終わりを求めて

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匿名ユーザー

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ビギナーズ王国の会議室に、執政刻生を含む12人が集まっていた。
召集したのは刻生。手にはある書類を持っている。

「前の出撃において、帝國の宰相府からの対応が出た。
 はっきり言って、ヒドイ。粛清の嵐だ」

言いながら端末を操作して全員にデータを配布する。
それを開いた全員が心底嫌そうな顔をした。
引き続き端末を操作しながら刻生が話す。

「そこで、わが国にも調査が入ることがある。最悪の場合藩国取り潰しだ
 皆いい意見は無いかな?」

いい意見といってもなぁ、と皆が唸っていると端末が着信を知らせた。
何かと思うって開く。刻生からのリアルタイム文字通信だった。

『ジェントルラット取り潰しは見ましたね』

全員が刻生の方を向く。
相変わらずうんうん唸りながら端末を操作する刻生。また着信した。

『正直に言う。助けたい』

しばらく全員が黙る。
SOUが思い出したように端末を操作する。

「いい考えっていってもねー、具体的にはなー」

『何でこの方法を?』
『監視がいる場合がある。公式発表なんぞ当てにできるか』

「そうですよねー」

刻生が相槌を打つ。
そこにamurが参加した。

「まぁ、どうにもできないですからね」

『それで、助けるってどうするんですか?』
『この国で死んで、出て行く』

ばっと全員が刻生の方を向く。
何も気にせずに唸っては端末操作を繰り返す刻生。
たくまがすぐに反応した。

『そこまでしないといけないんですか?』
『国に迷惑がかかるのは避けたい。俺が死んだことにすれば誰にも迷惑をかけない』
『かかりますよ!皆あなたを頼りにしている!』

たくまは刻生のほうを見てがるるると唸る
うーむ、と唸ってS×Hが端末を操作した。

『何故ですか?』
『己の誠義に従いたい。それと理不尽は許せない』
『わがままですね』

「あー、ウチの書類ってミスないですよね?」

SW-Mが言いながら通信に参加した。
辛辣だなぁと思いながら刻生が返す。

『わかっています。その上で行きたい。だから協力してもらいたいんです』
『具体的にお願いします』
『足が欲しい』
『トモエリバーか』

察したSW-Mがうーんと唸る。
Wyrdも参加し始めた。

「ですね。しっかりクロスチェックはしてますし」

『トモエリバーなんて、どうやって持ち出すんですか!』
『一機ダメになったことには出来ないか?』
『整備士としたら、できなくはない。ただたくまさんがどう考えるかだな』

S×Hが返したのを見て、みんなの視線がたくまに集まる。
難しい顔をして、渋々端末を操作する。

『………I=D一機と優秀な人材を出してまですることとは思えない』
『執政として言うなら、I=Dがあっても全出撃は出来ない。だから一機はだしても問題ない』
『それは分かってます!ただ刻生さんに出て行かれるのは辛いんです』

部屋に沈黙が訪れた。
全員が同じ気持ちなのだ。無理も無い。
そんな中、動いたのはやはり刻生だった。

「じゃあ資料のほうは問題ないですね」

『だが、ジェントルラットは滅びるべくして滅びるんじゃない。
 帝國の都合だけで国民全員が死んでしまう。おれはそれを許すことは出来ない。』

声は無かったが、その文にははっきりとした意志が感じられた。
もう一度、たくまが端末を操作する。

『死ぬかもしれませんよ?』
『一度死のうとしているんだ。それに、俺の命なんか問題じゃない』

元々刻生覚悟は決まっていた。それが今、この場に居る全員に伝わった。
軽く笑いながらSOUが入力。

『あんたの覚悟が言葉じゃなく心で理解できたよ』
『ありがとう。そして俺を兄貴扱いするなと』
『こらこら、分からない人多いからやめなさい』

「うーん、ほかに問題になるところありますかねー」

とツッコミながら会話も続けるSW-M
西條が会話に参加し始める。

『でも、死ぬってどうするんですか?』
『もう考えてある。メードに城で暴れてもらえばいい』
『修理費かかるじゃないですか』
『そこは………まぁ、金あるから許して(はぁと)』

ツッコもうとした西條が立ちかけるが、いけないいけないと座る。
代わりにtactyがたくまに問いかける。

『金に関して、たくまさんはいいんですか?』
『よくはないけど、刻生さんを止めることも出来ないし、どうにでもなれと』
『どうもすいません』
『謝るくらいならしっかり成功させてきてください』

たくまがううむと唸るマネをしながら返した。
同じく唸るマネをしながらyuzukiが端末を操作。

『で、他の部分はどうするんですか?トモエリバーとか』
『お任せあれ』

短くSW-Mが返すと、あーと声を出す。

「そういえばトモエリバーが一機サビだらけになってたんですよねー」
「そうだったなー、直すのが骨になるくらいだったな」
「中もダメになってましたもんねー」

パイロット整備士の見事なコンビネーションに、全員が意味を理解した。
ふむ、とSOUがたくまの方を向く。

「これはこの前の労をねぎらうという意味でもいっそのこと廃棄にしたほうがいいですねぇ」
「うんそうだ、そうしようそれがいいね」

たくまも賛同し、全員でうなずく。
ありがとうと目で合図し、刻生が端末を操作。

『じゃあ、問題は無いか』
『死んだ後はどうするんですか?』
『身を隠すところはいくつかあるが、最終廃棄場に隠れとく。そこにトモエリバーを持ってきてくれればいい』
『なるほど、いいアイディアだ』

SOUが操作しながら、さらに何かに気付いたようで追加する。

『でも死体がないと。追調査されたら終わりだ』
『火葬にして海に捨ててくれればいい。証拠が残らなければ問題ない』

なるほどと納得し、皆に賛同を求めるSOU。
全員が再びうなずいた。やることは決まった。
たくまが立って手を叩く。

「それじゃあ、整備の人はトモエリバーを。吏族の人は再チェックをお願いします」
「「了解です」」



続く

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