静かな湖畔

「静かな湖畔」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

静かな湖畔」(2009/06/09 (火) 11:32:21) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*静かな湖畔 ◆At.HgW3YH2 彼と彼女の出会いは静かな森の中。狂気と殺戮のゲームの最中。 彼らの邂逅は偶然だったのか、はたまた必然だったのか。それは誰にも分からない。 しかしそれは然して重要な問題ではない。 重要なのは、この時、この場に於いて二者が出会ったという事実と。 彼女の命を彼が奪ったという――この二点のみなのだから。 *** まるで宣言するかの口調で、金髪碧眼の女性は僕にこう言い放った。 「――自己紹介は必要ない。私がお前と組むのはこの森を抜けるまでだ。よろしく」と。 それが僕は彼女は共に行動する事となった経緯。まあ経緯と呼べる程大した物でもないか。 なんだかとんでもない事に巻き込まれてしまったなあ~……なんて思っていたら、金髪の彼女に声を掛けられた。 といっても、彼女が本当に僕と意思の疎通が適っていると思っているのかは怪しい。というか、まず思ってないだろうな。 自己紹介がなかったので彼女の名前は分からない。仕方ないから、彼女の事は「謎の女性」とでもさせてもらおうかな。呼称なしというのは不便だし。 尤も僕の方は、自分の名前を人に伝える術など端から持ち合わせていないのだけど。 あ、申し遅れました。 僕の名前はアーネスエイジ。 馬です。競馬馬やってます。 当然喋れません。馬なんで。 一人で心細かったのは事実だし、僕は彼女に付いて行く事に決めた。 どうやら彼女は森歩きには慣れてるらしく、すたすたと歩を進める。 そして、時折振り向いては「私は気楽に旅がしたいんだ」「必要のない会話はしたくない」なんて言う。 いや、僕喋れませんて。馬なんですから。 もしかしてこの人……実は結構寂しがり屋さん? よく見たら、まだ十代みたいだし、華奢だし、ちょっと頼りないかもしれない。 それでも仲間が居るというのは心強いもので、出来れば森を抜けた後も一緒にいたいなあ……。 なんて事を考えていたら。 「誰だっ!?」 唐突に怒声をあげる謎の女性。 ビクンとその場に硬直する僕。 そして右前方の茂みから姿を現す男。 しかしその男の姿を見て、僅かに僕は安堵する。何故ならば、そこにいたのは(ほぼ)禿頭の小柄な痩せた老人だったから。 「貴様……何物だ……?」 だけど謎の女性は警戒心も露わに身構える。 「そんな恐ろしい顔をしないでおくれ……」哀れに思える程に弱々しい声音。「わしのようなオイボレ、こんな物騒なゲームにはとても乗れんわい」 よぼよぼと老人はこちらに近付く。 「なら……その手に持っているのはなんだ…?」 彼女がそう問いを発したその刹那、老人の相貌が変化した。まるで般若のように。 カッ!カカッ!カカカッ! 狂気じみた哄笑と共に、老人とは思えない動きで一息に間合いを詰める。 その手にはギラリと光る刃。 老人は包丁を後ろ手に隠し持っていたんだ。 獲物を喰らう獣の牙の様に、鈍色の光が謎の女性に襲い掛かる。 だけど謎の女性は怯まない。それどころか。 「焔!」 彼女の声に呼応するように熱気が渦巻き、宙に出現した燃え盛る火の玉が老人を襲う。 「ひいっ!?」 怯む羽目になったのは老人の方だった。老人は踵を返し脱兎の如く駆け去る。 小さく謎の女性は舌打ちをして、再び言葉を発する。 「雷槍!!」 爆ぜる光が束となって走る老人の背を追う。 しかし雷は僅かに逸れ、彼の足元を弾くに終わる。 「あひっ!? あひいいいぃぃぃぃぃぃ~~~~~‥‥……」 絶叫の尾を残して老人は木々の間に姿を消した。 深追いは禁物だ。やっと硬直の解けた僕はそう考える。 彼女も同じように考えたのだろう。ふう、と息を吐いて近くの木に背を預けた。 「まったく……酷い『世界』だな、ここは……」 そう言いながら、自分の掌を見る。 「最後の一人にならねば、次の世界には行けない、という事なのか……」 迷いを帯びた口調で、そんな不思議な事を彼女は呟く。 …………。 ……ねえ。 最後の一人になるという事は、人を殺すって事だよ……? なんだか僕は悲しい気持ちになって、彼女の頬に鼻先を押し当てる。 険しかった彼女の顔が僅かに綻び「私の名は……エリナー」す、と僕の首筋を撫でる。 「エリナー・リグビー。よろしく」 こちらこそよろしく、エリナーさん。 ところで、さっきの魔法みたいの何? 