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1日目

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1日目 - 先輩、ねぐせがついてます!


 僕の名前は、多田野助手(ただのじょしゅ)。
 港町税務署の新米調査員です。

本当はここに亮子ちゃんの顔グラ載せようと思ったんですが、諸事情により(0日目を参照)今回は載せません。
脳内でお好きな顔を妄想してくだされw

 彼女は、僕の尊敬する板倉亮子(いたくらりょうこ)先輩。
 いつかは先輩みたいな敏腕調査員になりたいと、密かにあこがれている。

 この部署に配属されて1年。
 今までは署内での仕事ばかりだったけど、今日からは先輩の助手として調査に同行させてもらえることになってるから、朝からちょっと緊張気味で。
 先輩って、ひょっとして僕のこと見込みがあると思ってくれてたりして。
 …なんて、そんなはずないだろうけど、想像するだけなら勝手だよな。

 「あ、先輩、今日もねぐせがついてますよ。
  ほら、後頭部のところ、ぴょんって。
  ちゃんと直してくださいよ、もー」

関係ないけど、わが家ではねぐせのことをぴょん吉と呼びます。

 「よし、今日もやるか!」

 ねぐせを直して気合いを入れる先輩。
 いつもの朝の、いつもと変わらない風景。
 このときは、まさかあんな大事件に僕らが関わることになるなんて、思ってもみなかったんだ…


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 「板倉くん」

 先輩を呼ぶ声にあたりを見渡すと、露口(つゆぐち)室長が僕たちを呼んでいる。


 「板倉くん、多田野くん。 今日の君たちの税務調査は、みなとホールというパチンコ屋だ」

 「わかりました。 結果の報告は頻繁にします」

 そう、報告、連絡、相談でホウレンソウというやつ。
 僕も最初は先輩にホウレンソウがなってない!って怒られたっけなぁ。

 僕は早速、みなとホールの情報をパソコンで調べることにした。
 しっかし、ここのパソコン、古いんだよなぁ。
 予算がないから仕方ないんだけど、検索一つとってもメニューが複雑だし、検索速度も遅いから、みんな必要最小限の情報しか検索しない。
 まあ、その分「足で調査する」っていう調査の基本がちゃんと守られてるから、悪いことばかりじゃないのかもしれないけど。
 あ、そうこうしてるうちに検索終了、みなとホールの住所は、と…

 赤山 4-18-1

 赤山だったら電車でひと駅だ。
 歩くのが速い先輩について、小走りで署を出る。

 「よし、行くよ、多田野」

 「はい、先輩!」

 先輩に名前を呼ばれると、いつも気合いが入る。

 早く一人前になりたい。

 透けるような青空を見上げて、僕は心の中でつぶやいた。


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 赤山駅に着くと、先輩は脇目もふらず歩いていく。
 確かに他の場所には用はないけど、何というか、会話もせずただ黙々と歩いてるのがすごく先輩らしい。

 それがいいとか悪いとかじゃなくて、「先輩らしい」としか言いようがない。


 みなとホールは駅からほど近く、パチンコ屋特有のけばけばしい電飾が遠くからでも見えたので、特に迷うことなくたどり着いた。

 入ってみると、ものすごい大音量で軍艦マーチがかかっている。
 って、今時軍艦マーチってのもめずらしいな。
 おまけに、いたるところでパチンコ玉がジャラジャラと音をたてて、こんなところじゃマトモに話もできそうにない。


 店内を見渡すと、客はそんなに多くないようで、入り口から見える客は1人しかいない。
 あ、でもランプを見ると確変入ってるみたいで、調子がいいぞ…なんて1人でぶつぶつつぶやきながら打ってる。
 ここまで声が聞こえるくらいだから、声の大きさはつぶやくレベルじゃないんだろうけど。

 店の奥に移動すると、もう1人。
 こっちも何かしゃべりながらだけど、さっきの人とは対照的に負けてるみたいだ。

 しかし、2人とも、平日の朝っぱらだぜ? …まったく。


 先輩もひとしきりキョロキョロしてたけど、店員を見つけると大声で呼んだ。
 さすが先輩…
 僕なんて、人前で大声だすのはちょっとためらってしまうのに、すごい度胸です、先輩。

 「何かご用でしょうか」 

 話が聞き取れるくらいまで近寄ってきた店員に、社長の居場所を聞く。

 「えっ? 社長ですか? 奥の事務所にいますけど…」

 先輩はいぶかしむ店員にお礼を言うと、さっと事務所へ入っていった。
 店員も、先輩の有無を言わせない無言の迫力に止める間もなかったのか、ただ黙って事務所の扉を見つめている。

