オープニング
一切の光無き暗闇の中。
ざわざわと人の喧噪が響いていた。
(なんだよ、うるさいなぁ)
少年は不平に思う。
今日は日曜日なんだから寝かせてくれたって良いじゃないか。
「おい、起きろのび太!」
そう思う少年に知り合いの声がする。
ドラえもんの声だ、うるさいなぁ。
「起きなさい、のび君!」
そう思う少年に知り合いの声がする。
先生の声だ、うるさいなぁ。
……先生?
「「起きろのび太!」」
「わあごめんなさい!!」
跳ね起きた。
ざわざわと人の喧噪が響いていた。
(なんだよ、うるさいなぁ)
少年は不平に思う。
今日は日曜日なんだから寝かせてくれたって良いじゃないか。
「おい、起きろのび太!」
そう思う少年に知り合いの声がする。
ドラえもんの声だ、うるさいなぁ。
「起きなさい、のび君!」
そう思う少年に知り合いの声がする。
先生の声だ、うるさいなぁ。
……先生?
「「起きろのび太!」」
「わあごめんなさい!!」
跳ね起きた。
「……あれ?」
起きてから少年、野比のび太は首を傾げる。
起きたという事は目を開けたはずなのに、どうしてまだ暗いんだろう。
先生の声が聞こえたから学校のはずなのに、どうしてまっくらなのだろう。
暗闇の中から声だけが聞こえる。
たくさんの人がいるようだった。
「やっと起きたか。もう、のび太君はいつもそうなんだから」
「ドラえもん? これ、どうなってるの? 何も見えないよ」
「知らないよ、さっきからそうなんだ。気づいたらみんなこんな所に居たんだ」
「みんな?」
周囲を見回す。
もちろん暗闇を見通す事なんて出来なかったけれど、見知った友人が居るのは感じ取れた。
「やっと起きたか、ぐずだなのび太は」
「そうだよ、こんな時にぐーすか寝てるなんてさ」
(ジャイアンにスネ夫も居るみたいだ)
「そんな事言わないで、のび太さんだけじゃなくわたし達だって何も判らないんだから」
(しずかちゃんも居る)
「みんな落ち着きなさい。先生も何が何だか判らないんだ」
(先生まで居る!?)
のび太は混乱した。
「いったいぜんたい、どういうこと!?」
「フハハハ、こういう事だ」
疑問の叫びに不気味な声が答えた。
起きてから少年、野比のび太は首を傾げる。
起きたという事は目を開けたはずなのに、どうしてまだ暗いんだろう。
先生の声が聞こえたから学校のはずなのに、どうしてまっくらなのだろう。
暗闇の中から声だけが聞こえる。
たくさんの人がいるようだった。
「やっと起きたか。もう、のび太君はいつもそうなんだから」
「ドラえもん? これ、どうなってるの? 何も見えないよ」
「知らないよ、さっきからそうなんだ。気づいたらみんなこんな所に居たんだ」
「みんな?」
周囲を見回す。
もちろん暗闇を見通す事なんて出来なかったけれど、見知った友人が居るのは感じ取れた。
「やっと起きたか、ぐずだなのび太は」
「そうだよ、こんな時にぐーすか寝てるなんてさ」
(ジャイアンにスネ夫も居るみたいだ)
「そんな事言わないで、のび太さんだけじゃなくわたし達だって何も判らないんだから」
(しずかちゃんも居る)
「みんな落ち着きなさい。先生も何が何だか判らないんだ」
(先生まで居る!?)
のび太は混乱した。
「いったいぜんたい、どういうこと!?」
「フハハハ、こういう事だ」
疑問の叫びに不気味な声が答えた。
部屋に明かりがつく。
周りを見回すとスーツを着た男の人や古めかしい服の女の人が居た。
蜘蛛型の足が付いた変なロボットも居た。
そして一段と高くなった壇上には、未開地のシャーマンのような毛皮の衣を纏った
奇怪な仮面の男が立っていた。
「ギガゾンビ!?」
「そんなバカな、タイムパトロールに捕まったはずじゃ!?」
ドラえもんが驚きの声を上げる。
だが、目の前に居るのはかつて彼らが捕らえた時空犯罪者ギガゾンビに違いなかった。
周りを見回すとスーツを着た男の人や古めかしい服の女の人が居た。
蜘蛛型の足が付いた変なロボットも居た。
そして一段と高くなった壇上には、未開地のシャーマンのような毛皮の衣を纏った
奇怪な仮面の男が立っていた。
「ギガゾンビ!?」
「そんなバカな、タイムパトロールに捕まったはずじゃ!?」
ドラえもんが驚きの声を上げる。
だが、目の前に居るのはかつて彼らが捕らえた時空犯罪者ギガゾンビに違いなかった。
「ワハハハ、目覚めの気分はどうかな生贄の諸君!」
ギガゾンビが高らかな笑い声を上げる。
「生贄……?」
誰かが疑問の声を吐く。
「そう、生贄だ!