【D-4・森/一日目・深夜】 【名前】アーネスエイジ@銀と金 【状態】健康 【持ち物】ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品1~3)、   【思考】基本:エリナーと行動を共にする 【名前】エリナー@夜明けの口笛吹き 【状態】健康 【持ち物】ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品1~3)、   【思考】基本:馬(アーネスエイジ)と行動を共にする     1.積極的に人を殺すつもりはないが、場合によっては……    ※マギ(魔法のようなもの)の命中率、及び威力が制限されています    ※このバトルロワイアルが「世界」の一つではないかと考えています *** 森に囲まれた湖の黒い水面には、円い月がゆらゆらと果敢無げに揺れている。 静謐。 そんな言葉がよく似合う場所である。 「なんなんじゃ、あの女……、……と馬」 九重九大郎――通称Q大郎――は実に忌々しげに毒づいた。 金髪の女の訳の解らない攻撃に身の危険を感じた彼は、それこそ脇目も振らずに遁走してここに辿り着いたのだった。 彼の傍らに転がる幼い少女の屍。 これは、つい今しがたQ大郎が作り上げた物だ。 その細い頸はパックリと綺麗な真一文字に切り裂かれており、その手際は流石元傭兵といったところか。 本来であれば、嬲り甚振り尽くしてからじっくりと時間を掛けて殺すのが、彼の流儀であり至高の愉悦であったが、此処ではそれもままならない。 ぎゃあぎゃ騒がれて、下らぬ正義を振りかざす輩にしゃしゃりでてこられては困るのだ。 「まあ、よいわ……」 ――まだ獲物は幾らでもいるのだ。 【D-5・湖畔/一日目・深夜】 【名前】Q大郎@嘘喰い 【状態】健康 【持ち物】文化包丁      ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品2~5)、   【思考】基本:人を殺したい     1.エリナーに警戒(名前は知りません) &color(red){【ソープ嬢@13歳のハローワーク 死亡】} 【文化包丁@現実】 ご家庭向けの包丁。ちょっと高級なので桐の鞘付き。 |10:[[skill]]|時系列順|12:[[水底の歌]]| |10:[[skill]]|投下順|12:[[水底の歌]]| |GAME START|アーネスエイジ|[[]]| |GAME START|エリナー|[[]]| |GAME START|Q大郎|[[]]| |GAME START|&color(red){ソープ嬢}|&color(red){GAME OVER}| ----
*静かな湖畔 ◆At.HgW3YH2 彼と彼女の出会いは静かな森の中。狂気と殺戮のゲームの最中。 彼らの邂逅は偶然だったのか、はたまた必然だったのか。それは誰にも分からない。 しかしそれは然して重要な問題ではない。 重要なのは、この時、この場に於いて二者が出会ったという事実と。 彼女の命を彼が奪ったという――この二点のみなのだから。 *** まるで宣言するかの口調で、金髪碧眼の女性は僕にこう言い放った。 「――自己紹介は必要ない。私がお前と組むのはこの森を抜けるまでだ。よろしく」と。 それが僕と彼女が共に行動する事となった経緯。まあ経緯と呼べる程大した物でもないか。 なんだかとんでもない事に巻き込まれてしまったなあ~……なんて思っていたら、金髪の彼女に声を掛けられた。 といっても、彼女が本当に僕と意思の疎通が適っていると思っているのかは怪しい。というか、まず思ってないだろうな。 自己紹介がなかったので彼女の名前は分からない。仕方ないから、彼女の事は「謎の女性」とでもさせてもらおうかな。呼称なしというのは不便だし。 尤も僕の方は、自分の名前を人に伝える術など端から持ち合わせていないのだけど。 あ、申し遅れました。 僕の名前はアーネスエイジ。 馬です。競馬馬やってます。 当然喋れません。馬なんで。 一人で心細かったのは事実だし、僕は彼女に付いて行く事に決めた。 どうやら彼女は森歩きには慣れてるらしく、すたすたと歩を進める。 そして、時折振り向いては「私は気楽に旅がしたいんだ」「必要のない会話はしたくない」なんて言う。 いや、僕喋れませんて。馬なんですから。 もしかしてこの人……実は結構寂しがり屋さん? よく見たら、まだ十代みたいだし、華奢だし、ちょっと頼りないかもしれない。 それでも仲間が居るというのは心強いもので、出来れば森を抜けた後も一緒にいたいなあ……。 なんて事を考えていたら。 「誰だっ!?」 唐突に怒声をあげる謎の女性。 ビクンとその場に硬直する僕。 そして右前方の茂みから姿を現す男。 しかしその男の姿を見て、僅かに僕は安堵する。何故ならば、そこにいたのは(ほぼ)禿頭の小柄な痩せた老人だったから。 「貴様……何物だ……?」 だけど謎の女性は警戒心も露わに身構える。 