正義という名の覚悟 ◆bbg7GQM68o
「ここはロストグラウンドではないな。更に言うならば、恐らくは世界のどこでもない空間……いわば擬似世界。
雲慶のアルター能力のようなものか」
劉鳳は一人、遊園地のベンチに座って考えていた。
周りに人の気配はしないが、それにも関わらずこの場の観覧車やメリーゴーランドなどといった遊具は
楽しげな音楽を鳴らしながら活動し続けていた。
まるで目に見えない人間が存在して、それらで楽しんでいるかのように。
深夜だというのにそれを意に介さずに動き続けている。
今この場においては、それらのきらびやかな光や音楽といった全てが苛立たしい。
「ちっ」
舌打ちをすると、劉鳳は現状を確認することに努めた。
デイパックに詰められた荷物を見ると、地図やコンパスといった簡単な必需品の他には刀が入っていた。
とはいえ、自分に剣術の心得があるはずもない。
まだ幼い頃に軽く教わった覚えがあるが、到底実践レベルには届かない。
それにこんなものがなくとも、自分は他に強大な力を持っている。
わざわざ武器に頼る必要はない。たとえ拳銃で狙われたところで、完全自立型のその力は自分を守ってくれる。
だが一応この場に刀を放置することは危険だと判断したため、劉鳳はそれを役に立たないということは承知しつつ
持っていくことにした。
「…………」
そして彼は、自分の首につけられている輪にそっと触れた。
あの仮面の男は、どういう仕組みだかは知らないが自分の好きな時にこれを爆発させることができるらしい。
アルターを使うことでこの首輪の物質を消滅させることができないかと先ほど試してみたが、
やはりと言おうか周りの床や柱、看板などは消えたがこの首輪に関しては何の影響も見られなかった。
「結局、ここでも飼い犬というわけか」
思わず自嘲する。
自分は元々いた世界においてはHOLDという警察機関の実行部隊、『HOLY』の隊員だった。
そこはレベルの高いアルター能力者のみで構成されており、
そのためかそれ以外のアルター能力者で、ロストグラウンドで無法行為を働く外道たち……
ネイティブアルターと呼ばれる連中からは飼い犬と罵られてきた。
別にそう呼ばれることはかまわない。HOLYを抜けたいと思ったこともない。
自分は自分の正義があって、その信念に基づいて行動しているだけだ。
だが名目上では、確かに奴らにそう見られても仕方ないところもあるということは自覚している。
そしてここ、HOLYという肩書きがほぼ意味を成さないこの場においても、
自分を含めこの世界に閉じ込められた参加者は仮面の男に操られる大勢の飼い犬にすぎないのだ。
雲慶のアルター能力のようなものか」
劉鳳は一人、遊園地のベンチに座って考えていた。
周りに人の気配はしないが、それにも関わらずこの場の観覧車やメリーゴーランドなどといった遊具は
楽しげな音楽を鳴らしながら活動し続けていた。
まるで目に見えない人間が存在して、それらで楽しんでいるかのように。
深夜だというのにそれを意に介さずに動き続けている。
今この場においては、それらのきらびやかな光や音楽といった全てが苛立たしい。
「ちっ」
舌打ちをすると、劉鳳は現状を確認することに努めた。
デイパックに詰められた荷物を見ると、地図やコンパスといった簡単な必需品の他には刀が入っていた。
とはいえ、自分に剣術の心得があるはずもない。
まだ幼い頃に軽く教わった覚えがあるが、到底実践レベルには届かない。
それにこんなものがなくとも、自分は他に強大な力を持っている。
わざわざ武器に頼る必要はない。たとえ拳銃で狙われたところで、完全自立型のその力は自分を守ってくれる。
だが一応この場に刀を放置することは危険だと判断したため、劉鳳はそれを役に立たないということは承知しつつ
持っていくことにした。
「…………」
そして彼は、自分の首につけられている輪にそっと触れた。
あの仮面の男は、どういう仕組みだかは知らないが自分の好きな時にこれを爆発させることができるらしい。
アルターを使うことでこの首輪の物質を消滅させることができないかと先ほど試してみたが、
やはりと言おうか周りの床や柱、看板などは消えたがこの首輪に関しては何の影響も見られなかった。
「結局、ここでも飼い犬というわけか」
思わず自嘲する。
自分は元々いた世界においてはHOLDという警察機関の実行部隊、『HOLY』の隊員だった。
そこはレベルの高いアルター能力者のみで構成されており、
そのためかそれ以外のアルター能力者で、ロストグラウンドで無法行為を働く外道たち……
ネイティブアルターと呼ばれる連中からは飼い犬と罵られてきた。
別にそう呼ばれることはかまわない。HOLYを抜けたいと思ったこともない。
自分は自分の正義があって、その信念に基づいて行動しているだけだ。
だが名目上では、確かに奴らにそう見られても仕方ないところもあるということは自覚している。
そしてここ、HOLYという肩書きがほぼ意味を成さないこの場においても、
自分を含めこの世界に閉じ込められた参加者は仮面の男に操られる大勢の飼い犬にすぎないのだ。
「まあいい。ならば俺はその飼い主を噛み殺すだけだ」
たとえどこにいようが関係ない。
自分の掲げる『正義』の二文字がある限り、決して迷わない。ああ、迷ってなどいられるものか。
そしてその正義は、あの仮面の男を『悪』だと認識した。俺は奴を、断罪する。
劉鳳は立ち上がる。
頭に浮かぶのは、最初に仮面の男に立ち向かおうとして命を散らした二人の男と少女。
本来ならばあの場では、他の誰でもない自分が出ていくべきだった。そうする他に選択肢はなかったはずだ。
だがあの時、自分は愚かにもまず様子を見るべきだと判断し、前に出て行くのを躊躇ってしまった。
その結果、二つの小さな命が消え去ることになった……自分への怒りに、吐き気がする。
たしかに判断としてはあれで正しかったのかもしれない。
さすがに自分でもここまで至近距離の爆発を防ぐことはできない。
あの時何も考えずに奴に刃向かおうとすれば死んでいただろう。
そしてああいう行動を取った結果、自分は今でもこうして生きている。だから判断は正しかった。
だが、感情が絶対的に納得しない。
「絶影!」
叫ぶ。
再び周りの地面や、先ほどまで座っていたベンチが消滅する。
そして、それと引き換えにして自分の相棒とも呼べる存在を地上に出現させる。
あの何年も前の忌まわしき時から、いやそれ以前からずっと自分と共にいた相棒を!
