ガーダーフォークは左右に小さなスプリングが付くタイプ。
フロントドラムがウェッブ製なので恐らくフォークもウェッブ製と思われる。
幅や各部の間隔は妙に広く全体的に大柄なSDにマッチしたサイズになっている。

スプリングはダンパー無しタイプとダンパー有りのタイプの2種類が存在する。
どうやら舗装率の高い本国などではダンパーが無くスプリングの径のみを変化させてサージング防止をしたダンパー無しタイプが主で
日本向けなどの場合は舗装率などを考慮し、径の大きいストレートのスプリングにダンパーが付くタイプが多いようだ。
このSDもダンパーが付いたタイプである。

各スピンドルの給油はオイルで行う。
5か所にオイルカップが付いていてそこにオイルを差す。
見た目はやはりオーセンティックなオイルカップが良いが性能的にはグリスニップルに換装してグリス給油式にした方が良いとは思う。
取り付けのネジサイズは1/4inch26TPIなので今でもグリスニップルが幾らでも手に入る。
オイルカップに拘る場合純正の物がしっかり付いていれば良いのだがそうでない場合、中々良いオイルカップが手に入らないのが現状。
寧ろ良いオイルカップがあれば紹介していただきたい。

ヘッドベアリングは上下でサイズが違う物を使うが殆んど自転車サイズである。
正確なサイズは失念してしまったが上側がおよそ4ミリから5ミリ径のボール、下側が3ミリ台の径のボールを用いる。この車体から考えて相当小さい。
更に下側ベアリングレースのフレーム側は圧入せずにドーム状の物が入っているだけという完全な自転車仕様。
レースが傷んでいる場合、例のVeteranTriumphにリペアパーツがあるので交換した方が良い。
ちょっと傷んでいる程度ならワンサイズ大きいメトリックのボールを用い、傷んでいる当たり面を避けて再利用というのも手である。
フレーム側が傷んでいる場合はフレームに溶接の後に削りだしが必要になるので自分でやる自信がある人以外は加工屋の仕事になるだろう。

ガーダーフォークと言うとフォーク本体と連結アームとのクリアランスをしっかり合わせるのがまた重要なポイント。
このフォークではナットの締め具合やシムを用いることは無くスプリング状のワッシャーが入りガタ取りを行う。
各スピンドルの乗って左側、ドライブサイドにスプリング状のワッシャーが入りガタを取る仕組みになっている。
2気筒のロッカーアームのガタ取りと同様の手法である。
この方法だと確かにシムやナットでのクリアランス調整は不要であるがスラスト方向に荷重がかかるとガタが出てしまう恐れがあるので良い方法とは言えないかもしれない。
が今迄この部分に違和感を感じたことは無い。

それともう一つガーダーフォークで見るべき点であるスピンドル自体のガタ。ここは最高の精度で臨みたい。
というのもココにガタがあるとその分スプリングやダンパーと関係なく車体が暴れてしまい最低の車体になってしまうからだ。
このフォークではブッシュというものが存在せず、直にスピンドルとガーダー本体がこすれ合う。
スピンドル穴が楕円になってしまっている場合は必ず真円になるまで広げて燐青銅か砲金のブッシュを入れる。
スピンドルも減っている場合軽度ならば削って円を出してブッシュ挿入、5/16径以上に削れてしまっている場合は完全に作り直しをお勧めする。
とにかくまともに走らせたいのであれば此処の部分は絶対に妥協してはならない。
恐らくこの辺の機械加工は殆んどのレストアラーにとって外注作業になると思うので他人任せをめんどくさがらずにしっかり行うべきである。

もうひとつガーダーフォークでチェックする点がある。それは歪みである。
ガーダーフォークは構造上真正面からの力には非常に高い剛性があるがそれ以外の特に左右方向からの力には弱い。
激しく乗られていた車輌などでは左右に曲がっている事も少なくない。
ばらす前の車輪が付いている状態で左右に歪みがないか必ずチェック。
チェックの際は広い所に出し5から10メートルは離れてフロントタイヤのセンターとフレームのセンターが合っているか見る。
もし歪みが認められる場合はバーナー等は使用せずに冷間で長い鉄パイプや自転車用のフレーム修正工具などで思い切って曲げて修正。必ずセンターまで戻す。

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スピンドル分解の図。ちなみにスピンドルとアームの連結は特殊な形のスプラインで勘合する。
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中々良い仕事をするダンパー。見た目もカッコイイ
オイルカップ。コレも古風でカッコイイ

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最終更新:2010年06月26日 23:28