ギアボックスは3速でプライマリー同様Model SDとModel Rのみに使われたトライアンフオリジナルの物。
構造を文章で書いても中々伝わらないかと思うが敢えて書くと若干特殊な形をしたドックが入ったメインシャフトにローギアとセカンドギアが入る。
各ギアはシフトフォークとカムプレートで左右にスライドしメインシャフトとの噛みあいを変えて変速する。
若干変わっているのがトップギアで大きなトップギアの内側に細かいドックが切られておりそのドックの中にセカンドギアが直接入り込む、という構造になっている。
その他カムプレートを動かす扇状のギアやカムプレートのポジションを決めるプランジャーなどその後の4速ギアボックスと非常に似ている作りである。

潤滑油はギアボックスとプライマリーが繋がっており同じオイルを使う。
ハーレーのスポーツスターなどと同じである。したがってハーレーのスポーツスター用プライマリーギアオイルを基本的には用いるがエンジンオイルを入れても良い。
ギアボックス自体にオイル口が無いのでプライマリーに入れたオイルが穴を通ってギアボックスに入る、というのは良いのだがオイルレベルを確認する窓やチェックプラグが無い。
なので0から給油する場合、大体500から600ccをプライマリカバーーのクラッチ上にある口から入れる。
この辺のオイル管理は極めていい加減。
その上エンジンオイルの大半はプライマリーに行ってしまうようなので半ば自動給油の様相を呈している。

カウンターギア側にシャフトという物は存在せずギアが三連で並んだ歯車の両サイドにベアリングが入って支持する構造。
カウンターギアの中は空洞になっておりその中にキックシャフトが通る。

ベアリングはメイン側の左右2箇所、カウンター側の左右2箇所共にバラ球を真鍮製のケージで保持した物を使う。良くマグネトーなどに登場する奴と同じ感じ。各部とも外径等のサイズが違う。

オイルシールの類はスプロケット裏にフェルトが入るだけのものでエンジンの内圧がプライマリーを伝い主にここから出て行っているようだ。おかげでドライブチェーンに激しく給油される。そしてタイヤにも。

ギアボックスの修理に関してはしっかりガタを取るべき所と取ってはいけない所の見極めが必要かと思う。
特にメインシャフトとカウンターギア群を支持するベアリングに付いては出来うる限り純正のものが良いが事情でユニットベアリングに換装する場合、精度の低い物を使った方が良い。
というのもベアリングがギアボックス本体とアウターカバーに当然ながら別々に嵌るのだがこのギアボックス本体とアウターカバーの嵌め合せの精度が出ない。ギアボックスもカバーも肉が薄く位置を決める機構(ノックピン、ダウエルピンなど)が一切無いからだ。
そういう部分に精度の高いベアリングを入れるとクリアランスが無くなり動きが渋くなる。
私のギアボックスもユニットベアリングが入っていたがクリアランスが殆んどなくパツンパツンで回っている。
どうにかしないと、と思いながら放置中。
程度が中の下と言った感じの予備用ギアボックスを入手済みなのでいずれは改善予定。

アウターカバーを外したところ。メインシャフトのドックやトップギア形状等が確認できる。

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最終更新:2010年07月02日 23:53