幸せな未来 ◆B0yhIEaBOI
目の前にあるのは、いつもと変わらない教室のドア。
そこで私は、いつものように先頭を譲り、いつものように不敵な笑顔。
彼もそれには不敵な笑みで返してくれる。
そこで私は、いつものように先頭を譲り、いつものように不敵な笑顔。
彼もそれには不敵な笑みで返してくれる。
彼はまず、扉の上に目をやる。
そこには、扉の隙間に黒板消しが挟んであった。なんと典型的なテンプレート。
彼は、それに苦笑しながら扉の取っ手に手を掛けようとして……その手を引っ込める。
そこには、セロテープで無数の画鋲が貼り付けられていた。
上に注意をそらした上での、二段重ねの巧妙な罠。その二つを、彼は難なく見破ってみせた。
そして、意気揚々と教室の中へと進入する。
――ガラガラッ、
「わははは、沙都子、破れたり――――ィッ!?」
だが、彼の体は、足を軸にそのまま前のめりに倒れていく。
彼の足元には、ぴんと張った縄跳びの紐が仕掛けられていたのだ。
その眼前には、並々と墨汁を湛えた一個の硯が……
「圭一君、よけてっ!」
レナの、悲鳴のような叫びが響く。
――どすん。
彼――圭ちゃんは、ギリギリで体を捻り、最悪の事態だけは回避できたようだ。
そこには、扉の隙間に黒板消しが挟んであった。なんと典型的なテンプレート。
彼は、それに苦笑しながら扉の取っ手に手を掛けようとして……その手を引っ込める。
そこには、セロテープで無数の画鋲が貼り付けられていた。
上に注意をそらした上での、二段重ねの巧妙な罠。その二つを、彼は難なく見破ってみせた。
そして、意気揚々と教室の中へと進入する。
――ガラガラッ、
「わははは、沙都子、破れたり――――ィッ!?」
だが、彼の体は、足を軸にそのまま前のめりに倒れていく。
彼の足元には、ぴんと張った縄跳びの紐が仕掛けられていたのだ。
その眼前には、並々と墨汁を湛えた一個の硯が……
「圭一君、よけてっ!」
レナの、悲鳴のような叫びが響く。
――どすん。
彼――圭ちゃんは、ギリギリで体を捻り、最悪の事態だけは回避できたようだ。
「おーっほっほっほっ、朝から騒々しいですわねえ、圭一さあん?」
「圭一、腰を打ったのですか? 痛いの、痛いの、飛んでけです」
「沙ぁ都ぉ子ぉおおお、てめえ、よくもぉおおおお!!」
「ぬ、濡れ衣ですわああ、私がやったっていう証拠がどこに」
――ひょい、つかつか、べしっ。
「う、うわあああん、圭一さんがデコピンしたああああぁ」
「ああ、泣いてる沙都子ちゃんかぁいぃよぉ☆ お持ち帰りしたいぃ☆ そんな沙都子ちゃんをいじめる悪い人わぁ……」
――バシィッ!
そして、顔に青あざを残して倒れる圭ちゃん。
いつもどおり。何もかもが、いつもどおりの朝の一場面。
でも、今日は少しだけ違うことがある。
今日はいつもよりも少し早く学校に着いたこと。そして――
「圭一、腰を打ったのですか? 痛いの、痛いの、飛んでけです」
「沙ぁ都ぉ子ぉおおお、てめえ、よくもぉおおおお!!」
「ぬ、濡れ衣ですわああ、私がやったっていう証拠がどこに」
――ひょい、つかつか、べしっ。
「う、うわあああん、圭一さんがデコピンしたああああぁ」
「ああ、泣いてる沙都子ちゃんかぁいぃよぉ☆ お持ち帰りしたいぃ☆ そんな沙都子ちゃんをいじめる悪い人わぁ……」
――バシィッ!
そして、顔に青あざを残して倒れる圭ちゃん。
いつもどおり。何もかもが、いつもどおりの朝の一場面。
でも、今日は少しだけ違うことがある。
今日はいつもよりも少し早く学校に着いたこと。そして――
「あのさ、みんなちょっといいかな? 本当は放課後になってからって思ってたんだけど、先生来るまでにまだちょっと時間あるみたいだからさ」
「なんだ魅音? 今から部活か? まあ、俺ならいつでも相手になってやるけど……」
「ううん、そうじゃなくて……実はさ、手紙が来たんだよ! あの時のみんなから!!」
「え、みんなって、もしかして……!?」
「そう、そのまさか! キョンやハルヒやドラえもんからも! ほら、光にセラスのもあるよ!」
「おお、次元さんのもあるじゃねえか! なんか消印が無いけど、どうやって投函したんだこれ?」
「あ~~、蒼星石ちゃんのだぁ。かぁいかったなぁ、蒼星石ちゃん☆ おもちかえりしたかったなあ☆」
「あら、ロックさんやしんのすけさんのもありますわ」
「これは剛からですね。あ、これは……?」
「ああっ、梨花ちゃんそれは駄目ッ!」
「なんだ? 魅音がそんなに慌てるなんて……梨花ちゃんちょっとソレ貸して」
「あ゛あ゛! 圭ちゃんそれ読んじゃ駄目ぇっ!!」
「え~っと、何々……
『拝啓麗しの魅音様。ご機嫌麗しゅうございます。私は美しい貴方にもう一度お会いするために世界を縮める毎日で……』
っておい、これ思いっきりラブレターじゃねえかよ! 差出人は……『世界最速の男、ストレイト・クーガー』!?
