リックの日記

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   3年B組 リック・トーゴーの絵日記より

1月9日(火ようび)

 きのうは「せんじどういんれい」というものが出されて、国中が大さわぎでした。
クラスの友だちが言うには同じていこく内のはん国が、
ぼくらをすんでいたところから追い出したてきにおそわれているとそうです。

 うちに「げしゅく」しているゆうや兄ちゃんにもきくと
「しんぱいしなくてもだいじょうぶ」と、ぼくのあたまをなでて言っていました。
なんか、子どもあつかいされているみたいで、ちょっとイヤでした。
でも、その手はとってもあたたかくてちょっとうれしかったです。

 きょうは、ゆうや兄ちゃんとひさしぶりにしょくざいの買いだしに出かけました。
「せんじどうれい」のせいか、きょうのしょう店がいはたくさんのひとが走りまわっていました。
そういえば、うちの食どうのお客さんもふえたし、ゆうや兄ちゃんもここのところほとんど家にいません。

ゆうや兄ちゃんは味オンチですが、お父さんやお母さんよりしょくざいの目ききがいいらしいです。
だから、さいきんはかいだしをしてもらえないので「こまったもんだな、がっはっは」とお父さんがこまっているのか、
そうでないかわからないかんじでわらっていました。

 しょう店がいをあるきながら、ゆーや兄ちゃんは「かっきづいているのはいいことだが、こういうのでってのはうれしくないな」
ととてもさびしそうなかおをしていました。ときどきゆうや兄ちゃんはこういうかおをします。
そういうかおを見ると、ぼくのからだのまんなかが、きゅーとひっぱられるみたいになってなんかイヤです。

 ゆうや兄ちゃんをひろってきたお父さんが言うには、「なんかあったらしい」です。
でも「いま、あいつをしあわせにしてやればちょうじりが合う」そうです。
ちょうじりというのはよくわからないけど、ひとがしあわせになるのはいいことだとおもいます。

だからぼくはいつもどおり、ゆうや兄ちゃんの手をにぎります。

お母さんが「手をにぎるとあたたかくなるから、しあわせになる」といつも言っているからです。
手をにぎったら、ゆうや兄ちゃんはてれたようなかおをしていました。
「おとなは子どもをしんぱいさせちゃいけないから」だそうです。

 買いだしはいつもどおり、まるおじちゃんがやっている「うお八」からはじまります。

 まるおじちゃんが言うにはこれから、どんどん物のねだんがあがっていくそうで、こまりものだそうです。
こういうのを「ぼやく」と言うそうです。

 ゆうや兄ちゃんが「すこしだけ、がまんをおねがいします」というと、まるおじちゃんはとてもあわてていました。
ゆうや兄ちゃんはこの国ではとってもえらいそうで、「おそれおおい」らしいです。
でも、いつもじょうだんばかり言っているので、ぼくにはとてもそうはおもえません。

まるおじちゃんは「わびのしるし」と言って、まぐろをさーびすしてくれました。
こんどはゆうや兄ちゃんがこまっていましたが、おしつけられてしまいました。


 でんきやさんの前を通ると「ワンパレード・オーケストラ~白のしょう」がはつばいされていました。
いいなぁ、と見つめているよこでゆうや兄ちゃんはTVにうつっているニュースを見ていました。

TV画めんにはたくまはん王がうつっていて、何かむずかしいことを言っていました。
でも、「兄だいを助けろ」というのはわかりました。こまっている人がいたら、たすけるのはあたりまえだとおもいます。

そう言うとゆうや兄ちゃんは「リックみたいな子がたくさんふえれば、きょうわこくともなかよくやっていけるのにな」と笑って言いました。
でも、その目はすいこまれそうなかんじがして、とてもこわかったです。

 残り一店というところで、ゆうや兄ちゃんが「よびだし」されました。
買いだししたにもつがあるので、「だれかよこしてくれ」とゆうや兄ちゃんが言うと、
「ありしあ」という名まえのメイドさんが来てくれることになりました。

 「ありしあ」さんが来たので、ゆうや兄ちゃんは行ってしまいます。行くまえに「おれがいつも言っていること、
言ってごらん」と言うので、「しゃっきんのみもとほしょうにんにはなっちゃだめ」というと、
にがわらいして「おれはふだんから、じぶんのことをなんていってる?」と言いました。

 「すてきにむてきなせいぎのみかた」というと、あたまをなでてこう言いました。
 「おれはね、みんながそれをわらったりまちがっているといっても、じぶんの信じるぎをつらぬくときめたんだ。
だから、つらぬき通すまでしねない。わらっていってらっしゃいって言ってほしい」

 ぼくはとてもつらそうなかおをしていたようです。でも、がんばってわらって「いってらっしゃい」と言いました。

 するとゆうや兄ちゃんはむずかしいかおをして「げーむはいちにちにじかんまで」と言ったあと、
わらって「かえったら、ワンパレード・オーケストラ、かいにいこう」とやくそくしてくれました。

 ゆうや兄ちゃんが行ってしまったあと、「ありしあ」さんとかえりました。
「ありしあ」さんはとてもやさしかったけど、さびしかったです。
同じみち、同じゆきをふむ音なのに、なんでこんなにちがうんだろうとおもいました。

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