アニメキャラ・バトルロワイアル @ Wiki
http://w.atwiki.jp/animerowa/
アニメキャラ・バトルロワイアル @ Wiki
ja
2022-09-28T02:48:46+09:00
1664300926
-
残された欠片「異郷」
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/674.html
*残された欠片 ◆k97rDX.Hc.
**「異郷」
――21××年。
大都市の郊外にある、とあるスクラップ工場。そこが、いくつか提示されたなかからドラえもんが選んだ就職先だった。
勤務時間は長く、労働環境がよいとはお世辞にも言えない。しかし、あちこちにガタがきた子守ロボットを採用しようなどという雇用主などそうあるものでは無い。それに、基本的な工学知識を持ち、力仕事もこなせるドラえもんにとっては自分の能力を十分に生かせる職場であることには違いなかった。
ドアを開けて室内に一歩進んだところで、かすかな躊躇を覚えてドラえもんは踏み出した足を引っ込めた。そこは自分に割り当てられた部屋であり、寝起きをするようになってからすでに数ヶ月が経過している。入ることを誰に止められるいわれもないし、別に何か不審な点があったわけでもない。
念のためにもう一歩下がってドアのわきを見てみれば、予想を裏切られることもなく「ドラえもん」と記された表札がそこにかかっていた。
いつになったらこんなことをせずにすむようになるのだろうか。自分の姿に半ば呆れながら、いつもその日の仕事を終えてからするように、ドラえもんは部屋の壁と一体化したテーブルの前に座った。その上にしつらえられた端末を起動させ、その画面に表示された内容に目を通す。
『2件ノ着信アリ』
一方の差出人は、あのタイムパトロールの隊長。彼は――と言うより、タイムパトロールの組織全体が――ドラえもんに同情的で、いくつかの件については少々の無理も聞いてくれていた。今回のメッセージは、依頼していた事案が達成できたことを伝えてくるもので、これには丁寧な文章でお礼状を送ることにした。
さて、もう一方はと言うと、これはユービックから。中身に目を通すと、ロボット学校での生活や、日常生活の細々としたことが新鮮な驚きとともに綴られている。
新しい環境に慣れようとして四苦八苦する友人の姿を思い浮かべ、嬉しさとともに一抹の淋しさを感じてドラえもんは微笑んだ。こちらに来たばかりの頃は毎日のように届いていた彼からの私信も、最近は週に一度に減ってきている。いい加減、自分も自立しなければいけない。
そんなことを考えながら画面をスクロールさせ、メッセージの最後まで読んだところで、ドラえもんは目を見開いた。文面の最後に、校長先
2022-09-28T02:48:46+09:00
1664300926
-
次のバトルロワイアルのために
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/673.html
*次のバトルロワイアルのために ◆TIZOS1Jprc
青い空に、青い海。
人気のない白い砂浜に椰子の木が風に揺れる、どこかの瀟洒なリゾート地みたいな南国の風景。
パラソルの下でデッキチェアに寝そべる半裸の老人がいた。
ブーメランパンツ一丁で、皺だらけの貧相な肉体を周囲に晒している。
はっきり言って、目に毒である。見る者とていないが。
否。
「ご機嫌麗しそうね、何度も死にかけた直後だって言うのに」
「ふふ、王たる者は何度窮地に追い遣られても決して取り乱したりはせぬのだよ、テスタロッサ」
何の前触れもなく、妖艶な魔女、プレシア・テスタロッサが、彼の隣に出現していた。
下手な水着よりもキワどい黒の衣装に黒のマントと言う、通常の神経の持ち主なら絶対に公衆の面前には立ちたくない格好である。
娘さんもレオタード一枚で飛び回ってるけど、このヒトの場合年齢ってモンを自覚し……ゲフンゲフン。
「脱獄の支援、感謝するぞ。さすがの私でもあのままじゃちとマズかった」
「ギブアンドテイクよ、こちらからは魔法技術とロストロギアの模造品の供与。貴方からは次元断層からの救出と未来の科学技術と秘密道具の供与。
こっちから一回は助けないと、お合い子にならないの」
実際は有用なコネクションを失いたくないと言うドライな打算に過ぎないのだが。
「タイムパトロール……だったかしらね。あの程度の連中、出し抜くのは簡単だったわ。遣口を教えられていたし」
「上長上長」
老人は機嫌良く高笑いを始めた。
「アルハザードに至る為……私の願いを叶える為に、貴方にはもっと役に立って貰わないといけないのよ」
