今回はギアボックス解体編です。何も無けりゃいいですが。

先ずはエンジン側と同じサイズのナットを外してもテーパーで嵌ってて何も変化ありません。
回りのナットを取って色々叩いてみるも無反応。外れる気配無。
向かって左にシフトフォークのスピンドルが埋まってて内側にねじが切ってあります(5/16BSF)。
此処を外せ、と言う事でしょうからスペーサーを入れてボルトをねじ込みスピンドルを外しました。
で、ダンパーを外します。
まあいつも通りのフリクション式。強いて標準と違う点を上げるとするとスプロケ側にカバーが付いてます。
フリクションタンパーは大抵スプロケットを丸ごと焼き入れしてあるので全体が硬い事が殆どですがこいつもめちゃくちゃ硬いです。
スプロケを作るにしても波状の部分は作るのがしんどいので大体歯だけ削って汎用品を嵌めこむのですが上手く削れるかなぁ?
それとスプロケとギアボックスの嵌め合い部が=○=ってのは凄いねw
でカバーを外します。
出ました、はすばかさ歯車(英名:ヘリカルべベルギア)。
通常の英国車はプライマリーカバー内にエンジンスプロケット+クラッチスプロケットが入ってて此処で最初の減速をしますが通常から大きく外れたダグラスの場合変速機の後にこのような歯車が入って1次減速+回転方向変換を行います。
こういった歯車が戦前の早くからあったら前後シリンダーのダグラスも無かったかもしれませんね。
反対側にあるアルミのカバーを抜くとセレクター機構が出てきました。
構造的にはトラとノートンを足して2で割った感じ。
ただ作りはどちらのメーカーより丁寧に作ってある印象です。摩耗もほぼ無しです。
取り敢えずスプロケ裏のスペースから見えるかさ歯車の止めねぢを外します。
上側は楽に外れたのですが下側がスペースがあまりに無く外れません。
この構造ちょっとアレですよね。
メインギアのかさ歯車が外れたら一番最初のカバーが取れるかと思い裏側から真鍮棒でたたくと何とかカバーがメインシャフトごと抜けました。
次の瞬間ギアの中に入ってたニードルローラーがバラけてケース内に散乱。
うわ~ニードルローラー使ってるよ・・・
一般的には手間のかかった機構の代名詞のように言われるニードルローラーですが個人的にはこういった所にバラのローラーは感心しません。
潤滑が最高なのにわざわざ軸との接触面積を減らしたうえにローラー同士がこすれて摩耗しやすい構造です。
多分耐久性も抵抗も銅合金系のブッシュを用いたほうが上でしょう。
組むのも面倒になるので多分アルミ青銅辺りでブッシュを作って換装します。
どうやってもカウンターシャフトのかさ歯車取り付けねぢを外さないとこれ以上ばれないようです。
このまま洗浄して使っても良いのですがこれまでの状態から何があるか解らないですし細かい所がどうなってるか解らないままにするのもナニですので頑張って外すことにします。
色々な手段を試して最終的にカウンターシャフト自体を万力に固定して外しました。
かさ歯車のすぐ上を受けの歯車の軸が通ってます。窓からスパナを入れても稼働角は60°程度・・設計者、ちょっと体育館裏に顔貸せや。
でもまあ何とかナットが外れてギアボックスの主要部品が取り出せました。
しかし一体成型のギアボックスって凄いんですがどう考えても合理性に欠けます。
とにかく整備性が悪い。最悪です。
戦後のダグラスを弄る方にはギアボックスに問題を感じなければばらさない方が吉と言わざるを得ない。
外した部品を組み合わせてみました。
特に珍しい所は無いですが1次減速+回転方向変換用べベルギアとキックスターター用べベルギアが先ず他の英国車には無い点です。
クラッチ側のカバーに付いてたテーパーを何とか抜いてみます。
軸の中にはアルミのメクラが圧入になってます。
この圧入を抜いて付いてたナットを嵌めて銅ハンマーで強打するとようやくテーパーが抜けました。
すると予想外のバラのローラーが。しかもローラーの外側にもベアリングが入っています。
このころまでの英国車にはありがちなナンデ?な構造です。
最後にダグラスギアボックスべベルギアブラザーズ近影です。
力のかかるドライブ側ははすばかさ歯車、割とどうでも良いキック側はすぐばかさ歯車を使ってます。
こういった凝ったり手間がかかってる部分も多いのですがなんだか全体的に力の入れるベクトルに疑問を感じるバイクです。

次回はダグ・ヒーリー設計のラジヲドロリックフロントフォークをばらします。
  • 分解乙
    しかしやっぱり凄いクローズド・レシオだのう。
    さすがレーシング・・・
    カムプレートの送りのメカニズムどうなってんだろ?


    ギアの歯に欠けがなくて良かったです -- 好調 (2012-01-13 21:30:58)
  • ばらしている時に歯車的な破片を発見、めちゃくちゃビビるもベアリングプーラーの先端が欠けた物でしたw
    歯車の状態は上々ですがドックにはやや摩耗が見られます。十分使えますが。
    まあとにかく整備性が悪いですね。なんで手間のかかる一体物のギアボックス何かにしたのでしょうか。
    思うに生産地が本流のコベントリー地方と違うブリストル(ブリストルだから水平対向何でしょうかね?)地方である事、戦前の積み重ねを無視したような革新的構成がこういった合理的でない構造の元になっているような気がします。
    資料があればぜひ確かめたい所です。
    -- flattank (2012-01-13 22:56:01)
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最終更新:2012年01月13日 22:56