 す、すごいな。
 先輩に続いて、僕も店員に会釈してから事務所へ入った。


 「あれ、社長いないみたいですね」

 「そうみたいね」

 すぐ戻ってくるでしょ、そう言いながら、先輩は机の上の小物に目を光らせている。
 僕もそれにならって、小物を見てみる。

 マッチ。
 ティッシュ。
 ちょきんばこ。

 どれももらいものらしく、銀行などの名前が入っているようだ。

 「いわゆる、ノベルティグッズってやつですよね」

 つぶやく僕に、先輩は軽くうなずく。

 どの会社でも、もらったノベルティグッズを使うのなんて、当たり前のこと。
 でも、それにしては先輩の目つきはするどい。
 いったい何が…


 そのとき、一人の男が事務室に入ってきた。

 僕は一瞬ぎょっとしたものの、先輩はそんな様子もなく、冷静に挨拶する。

 「港町税務署の板倉と申します」

 「社長の工藤ですが」

 「おたくのお店の取引銀行は、東洋銀行の他にありますか?」

 「いや、東洋銀行だけだけど」

 銀行の確認は確かに基本だけど、なんでそんないきなりばしっと聞くんですかっ。
 先輩、アグレッシブすぎ。
 見てるこっちがひやひやしますってば。

 「工藤さん、この用紙にあなたの住所、氏名、家族の名前を書いてください」

 え、それって税務調査と何の関係が…と思ったけど、何とか口に出さずに飲み込んだ。
 …先輩が意味のないことするわけない、よな。

 「はい、港町東町3-12、これが自宅ね。
  工藤義昭、これ私の名前です。
  それから、女房が登志子、息子が昭一っと。
  これでいいですか?」

 工藤も不審がることなく、素直に記入している。

 「ありがとうございました」

 「今日は税理士さんがおらんのですよ。
  まっ、帳簿はそこにありますんで、勝手にやってください」

 示された方向を見ると、確かに机の上に分厚い帳簿が置いてある。
 毎度の事ながら、この分厚い帳簿を全部調べるのかと思うと、ちょっとげんなりしてくるな…

 そんな僕を尻目に、先輩は帳簿を手に取り数ページだけぱらぱらとめくった。
 持ってきたファイルから用紙を取り出すとボールペンでさらさらと何かを書き込み、1枚目だけをちぎり、工藤に渡す。

 「すいませんが、これをお借りします。 これが借用書です」

 あ、持ち帰るんだ。
 そりゃそうだよな、僕も内勤の1年で帳簿だけは沢山見てきたもんな。 

 工藤は無言でそれを受け取った。
 先輩も無言で軽く頭を下げると、さっさと事務所を出て行く。

 「えっ、あ、あの、失礼します!」

 僕もあわてて工藤に挨拶すると、先輩を追いかけて外に飛び出した。


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 「先輩っ、もう帰るんですか?」

 先輩に追いついて、手を差し出す。
 分厚い帳簿が重いだろうと思ったからだったんだけど、どうも先輩はそれに気づいてないみたいだ。
 何、その手?
 みたいな顔で、差し出された僕の手を見ている。
 先輩のことだから、どうせ「持ちますよ」って言っても断るんだろうなぁ。
 僕はそっと手を引っ込めた。

 「あの場でできることは、もうなさそうだったから。
  あのまま帳簿を見たって、どうせ『税理士に任せてあるからわからない』としか言わないわ。
  税理士がいないってのは、そういうコト」

 ははぁ、なるほど。
 勉強になるな。

 それきり、電車の中でもしゃべらない。
 …そこはやっぱり先輩らしい。


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 税務署に戻ると、早速露口室長へ結果を報告する。

 「みなとホールへ行ってきました。 とりあえず帳簿は借りてきましたけど…」

 「そう、だったらそれから調べてみたまえ」

 露口室長は、そう言うと席を立った。
 会議などで忙しいのだろう、席を空けていることが多い。
 それでも、僕らが報告するときはちゃんと席にいてくれる。

 他の案件の処理もあるので、みなとホールの件は今日はここまでということになった。
 明日は、帳簿の調査からだ。



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  持って帰った帳簿を調査することになった僕ら。
  だけどどうも銀行があやしい?
  同僚の吉野さんも登場して、探せ、隠し口座!





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