「ん? 何か言ったのか?」
「いいえ……。それより貴方はこれからどうするつもり?」
「そうだな、しばらくはほとぼりを冷ましてから……」
老人は、ぐっと握り拳を天に掲げた。
「今度こそ、バトルロワイアルを完遂して見せる!」
「……。まだやる気なの」
「そうとも。神に等しきこの私に苦汁を飲ませたあやつらに、何としても目に物見せてやらねば。
次こそは全員絶望のどん底でむごたらしく嬲り殺しになって貰おうではないか!」
「そう」
プレシア、心底どうでも良さげに相槌。
「何でも良いけれど、今度はヘマをしないことね。私ね、無能な子は
2022-09-28T02:30:30+09:00
1664299830
-
貝がら
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/672.html
*貝がら Ghost in the Shell ◆TIZOS1Jprc
油圧駆動系――応答なし。
人工筋肉作動信号――応答なし。
電波信号送受信――不可。
破損度チェック――不可。
手足を砕かれ、喉を潰された彼は、ひとり廃墟の街に横たわる。
出来ることは何もない。
伝えることも叶わない。
彼は辛うじて残された"目"を見開く。
最後の使命、"観測"を成し遂げるために。
一時間が経ち、二時間が経ち。
相変わらず変化はない。
時折遠くから響く爆音も、"耳"が用を成さなくなってからは聞くことが叶わなくなった。
太陽が登って、また沈み。
やはり、周辺に変化は見られない。
忘れ去られ、捨て置かれ。
丸一日が過ぎて、突然世界が白に包まれた。
ホワイトアウト。
信号が飽和する。
CCDもサーモグラフィーも焼き切れた。
遂に"目"すら潰され、世界は黒に包まれる。
衝撃。
だが、終わりではない。
まだ、考えられる。
まだ、憶えていられる。
不思議な浮遊感。
ここは何処だろう?
死後の世界などというものが有り得るのか。
それとも――――。
ひょっとすると、不安定な時空のタペストリーを突き破り、別の宇宙へと迷い込んでしまったのではないだろうか?
ジャイロが周期的で穏やかな加速を検出する。
どこへ向かっているのか。
その先を見ることは最早叶わないと言うのに、彼の胸は期待で膨らんでいた。
――――かつて、無限の遠宇宙に向けて旅立った兄弟が居たという。
それに勝るとも劣らぬ冒険譚を聞かせられるかもしれない。
彼は、最後の記録を開始した。
到達点に向かって。
・
・・
・・・
・・・・
・・・・・
――――今でないいつか、ここでないどこか――――
潮の香りが強くなる。
鬱蒼とした森を抜けると、浜辺が広がる。
波打ち際に、彼はいた。
人気の無い砂浜の上に足跡が一列に延びていく。
女が、たった一人、歩いていた。
金髪を白いリボンで一つに結んだ、まだ少女と言っても良いかもしれない年齢の、美しい女。
向かう先には、砂に半ば埋まっている、中型車量程の大きさの青い機体の残骸が転がっていた。
装甲はグチャグチャに歪んで原型を留めておらず、全面を錆とフジツボに覆われていて
2022-09-29T14:21:41+09:00
1664428901
-
カケラ遊びの最後に
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/671.html
*カケラ遊びの最後に ◆qwglOGQwIk
&color(#F54738){※引き続きひぐらしのネタバレ全開なので注意}
「羽入、今日は昭和何年の何月何日?」
「昭和58年6月の……19日なのです。あぅあぅ……」
「…………そう」
いつもの部屋、いつもの始まり。隣にはすやすやと眠る沙都子。
古手梨花の100年、あるいは千年に渡る終わり無き旅は、今まさに最悪のバッドエンドへと近づきつつあった。
梨花はとうに諦めきった様子で、一言呟いたきり羽入と話すのを辞めた。
梨花は食器棚からグラスを取り出す。
そして冷蔵庫へと向かい氷を取り出すと、押入れからお気に入りのワインを取り出す。
梨花は氷の入ったグラスにワインを並々と注ぎ、氷が解けるのも待たずに口へと運ぶ。
ぷはぁと息を付く古手梨花の顔は、怠惰と絶望に満ちていた。
羽入の顔もまた、苦々しい表情に包まれていたのは苦手なワインのせいだったのだろうか。
それとも――
「梨花。まだ、まだ終わってはいないのです。あぅあぅ……」
「何をやっても無駄よ羽入、もう何もかもが遅い。今日は綿流しの日なんだからね。
今日もまた富竹が死に、仲間が狂い……」
――そして私が殺されて、永遠の時の牢獄へと閉じ込められる。