「俺は決して悪を許さん!
何が悪で何が正義かわからないというのなら、俺は俺の正義を貫いてみせる!
故に仮面の男、そしてこれからこのゲームとやらに乗るであろう無法者!
秩序を破壊し続けるその罪はこの手で必ず償わせる!」
自分の感情に合わせて完全自立型の相棒が動く。
一瞬にして空に舞い上がると、相も変わらず無神経に音楽を鳴らし続ける遊具を目掛け、神速の攻撃を仕掛ける。
全てを切り裂くその刃で。どこまでも伸び続ける、その刃で。
たとえどこにいようが関係ない。
自分の掲げる『正義』の二文字がある限り、決して迷わない。ああ、迷ってなどいられるものか。
そしてその正義は、あの仮面の男を『悪』だと認識した。俺は奴を、断罪する。
劉鳳は立ち上がる。
頭に浮かぶのは、最初に仮面の男に立ち向かおうとして命を散らした二人の男と少女。
本来ならばあの場では、他の誰でもない自分が出ていくべきだった。そうする他に選択肢はなかったはずだ。
だがあの時、自分は愚かにもまず様子を見るべきだと判断し、前に出て行くのを躊躇ってしまった。
その結果、二つの小さな命が消え去ることになった……自分への怒りに、吐き気がする。
たしかに判断としてはあれで正しかったのかもしれない。
さすがに自分でもここまで至近距離の爆発を防ぐことはできない。
あの時何も考えずに奴に刃向かおうとすれば死んでいただろう。
そしてああいう行動を取った結果、自分は今でもこうして生きている。だから判断は正しかった。
だが、感情が絶対的に納得しない。
「絶影!」
叫ぶ。
再び周りの地面や、先ほどまで座っていたベンチが消滅する。
そして、それと引き換えにして自分の相棒とも呼べる存在を地上に出現させる。
あの何年も前の忌まわしき時から、いやそれ以前からずっと自分と共にいた相棒を!
「俺は決して悪を許さん!
何が悪で何が正義かわからないというのなら、俺は俺の正義を貫いてみせる!
故に仮面の男、そしてこれからこのゲームとやらに乗るであろう無法者!
秩序を破壊し続けるその罪はこの手で必ず償わせる!」
自分の感情に合わせて完全自立型の相棒が動く。
一瞬にして空に舞い上がると、相も変わらず無神経に音楽を鳴らし続ける遊具を目掛け、神速の攻撃を仕掛ける。
全てを切り裂くその刃で。どこまでも伸び続ける、その刃で。
どごおおおおおんっ!
壮絶な音をたてて、遊園地の一部が破壊されてゆく。ぬるい。この程度では自分の怒りはとても表せない。
崩壊してゆく光景に背を向けると、後ろを振り返りもせずに劉鳳は前に向かって歩き出した。
崩壊してゆく光景に背を向けると、後ろを振り返りもせずに劉鳳は前に向かって歩き出した。
悪を挫き、弱き者を助ける。それが劉鳳の正義。
だがそれとは別にもう一つ、彼にはどうしても為さねばならぬことがあった。
自分と同じくこの世界のどこかに飛ばされているであろう宿敵。
好敵手とも言えるのかもしれないが、それよりも宿敵という言葉が一番しっくりくる、あの男。
「ここがどこであろうとかまわない。貴様とは、必ず決着をつけてみせる……!」
それは、貴様とて同じことだろう……カズマ!!
だがそれとは別にもう一つ、彼にはどうしても為さねばならぬことがあった。
自分と同じくこの世界のどこかに飛ばされているであろう宿敵。
好敵手とも言えるのかもしれないが、それよりも宿敵という言葉が一番しっくりくる、あの男。
「ここがどこであろうとかまわない。貴様とは、必ず決着をつけてみせる……!」
それは、貴様とて同じことだろう……カズマ!!
【G-5遊園地・1日目 深夜】
【劉鳳@スクライド】
[状態]:健康、『悪』に対する一時的な激昂
[装備]: なし
[道具]:支給品一式、斬鉄剣
[思考・状況]
1:主催者、マーダーなどといった『悪』をこの手で断罪する
2:相手がゲームに乗っていないようなら保護する
3:カズマと決着をつける
4:必ず自分の正義を貫く
[備考]遊園地の観覧車とメリーゴーランド、その周辺は破壊されました
【劉鳳@スクライド】
[状態]:健康、『悪』に対する一時的な激昂
[装備]: なし
[道具]:支給品一式、斬鉄剣
[思考・状況]
1:主催者、マーダーなどといった『悪』をこの手で断罪する
2:相手がゲームに乗っていないようなら保護する
3:カズマと決着をつける
4:必ず自分の正義を貫く
[備考]遊園地の観覧車とメリーゴーランド、その周辺は破壊されました
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劉鳳 | 77:misapprehension |