キサマらにはこれから殺し合いをしてもらう!」
約80人もの群衆を前に男は高らかに宣言した。
「おまえ達はありとあらゆる世界の様々な時間から集めた生贄だ。
おまえ達にはこれから殺し合いをしてもらう。
そして生き残った一人だけは元の世界に返してやろう。
それがこの殺し合い、バトル・ロワイアルだ。
ああそうだ、その生き残った一人は一つだけ願いも叶えてやるぞ?」
「こんな事をすればタイムパトロールが黙っていないぞ!」
ドラえもんが怒りの声を上げる。
「バカめ、私は時空刑務所から脱獄し亜空間破壊装置を完成させた!
もはやタイムパトロール共は私に手を出せないのだ。
今度は誰も助けに来ないぞ、青ダヌキ」
「そんなバカな!?」
青ダヌキことドラえもんの顔が本当に青くなった。
それが本当なら、前の時に奴を捕まえた手段はまるで通用しなくなる。
「本当だとも。キサマらに残された道は殺し合って生き残るだけだ」
「そんな事させないわ!」
「ああそうだ、おまえの言う事なんて聞くもんか!」
一人の少女が叫び、それと共に筋肉質の男が飛び出した。
カメラを下げたその男は壇上によじ登りギガゾンビに掴みかかろうとする。
壇上に居るとはいえそれは届かない距離ではないように思えた。だが。
「ダメなのです富竹! ボク達の首には……!」
人混みから抜けてきた少女が制止の声を上げる。
その少女が何故それに気づき、あるいは知っていたのかは判らない。
何にせよ、それは遅すぎた。
その少女はいつもそうで、その男はいつもそうだった。
ギガゾンビが高らかな笑い声を上げる。
「生贄……?」
誰かが疑問の声を吐く。
「そう、生贄だ!
キサマらにはこれから殺し合いをしてもらう!」
約80人もの群衆を前に男は高らかに宣言した。
「おまえ達はありとあらゆる世界の様々な時間から集めた生贄だ。
おまえ達にはこれから殺し合いをしてもらう。
そして生き残った一人だけは元の世界に返してやろう。
それがこの殺し合い、バトル・ロワイアルだ。
ああそうだ、その生き残った一人は一つだけ願いも叶えてやるぞ?」
「こんな事をすればタイムパトロールが黙っていないぞ!」
ドラえもんが怒りの声を上げる。
「バカめ、私は時空刑務所から脱獄し亜空間破壊装置を完成させた!
もはやタイムパトロール共は私に手を出せないのだ。
今度は誰も助けに来ないぞ、青ダヌキ」
「そんなバカな!?」
青ダヌキことドラえもんの顔が本当に青くなった。
それが本当なら、前の時に奴を捕まえた手段はまるで通用しなくなる。
「本当だとも。キサマらに残された道は殺し合って生き残るだけだ」
「そんな事させないわ!」
「ああそうだ、おまえの言う事なんて聞くもんか!」
一人の少女が叫び、それと共に筋肉質の男が飛び出した。
カメラを下げたその男は壇上によじ登りギガゾンビに掴みかかろうとする。
壇上に居るとはいえそれは届かない距離ではないように思えた。だが。
「ダメなのです富竹! ボク達の首には……!」
人混みから抜けてきた少女が制止の声を上げる。
その少女が何故それに気づき、あるいは知っていたのかは判らない。
何にせよ、それは遅すぎた。
その少女はいつもそうで、その男はいつもそうだった。
ボンッ。
男の生首がゆっくりと宙を舞い、偶然にも少女の足下に転がった。
血が床に撒き散らされ虚ろな目が少女を見上げる。
「富竹……!」
「富竹さん!!」
富竹というらしい男は、死んだ。
あっさりと理不尽に、その場にいた“参加者”達に対する見せしめとして。
その周囲で起きる騒ぎを見てギガゾンビは楽しげに笑った。
「フハハハ、キサマらの首には爆弾の付いた首輪を取り付けてある。
私に逆らったり、会場から逃げようとすれば爆発するぞ。
誰も殺し合わない退屈な見せ物になれば、纏めて爆破するかもしれんなあ」
恐ろしい事を口にする。
