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世界が沈黙した。

 車が通らない大道の真ん中を堂々と歩いていると、ビルが夕日にあたって夕日の光がキレイに反射していることにきがついた。ビルに当たっていた夕日が、ビルに反射してまぶしかったのだ。
 どうやら夕日の美しさはというのはニンゲンがいなくなると発揮するようだ。夕日が好きだった友の気持ちが、すこしだけわかったようなきがした。
 日光浴をしていて、ウトウトしていればこの風景だ。ニンゲンというニンゲンがいない。
 それにしてもだが、ニンゲンもよくここまで金ぴかででっかい建物のをたてたものだとカンシンをしたりする。だがしかし、きっとニンゲンはみずからの首をしめていたにすぎなかったのだ。あくまで推測だが、今の光景を作り出したのはどうせニンゲンなのだろう。
 まわりにあるのは、私と植物だけといったところである。
 みんないなくなった、なんて確実なんてことは、一軒一軒家まわったり、この世界全ての場所にいかなければ確認なんてできないもんだが、確実に私が今ここにいる周辺にはニンゲンなんていないのだろう。
 私はとりあえずのろのろと動く。なにかに追われることもなく、なにかをおっかける必要もない。もともとニンゲンとは違って働く必要もなく、勉強だなんてバカげたこともない自分だが、開放感が全身を覆った。
 ニンゲンがいないだけで、世界はこんなにも自由になるのか、と頭の中でそんな文章をおもいえがく。
 まぁ、だからといってどうといったこともない。三歩歩いたらもう忘れていた。
 あ、なんか黒いの発見。

 ニンゲンが嫌っていたあのカサカサ動く黒い害虫はどこにいったのやら、とおっけかながら首を左右に首をうごかしてみれば、でっかいカフェの前だった。そして、夕日がさっきよりも傾いていた。
 このお店のニンゲンはニンゲンとはおもえない空気をかもしだしていたが、しょせんはここのニンゲンもニンゲンだったのか、このお店もガランとしている。中から生き物のいるカンジがしない、というのもあるが、なによりもドアが開いたままなものだから、どうせ中は誰もいないのだろう。
 ここにくると、いつでも食べ物をくれたから印象は強く残っている。自分のようなノラの扱い最近になってからずいぶんとひどくなったからだ。
 いくあてもないので、店内へと入る。
 カウンターのところに、魚の缶ズメ発見。さっそくあけてみようと肉球と爪を駆使して開けようとするが、あけられないので妥協。さすが、ニンゲンがピンチのときにほかの生き物には取られないように出来ている。奴ららしいといえば奴ららしい。
 しかし、たったさっき大型スーパーでパンなどを食べたのだが、やはり魚にかぎる。ニンゲンの食べ物など、口にはあわないのだ。こうみえてもちゃんと生きている。
私は喉をごろごろさせながら、大道にでる。
夕日の色がまたすこし濃くなっていた。
ほかの生き物も心配だが、生き物がどこにいったのかなんて確認したところでなんにもおこらない。私は救世主じゃないからだ。
だれもいない道をのろのろを歩く。
知り合いの匂いすらしない。本当になにがおこったのだろうか。
だれもいないのなんて、今のうちかもしれない。
そうきがついて、さっそくいってみたかったところへと足を進ませることにする。

移動にずいぶんと時間をかけてしまった。
石がごろごろと、ネコジャラシがぼうぼうを生えている。
どうやらまだ電気とやらは残っているらしい。電灯がついているからだ。
星と月のあかりだけで夜をすごすのかとおもえば、わりと明るい。まぁ、べつに真っ暗でも見えるから困ることはないのだが。
鉄の棒の上を歩いてみる。
ニンゲンはこれを「線路」と読んでいた。
でっかい鉄のかたまりはこの上をすごいはやさで通っていく。
どうしてあそこまではやいのか、そんなのはどうでもいい。けどあの上を歩いてみたかった。
のろのろ、歩く。
すこしだけ強い風がふいて、木々がゆれる。
たしか昨日はゴミ箱にはまっていた頃かな、と勝手に推測してみる。
時間というのはよくわからないもので、きがつかないうちにたっているものである。
昨日の生魚の味がもう口の中にないことにきがつく。やはりニンゲンの食べ物は私の口にはあまりあわないらしい。

私はのろのろ歩く。
ネコジャラシについ目がいってしまうが、ただこの「線路」とやらの上を合ういていた。楽しいかったからだ。理由はない。必要などない。
もうずいぶんと歩いた。だれももう心配しないのだから、いっそのことこの「線路」の上で寝ることにする。
尻尾まるめて横になる。鉄が冷たくってすこしだけ気持ちい。
「さて、明日はどうしようか」なんて考えない。今はただ、歩きつかれた眠い。それにつきる。