前回エンジンの安定感、高級感の要素を”エンジン剛性”と”クランク設計”に求めてみました。
今回はその理論をSDに当てはめてみます。

まずは”エンジン剛性”について。
最重要な腰上剛性はかなり絶望的です。
なにせ元々シリンダーの肉厚が薄く、+020のオーバーサイズピストンのせいで更にシリンダーの最も肉薄の部分が2㎜程度、そこにスリーブが1㎜程度の肉厚で入ってます。
それを5/16インチのスタッド4本のみで止めているだけですのでどうにもなりません。
一応プラス要素としてヘッド部まで一体の所謂タコツボ構造と低圧縮低回転エンジンで有る所が要求される剛性を下げているとは思いますが戦後のエンジンを見た後にコレ見ると今でもちょっとナニだよなぁと思います。
肉厚で作り直すわけにもいかないのでエンジン剛性については考えない事にします。
気休めにエンジンマウントを更にきっちり締めてみる、、Vintage期のエンジンなんてこんなもんですよと自分に言い聞かせながら。

で、次は本命”クランク設計”です。
Vintage期のクランクはその後のクランクのようにウェイト調整穴などは無い事が普通です。
実際に同年代の幾つかのクランクを計測するとおよそ80%のウェイトが付いているのが普通のようなので当然静バランスは取っているようですが穴をあけて細かく管理するような事はしていないようです。
単気筒で運動部分も少ない上、馬力も小さく回転数も低いとなると細かく調整しても殆んど意味無いからかも知れません。
SDも戦後の2気筒エンジンのようにあからさまにオモリが付いてる上にこれ見よがしに開いているウェイト調整穴などは見られず計測してみないとバランスを取っているのか判らないような作りです。
しかもバランスを計測していないのでSDが絶対にバランスを取っているとは言い切れません。、、取ってる筈ですが。
ウェイトと言うのは当然往復するピストンに対しての重量で往復する重量まで含めた部分がエンジンの安定感、高級感を決める”クランク設計”であり、ピストンの重量も当然回り方に影響するのではないか?と言うのが今回鉄ピストン化で最も確かめたい部分です。
以前書いたように戦後の英国車で現在も複数のピストンメーカーからピストンがリリースされている車輌はどれも重量が違います。
トラの2気筒辺りだと老舗のヘポライトやGPM、JP、オメガやエムゴと色々ありますがピストンメーカーの違いでエンジンフィーリングが変わったと感じた事は一度も有りません。
まあ当然ちゃ当然で数十グラムの違いなうえに馬力が有るので違いを感じる前に相変わらず速えーなー、で終わります。
でも実際はピストン重量が変わるとエンジンフィーリングも結構変わるんじゃないのか?
今回はアルミピストンから鉄ピストンへの交換なので数百グラムは変わる上に馬力も小さく回転も低い2気筒じゃないトラなので流石に違いも感知できるのではないかと期待しています。

小難しく書きましたが簡単に言えばピストンが重たくなってクランクバランスが適正になったら回り方も高級になったよ、ってのを確かめたいって事です。いや確かめたいって言うかそうなるのを希望。
これだけ書いたくせに違いが感じられ無かったらマジで気まずいなあ。

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最終更新:2010年12月08日 00:25