ならば誰かが殺されてもみんなで爆破される前に抑え込めば。
「もう一つ、キサマらの前の私の姿はただの立体映像だ。バカな事は止すのだな」
そんな希望さえもギガゾンビはあっさりとへし折った。
「これは私の退屈をしのぐ見せ物なのだ。ああ、そうだ……」
血が床に撒き散らされ虚ろな目が少女を見上げる。
「富竹……!」
「富竹さん!!」
富竹というらしい男は、死んだ。
あっさりと理不尽に、その場にいた“参加者”達に対する見せしめとして。
その周囲で起きる騒ぎを見てギガゾンビは楽しげに笑った。
「フハハハ、キサマらの首には爆弾の付いた首輪を取り付けてある。
私に逆らったり、会場から逃げようとすれば爆発するぞ。
誰も殺し合わない退屈な見せ物になれば、纏めて爆破するかもしれんなあ」
恐ろしい事を口にする。
ならば誰かが殺されてもみんなで爆破される前に抑え込めば。
「もう一つ、キサマらの前の私の姿はただの立体映像だ。バカな事は止すのだな」
そんな希望さえもギガゾンビはあっさりとへし折った。
「これは私の退屈をしのぐ見せ物なのだ。ああ、そうだ……」
ギガゾンビは一人の少女に視線を注いだ。
源静香。
「さっき、キサマも私に逆らおうとしたな」
「そ、それは……!」
反射的に反抗の言葉を叫んだ事を思いだして青くなる。
「不穏分子は減らしておくとしよう」
「い、いや、ゆるして!」
ギガゾンビは本気だ。
殺される……!
「や、やめろーー!」
「のび太さん!?」
のび太は勇気を奮って飛び出した。
震えながらもしずかを庇い、ギガゾンビに立ち塞がる。
「し、しずかちゃんに手を出したらゆゆ、ゆるさないからな!」
「ムムッ、キサマはあの時のタイムパトロールの協力者だな」
かつてタイムパトロール隊は発信器の信号に引かれてギガゾンビの基地を強襲した。
捕まえておいた奴らはそんな物を持ってはいなかった。
それなら残るは合成生物に乗って侵入してきたこの少年しかいない。
「キサマだけはゆるさん! たっぷりと苦しめ!」
「わ、わあああ!?」
のび太は目を瞑って悲鳴を上げた。
源静香。
「さっき、キサマも私に逆らおうとしたな」
「そ、それは……!」
反射的に反抗の言葉を叫んだ事を思いだして青くなる。
「不穏分子は減らしておくとしよう」
「い、いや、ゆるして!」
ギガゾンビは本気だ。
殺される……!
「や、やめろーー!」
「のび太さん!?」
のび太は勇気を奮って飛び出した。
震えながらもしずかを庇い、ギガゾンビに立ち塞がる。
「し、しずかちゃんに手を出したらゆゆ、ゆるさないからな!」
「ムムッ、キサマはあの時のタイムパトロールの協力者だな」
かつてタイムパトロール隊は発信器の信号に引かれてギガゾンビの基地を強襲した。
捕まえておいた奴らはそんな物を持ってはいなかった。
それなら残るは合成生物に乗って侵入してきたこの少年しかいない。
「キサマだけはゆるさん! たっぷりと苦しめ!」
「わ、わあああ!?」
のび太は目を瞑って悲鳴を上げた。
ボンッ、という音が聞こえた。
(あ、あれ? ぼく、どうして生きているんだろう?)
背中に何か温かい物が掛かるのを感じる。
ゆっくりと目を開けると、ドラえもん達がこちらを見て凍り付いていた。
(だいじょうぶだよ、ぼくはどこも痛くない)
ちょっと背中が温かいだけでなんともない。そう、本当になんともないんだ。
だからそんなに固まらなくても良い……
(温かい?)
どうして、温かいのだろう?
ゆっくりと、本当にゆっくりと振り返るとそこには…………
背中に何か温かい物が掛かるのを感じる。
ゆっくりと目を開けると、ドラえもん達がこちらを見て凍り付いていた。
(だいじょうぶだよ、ぼくはどこも痛くない)
ちょっと背中が温かいだけでなんともない。そう、本当になんともないんだ。
だからそんなに固まらなくても良い……
(温かい?)
