百鬼夜行

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地図で言うところのF-3。そこには図書館という名の、荘厳な建物がそびえ立っていた。 だが、今回の話の舞台となるのは図書館の内部ではない。その外だ。 図書館の外には、外壁に沿っていくつかのベンチが並べられていた。 そしてその中の一つには、一人の老紳士が腰を下ろしている。 くるりと巻いた眉毛がひときわ目をひく彼の名は、夜行妃古壱。 賭博組織「賭郎」の弐號立会人であり、現在の賭郎メンバーの中では最古参に分類される男だ。 (さて……妙なことになってしまいましたが……。どうしましょうか) 自らに支給された缶コーヒーを口に運びながら、夜行は考える。 コーヒーに並々ならぬこだわりを持つ夜行が、普段缶コーヒーを飲むことなどない。 だが飲んでみれば、これはこれで悪くない。大量消費社会で売れ続けているのだから、それなりの品質を備えているということだろうか。 何より、コーヒーという飲み物を愛する夜行にとっては、それがコーヒーであるという事実が重要であった。 コーヒーを飲むという行為そのものが、彼に平常心を与えてくれる。 (私一人ならば他の参加者を全て殺して生還するという方法も考えられるのですが……。知人がいるとなればそうもいきませんね。  門倉立会人はなかなか有能な男です。できれば共に賭郎に帰還したいですね。それに「嘘喰い」斑目貘……。彼もできれば、ここで死んでほしくはない……。  まあ死んでしまったら、その時はその時ですが……。とにかく、私から積極的に彼らを殺すという選択肢はありません。  そうなると、どうにかしてこの殺し合いから脱出する手段を見つけなければ……) そこまでいったところで、夜行はいったん思考を中断する。 すぐそこの図書館から、何者かが出てきたからである。 (あれは……) 図書館から出てきた人物を見て、夜行は顔をしかめる。いや、それを「人物」と言っていいのだろうか。 まずその男は、頭の先から足の先まで全身が紫がかった青だった。 顔立ちもとても人間とは思えぬ化け物じみたものであり、いくつもの突起物が突き出している。 そしてその顔の中央には、血のように赤い目が輝いている。 どう見ても、その外見は人間のものではなかった。 事実、彼は人間ではない。彼の名はリュウタロス。「イマジン」と呼ばれる一種の怪人である。 だが、夜行がそんなことを知っているはずがない。異形を目の当たりにして、さすがの彼も一瞬冷静さを失う。 そんな状態の夜行に、リュウタロスの視線が向けられる。直後に、彼の口から言葉が放たれた。 「ねえ、おじいちゃん」 自分に声がかけられたことに気づき、夜行は我に返る。だが彼が完全に冷静さを取り戻す前に、リュウタロスは銃を構えていた。 「殺しちゃうけどいいよね? 答えは聞いてない!」 その刹那、引き金が引かれる。銃口から鉛の弾が飛び出し、かわし損ねた夜行の肩の肉を抉る。 「っ!!」 眉間にしわを寄せるも、夜行は怯まない。傷口が発する痛みなどものともせず、彼はリュウタロス目がけ突進した。 それに対し、リュウタロスは今一度発砲。だが銃弾が放たれる直前に、一気に距離を詰めた夜行の腕が銃を持つリュウタロスの腕を払う。 結果として、銃弾は夜行を捉えずあさっての方向に飛んでいった。 「うわっ!」 驚くリュウタロスに、夜行の追撃が襲いかかる。リュウタロスのみぞおちに、夜行の肘打ちが突き刺さった。 バランスを崩したリュウタロスの顎に、さらに夜行のアッパーがヒット。 そのまま懐に入り込んだ夜行は、一本背負いでリュウタロスの体を投げ飛ばした。 (嘘でしょ!? 僕が人間なんかにやられるなんて……) リュウタロスの敗因は、おのれの力を過信し人間である夜行を侮ったこと。 確かに、イマジンであるリュウタロスの身体能力は高い。 だが夜行も、「無敵の死神」「完璧(パーフェクト)取立人」と称される、人類としてはトップクラスの戦闘力の持ち主なのだ。 