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skill ◆/O9sjV9JyQ


世界で一番古い職業は? ということについては、世界中の人がほぼ同じ答えを出しているらしい。
そして私もその答えで正しいと思う。
ついでに言うなら、その世界最古の職業に連なる職を生業としていることに確固とした誇りを持っている。
テレビドラマとか漫画とかの中では、私たちの職業は暗く陰惨なイメージで語られることが多い。
中には蛇蝎のごとく嫌っている人たちだっている。それも私たちと同じ女の中に。
まあ個々人で好き嫌いがあるのは仕方ないし、陰口を叩かれるのには慣れてるけど、「そんな恥ずかしい職になんか就いて!!」とか言われるのだけは我慢できない。
私自身がプロとして恥ずかしい人間だと言われるならともかく、この仕事を恥ずかしいって何よ!!
私は、自分の仕事は物を作ったり人命を守ったり勉強を教えたりする仕事と同じくらい大切な、「人を楽しませる」仕事だと思っている。
(そもそも、タレントとかスポーツ選手とか歌手とか、棋士とか作家とかゲームプログラマーとか、みんな「人を楽しませる」のが仕事でしょ?
私たちだって方法は違っても同じことをしてるだけだと思うんだけどなあ)

だから、そんな私が殺し合いになんか加担するわけにはいかないのよ!!

とは言ったって、もちろん「だからどうする」なんてビジョンがあるわけでもないけど……
少なくともどんな理由があろうと人は殺したくないし、人を不幸にするような行動はしたくない。
それはモラルとか良心とか言うよりは、きっとプロとしての矜持。
さて、それではまずいつの間にやら手元にある鞄の中身でも調べてしましょうか。
この場所で役に立ちそうな道具が入っているのなら万々歳、私の商売道具でもあれば及第点ってとこかしら。
というのも、いっそここで「仕事」に励んでこんなことに巻き込まれて逍遙しているであろう人々に活力を与える、というのも悪くは無いと思っているのだ。

さあ、鞄から出てきたものその1。
生きているコオロギin虫篭。
……ああ、出演したことあるわねえ。生きているコオロギを足を潰すという「だけ」のAV。
そういうのを見て性的興奮を得る人間が少なからずいるらしいのよ。
わりと動物好きな私としてはけっこうキツイ仕事だった。まあプロだから仕事は選ばないけどね。

鞄から出てきたものその2。
恐竜戦車の等身大フィギュア。
恐竜戦車を知らない人はググれ。つーかどうやって鞄に入ってたんだ。
普通の人には信じられないだろうが、これを見て性的興奮を得る人もいるらしいのよ。
恐竜戦車とまぐわるという内容のAVに出演したこともある私が言うんだから間違いない。

その3。ちなみにこれが最後。
大型のヘアブラシ。
これはまだわかりやすい部類に入る。

スパンキング系のAVで、女の子のお尻を叩くのによく用いられるのだ(もちろん背のほうで)。
実際に皮が剥けるまでお尻を叩かれた私が言うんだから間違いない。



……うん、トラウマになんかなってない。何一つトラウマになんかなってないよ?
私はプロだもん。


仕方が無いので全てを鞄の中にしまう。
さて、これらを使ってここにいる男の人を喜ばせるのも不可能ではないだろうが……それよりも、もっと善良な一般市民っぽい行動をしたほうがいいような気がしてきた。
鞄の中に水や食べ物と一緒に入っていた地図を見てみると、ここのすぐ近くに学校があるらしい。
不特定多数の人が集まりそうな場所だ。
何か便利な道具もあるかもしれないし、協力してくれる味方と会えるかもしれない。
この殺し合いに乗っかった人たちと出くわす可能性もあるが……恐れていては何もできない。
私は鞄を背負いなおし、薄闇の中で足を一歩踏み出した。


なお今まで言っていなかったが、私は身長120センチ、スリーサイズは67・55・68の童顔である。


【G-3・市街地/一日目・深夜】

【AV女優@13歳のハローワーク】
【状態】健康
【装備】大きなヘアブラシ
【道具】支給品一式、生きたコオロギ@現実、 恐竜戦車の等身大フィギュア@現実
【思考】基本:プロの誇りにかけて、人を不幸にはしない
1:高等学校に向かう


09:鉄道員(ぽっぽや) 時系列順 11:静かな湖畔
09:鉄道員(ぽっぽや) 投下順 11:静かな湖畔
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最終更新:2009年05月02日 07:16