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  • 面白かったです! -- (妄想型箱舟依存症候群患者) 2011-09-19 20:47:50
  • 女の子の狂気が文中でもっと書かれてた方が個人的には好きかも -- (ダッツー) 2011-09-19 20:53:28
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口の中に鉄の味が広がる。鉄なんて食べたことないのに。けれけれけれけれ。右頬が熱い。舌にはなにか違和感を感じる。けれけれ。右腕手首に痛みを感じる。左足はなにかからの強い圧力を受ける。右足の親指は感覚がない。けれけれ。左腕はすでにもうない。喉から「ヒューヒュー」という音がする。けれけれけれけれけれけ。、息をするたびに喉が痛い。雑音が聞こえる。けれけれけれけれけれけれけれけれ。血の匂いと雑巾の臭い匂いがする。けれけれけれけれ。
かすかに機能している目を使う。みなれた風景。ここは教室。
かすかに機能する耳を使う。男と女の、下品な声がした。けれけれけれ
けれけれ
れけれけれけれkrけrけrけrk
れkれkrけrけえけええkれえええrkrrrけkれ
れkrけkrけrけrkrけkrけrっけけrkれkrけkれkrれけ
れけれけれけっ



目を開く。ちゃんと『目』として機能している目だ。私の知っている目。みんながしっている目。わたしの、目。
セミのなく声がうるさい。
昨夜、体にかけたはずのかけ布団はなかった。視界の隅にあるかけ布団の位地からするに、おそらくベットからおちたのであろう。かけ布団なのに、かかってなかったとか、とおもうとけ布団としてどうなのだろう。というか、私はそこまで寝相が悪かったのだろうか。気味の悪い夢だったが、もがくほどの夢ではなかった気がする。
かけ布団をかぶっていない状態だというのに。汗と熱と、無駄に長くなった髪の毛が、わたしにうっとおしく絡み付いていた。
私は白で統一された私の部屋を見渡す。扇風機は私とは逆のほうを向いて回っていた。なぜだろうか。
やけに部屋の空気が新鮮だったから、枕の横にあるデジタルの目覚まし時計を見てみる。朝の4時を示していた。
ベットから上半身を上げ、窓の向こう側に目をやる。すでに陽はあがっているみたいだ。空の青さと、太陽の白い色が、きれいに混ざり合った空だった。鴉や雀が空を飛んでいた。
ドアの横にかけてあるカレンダーが目に入る。今日の日付には赤い○が付いている。
今日は、牢獄から開放される日。
記念すべき日だ。せっかく早く起きたのだ。外へ出ようではないか。
私はベットから体をおろし、パジャマを脱いで下着姿になる。体にある青い痣を見てみぬフリをし、タンスの中の、すこしだけサイズが大きい赤いジャージを着る。
うっとおしい長い髪は、机の上にある蒼いヘアゴムで後ろで結う。
学校にいく準備ができてあるカバンに、ちょっとだけ足をあてながらも部屋を出る。
……あ、靴下忘れた。
いいや、暑いし。
私はぺたぺたと、部屋をでた。廊下はクーラーがきいていて涼しかった。
じゃあね、お父さんお母さん。


玄関からでれば、一面の田んぼ。女子高生からすれば、きっと生活が無理な環境なのかもしれないけど、最初っからこの環境だとなんともおもわない。それに、最近の女子高生がどういった環境をもとめているかがわからない。ただ、直感的に無理だとおもった。
いくあてがないといえばない。ただ気味の悪い夢をみたから気分を変えたかっただけ。夢なんだか、現実なんだかよくわからない夢、気味の悪い夢をみたから。
とりあえず、私の唯一の居場所、廃墟にでもいこうかとおもう。
「ぱた、ぱた」という黄色いサンダルの足音を響かせて、田舎道をあるく。ジャリや草を踏みつけて。「じゃり じゃり」というリズムならして。視界いっぱいにひろがる田んぼが、みんなして「ばいばい」と手を振って私の出発を喜ぶ。
私の白い肌を、日光は容赦なく照らして、攻撃してくる。
攻撃といっても、殴られるような痛みはない。肌が「嫌だ」と、もだえ苦しみ、泣き叫ぶようにもだえているから。肌は涙を流し、小麦色の痣をつくる。夏は肌の敵なのだ。
ぱた、ぱた、がりがり
ちょっとバカらしく足と腕をおもいっきり上げながら歩く。ジャリが中を舞う。ジャリが、足とサンダルの間に入り、足の裏がちょっとだけ痛む。
肌の涙は容赦なく流れる。
足と腕の振り上げ、振り下げるたびに、肌は涙を振り回す。
ぺた、ぺた、じゃらじゃら

