鉄ピストンの考察その2です。

鉄ピストンを入れるにあたってピストンクリアランスは結構悩んだ部分。
実際に500ccの鉄ピストンを入れた経験のある方からは2/100mmで十分という意見も有りましたしもっと大きいほうが良いのでは?と言う意見も有りました。
最初は熱膨張率もシリンダーと同材質の鉄ピストンならば2/100mmで良いのかなぁ?と思っていましたがイマイチ釈然としません。
そこで改めて今迄の状況や資料を読み返し4/100mmでピストンクリアランスを取る事にしたのですが以下その理由。

大きな決め手になったのは英国車弄りのバイブル”VintageMotorcyclistsWorkshop"の鉄ピストンのクリアランスに関しての記述です。
師曰く、鉄ピストンのピストンクリアランスはボア1インチ辺り0.5/1000インチから1/1000インチが目安でアルミピストンの1/3のクリアランスで良いとの事。
SDのボア径は85mmなので3インチちょっと。となると推奨クリアランスは1.5/1000インチから3/1000インチとなり、コレをmmに直すと3.81/100mmから7.62/100mmとなります。
四捨五入しておおよそ100分の4から8で取れと言う事です。かなり大雑把ですが。
結構幅が広いですが大概推奨される最小値でも安全マージンを取ってあるのが通常ですので4/100mmと言うのを推奨値と見ます。
今迄入れていたアルミピストンは購入元のVeteranTriumphSperasに問い合わせた所5/1000インチと言われたので12/100mmでクリアランスを取って使用していました。
アルミピストンの1/3で良い、と言う事はぴったり4/100mmと言う事になるのでVintageMotorcyclistsWorkshopを読むにSDの鉄ピストンにおける最少推奨値は4/100mmで有ると理解しました。

今回の抱きつき経験や分解して改めてシリンダーを観察して思ったのは2/100mmのクリアランスでも通常使用ならば大丈夫かと思いますがしかし高温や高負荷状態ではシリンダーが歪んで場合によっては抱きつきや焼きつきもあり得ると言う事です。
あれだけ肉の薄いシリンダーを高温や高負荷で使ったら歪みが出るのも当然です。抱きついた直後はスカスカだった圧縮がエンジンを冷やしてオイルを大量に送ったら見事に元に戻った、と言う所からも恐らくはそれなりに歪む事は間違いないでしょう。
これからも相当乗るつもりなのでこう云った理由からもギリギリと思われる2/100mmよりマージンのある4/100mmを選択したのです。

思うに日本人はピストンクリアランスに神経質になり過ぎているきらいが有ると思います。
大抵の日本人チューナーは1/100mm単位でピストンクリアランスを見ていますが大抵のイギリス人は1/1000インチ単位で見てるのが普通です。
イギリス人チューナーにピストンクリアランスを聞くとほぼ○Thau(1Thauは1/1000インチ)と返ってきます。1/1000インチは2.54/100ミリです。
たとえば4/1000インチ→およそ10/100mmのピストンクリアランスが小さいと思ったら次は5/1000インチ→およそ13/100mmになる訳です。
レースで1/1000秒を競っている訳でも無いのでこの位の大雑把さで十分、と言うか英国車には合っているなような気がします。まあレースでは通常より酷使される上にトラブルを嫌って通常より大きめにするのが常ですが。

今回の件でイギリス人にならって1/1000インチ単位でピストンクリアランスを管理した方が良いのかもな~と改めて感じた次第。
しかし今日某旧米国車専門店社長から4/100mmとはずいぶんタイトですね、と言われました、、、まだちさいかなぁ?

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最終更新:2010年12月06日 09:38