やや疲労
[装備]:バルディッシュ・アサルト@魔法少女リリカルなのは
[道具]:グルメテーブルかけ@ドラえもん(回数制限有り:残り18品)、テキオー灯@ドラえもん、支給品一式
[思考・状況]
1:一旦ホテルに帰還。
2:フェイトと合流。 フェイトにバルディッシュを届けたい。
3:はやてが死んだ状況を知りたい。
4:カズマが心配。
[備考]
シグナム、ヴィータは消滅したと考えています。
【獅堂光@魔法騎士レイアース】
[状態]:全身打撲(歩くことは可能)、軽度の疲労 ※服が少し湿っている
[装備]:龍咲海の剣@魔法騎士レイアース
[道具]:鳳凰寺風の剣@魔法騎士レイアース、エスクード(風)@魔法騎士レイアース、スペツナズナイフ×1、支給品一式(×2)、デンコーセッカ@ドラえもん(残り1本)、オモチャのオペラグラス
[思考・状況]
1:一旦ホテルに帰還。
2:風と合流。
3:キャスカを警戒。
4:ゲインとみさえが心配。
5:状況が落ち着いたら、面倒だがクーガーの挑戦に応じてやる。
6:まず魅音から翠星石と剛田武の情報を聞く
基本:ギガゾンビ打倒。
[状態]:全身打撲(歩くことは可能)、軽度の疲労 ※服が少し湿っている
[装備]:龍咲海の剣@魔法騎士レイアース
[道具]:鳳凰寺風の剣@魔法騎士レイアース、エスクード(風)@魔法騎士レイアース、スペツナズナイフ×1、支給品一式(×2)、デンコーセッカ@ドラえもん(残り1本)、オモチャのオペラグラス
[思考・状況]
1:一旦ホテルに帰還。
2:風と合流。
3:キャスカを警戒。
4:ゲインとみさえが心配。
5:状況が落ち着いたら、面倒だがクーガーの挑戦に応じてやる。
6:まず魅音から翠星石と剛田武の情報を聞く
基本:ギガゾンビ打倒。
※古手梨花、桜田ジュンの遺体はF-4遊園地の花壇に埋葬されました。
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Back:鉄の鎧纏った僕を動かしてく Going on Next:避けてゆけぬBattlefield
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Back:鉄の鎧纏った僕を動かしてく Going on Next:避けてゆけぬBattlefield
178:最期の四重奏―それぞれの誓い― | 園崎魅音 | 207:「ゼロのルイズ」(前編) |
186:THE TOWER~"塔" | 高町なのは | 207:「ゼロのルイズ」(前編) |
186:THE TOWER~"塔" | 獅堂光 | 207:「ゼロのルイズ」(前編) |