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■ FVB下着の歴史

 東国人で構成されているFVBでは、主に着物が好まれて着用されているのだが、建国当初は上着のほうに重点がおかれ、下着は晒で大事な部分を隠す程度であった。
 そんなFVBに事件が起きる。まぁ、事件自体はたいしたことの無いどうでもいいことなのだが、事件の被害者にオウサマ(FVB藩王)がいたのがまずかった。

オウサマ破廉恥事件

 被害者であるはずのオウサマが、なぜか加害者のような事件名をつけられたこの事件をきっかけに、下着の重要性が見直され、オウサマ奨励の下、FVBインナー連盟(通称:FIL)が発足した。

「清く正しく美しく」
「慎ましく淑やかに」
「破廉恥追放! 破廉恥撲滅! 破廉恥絶滅!!」

を合言葉に、二度とオウサマに恥をかかせないことを固く誓ったFILの職人たちは、

「下半身だ。それさえ隠せば二度とあのような悲劇は起きないはずだ」

と、意気揚々に広く長い布をオウサマの腰に巻きつけてみた。

 その時、風が吹いた。
 巻きつけた布が捲れ飛んだ。


 第二次オウサマ破廉恥事件勃発である。


 数多くのFILの職人たちが責任を取って島流しになった。
 四季折々の大自然を有するが故の悲劇であった。

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「失敗は常につきまとうのだ。大発明の直前には特にッ!!」

 FILの職人たちは涙を拭いて再び立ち上がった。
 今度こそ、オウサマに恥をかかせない下着を開発するために。

「巻きつけが足りなかったのがいけなかった」

 同じ轍を二度は踏まない、を合言葉に今度はオウサマの腰に巻いた布を帯で縛ってみた。

「もっと縛り上げろ」

 前回と同じ轍を踏みそうだったので、もうちょい縛ってみた。

「そう、きつく」

 失敗だけは許されない。

「もっときつく」

 ひたすらに縛ってみた。

「もっと、もっと」

 ちょっと良い気分になってきた。

「MOTTO!! MOTTO!! MOTTO!!」

 気分は最高だった。
 オウサマの顔が真っ青になっていた。


 オウサマ暗殺未遂事件勃発である。


 数多くのFILの職人たちが責任を取って島流しになった。
 FIL職人のノリの良さ故の悲劇であった。

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「俺たちには”ゆとり”が足りなかった」

 FILの職人たちは涙を拭いて再び立ち上がった。
 今度こそ、オウサマに恥をかかせない下着を開発するために。

「上半身から羽織ってみるのはどうだろうか?」

 ある職人が言った。

「これなら、上半身も下半身も一緒に隠せる」

 持ち出した木綿の着流しを着ると、くるりと一回転した。
 布が捲くれた。

「俺は島流しになりたくない」

 捲くれること自体が一種のトラウマとなっていた。

「落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない」

 着流しの本衿の部部をしっかり重ね合わせて、帯を取り出すと腰に巻きつける。

「今度は縛りすぎるなよ」

 丁寧に帯を結んで服装を整える。

「悪くないな。だが、少々ごわついているのが問題だ」
「よろしい、ならば差別化だ」

 こうして、安価で購入できる木綿と、高級品の絹で仕上げた下着が出来上がった。

「いまは仕方ないが、いずれは誰もが着心地の良い下着を着れるように、我々は精進せねばならないな。努力を怠ってはなにも生まれない。着心地を良くするためにも、もっと生地を薄く、一心不乱にただ薄く! そして、薄生地からうっすら透けた柔肌を――」

 その時、ある法官がFILの会議室を横切った。
 こめかみの辺りがヒクヒクと引きつっていた。


 オウサマ破廉恥未遂事件勃発である。


 数多くのFILの職人たちが責任を取って島流しになった。
 浅ましい下心故の悲劇であった。

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 まぁ、そんなこんなで完成した下着をFILの職人たちは”襦袢”と名づけた。
 それを身に着けたオウサマはたいそうお喜びになり、これまで島流しになった職人たちを許したのであった。


IMG_000621.jpg


 終わり良ければすべて良し。
 これにて一件落着。
 めでたしめでたし。

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 え? 男物の下着の説明がまだ残ってる?
 勘弁してくださいよ。褌でいいじゃないですか。