それでも単純に身体能力を比べれば、リュウタロスの方が上だっただろう。 だがリュウタロスの中の油断は、その優位を失わせてしまった。 しかしリュウタロスはそのことに気づく間も与えられずに、ベンチの手すりに頭を叩きつけられ気を失った。 ◇ ◇ ◇ 「さて……」 リュウタロスから奪い取った拳銃を懐にしまいつつ、夜行は呟く。 なお他の荷物も奪ってはいるが、命だけは奪ってはいない。 正式に賭けが成立していない以上、命まで取り立てるわけにはいかない。 それが立会人としての、夜行の判断であった。 実際には複雑な思考の末に下した決断なのだが、それを逐一並べる必要はない。 重要なのは、夜行はリュウタロスを殺さなかった。その事実だけだ。 「いちおう、肩の傷は治療した方がいいですかね……。  近くに病院があるようですから、行ってみますか。  医者がいる可能性は低いでしょうが、包帯ぐらいは置いてあるかもしれませんからね」 戦闘直後であることなど感じさせぬ飄々とした振る舞いで、夜行は夜の街へ消えていった。 【F-3 図書館前/一日目・深夜】 【夜行妃古壱@嘘喰い】 【状態】右肩負傷 【装備】ベレッタ@嘘喰い 【道具】支給品一式×2、缶コーヒー×4@宇宙人ジョーンズ、ベレッタの予備弾×20、不明支給品0~4 【思考】 基本:バトルロワイアルから脱出する 1:病院へ向かい、肩の怪我を治療する 2:門倉、貘と合流する 【リュウタロス@仮面ライダー電王】 【状態】気絶 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:優勝しちゃうけどいいよね? 答えは聞いてない! 0:(気絶中) |20:[[狂人の夢]]|時系列順|:[[]]| |20:[[狂人の夢]]|投下順|:[[]| |GAME START|夜行妃古壱|[[]]| |GAME START|リュウタロス|[[]]|
地図で言うところのF-3。そこには図書館という名の、荘厳な建物がそびえ立っていた。 だが、今回の話の舞台となるのは図書館の内部ではない。その外だ。 図書館の外には、外壁に沿っていくつかのベンチが並べられていた。 そしてその中の一つには、一人の老紳士が腰を下ろしている。 くるりと巻いた眉毛がひときわ目をひく彼の名は、夜行妃古壱。 賭博組織「賭郎」の弐號立会人であり、現在の賭郎メンバーの中では最古参に分類される男だ。 (さて……妙なことになってしまいましたが……。どうしましょうか) 自らに支給された缶コーヒーを口に運びながら、夜行は考える。 コーヒーに並々ならぬこだわりを持つ夜行が、普段缶コーヒーを飲むことなどない。 だが飲んでみれば、これはこれで悪くない。大量消費社会で売れ続けているのだから、それなりの品質を備えているということだろうか。 何より、コーヒーという飲み物を愛する夜行にとっては、それがコーヒーであるという事実が重要であった。 コーヒーを飲むという行為そのものが、彼に平常心を与えてくれる。 (私一人ならば他の参加者を全て殺して生還するという方法も考えられるのですが……。知人がいるとなればそうもいきませんね。  門倉立会人はなかなか有能な男です。できれば共に賭郎に帰還したいですね。それに「嘘喰い」斑目貘……。彼もできれば、ここで死んでほしくはない……。  まあ死んでしまったら、その時はその時ですが……。とにかく、私から積極的に彼らを殺すという選択肢はありません。  そうなると、どうにかしてこの殺し合いから脱出する手段を見つけなければ……) そこまでいったところで、夜行はいったん思考を中断する。 すぐそこの図書館から、何者かが出てきたからである。 (あれは……) 図書館から出てきた人物を見て、夜行は顔をしかめる。いや、それを「人物」と言っていいのだろうか。 まずその男は、頭の先から足の先まで全身が紫がかった青だった。 