カドクラムタル


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門倉雄大は驚愕に目を瞠った


その理由は、眼前の生物。
馬である。
二本の足で歩いている。

しかし、それだけの事由で彼を驚愕せしめる事など不可能であろう。何故ならば彼はかなり気合の入った元ヤンであると同時に、倶楽部「賭郎」立会人でもあるのだ。
賭郎及び立会人については後に説明するのでここでは割愛するとして。話を元に戻そう。
馬が、二本の足で歩いているのだ。
例えばサーカスなどに行けば、その程度の芸をする馬もいるやも知れぬ。例え芸など仕込まずとも、馬は威嚇や喧嘩の際には後ろ足で立ったりもする。
巨躯である馬が後ろ足で立ち上がれば相当の大きさに達するであろうし、それだけのモノが眼前にあれば驚きもしよう。巨大な存在はそれだけで恐怖を喚起するのだ。
だが。そうではない。先も述べたが、そんな理由で門倉という男は慄いたりはしない。

二頭身なのだ。
その馬は。

それがトコトコとこちらに向かってくるのだ。あまつさえ。
「貴様、何をジロジロとひとの顔を見ているのだ。失礼であろう」
口を利いたのだ。しかも高飛車に。

つまり、直立歩行の二頭身の馬が偉そうに説教をしていると。
そういう状況なのだ。これには流石の立会人といえども驚愕せざるを得ない。
妙に丈の長い暗色のスーツに身を包んだ半眉リーゼントの青年――門倉雄大は驚愕に目を瞠ったまま、暫し固まった。

「何だ? 貴様耳が聞こえぬのか? それとも――」
「いや、失敬。ただ、その、」
門倉はどうにか言葉を継ごうとするのだが、何を言えばよいのか解らず、
「お名前をお聞きしても?」
と、少々間の抜けた質問をする羽目となった。
「人に名を尋く前に自ら名乗るのが礼儀というものであろう」溜め息まじりに二頭身の馬は言う。尤もである。「まあよい。我が名はラムタル」
よく憶えておくように。とそう結んだ。どこまでも偉そうな物言いであるが、筋は通っている。確かに礼を逸しているのは門倉の方なのだ。
「大変失礼を致しました、ラムタル様。私の名は門倉雄大。倶楽部『賭郎』拾陸號立会人でございます」
硬直の解けた門倉は己の非礼を詫び、慇懃に名と所属を告げる。
そして握手の一つでも、と思った門倉はすぐにその考えを脚下した。デフォルメの効いた姿をしているとはいえ、相手は奇蹄目なのだ。
恐らく握手は難しいだろう。
そう判断しての事である。

ラムタル。
確かにその名は名簿に記載されていた。という事は彼もまた参加者の一人(一頭?)なのであろう。
名簿には同業者を始め、幾つか興味を覚える名前があった。政治家、フィクサー、犯罪者、そして――ギャンブラー。
しかしそれ以上に門倉の気を引く名があった。
「来留間慎一」。これは「きるま しんいち」と読むのだろうか。門倉の仕える主、御屋形様こと切間創一(きるま そういち)と似た名である。
全く無関係な赤の他人かもしれない。だが、そうでない可能性もある。いずれにしても、直接会って確認しない事には――

思考に耽っていた門倉の膝がポフポフと蹄で叩かれた。身長差がある為にラムタルが門倉の顔を見上げる形になる。二人(?)の目が合う。
ふと門倉は違和感を覚える。正体の判らない僅かな違和感である。
「先刻貴様が申していたカケロウとは一体何なのだ?」
取り敢えず違和感の方は脇置き、門倉は簡潔な説明を施す。

「それは――、」

賭郎とは中立の立場でギャンブルを執り仕切る巨大組織である。その暴と権力は国家レベルに達する。
そしてギャンブルの仲介、進行、取り決めを行い、勝敗が決した際には代価の取立ての任を負うのが立会人の仕事である。

「――といものです」
「そんな事より、この草うまいぞ!」


 売っとるんか? ワシに…… 売っとるんか……喧嘩を


思わず草を食むラムタルの首に手刀を振り下ろそうと手袋(イボイボ付き)を外した門倉は、ここで先程の違和感の正体に気付く。
無いのだ。
参加者ならば全員が身に着けていてしかるべき物――首輪が。
無理に外そうとすれば否応なしに命を奪い取る忌々しい枷が、ラムタルの首にはないのだ。

(まさか……この短時間で首輪の解除に成功したというのか……!?)
だとすれば、それはこのギャンブルを根底から覆すものとなろう。

「ラムタル様は、どのようにして首輪を外されたのですか?」
こんな物は一刻も早く外すに越した事はない。心臓を掴まれているようなものである。
「外したのではない。外れたのだ」
「…………は?」

ラムタルの説明に拠れば、以下の通りである。
支給品にあった果実を食したところ彼の姿形を変容させ、その際にすっぽりと首輪が抜け、ついでに人語まで話せるようになっていた、と。
因みに味の方は「この世の物とは思えぬ程不味かった」らしい。

「つまり、ラムタル様は元は普通の馬であったと。そういう事ですか」
「『普通の馬』?我はアラブ首長国連邦殿下フェイク・モハメドの甥を主に持ち、欧州三大レースを制した英国最強のサラブレッドであるぞ」
――道理で偉そうな筈である。門倉は心の中でごちた。王様の馬とは恐れ入る。

しかし自由に身動きのとれるラムタルの存在は、こちら側にとっては重要なファクターとなり得るであろう。
恐らくあちら側にとっては埒外の存在なのであろうし。そうでなかったとしても、何らかの糸口を見出す契機になるかもしれない。
その尊大な言動はさておき、共に行動をしておいて損はないだろう。

「ラムタル様。この門倉雄大、同行してもよろしいでしょうか」
門倉は幾分大仰な所作で膝を折り、同行を願い出る。
「うむ、よかろう」
なんとも扱い易い男(?)である。ならばとことんまで利用させてもらうとしよう。その後の事は知った事ではない。
そもそもこの場は暴と知略の入り乱れる、殺し合いというギャンブルの最中なのだから。
ラムタルに背を向けた門倉は、ククッと小さく嗤った――。



 失敬……私 門倉雄大、ついつい不謹慎な表情をお見せしてしまいました……





それにしても、序盤も序盤。序盤どころか登場話でいきなり首輪解除。
いいのか、それは?


【E-3道端/一日目・深夜】


【名前】門倉雄大@嘘喰い
【状態】健康
【持ち物】ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品1~3)、

【思考】1.ラムタルを利用する
    2.「来留間慎一」が何者なのか確認する
 ※迷宮編以前からの参戦です


【名前】ラムタル@銀と金
【状態】ヒトヒトの実使用により、ヒト化  首輪解除  健康  
【持ち物】ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品1~2)、

【思考】1.門倉を同行させてやる

  ※E-3のどこかにラムタルの首輪が落ちています(馬用)


【ヒトヒトの実@CROSS EPOCH】
動物系(ゾオン系)悪魔の実。動物が摂取すると人獣化する能力を得る。
原作ではチョッパーというトナカイがその能力者。

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