「そんな恐ろしい顔をしないでおくれ……」哀れに思える程に弱々しい声音。「わしのようなオイボレ、こんな物騒なゲームにはとても乗れんわい」 よぼよぼと老人はこちらに近付く。 「なら……その手に持っているのはなんだ…?」 彼女がそう問いを発したその刹那、老人の相貌が変化した。まるで般若のように。 カッ!カカッ!カカカッ! 狂気じみた哄笑と共に、老人とは思えない動きで一息に間合いを詰める。 その手にはギラリと光る刃。 老人は包丁を後ろ手に隠し持っていたんだ。 獲物を喰らう獣の牙の様に、鈍色の光が謎の女性に襲い掛かる。 だけど謎の女性は怯まない。それどころか。 「焔!」 彼女の声に呼応するように熱気が渦巻き、宙に出現した燃え盛る火の玉が老人を襲う。 「ひいっ!?」 怯む羽目になったのは老人の方だった。老人は踵を返し脱兎の如く駆け去る。 小さく謎の女性は舌打ちをして、再び言葉を発する。 「雷槍!!」 爆ぜる光が束となって走る老人の背を追う。 しかし雷は僅かに逸れ、彼の足元を弾くに終わる。 「あひっ!? あひいいいぃぃぃぃぃぃ~~~~~‥‥……」 絶叫の尾を残して老人は木々の間に姿を消した。 深追いは禁物だ。やっと硬直の解けた僕はそう考える。 彼女も同じように考えたのだろう。ふう、と息を吐いて近くの木に背を預けた。 「まったく……酷い『世界』だな、ここは……」 そう言いながら、自分の掌を見る。 「最後の一人にならねば、次の世界には行けない、という事なのか……」 迷いを帯びた口調で、そんな不思議な事を彼女は呟く。 …………。 ……ねえ。 最後の一人になるという事は、人を殺すって事だよ……? なんだか僕は悲しい気持ちになって、彼女の頬に鼻先を押し当てる。 険しかった彼女の顔が僅かに綻び「私の名は……エリナー」す、と僕の首筋を撫でる。 「エリナー・リグビー。よろしく」 こちらこそよろしく、エリナーさん。 ところで、さっきの魔法みたいの何? 【D-4・森/一日目・深夜】 【名前】アーネスエイジ@銀と金 【状態】健康 【持ち物】ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品1~3)、   【思考】基本:エリナーと行動を共にする 【名前】エリナー@夜明けの口笛吹き 【状態】健康 【持ち物】ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品1~3)、   【思考】基本:馬(アーネスエイジ)と行動を共にする     1.積極的に人を殺すつもりはないが、場合によっては……    ※マギ(魔法のようなもの)の命中率、及び威力が制限されています    ※このバトルロワイアルが「世界」の一つではないかと考えています *** 森に囲まれた湖の黒い水面には、円い月がゆらゆらと果敢無げに揺れている。 静謐。 そんな言葉がよく似合う場所である。 「なんなんじゃ、あの女……、……と馬」 九重九大郎――通称Q大郎――は実に忌々しげに毒づいた。 金髪の女の訳の解らない攻撃に身の危険を感じた彼は、それこそ脇目も振らずに遁走してここに辿り着いたのだった。 彼の傍らに転がる幼い少女の屍。 これは、つい今しがたQ大郎が作り上げた物だ。 その細い頸はパックリと綺麗な真一文字に切り裂かれており、その手際は流石元傭兵といったところか。 本来であれば、嬲り甚振り尽くしてからじっくりと時間を掛けて殺すのが、彼の流儀であり至高の愉悦であったが、此処ではそれもままならない。 ぎゃあぎゃ騒がれて、下らぬ正義を振りかざす輩にしゃしゃりでてこられては困るのだ。 「まあ、よいわ……」 ――まだ獲物は幾らでもいるのだ。 【D-5・湖畔/一日目・深夜】 【名前】Q大郎@嘘喰い 【状態】健康 【持ち物】文化包丁      ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品2~5)、   【思考】基本:人を殺したい     1.エリナーに警戒(名前は知りません) &color(red){【ソープ嬢@13歳のハローワーク 死亡】} 【文化包丁@現実】 ご家庭向けの包丁。ちょっと高級なので桐の鞘付き。 |10:[[skill]]|時系列順|12:[[水底の歌]]| |10:[[skill]]|投下順|12:[[水底の歌]]| |GAME START|アーネスエイジ|[[]]| |GAME START|エリナー|[[]]| |GAME START|Q大郎|[[]]| |GAME START|&color(red){ソープ嬢}|&color(red){GAME OVER}| ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: