&italic(){人間なんて滅んでしまえばいい} &italic(){みんなみんな大っ嫌いだ} 人なつっこい、とはよく人にいわれていたものだから、そういうことなんだろうとおもってた。けど、今になれば、あんがいそうでもないのかもしれない、とかおもわかなくもない。 そんなことをいってみたところ、 「それはただの思い込みだよ」 わたしの隣の猫は、あまり興味がなさそうなかんじ、素っ気ない声でそうこたえた。 だれもいない、無音な世界で。 「おまえは人がいないと、孤独すぎて死んでしまうんじゃないの?」などと、赤いリボンを頭につけていた頃の主人にいわれたことがある。わたしが人なつっこすぎたからだ。 わたしと主人との出会った場所は、たしかどこかのゴミ捨て場だった。死にかけていたわたしを助けてくれたのが出会いだったわけだ。命の恩人だった。だからこそ、わたしはこの人についていくと、助けてもらったとき、心に決めた。それで、主人のいっていることは、全部ホントなんだとおもっていた。 だからこそ、今世界が静まり返って、人がいないとなると困るのだ。なぜなら、孤独死してしまうから。 わたしはがんばった。まだ幼かった頃の主人が、なにを言っているのかを理解するまめに、一生懸命に人間の言葉を覚えた。 わたしは、主人と毎朝散歩で歩いた街中を、ひとり(一匹、といったほうが正確だろうか?)あるいていた。わたしは「リード」という物につながられていたわけだが、今はそれがないので、自由になったわけだが、わたしは主人と歩いた道を通っていた。完全に無意識である。 「おや、こんなところにも生き残りが」 でかい建物を横(なんちゃら21、だったとおもう)を歩いていたら、声をかけられた。 どこから声がしたのかわからず、首を左右に動かすと、十字路をはさんで、右にあった建物の入り口にあるライオンの像の足元に、黒い猫が一匹座ってこちらをみていた。どこか、わたしをバカにしたような顔をしている。 「あなたはだーれ?」 わたしの口からは、自然と日本語がでた。……よくよく考えれば、相手が日本語を喋ったからだ。 猫はおかしそうに笑いながら、手で口をおさえた。(わたしは内心「猫にもこんな知能あるんだ」とかおもった) 「おや、日本語が通じる生き物もいるものだね」 わたしはムッっとして、 「そういうあなただって、喋ってるじゃないですか。というより普通は自分の名前をなのってください。失礼じゃないですか」 猫はくすくすと笑いながら、受け答えた。 「ははは、実におもしろい言葉も知っている犬だね、君は」 猫は、なにがうれしいのか、ずっとくすくすを笑っいながら、十字路をだいたんにわたってきた。信号無視だ、なんているもはおもうが、今はそうは思わない。電気が流れてないから信号もついていないのだ。 「あと、実は名前はないんだ。なんだったら君がつけてくれたまえ」 この猫、すこし偉そうだ。 だから、ダサい名前にしてやろうとおもった。 「ロドリゲスとかでどうよ」 「ちょっと偉そうだからって、そんなださい名前つけないでくれたまえ」 くそう、こいつ心を読みやがった。 猫(和名ロドリゲス)はわたしの隣にきて、こういった。 「