ここ数百回のやり直しは梨花にとっても不幸だったと思う。サイコロの1が連続して出たというべきだろうか。
圭一は再び仲間を疑いだした。暴走してレナと魅音を殴り殺した時もあれば、暴走を止めようとした私が殺されたこともあった。
レナが暴走すれば、いつものように学校を占拠し、私ごと学校を爆破して死んでいった。
ある時は鉄平が雛見沢に現れ、沙都子を拉致していった。その時は圭一やレナ、あるいは詩音が殺人を犯していった。
この数百回は、こんな顛末が続いていった。そうするうちに羽入の力はどんどん衰えていった。
例外は詩音、そして富竹だろうか。
詩音だけは何故かある時を境に二度と園崎家を疑うことなく、沙都子のねーねー役として雛見沢にやってくるようになった。
富竹が失踪したケースは、もしかしたら逃れられない運命を変えたのではないか? と梨花も羽入も考えていた。
その期待を裏切るかのように富竹の変わりとして北条鉄平が死に、少しばかり変わった運命は結局梨花を飲み込んで
2022-09-28T02:18:59+09:00
1664299139
-
駒失し
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/670.html
*駒失し ◆FbVNUaeKtI
&color(#F54738){※ひぐらしのネタバレ有り注意。}
昭和60年6月 雛見沢
「ここはあまり変わってないな」
夕日で紅く染まった急な石段を昇りきり一息を吐く。
目の前に広がった風景に、僕は一端の懐かしさを感じていた。
誰かが掃除しているのか塵一つ見当たらない境内。
多少古ぼけているけれども致命的な痛みを感じさせない本殿。
変わったことと言えば、鳥居の近くにあった集会所がコンクリート作りの立派な物になっている事くらいか。
雛見沢のほぼ中心に位置する古手神社は主を失った今もなお、その姿を留めていた。
そもそも何故、僕――赤坂衛が7年ぶりに雛見沢の地に降り立ったのかと言うと……
それは3ヶ月前に札幌で再会した、大石氏との会話が発端だった。
酒の席で聞かされた5年にも及ぶ怪事件、通称“雛見沢連続怪死事件”
昭和54年の現場監督のバラバラ殺人から始まったこの事件は、直接的な関連性は不明瞭なものの、
毎年同じ日に一人の死者と一人の行方不明者を出し続けてきた。
ダム工事の現場監督と事件の主犯格の男。
ダム工事に反対していた北条家の夫婦。
古手神社の神主とその妻。
2年目に失踪した北条家夫婦の弟夫妻、その妻と北条家夫婦の長男。
その全てが、かつての月夜の晩に彼女が僕に言った予言通りだった。
そして、5年目は……
「5年目の昭和58年は……実はそれまでの事件と結構毛色が違いましてねぇ……」
大石氏はそう言い淀むと、手にしたコップを口にする。
そして並々と注がれたビールを飲み干すと、最後の年に起こった事件の概要を語り始めた。
その年の6月。毎年の様に行われる綿流しの祭りの一週間程前にその事件は起こった。
雛見沢分校に通う数名の児童が、下校途中に失踪したのだ。
古手梨花、園崎魅音、北条沙都子、竜宮礼奈、前原圭一。
御三家の娘と村の仇敵である北条家の娘を含む5人の少年少女達。
いつも共に遊んでいた……いわゆる仲良しグループの彼等は放課後、やはりいつものように教室に残り遊んでいたらしい。
そして、彼等が校門から出て行く姿を担任の女性教師やクラスメイト等が見かけたのを最後に……彼等は村から忽然と姿を消した。
失踪した当初は5人が山に入
2022-09-28T02:09:40+09:00
1664298580
-
メニュー2
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/669.html
// このページはアットウィキにより自動で生成されました。
**更新履歴
#recent(20)
&link_editmenu2(text=ここを編集)
2019-11-21T12:26:23+09:00
1574306783
-
日常への回帰
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/668.html
*日常への回帰 ◆k97rDX.Hc.氏
それは、何の変哲も無い小学校の授業風景だった。
居眠りをした少年と、彼を叱責して廊下に立たせる教師。
その様子をさも滑稽そうに眺めて笑うガキ大将と腰巾着。
とぼとぼと教室を出て行く少年を、どことなく心配そうな表情で見つめる女の子。
タイムテレビに映しだされているのは、そんな、何の変哲も無い日常の風景だった。
○