なんだこりゃ!? 普通称号とか自分の名前に付けるかぁ?」
「圭一くん、やめてあげなよ。魅ぃちゃんが可哀想だよぉ」
「いやいや、でも魅音にゃこれぐらいストレートにアプローチしてくれる奴の方が合ってるんじゃないか? 案外、魅音の方もまんざらじゃなかったりして」
「ち、違う、違う、圭ちゃん~~~~!!」
「お、魅音赤くなってるぞ。こりゃあ図星かあ? 朝からお熱いことで」
「違うのっ!! 私の好きな人は別に――――……あ」
「魅音さんの、好きな、人は?」
「魅ぃ、お顔が耳まで真っ赤なのです」
「え、えーっと……気になるから一応聞いとくけど、魅音の好きな人って……?」
「あ……う……その……あーもうこんな時間だ! ほら沙都子、あんたのトラップそのままじゃないの! 早く片付けるよ!」
「あ――! 魅音誤魔化してるな!? 正直に白状しろ~~!」
「あ゛ー、あ゛―、おじさんは何にも聞こえませーん!! 早くみんな席につきなさーーい!!ホラ先生が来たよ! きりーつ!」
「なんだ魅音? 今から部活か? まあ、俺ならいつでも相手になってやるけど……」
「ううん、そうじゃなくて……実はさ、手紙が来たんだよ! あの時のみんなから!!」
「え、みんなって、もしかして……!?」
「そう、そのまさか! キョンやハルヒやドラえもんからも! ほら、光にセラスのもあるよ!」
「おお、次元さんのもあるじゃねえか! なんか消印が無いけど、どうやって投函したんだこれ?」
「あ~~、蒼星石ちゃんのだぁ。かぁいかったなぁ、蒼星石ちゃん☆ おもちかえりしたかったなあ☆」
「あら、ロックさんやしんのすけさんのもありますわ」
「これは剛からですね。あ、これは……?」
「ああっ、梨花ちゃんそれは駄目ッ!」
「なんだ? 魅音がそんなに慌てるなんて……梨花ちゃんちょっとソレ貸して」
「あ゛あ゛! 圭ちゃんそれ読んじゃ駄目ぇっ!!」
「え~っと、何々……
『拝啓麗しの魅音様。ご機嫌麗しゅうございます。私は美しい貴方にもう一度お会いするために世界を縮める毎日で……』
っておい、これ思いっきりラブレターじゃねえかよ! 差出人は……『世界最速の男、ストレイト・クーガー』!?
なんだこりゃ!? 普通称号とか自分の名前に付けるかぁ?」
「圭一くん、やめてあげなよ。魅ぃちゃんが可哀想だよぉ」
「いやいや、でも魅音にゃこれぐらいストレートにアプローチしてくれる奴の方が合ってるんじゃないか? 案外、魅音の方もまんざらじゃなかったりして」
「ち、違う、違う、圭ちゃん~~~~!!」
「お、魅音赤くなってるぞ。こりゃあ図星かあ? 朝からお熱いことで」
「違うのっ!! 私の好きな人は別に――――……あ」
「魅音さんの、好きな、人は?」
「魅ぃ、お顔が耳まで真っ赤なのです」
「え、えーっと……気になるから一応聞いとくけど、魅音の好きな人って……?」
「あ……う……その……あーもうこんな時間だ! ほら沙都子、あんたのトラップそのままじゃないの! 早く片付けるよ!」
「あ――! 魅音誤魔化してるな!? 正直に白状しろ~~!」
「あ゛ー、あ゛―、おじさんは何にも聞こえませーん!! 早くみんな席につきなさーーい!!ホラ先生が来たよ! きりーつ!」
いつもどおりの日常。いつも一緒にいてくれる仲間。
ささやかだけど、確かにそこにある幸せ。
退屈だけど、かけがえの無い「いつも」が、そこにはある。
今までも、そしてこれからも。ずっと、ずっと……
ささやかだけど、確かにそこにある幸せ。
退屈だけど、かけがえの無い「いつも」が、そこにはある。
今までも、そしてこれからも。ずっと、ずっと……
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