■ FVB下着の歴史(男の子は黙って褌)

 東国人で構成されているFVBでは、主に着物が好まれて着用されているのだが、建国当初は上着のほうに重点がおかれ、下着は晒で大事な部分を隠す程度であった。
 そんなFVBに事件が……起きない。まぁ、男の子はあまり下着に気など配らないものなのである。だが、そんな男の子の間でも不満はあったようである。スースーするというか収まりが悪いというか、安定感が欲しいわけである。
 そこで仕方なく、FVBインナー連盟(通称:FIL)が男物下着を開発することとなった。

「俺はいままで、自分の仕事に誇りを持ってきた。持ってきたはずだった。だが、いまそれが揺らごうとしている」

 会議室に集まった職人の人数、女物の下着を製作したときの10分の1。もうすでにやる気の無さ全開である。

「とりあえず、安定すりゃ良いんだろ安定すりゃ」

 投げやりな意見が飛び交う駄目人間の巣窟と化した会議室。

「晒でも腰に巻いとけよ」

 まったく意味をなさない意見が平然と挙げられる。

「ちゃんとした意見出せよこの野郎」
「なんだと」

 睨み合いを始めた職人たちが立ち上がる。そこからは一瞬だった。一瞬で会議室は戦場と化した。
 晒を取り出す両者。お互いの首を絞めようと取っ組み合う。机や椅子がぶつかった衝撃で激しい音を立てた。床に転がった両者が組み合ったまま殴り合いを始める。お互い怪しい体勢になる。手に掴んでいた晒を必死で相手に巻きつける。股に巻きついた晒が腰へ。腰から尻へ。

「こ、これはッ!?」

 見事なまでのフィット感。尻に軽く食い込む感触。どれだけ激しく揺らしても揺れない安定感。そしてなによりも、引き締まっていく気持ち。

「うぉぉおぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 なにかせずにはいられない。己の闇の中で眠るなにかが職人の心を駆り立てる。

「うわぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁッ!!」

 一瞬だった。職人は一瞬で腰に巻いた晒一枚の姿になると、他の職人に飛び掛った。


IMG_000622.jpg


 阿鼻叫喚の地獄絵図。
 次々と誕生するポージングを決めた職人たち。
 言うまでもなく、全員、腰に巻いた晒一枚の姿である。

「祭じゃぁぁぁぁぁぁッ!!」

 職人たちは一斉に踊りだす。素晴らしい笑みと共に。

「オメ達、なんでアンキモ? ピータン? 我も仲間に入れてペィロ」

 いつのまにか、イカナ・イカンも一緒になって踊っていた。
 平和だった。
 この上なく平和な時間であった。

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 こうして褌が生まれたわけです。
 めでたしめでたし。

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 まぁ、最近は国外から”ぶらじゃぁ””しょぅつ””ぶりぃふ””とらんくす”なるものが入り込んできたり、宇宙開発が始まったので宇宙用のインナーが開発されたり、FVBの下着業界も大変なのですが、それはまた、別の話。

 おしまい

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■ おまけ FVB下着の歴史(コラムっぽい?版)

 東国人で構成されているFVBでは、主に着物が好まれて着用されているのだが、建国当初は上着のほうに重点がおかれ、下着は晒で大事な部分を隠す程度であった。
 だが、着物というのは高貴な人間ほど幾十にも重ねて着用し、また高価な生地を使用するため、匂い、汗、垢などによる汚れがついても、なかなか簡単に替えを用意するということが出来なかった。
 そんなとき、ある事件をきっかけに下着開発が奨励されることとなり、紆余曲折の果てに”襦袢”が完成する。
 この襦袢、通気性がよく、安価な生地を使用しているため、簡単に替えを用意することができ、匂い、汗、垢などによる汚れが着物につくのを防ぐのに重宝された。
 また男性は、日頃から挙がっていた不満を解決するために”褌”が考案? された。
 これらは月日を重ねることでFVBに定着していったのだが、そんな折、国外から外国産下着が輸入され、現在、FVB下着業界は激しい戦国時代を迎えており厳しい戦いを強いられている。
 また、宇宙開発が始まったことに伴い、これまでとは違う新しい下着が必要となり開発が行われている。

文・絵:1700332:道化見習い