次元空間航行艦船アースラによって、あの事件の生存者のほとんどが日常へと帰還した後のこと――
超空間を漂う巡視艇の一室で、ドラえもんは今回の事件の事後処理について説明を受けていた。
主な内容は、今回の事件の容疑者として身柄を拘束されたギガゾンビ、および、同じく重要参考人であるユービックの処遇についてである。
ギガゾンビは死刑に処せられることがほぼ確実だという。
存在抹消刑の適用が見送られたと聞いても、ドラえもんは怒りを感じなかった。
すでに半ば予想し、覚悟を決めていたせいもあるのかもしれない。
ただ、それ以上に。自分も、すでに別れた他の皆も。悪夢のような2日間を抜けてようやく帰りついた先は、あれほど取り戻したいと願っていた日常とはやはり別であり、
そこからは、依然としていくつかの顔が抜け落ちたままであることを思うと、無性に寂しかっただけだった。
唯一の慰めは、ユービックの存在が消されてしまうようなことにならなかったことぐらいだろうか。
そのユービックについては、ギガゾンビからの離反が評価され、寛大な処置がとられることになった。
しばらくは事件の調査に協力させられることになり、行動もかなり制約されることになるだろう。
だが、それさえ終われば、ロボット学校による更正プログラムを通して、未来社会での自立が支援されるのだという。
『これは二人の護送を成功させた後の話だ。本部までの超空間の移動については、私が責任を持つ』
タイムパトロールの隊長は、そう言って説明をしめくくった。
「ぼくは、どうなるんでしょうか?」
「それなんだが……その話をする前に1つ君に説明しておかなければならないことがある」
「なんですか?」
ドラえもんは首を傾げた。
彼自身、自分が最後に残されたのは
2022-05-22T21:06:44+09:00
1653221204
-
______________
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/667.html
*______________ ◆q/26xrKjWg
先の戦争で虚無の使い手であることが判明したルイズ、その使い魔にしてガンダールヴの印を有するサイト。
彼女達が同時に失踪したことは、大きな事件として国中を騒がせた。
元々盤石の体制とは言えないトリステイン王国。内憂外患のこの情勢において絶対的な信頼を置けるルイズを失ったのは、女王アンリエッタにとっては致命的とも言える痛手であった。
現体制を崩壊させることを目的として、まずは外堀を埋める。
先の戦争でこの国に勝利をもたらしたルイズを拉致――あるいは、あまり考えたくはないが殺害――することは、そのための策として極めて有効だと言わざるを得ない。
軍を始めとした反女王派、あるいはレコン・キスタの残党。悲しいかな心当たりはいくらでもある。
一縷の望みを託し、数少ない信頼できる部下を使って彼女達の行方を捜させてはいるものの、その行方はようとして知れなかった。
彼女の学友の一部も独自に捜索を行っているようだが、こちらも成果は上がっていないらしい。
そのような窮状の中で、それは唐突に出現した。
巨大な化け物。
アルビオンの軍艦よりも大きい。トリステインの王城よりも大きい。それほどの巨大さを誇る真っ黒な化け物が、王国領土の僻地に現れた。
そして、現れただけでは済まなかった。
それは移動を開始したのだ。ゆっくりと、だが確実に。森だろうが、集落だろうが、街だろうが、通り道にあるものを全てを押し潰し、飲み込んで。
行き着く先は王都トリスタニア。
そこまで侵攻を許せば、文字通りこの国は瓦解することになる。
他国の救援、あるいは共同作戦も期待できない。それどころか、これが他国による策謀である可能性も捨てきれない。
あまりに出来過ぎたタイミングなのだ。今のところはどの国も関与を否定しているが。
取り返しの付かない事態に陥る前に大規模な討伐隊が組まれたのも、その討伐隊の指揮を女王であるアンリエッタ自身が執ることになったのも、必然のことだった。
先の戦争と同じように女王自らが先陣に立つことで、兵達を鼓舞すると同時に軍への牽制を行える。
もっとも、それはアンリエッタにとっては建前だ。苦しむ民を置いて安穏としていられるはずがなかっ
2022-05-22T20:21:45+09:00
1653218505
-
私は笑顔でいます、元気です
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/666.html
*私は笑顔でいます、元気です ◆q/26xrKjWg
彼女は目を覚ました。