「げこり」
道の真ん中に、きれいな緑色のカエルが座っていた。
「よっ」と手を水平に挙げ挨拶し、カエルを避けて道をまっすぐ進む。
ぺたり、ぺたり、じゃりじゃり
私は目的地めざし、道を歩く。
田んぼだらけの緑の風景の中、ひとつ、でっかい、灰色の建物が目にはいる。
自然とにやけてしまう。

突然、頭上から「ゴー」と大きい音がした。
飛行機だ。
私の上を、ゆうゆうと進んでいく。
ちょっとだけ気分がよかったから、飛行機にむかって手を振ってみる。両手を挙げると、すこしだけサイズが大きかったジャージの袖が重力にさからえずに、二の腕のところまで落ちる。
わたしが手を振ったところで、飛行機は道のない空の中を進む。
当然のことだけど、ちょっとだけがっかりする。
心のどこかに、悲しい感情が生まれる。
わかってはいる。自分がちっぽけなことなんて。
世界にたくさんある、ひとつだけでしかないことぐらい、わかってる。
ただ、認めたくなかっただけ。
目をそむけていただけ。
急に悲しい気分になったとき、私の隣に、さっきのカエルがいた。
「げこり」と、わたしをバカにするように、なぐさめるように、あざわるように、なでなでするように、ナイタ。
そのカエルが、どこか醜くて、可愛くって、憎くって。
私がそのカエルに触ろうとすると、カエルは田んぼの中に飛び込んでいった。
ちょっとだけ、気分がよかった。
ついつい、小走りになる。
ついつい、笑う。
ふふふふhhh……

元は管制塔だったらしい。
といったのは、クラスの委員長であって、わたしをいじめる主犯の彼だった。
管制塔の前に立つ。家をでてから、だいぶ時間がたったきがする。
私の体から汗が流れ出る。汗が私の頬をたれ、口に入る。うん、しょっぱい。100%汗だ、やっぱり。
「ゴー」という音がした。さっきより、その音は大きかった。風が強い。
違和感を感じたので後ろを向いてみると、飛行機が、私めがけて、スピードゆるめずして進んできていた。
あの速さなら、すぐに私に飛行機があたる。
私には関係ない、とおもい、廃墟の入ろうとする。だけそ、音はおおきくなるばかり。
後ろをふりむけば、すぐそこに飛行機が……


 z


目を開く。ちゃんと『目』として機能している目だ。私の知っている目。みんながしっている目。わたしの、目。
視界は真っ黒だ。目の位地より、ちょっと上のところから光が漏れていた。
次に入ってきた情報は、悪臭である。雑巾の匂いがした。
体をおもいっきりうごかすと、私を囲んでいた世界がの、一部が開いた。
その一部の開けた世界は、私の知っている教室だった。そして、わたしが掃除用具要れの中にいれられていたのだと気ずく。
教室のなかは明るかった。いや、暗闇の中にいたから、目が慣れただけだ。決して明るくなんかない。教室の窓から見える月が、きれいにならんだ机と椅子を照らしている。
ため息がでた。
いままでの夢の世界のほうが楽しかった。
だって、すぐに死ねる状態まで至ったのだ。
あのカエルだって、汗だって、全部夢だったのかとおもうと、現実が悲しかった。
体が痛いことにきがつく。今日もいつもどうり、おもいっきり殴られたり蹴られたりしたみたいだ。
教師に期待なんかしていない。
みんな死ねばいいのに。
ここは四階だったことをおもいだす。
月に誘われるように窓を開け、上半身をだす。セミの声がうるさくなり、涼しい風がわたしをつつむ。
スカートであるにもかかわらず、片足を窓へと上げる。
「げこり」と、声が聞こえた。

(終)