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今まで乗ったり直したりしながら思ったことなどを赴くままに書き記してみたい。

先ずレストア後一番最初に乗って感じたのは華奢な見た目とは裏腹に非常にどっしりとしているな、と言う事である。
大柄な車体と26インチの大径タイヤの影響が大きい物と思われる。
ハンドリングも非常に良好。
変にブレたり切れ込んだりする事無くまっすぐ走り、曲がりたい時にはすっと曲がっていく弱アンダーステアな所謂ブリティッシュグッドハンドリング。
英国車のハンドリングはこの頃から既に高い域にあったようだ。

ポジションは絵に書いたような殿様乗り。
大きく手前に伸びたハンドルや高いサドルなどまるで馬に乗っているような感覚に陥る。
この設計者はつい最近まで主流であった馬に乗ると言う事を意識していたのかも知れない、と思わせる。

ブレーキは前後共に非常にプアー。
フロントは一応ドラムながら径が小さすぎる上に取り回しの関係上1番のケーブル(自転車のブレーキケーブルとほぼ同径)しか使えないので力が逃げる。
リアブレーキはスポークに付けられたダミーリムにシューを押し当てるタイプ。
この手法は同年代の多くのモーターサイクルに見られる手法で各メーカー毎にやり方が微妙に違うがこのトライアンフのリアブレーキははっきり言って欠陥品である。
と言うのもリーディング側にまともなリターンスプリングが入らないので食い込んでロックしやすい。
しかもご丁寧にロックしても力を逃がすようにリアシューの支点は完全に固定できないような作りになっている。マニュアルにも此処は絶対緩く締めろ、と書いてある始末。
材料や各種対策でまだまだブレーキの効きをあげる余地はあると思うので今後の課題。

オイルポンプは完全に手動。
定期的にポンプを押して給油する必要がある。
マニュアルにはソロなら10マイルごと、サイドカー付きなら5マイルごとに1ポンプとある。
思っていた以上にポンプの間隔は長い。
色々考えてちょっと短めの10キロ毎(およそ6マイル)に1ポンプしている。

ヴェテランからヴィンテージ期のトライアンフの特長とも言えるオリジナルのツインバレルキャブレターは何も知らない人にはコントロールはおろか始動すら難しいが構造をしっかりと把握し扱いをマスターするとすばらしい性能を発揮する。
トライアンフキャブレターに関しては別のページで解説するが簡単に言えば2本のレバーでガソリンと空気の混合比を無段階に調整できるようになっている。
つまり走りながらエンジン回転数や負荷に合わせて空気を開けたり絞ったりガスを開けたり絞ったりと忙しい。
こんなキャブレターの何がすばらしいのかと言うとズバリ、セッティングが不要な上に経年変化や磨耗でセッティングが狂うという事が起きないという所である。
この手の旧車にありがちなキャブレターの調子が・・・というのもこの頃のトライアンフではまず起きない。

エンジン自体も中々トルクフルで良い。
タイミングは計測していないがカムを目視で見る限りではまずまずのタイミングである。
さすがに上り坂などでは苦しい場面も多々あるが空いている国道などでは車の流れをリードして走ることも可能なほど軽快に走る。
最高回転数は推定4000回転程度。回らないし回したくもならない。
時速60キロから70キロ程度で流すのがもっとも気持ちがよい。
エンジンの作りも非常にシンプルで教材みたいな作り。当然部品点数も少ない。


Model SDは相当耐久性を重視したモーターサイクルであると思う。
前述のキャブレターは乗り手に負担は強いるがその代わりに耐久性が非常に高くなる。
エンジンに関してもmodel Hが登場するまで2カムであったものをmodel Hで1カムに改めている。
最初は何故退化とも言える変更をしたのか判らなかったが1カムにした方が部品点数が少なくなる上にカムフォロワーを長く出来るからだろう。
カムとバルブリフターの間に入るカムフォロワーは円運動なので長ければ長いほど直線運動に近くなる。よってリフターより上の直線運動のバルブリフターやバルブに無理が掛かりにくい。
クラッチプレートが燐青銅製でオイルに浸る、というのも耐久性を上げる、というのが動機だったのではないだろうか?
というのもこの頃はまだまともなライニング材など無いのでクラッチと言えば殆んどがコルク張りであるのが普通だ。当然耐久性も劣る。

当時トライアンフ社はtrusty(信頼性)を売り物にしていた。
その信頼性を第一に考えて作られた最期のモーターサイクルがmodel SDである。
サラブレッドではなく軍馬、スピットファイアではなくハリケーン、と言った所か。

引き上げた時の状態。さびさびです。
現在の状態。同じくさびさび。
ただ定期的に走っているので生気があります。


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