どうして、温かいのだろう?
ゆっくりと、本当にゆっくりと振り返るとそこには…………
「うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「フハハハ、苦しめ、苦しむがいい」
泣き崩れるのび太を見てギガゾンビはさも楽しげに、悪魔のように笑う。
「おまえは私の手では殺さん。
ゲームの参加者の一人として殺し合いの中でもっともっと苦しんで死ぬのだ。
無力な一人の子供として惨めったらしく死ぬのだ」
絶対的な勝利者として高みから笑う。
もうどうしようもない目の前の敗北者を嘲笑う。
泣き崩れるのび太を見てギガゾンビはさも楽しげに、悪魔のように笑う。
「おまえは私の手では殺さん。
ゲームの参加者の一人として殺し合いの中でもっともっと苦しんで死ぬのだ。
無力な一人の子供として惨めったらしく死ぬのだ」
絶対的な勝利者として高みから笑う。
もうどうしようもない目の前の敗北者を嘲笑う。
――しかし。
「……ゆるさない、からな」
少年は項垂れ、呟いていた。
「ゆ、ゆるさないぞ。
ぼくは言ったぞ、しずかちゃんに手を出したらゆるさないって」
泣き虫の少年は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら怒っていた。
ギガゾンビには届かない声で怒っていた。
「こ……」
その力はとても弱い。弱虫で泣き虫の、優しい少年の怒りだ。
だけど。
「ころしてやる……どうやってでもころしてやる……」
「……ゆるさない、からな」
少年は項垂れ、呟いていた。
「ゆ、ゆるさないぞ。
ぼくは言ったぞ、しずかちゃんに手を出したらゆるさないって」
泣き虫の少年は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら怒っていた。
ギガゾンビには届かない声で怒っていた。
「こ……」
その力はとても弱い。弱虫で泣き虫の、優しい少年の怒りだ。
だけど。
「ころしてやる……どうやってでもころしてやる……」
その怒りがギガゾンビに届く日が来ないなんて、誰も決めていない。
「ぼくはおまえをぜったいにゆるさないぞ、ギガゾンビ……!!」
少年は高みに立つ仇を、見上げた。
少年は高みに立つ仇を、見上げた。
ギガゾンビはもうそんな少年の事を見てはいなかった。
自分に屈辱を味わわせた子供に仕返しした事で満足して、上機嫌で説明を再開していた。
「首輪は定時放送で報せる禁止エリアに進入しても爆発する。
人数が少なくなれば他の参加者とも出くわしにくくなるから、場所を狭めてやるのだ。
それから、おまえ達には支給品を与える。
中には武器等の支給品がランダムに1~3個、それに地図や食料などが入っている」
殺し合いの説明を終えて、ギガゾンビは高らかに宣言する。
「さあ、今からおまえ達にはワープで会場に送ってやろう!
これはサービスだ、安心して向かうが良い! 健闘を祈っているぞ。
フハハハ、フハ、フハハハハハハ…………」
宣言通り、高笑いと共に参加者が会場へとワープしていく。
遂に殺し合いのゲームが幕を開けたのだ。
理由は不明。
目的も不明。
ただ目の前には逃れえぬ残酷だけが待っている!
自分に屈辱を味わわせた子供に仕返しした事で満足して、上機嫌で説明を再開していた。
「首輪は定時放送で報せる禁止エリアに進入しても爆発する。
人数が少なくなれば他の参加者とも出くわしにくくなるから、場所を狭めてやるのだ。
それから、おまえ達には支給品を与える。
中には武器等の支給品がランダムに1~3個、それに地図や食料などが入っている」
殺し合いの説明を終えて、ギガゾンビは高らかに宣言する。
「さあ、今からおまえ達にはワープで会場に送ってやろう!
これはサービスだ、安心して向かうが良い! 健闘を祈っているぞ。
フハハハ、フハ、フハハハハハハ…………」
宣言通り、高笑いと共に参加者が会場へとワープしていく。
遂に殺し合いのゲームが幕を開けたのだ。
理由は不明。
目的も不明。
ただ目の前には逃れえぬ残酷だけが待っている!
そして、バトルロワイアルが始まった――
【富竹ジロウ@ひぐらしのなく頃に 死亡】
【源静香@ドラえもん 死亡】
[残り80人]
【源静香@ドラえもん 死亡】
[残り80人]
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