顔立ちもとても人間とは思えぬ化け物じみたものであり、いくつもの突起物が突き出している。 そしてその顔の中央には、血のように赤い目が輝いている。 どう見ても、その外見は人間のものではなかった。 事実、彼は人間ではない。彼の名はリュウタロス。「イマジン」と呼ばれる一種の怪人である。 だが、夜行がそんなことを知っているはずがない。異形を目の当たりにして、さすがの彼も一瞬冷静さを失う。 そんな状態の夜行に、リュウタロスの視線が向けられる。直後に、彼の口から言葉が放たれた。 「ねえ、おじいちゃん」 自分に声がかけられたことに気づき、夜行は我に返る。だが彼が完全に冷静さを取り戻す前に、リュウタロスは銃を構えていた。 「殺しちゃうけどいいよね? 答えは聞いてない!」 その刹那、引き金が引かれる。銃口から鉛の弾が飛び出し、かわし損ねた夜行の肩の肉を抉る。 「っ!!」 眉間にしわを寄せるも、夜行は怯まない。傷口が発する痛みなどものともせず、彼はリュウタロス目がけ突進した。 それに対し、リュウタロスは今一度発砲。だが銃弾が放たれる直前に、一気に距離を詰めた夜行の腕が銃を持つリュウタロスの腕を払う。 結果として、銃弾は夜行を捉えずあさっての方向に飛んでいった。 「うわっ!」 驚くリュウタロスに、夜行の追撃が襲いかかる。リュウタロスのみぞおちに、夜行の肘打ちが突き刺さった。 バランスを崩したリュウタロスの顎に、さらに夜行のアッパーがヒット。 そのまま懐に入り込んだ夜行は、一本背負いでリュウタロスの体を投げ飛ばした。 (嘘でしょ!? 僕が人間なんかにやられるなんて……) リュウタロスの敗因は、おのれの力を過信し人間である夜行を侮ったこと。 確かに、イマジンであるリュウタロスの身体能力は高い。 だが夜行も、「無敵の死神」「完璧(パーフェクト)取立人」と称される、人類としてはトップクラスの戦闘力の持ち主なのだ。 それでも単純に身体能力を比べれば、リュウタロスの方が上だっただろう。 だがリュウタロスの中の油断は、その優位を失わせてしまった。 しかしリュウタロスはそのことに気づく間も与えられずに、ベンチの手すりに頭を叩きつけられ気を失った。 ◇ ◇ ◇ 「さて……」 リュウタロスから奪い取った拳銃を懐にしまいつつ、夜行は呟く。 なお他の荷物も奪ってはいるが、命だけは奪ってはいない。 正式に賭けが成立していない以上、命まで取り立てるわけにはいかない。 それが立会人としての、夜行の判断であった。 実際には複雑な思考の末に下した決断なのだが、それを逐一並べる必要はない。 重要なのは、夜行はリュウタロスを殺さなかった。その事実だけだ。 「いちおう、肩の傷は治療した方がいいですかね……。  近くに病院があるようですから、行ってみますか。  医者がいる可能性は低いでしょうが、包帯ぐらいは置いてあるかもしれませんからね」 戦闘直後であることなど感じさせぬ飄々とした振る舞いで、夜行は夜の街へ消えていった。 【F-3 図書館前/一日目・深夜】 【夜行妃古壱@嘘喰い】 【状態】右肩負傷 【装備】ベレッタ@嘘喰い 【道具】支給品一式×2、缶コーヒー×4@宇宙人ジョーンズ、ベレッタの予備弾×20、不明支給品0~4 【思考】 基本:バトルロワイアルから脱出する 1:病院へ向かい、肩の怪我を治療する 2:門倉、貘と合流する 【リュウタロス@仮面ライダー電王】 【状態】気絶 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:優勝しちゃうけどいいよね? 答えは聞いてない! 0:(気絶中) |20:[[狂人の夢]]|時系列順|22:[[魔獣宣言]]| |20:[[狂人の夢]]|投下順|22:[[魔獣宣言]]| |GAME START|夜行妃古壱|[[]]| |GAME START|リュウタロス|[[]]|

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