海鳴市のとあるマンション。フェイトは自室のベッドで、いつものように伸びをしてから目をこする。
ベッドを降りて部屋を出ると、やはりいつものように、リンディがせわしなくキッチンとリビングを行き来していた。
「あら、おはようフェイト、もうすぐ朝ご飯の支度も終わるから、早く顔でも――」
「母さん」
駆け寄ってきた子犬形態のアルフの頭を撫でながら、フェイトはリンディに告げる。
「今日、局の任務があるんです。だから学校の方は昼には早退して、直接本局の方に向かおうと思っています」
「……随分と急な話ね。そもそも、確か今日は非番だったわよね?」
「はい。新たに見付かった次元世界で、ロストロギアの暴走が探知されたらしくて。既に探索隊の手には負えない状況だったみたいです。
それがあのジュエルシードによるものだと聞いたら、居ても立ってもいられなくて……」
こちらの話をそこまで聞いて、リンディは溜息を漏らした。
「実はね、あなたがその任務に志願したことは、クロノから聞いてるの。その本当の理由も含めてね」
そもそも任務の情報を回してくれたのがクロノなのだが、その経緯をリンディにも律儀に伝えてしまうのはいかにも彼らしい。
「余計な心配をかけさせまいとするあなたの気持ちも嬉しいけれど、そんなことは気にしないで、正直に話してほしいの。私達、家族でしょう?」
「ごめんな――」
「謝る必要はないわ。私達、家族でしょう」
謝罪の言葉を言い切る前に、リンディの人差し指がフェイトの唇に押し当てられた。
そのまま彼女は少し屈み込んで、両の手をこちらの肩に置いた。そして優しく語りかけてくる。
「間違いなく、あなたにとって今までで一番辛い任務になるはず。一人で抱え込んで無理をすることはないのよ」
「……確かに母さんの言う通り、とても辛いことかもしれない。でも、それ以上に嬉しいんです。
私にその機会が与えられたことが。こんなに早く機会を得られるとは思っていなかったから。それに」
半端な誤魔化しは通用しない。フェイトは真摯に母を見据えた。
「母さんやクロノ、みんながいてくれるからこそ、私にはそれができるんです」
リン
2022-05-22T20:02:49+09:00
1653217369
-
ゲイナー・オーバー
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/665.html
*ゲイナー・オーバー ◆lbhhgwAtQE
次元空間航行艦船アースラ。
あの世界から脱出した僕達を保護してくれたのは、そんな名前の艦らしい。
なんでも、ここの艦長はフェイトのお母さんだということだ。
――とまぁ、それはさておき、僕はそのアースラの中にある転送室とかいう部屋にいるわけで……。
「転送準備、完了しました!」
栗色の毛をした女性がコンソールを操作しながら、アースラの艦長でありフェイトちゃんの母親であるリンディさんに報告する。
……そう、ついに元の世界――シベリアの大地でエクソダスを続けるヤーパンの天井に帰る時がやってきたのだ。
今、転送装置の上に立つ僕の目の前には、リンディ艦長やタイムパトロールのリングさん、そして僕とともに脱出を果たした仲間達が立っている。
「……ゲイナー君、遂にお別れだね」
そして、その中からドラえもんが僕の元へと歩み寄ってくる。
「向こうでも元気でいるんだよ。ちゃんと朝昼晩にはご飯を食べてね。あ、食後は歯を磨いてね。お風呂にもちゃんと入るんだよ。ゲームは一日一時間だよ。えぇっと、それから、それから…………」
「ぼ、僕だってそれくらい出来るさ! 小さな子供じゃないんだから……」
「あ、あはは、そうだよね……。ゴメンゴメン、つい……」
ドラえもんは照れた表情を見せながら笑う。
だけど、その目尻は潤んでいたのを僕は見逃さなかった。
「それじゃ、本当に……今度こそ…………」
「うん、お別れだよ、ドラえもん」
僕は顔を上げると、目の前にいるエクソダス仲間達の顔を見る。
「皆さん、本当にありがとうございました! どうか……どうか元気でいてくださいね」
そう感謝の意を込めて大声で言う。
それは、紛れもない本心。
もし、あの場に誰か一人でも欠けていたらきっと、今回のエクソダスは成功しなかったはずだ。
勿論、その中にはレヴィさんやゲインも含まれているわけで……。
「……準備はいいかしら?」
「はい」
リンディ艦長の言葉に頷くと、転送装置の床が淡く光りだした。
きっと、装置が作動し始めているのだろう。
「ほら、ドラえもん。このままここに立ってたら君までシベリアに飛んじゃうよ」
2007-07-28T00:55:09+09:00
1185551709