エンジンまでは1910年代の古い設計の物だがプライマリー内部はSDとModel Rのみに採用された新設計。
SDで最もアツイ部分である。

エンジンスプロケットはセルフリムーブの付いたもの。
固定しているネジを外せば勝手にテーパーが落ちて外れる。
逆に締め込む時はテーパーの状態にも拠るが基本インパクトで締めてはいけない。
固定の面倒な部分なので横着してインパクトで締めるとテーパーが勘合しすぎて外せなくなる可能性が出てくる。
私もこれで最初に付いていたスプロケットをダメにした。
チェーンサイズは520。歯数は標準が15丁。オプションで更にハイギアードな16丁と17丁、サイドカー用の14丁が設定されていた。
この部分に関してはやはり標準の15丁をおすすめする。最初は16丁が付いていたが渋滞などでは若干バランスが悪いと感じた。
この手のモーターサイクルはもう一丁大きくても良いかな?位がベストである。

さて肝心のクラッチだがそれはもう相当に凝っている。
金属製(恐らく燐青銅)のフリクションプレートと鉄製のプレーンプレートがそれぞれ8枚ずつ、計16枚入るという大盤振る舞い。
しかもクラッチのセンターにフリクション式のエンジンダンパーが入る。
センターナットの位置でクラッチ本体の遊びを調整し、センターナット自体は座面で止まらずにギアボックスメインシャフトの真ん中にロックボルトを入れて固定。
ロックボルトは締めすぎに注意。というのもセンターナットは砲金で出来ており余り肉厚も無いので締めすぎるとクラックが入る。
いったんクラックが入るとロックボルトを締めてもクラックで逃げてしまうため固定が出来なくなる。
ただし余り緩すぎても走行中にクラッチの遊びが変わってしまう。
概ねロックボルトのみをゆっくり締め込んで行き、最終的に共回りしたクランクが圧縮を超える位まで締まったらOKだろう。
クラック対策としては砲金製のセンターナットの六角部分を旋盤でギリギリまで削った後S45CやSCM440などの硬い鉄を嵌め込んで六角を切れば良い。特に焼きいれまでは必要ないかと思う。

このSDのロックボルトはテーパーの具合が悪く奥まで入れても上手くロックできなかった。
この場合はオーバーサイズのものを作るしかないだろう。
テーパーの角度は確か22度だったと思う。うろ覚えなので自信は無いが。

20100921追記
思う所もあってロックボルトを再制作。各部計測しました。
まずテーパー角度はおよそ15度。ボルト側も概ね15度のテーパーを付けると良さそうです。
ロックボルトのネジ径は9/32の32TPIと言う相当特殊なサイズ。通常どの規格にも当てはまりませんが世の中にはしっかり存在していたサイズらしくタップもダイスも有ります。
テーパー部は7.5ミリ位から始めておおよそ10mm位まで15度の角度を付けて削り、そのまま10mmのストレート部を2から3ミリ程度残したボルトを作ってみました。
結局メインシャフトを押し広げてクラッチセンターナットと勘合させるというかなり外道な方法故に締め具合は相変わらず相当嫌な感じですが一応作動させても遊びが変わらないので良しとしました。
しかしこのボルトを使う場合、純正の砲金製クラッチセンターナットのままだと割れるような気がします。上記のように硬い鉄で補強した方が良いかも。

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プライマリカバーのアップ。非常に凝った形をしている。
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カバーを開けた所。特徴的なクラッチが見える。
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ロックボルト。ボルトのテーパーがメインシャフトの割を押してセンターナットを固定。
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クラッチ側に付くダンパー内部。ちなみにこの部分は前オーナーが旋盤屋に作らせたもの。
殆んど走行していないので新品同様のコンディション。

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最終更新:2010年09月22日 02:14