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2015.03.26
イグアスの滝よりも南極よりも大きな感動が旅の最後にあった。アルゼンチンに旅行に来た日本人学生が、ブエノスアイレス市内から空港へと帰途に着こうとした最後のホテルのロビーで貴重品一式を盗まれたそうだ。この春大学を卒業し、4月1日には入社式を控えている。おまけに日本の彼のお祖母さんが危篤になったそうだ。しかし領事館ではパスポートを再発行してくれる以外公式な対応はできず、彼は途方に暮れながら1泊1000円の安宿(敬意を込めてこう呼ばせていただく)に転がり込んだ。泊まっていたのは食事を自炊で切り詰めながらおそらく1日1500円ぐらいで旅を続けているバックパッカー達だったが、なんと日本人バックパッカー何人かで、学生(彼自身はバックパッカーではなかった)に帰りの旅費をカンパしたそうだ。繰り返すが、彼らにとっては何十日分の予算で、返ってくる保証もない。私がその安宿に投宿したのは学生が発った後で、なぜ宿泊客が一人の行方を気にしているのだろうと思っていた。後から経緯を聞いて、そんな素晴らしい話に一口乗れなかったのを残念に思った。小汚い格好で小汚い宿を泊まり歩く旅人たちを「貧乏旅行」と揶揄する人もいるかも知れないが、5つ星ホテルで果たしてこんなことが起こるだろうか?私の帰途は、ドライアイにならずに済みそうだ(LHなのでドキドキですが)。
最終更新:2017年11月05日 12:19
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